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無衝突衝撃波でのイオン加速. 加藤恒彦 (広島大学). 2011/12/17 「高エネルギー宇宙物理学研究会」 於 大阪大学豊中キャンパス (大阪府豊中市). 宇宙空間の無衝突衝撃波. 無衝突衝撃波. 無衝突プラズマ 中の衝撃波. シェル = 無衝突衝撃波. 無衝突プラズマ. 粒子間の衝突がほとんど起きないプラズマ : 粒子間の衝突のタイムスケールよりもプラズマの集団現象のタイムスケールのほうが圧倒的に短い. 関係する物理過程:. 粒子加速 、 磁場生成 など. 超新星残骸( SNR )の衝撃波.
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無衝突衝撃波でのイオン加速 加藤恒彦(広島大学) 2011/12/17 「高エネルギー宇宙物理学研究会」 於 大阪大学豊中キャンパス (大阪府豊中市)
宇宙空間の無衝突衝撃波 無衝突衝撃波 無衝突プラズマ中の衝撃波 シェル = 無衝突衝撃波 無衝突プラズマ 粒子間の衝突がほとんど起きないプラズマ: 粒子間の衝突のタイムスケールよりもプラズマの集団現象のタイムスケールのほうが圧倒的に短い 関係する物理過程: 粒子加速、磁場生成など 超新星残骸(SNR)の衝撃波 • 星間空間中を伝播する無衝突衝撃波=電子・陽子(イオン)プラズマ中の衝撃波 • 衝撃波の速度 Vsh ~ 3000 km/s ~ 0.01c(非相対論的) • 衝撃波で粒子加速(フェルミ加速)が働いていると考えられている 加速電子のシンクロトロンX線 An X-ray image of the supernova remnant SN1006obtained by Chandra satellite. knee(1015eV)までの宇宙線の起源
SNR 衝撃波上流の磁場強度 星間空間には弱い磁場が存在する • 磁場: B0~ 3mG • 数密度: n ~ 0.1 cm-3 Alfven速度 Alfven Mach数 SN1006(1005 years old) G1.9+0.3(~140 years old?) Vs ~ 3000 km/s Vs ~ 14,000 km/s MA~ 150 MA~ 700 典型的には、若い超新星残骸では100 < MA < 1000の値を持つ
背景磁場と無衝突衝撃波 背景磁場の存在は、衝撃波の構造に大きく影響を与えうる 特に角度も重要になる 平行衝撃波 (MA=100) 衝撃波上流 衝撃波下流 磁場 垂直衝撃波 (MA=130) 衝撃波上流 衝撃波下流 磁場
準平行衝撃波でのイオン加速 ハイブリッド・シミュレーションでPower-law的なイオン加速が見えてきた イオンのエネルギー分布 エネルギー Power-law α ~2.0 位置 Gargate & Spitkovsky (2011) フェルミ加速的 Sugiyama (2011)
今回の話 斜めの背景磁場がある場合のハイブリッド・シミュレーション Sugiyama (2011) や Gargate & Spitkovsky (2011) と同様 • イオン加速は起きるか? • フェルミ加速的か? • 加速の効率は? ※ただし、MA~10 程度の衝撃波
ハイブリッド・シミュレーション 電子流体+イオン粒子 グリッド • 電子: 質量のない流体として扱う • イオン: 運動方程式を解いて個々の軌道を計算する • 電磁場: グリッド上で Maxwell 方程式を解く イオン メリット:電子スケールの現象を解かずにすむ → より長時間のイオン進化を追える 基礎方程式 イオン 電子 運動方程式 massless fluid model (cold) 準中性条件 電磁場 Maxwell 方程式(変位電流を無視)
準平行衝撃波の1次元シミュレーション 背景磁場を持つ電子・イオンプラズマ中の衝撃波 プラズマを壁にぶつけることで衝撃波を発生させる 壁 電子・陽子プラズマ V x ※ シミュレーション系は、衝撃波の下流静止系に対応する 衝撃波上流 衝撃波下流 • 1次元シミュレーション • 磁場の傾き:θ=30° (15°,45°, 60°) • マッハ数:MA= 6.7と 13 θ=30° 上流は同じ条件: vA/c = 0.0065 磁場
密度と磁場 MA=6.7 MA=13 衝撃波 衝撃波 イオン数密度 n/n0 4.0 3.6 磁場 δB/B0 • 上流側にも磁場の乱れが励起される • 磁場や数密度の乱れはマッハ数が大きいほど大きくなる
粒子分布の時間進化 MA=6.7 位相空間プロット エネルギー 衝撃波 vx g (ローレンツ因子) x-vx x-g 入射粒子:γ=1.001 γ=1.1 (入射粒子の約100倍のエネルギー) x x • 時間とともに高いエネルギーを持った粒子が増える • 上流側へも多くの加速粒子が逃げ出す
