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知的財産法

知的財産法. 特許権の概要2 (第3回) 弁護士・弁理士 冨  宅  恵. 特許請求項の例.

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  1. 知的財産法 特許権の概要2 (第3回) 弁護士・弁理士 冨  宅  恵

  2. 特許請求項の例 【特許請求の範囲】【請求項1】 AGV(無人搬送車)の位置検出方式であって、床に設けられた複数の磁気テープと、前記AGVに設けられ前記複数の磁気テープの磁気信号を検出する複数の磁気検出センサと、前記AGVに設けられ前記複数の磁気検出センサの検出信号を解析して前記AGVの現在位置を算出する制御装置とを具備してなるAGVの位置検出方式。【請求項2】 前記複数の磁気テープは前記床に貼付されたことを特徴とする請求項1に記載のAGVの位置検出方式。【請求項3】 前記複数の磁気テープは前記床に埋設されたことを特徴とする請求項1に記載のAGVの位置検出方式。

  3. 新規性の判断 • 新規性の判断の対象となる発明(本件発明)は、「請求項に係る発明」である。   →特許請求の範囲に二以上の請求項がある場合は請求項ごとに判断する。   ・請求項の記載が明確である場合は、請求項の記載どおりに請求項に係る発明を認定する(リパーゼ判決)。   ・請求項の記載が明確でなく理解が困難であるが、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮して請求項中の用語を解釈すれば請求項の記載が明確にされる場合は、その用語を解釈するにあたってこれらを考慮する。

  4. 特許請求の範囲の記載要件(36条6項) • 最高裁平成3年3月8日「リパーゼ」事件判決   *審決取消訴訟(出願の場面)であることに注意 • 判旨 特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは、一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限って、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することが許されるにすぎない。   *cf:70条     特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。

  5. 新規性の判断 • 新規性判断   新規性判断の対象となる発明(本件発明)   と   29条各号に掲げる発明として引用する発明(引用発明)   との対比により行う。

  6. 新規性の判断 • 請求項に係る発明と引用発明との対比    請求項に係る発明の発明特定事項   と    引用発明を文言で表現する場合に必要と認められる事項(引用発明特定事項)   との一致点及び相違点を認定して行う。    相違点が存在した場合には新規性ありとなる

  7. 進歩性の判断 • 請求項に係る発明及び引用発明(一又は複数)を認定した後、論理づけに最も適した一の引用発明を選び、請求項に係る発明と引用発明を対比して、一致点・相違点を明らかにする。 • この引用発明や他の引用発明(周知・慣用技術も含む)の内容及び技術常識から、請求項に係る発明に対して進歩性の存在を否定し得る論理の構築を試みる。 • 論理づけができた場合は請求項に係る発明の進歩性は否定され、論理づけができない場合は進歩性は否定されない。

  8. 具体例 • 本願発明(特開平8-180237)

  9. 具体例 • 本願発明(請求項1)   「所定の方向に搬送される紙葉類の一部に照射する照射光を発光する発光素子と、    前記照射光が前記紙葉類の一部を透過した透過光を前記所定方向とは交叉する方向で該紙葉類の一部とは異なる他部に照射されるように光学的に結合する導光部材と、    前記紙葉類の他部を透過した透過光を受光する受光素子とを含み    前記発光素子、前記導光部材、及び前記受光素子は前記紙葉類を搬送するための搬送路近傍の異なる位置に配置されてなることを特徴とする紙葉類識別装置の光学検出部」

  10. 具体例 • 引用発明(実開昭和62-51461号)

  11. 具体例 • 引用発明   「所定方向に搬送される紙葉類の一部に出射する測定光を発する発光素子と    前記測定光が前記紙葉類の一部を透過した透過光を該紙葉類の一部とは異なる他部に入射されるように光学的に結合する導光手段と    前記紙葉類の他部を透過した透過光を受光する受光素子とを含み    前記発光素子、前記導光手段、及び前記受光素子は前記紙葉類を搬送するための搬送通路の異なる位置に配置されて成る紙葉類の積層状態検知のための光学検出部」

  12. 具体例 • 一致点    所定方向に搬送される紙葉類の一部に照射する照射光を発光する発光素子と、前記照射光が前記紙葉類の一部を透過した透過光を該紙葉類の一部とは異なる他部に照射されるように光学的に結合する導光部材と、前記紙葉類の他部を透過した透過光を受光する受光素子とを含み、前記発光素子、前記導光部材、及び前記受光素子は前記紙葉類を搬送するための搬送通路の異なる位置に配置されて成る光学検出部。