衝撃波周辺の磁場 MA=13, wci t = 229 q=15 q=45 By Bz q=30 q=60 準平行衝撃波では、衝撃波上流で大振幅(δB/B0~1)の波が励起される
準平行衝撃波で励起される波 MA=13, q=30 磁場揺らぎ(実線)電場揺らぎ(破線) イオンと共鳴しない λ~200λi By, Ey Bz, Ez B0 イオンのジャイロ運動と共鳴 • 上流静止系で上流側へ伝搬する電磁波モード(Alfven波) • 衝撃波系では下流方向へ伝搬 • 上流へ向かうイオンと共鳴し、強く散乱
準平行衝撃波で励起される波 MA=13, q=30 磁場揺らぎ(実線)電場揺らぎ(破線) イオンのx – vxプロット イオンビーム 上流へ向かう vx~0.1c - 0.2c のイオンとの共鳴条件を満たす Resonance condition Ion-Ion R-mode 不安定性 (Resonant mode)
加速粒子のエネルギースペクトル (下流) MA=6.7 MA=13 Power-law a=1.5 a=2.1 Maxwellian 高エネルギー成分は Power-law + Cutoffで良くフィットできる
補足 べき指数 Cut-off 関数 Bell (1978) 拡散近似を用いた場合のCutoff関数のLaplace変換 非相対論的 相対論的 α = 1.5 Kato & Takahara (2003) α = 2 Drury(1991) Θ(E,t) (79)の数値解 MC 加速粒子が相対論的か非相対論的かでべき指数が変わる ln(E/Ec)
補足 Kato & Takahara (2003) Drury(1991) Θ(E,t) (79)の数値解 MC Θ(E,t) ln(E/Ec)
エネルギースペクトルの時間進化 (下流) MA=6.7 MA=13 時間とともに Power-law の先端が高エネルギーに伸びていく
衝撃波における1次フェルミ加速 衝撃波面 衝撃波上流 衝撃波下流 V2 V1 荷電粒子 • 上流、下流それぞれの静止系で粒子は磁場の乱れによりエネルギーを保存した散乱を受ける • 荷電粒子が衝撃波の上流と下流を往復する過程でエネルギーを得る • 加速された粒子のエネルギースペクトルは Power-lawになる
粒子加速のヒストリー MA = 6.7 衝撃波静止系 エネルギー 衝撃波面 衝撃波下流 衝撃波上流 γ • 衝撃波の往復でエネルギーを得ていく • フェルミ加速的 xs 上流静止系 下流静止系 上流でエネルギーほぼ一定 下流でエネルギーほぼ一定
粒子加速のヒストリー MA = 13 衝撃波静止系 エネルギー 衝撃波上流 衝撃波下流 γ • 衝撃波の往復でエネルギーを得ていく • フェルミ加速的? • 上流でも加速を受ける xs 上流静止系 下流静止系 大振幅波による反射 上流域でも加速される
上流での加速 MA = 13 γu: 上流静止系ローレンツ因子 高エネルギー粒子 上位6粒子 1 3 2 加速 4 5 6 減速 xs / li: 衝撃波静止系での位置 • 上流でも大振幅波による反射によって加速を受ける(より高エネルギーでは効かない?) • 下流では、ほとんど diffusion せずに上流へ戻る(選択効果あり)
加速の効率 マッハ数(衝撃波速度)依存性 角度依存性(q=15, 30, 45, 60) MA=13 q=30 wci t = 248 wci t = 229 MA=13 MA=6.7 Maxwellian q=30 15 60 45 • 衝撃波速度が大きい(マッハ数が大きい)方がより高エネルギーまで加速できる • 平行衝撃波に近い方が、加速の効率が良い (q=60はほとんど加速されない)
最高エネルギー 平均自由行程のモデル h: 「磁場の乱れ」を決めるパラメータ フェルミ加速理論の最高エネルギー シミュレーション フェルミ加速理論 • フェルミ加速の理論とだいたいconsistent • ηは1のオーダー
インジェクション・レート wci t = 229 MA=13 フェルミ加速の定常解 Ebulk E0 = 5 x Ebulk Q0 : 単位時間あたりのE0へのインジェクション・レート 入射フラックスに対する割合ζで書く E0 = 5 x Ebulk とすると ζ ~ 1-2 x 10-2
まとめ 斜め衝撃波の1次元ハイブリッド・シミュレーション • イオンの power-law 的な加速を確認 • フェルミ加速的な加速機構+上流での加速 • ηeffは、1のオーダー → 効果的な散乱 • cutoff の形はexp[-(E/Ec)2] ? • 衝撃波速度が大きい(マッハ数が大きい)方がより高エネルギーまで加速できる • 平行衝撃波に近い方が加速の効率が良い(q=15,30,45) • 準垂直衝撃波(q=60)ではほとんど加速されない