  13. 具体例 • 相違点1   「本願発明が、『前記紙葉類の一部を透過した透過光を前記所定方向とは交叉する方向で該紙葉類の一部とは異なる他部に照射される』なる事項を有しているのに対し、引用発明では、紙葉類の一部を透過した透過光を該紙葉類の一部とは異なる他部に照射されるものの、透過光を前記所定方向とは交叉する方向で該紙葉類の一部とは異なる他部に照射される事項については明示されていない点

  14. 具体例 • 相違点2   「本願発明が、『前記発光素子、前記導光部材、及び前記受光素子は前記紙葉類を搬送するための搬送通路近傍』に配置される事項を有しているのに対し、引用例に記載の発明では、そのような事項が明示されていない点

  15. 具体例 • 相違点3   「光学検出部が、本願発明では『紙葉類識別装置』用なのに対し、引用例に記載の発明では、紙葉類の積層状態検知用である点」

  16. 具体例 • 特開平8-180237が進歩性を有するか    知財高裁平成17年(行ケ)第10490号審決取消請求事件   「紙葉類上、搬送方向に対して平行に想定される線(検出ライン)ごとに異なった2か所の位置(検出箇所)に照射され、紙葉類を透過する意味であることが、上記記載自体から明らかであり、さらに、これが相違点3に係る本願発明の構成」

  17. 具体例  引用発明は,発光手段から出射されて前記光路を進行する測定光が複数回紙葉類を透過する結果,当該紙葉類がたとえば1枚である場合とこの紙葉類が複数枚重なっている場合との受光手段で受光される測定光量の差が,測定光が1回だけ紙葉類を透過するように構成された従来の検知装置の場合よりも大きくなるので,紙葉類の積層状態を容易に検知することができるというものであり,複数本の検出ライン上で紙葉類の積層を検出しているのでないことはもちろんのこと,そもそも,照射光を紙葉類に透過させ,紙葉類の枚数を検知するというのであって,紙葉のいずれを検出箇所にしてもかまわないのであるから,複数本の検出ラインの技術的思想はない。

  18. 具体例 • 結論    引用例には,相違点1及び3に係る本願発明の構成の開示も示唆もないというべきである。    →進歩性あり

  19. 特許庁ホームページより引用

  20. 拒絶理由(49条1号ないし7号) • 限定列挙    特許要件違反、新規事項を追加する補正、拡大された先願違反、    明細書の所定要件不備、冒認出願等 • 拒絶理由が発見されない場合には特許査定(51条)     誤って特許査定されたものは無効審判の対象となりうる。 • 拒絶理由の有無は、請求項ごとに判断される。

  21. 拒絶理由を発見したとき • 拒絶理由通知が発せられる(50条)    →出願人は意見書を提出する(相当の期間を指定)。     特許請求の範囲(制限的に)、その他を補正することで拒絶理由を回避することも可(17条の2) • 意見書、補正書についてさらに審理し、拒絶理由が解消されていないと認めるときは、拒絶査定

  22. 拒絶理由通知 • 最初の拒絶理由通知(17条の2第1項1号)    出願人に初めて指摘する拒絶理由に関する通知    1回目   A事由について拒絶理由通知           補正    2回目   B事由について拒絶理由通知           補正    3回目   C事由について拒絶理由通知           補正    *いずれも最初の拒絶理由通知!

  23. 拒絶理由通知 • 最後の拒絶理由通知(17条の2第1項3号)    最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するもの    1回目   A事由について拒絶理由通知          補正によりA’    2回目   A’事由について拒絶理由通知    *1回目:最初の拒絶理由通知    *2回目:最後の拒絶理由通知

  24. 補正(17条~17条の4) • 出願書面の内容をどのように記載するかは出願人の自由意思と責任において決定される。   →出願人としてはより広範な権利設定を希望    →特許請求の範囲が広範になり特許要件を欠くという事態を招く。

  25. 補正の時期的制限(17条の2) • 原則としていつでも可 • 拒絶理由通知を受けた場合には制限   ①拒絶理由通知に対する意見書提出期間内   ②拒絶査定不服審判請求の日から相当の期間   ③先行技術文献に係る情報の提供に関する意見書の提出期間内   ④外国語書面出願の場合、外国語書面の翻訳文提出後 • 違反の場合には、弁明の機会を与え却下(18の2)

  26. 補正の内容的制限(17条の2第3項) • 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲に限られる     (*誤訳訂正は除く) 補正の効果は出願時に遡るところ、先願主義に配慮 • 違反の場合、拒絶(49条1号)、無効(123条1項1号)理由となる。

  27. 補正の内容的制限(17条の2第5項) • 最後の拒絶理由通知に対する補正及び拒絶査定不服審判請求時の補正はさらに制限    ①請求項の削除    ②特許請求の範囲の限定的減縮      ex)上位概念で記載されている発明を下位概念で記載      ☆補正後の発明が独立して特許をうけることができるものである       こと    ③誤記の訂正    ④拒絶理由に示す事項についてする明瞭でない記載の       釈明 

  28. 特許査定・拒絶査定 • 特許査定    審査の結果、審査官が拒絶理由を発見しなかった場合は、特許すべき旨の査定を行う(51条)。    意見書や補正書によって拒絶理由が解消した場合も特許査定を行う。 • 拒絶査定    意見書や補正書をみても拒絶理由が解消されていない場合は、拒絶をすべき旨の査定を行う(49条)。

  29. 拒絶査定不服審判請求(121条) • 出願人は、拒絶査定に不服があるとき、拒絶査定不服審判を請求することができる。 • 査定謄本の送達があった日から30日以内に請求 • 審判官の合議体(3人又は5人)による審理。 • 続審主義(158条・159条)    審査手続を前提に、新たな資料をも補充して原査定が維持できるか否かを審理する。 • 審理の結果、拒絶理由が解消したと判断される場合には特許審決を行い、拒絶理由が解消せず特許できないと判断される場合には、拒絶審決を行う。

  30. 審査前置制度(162条) • 拒絶査定不服審判請求の日から30日以内に明細書、特許請求の範囲又は図面の補正があった場合、当該拒絶査定をした審査官に当該出願を再審査させる制度    補正の結果明らかに特許査定にできる場合があり、迅速な審査を実現

  31. 審査前置制度 • 審査官は、まず、審判請求の際に行われた補正の適否を審査    特許査定をする場合を除き、補正を却下することはできない(164条)。    →補正却下により元の出願内容に戻り拒絶査      定が維持される可能性が高くなる。審判請求     人が再度不服審判を申立てる必要が生じる。

  32. 審査前置制度 • 審査官は、審判請求前になされた補正の適否についても再度審査  補正却下はしない(163条1項後段)。    審判段階において応答の機会を与えずに却下するのは酷

  33. 審査前置制度 • 審査管は、次に、拒絶理由があるかどうかについて審査する。    ① 拒絶理由が解消されているとき特許査定(163条)    ② 拒絶理由が解消されていないとき査定の結果を特許      庁長官に報告(再度の審判請求を回避するため査定      はしない。)    ③ 補正の結果、新たな拒絶理由を発見したときは拒絶      理由通知を発し、意見書提出の機会を与える。 ⅰ 解消された→特許査定 ⅱ 解消しない→長官報告

  34. 審査前置制度 • 特許査定    拒絶査定取消(164条)・審判請求消滅 • 長官報告    審判官による審理に移行(137条1項)

  35. 特許査定後の手続 • 設定登録(特許料納付)    年金制    但し、第1年から第3年分については、特許査定又は審決謄本送達の日から30日以内(108条)    特許料軽減、免除、納付猶予制度あり(109条) • 特許料の納付により特許原簿に登録され、特許権発生。 • 特許公報に掲載(66条3項)

  36. 無効審判請求(123条) • 特許権を遡及的に消滅させる審判。 • 請求人:何人も可 • 被請求人:特許権者 • 請求時期:設定登録後    権利消滅後も可(損害賠償請求される場合がある。) • 無効理由:拒絶理由と原則同様    形式的瑕疵に過ぎない発明の単一性(37)、特許請求の範囲記載要件(36ⅵ④)、先行文献開示要件(36ⅳ②)は除く

  37. 無効審判請求(123条) • 審理 審判官の合議体(3人又は5人)によって行われる。 • 当事者対立構造 • 特許に無効理由がないと判断された場合    特許維持審決 • 特許に無効理由があると判断された場合    特許無効審決

  38. 審決取消訴訟(178条~181条) • 特許庁の行った審決等(行政処分)について、裁判所に対して取消しを求める行政訴訟。 • 拒絶査定不服審判の拒絶審決の取消(査定系)    原告:出願人  被告:特許庁長官 • 特許無効審判の審決の取消(当事者系)    原告:何人も(権利行使された者が大半)    被告:特許権者 • 管轄   知的財産高等裁判所(条文上は東京高裁) • 出訴期間    査定系   審決等の謄本の送達日から30日以内 当事者系  いつでも

  39. 審決取消訴訟(178条~181条) • 原審決の判断が違法か否かについて判断 覆審主義 • 審決等の理由に示された事実のみの範囲で審理する    新たな証拠を引用して特許要件等の判断を行ってはならない   ex)原審決に現れていない新たな引用発明により、新規性あるいは 進歩性等を判断してはならない。

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