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低温物質科学研究センター

低温物質科学研究センター. 寒剤利用者講習会. (保安教育). URL:http://www.ltm.kyoto-u.ac.jp. 低温物質科学研究センター. 低温物質科学研究センター(吉田,宇治,桂) Research Center for L ow T emperature and M aterials Sciences. 理学部 極低温研究室 理学部 機器分析センター 化学研究所物性化学実験室. 統合. 2002 年 4 月 1 日. 低温物質科学研究センター. 寒剤供給部門  液体窒素  液体ヘリウム 研究部門

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  1. 低温物質科学研究センター 寒剤利用者講習会 (保安教育) URL:http://www.ltm.kyoto-u.ac.jp

  2. 低温物質科学研究センター 低温物質科学研究センター(吉田,宇治,桂) Research Center for Low Temperature and Materials Sciences 理学部 極低温研究室 理学部 機器分析センター 化学研究所物性化学実験室 統合 2002年4月1日 低温物質科学研究センター • 寒剤供給部門 •  液体窒素 •  液体ヘリウム • 研究部門 •  4分野(教員10名)で構成 http://www.ltm.kyoto-u.ac.jp

  3. 低温物質科学研究センター 低温物質科学研究センターは、吉田・宇治・桂の三つの地域を有機的に結び、強力なサポート体制で学内の低温研究分野の礎となるべく活動を続けています。 【センターロゴ】

  4. 本日の講習会の中身について • 本日のメニュー • 寒剤供給:液体窒素&液体ヘリウム • LTMセンターの保安管理体制 • 高圧ガスについて • 寒剤の性質と安全な利用 • 高圧ガスボンベ • 貯槽と容器他 • 講師:  京都大学 低温物質科学研究センター 先端低温基礎研究分野  春日井 昇

  5. 寒剤供給:液体窒素 LN2 • 液体窒素:購入(処理能力約10 M3/hourのタンクローリー) • 0.15 MPa程度で保圧(タンクによって違う) • 蛇口から圧力差(保圧値 ⇒ 大気圧)を利用して供給 • 吉田地区:年間 約23万リットル(約630 l /day) • 宇治地区:年間 約10万リットル(約274 l /day) • 桂地区 :年間 約12万リットル(約330 l /day) 吉田地区・北部構内の窒素くみ出し場所 吉田地区・北部構内の窒素タンク

  6. 寒剤供給:液体窒素 LN2 初心者は特に教職員の いる時間に汲みましょう 液体窒素利用の手引(H18年版) ・利用願提出、バーコード発行を受ける ・汲出:原則,平日の昼間(但し特認有) ・汲出場所以外立入禁止・その場を離れず ・二輪車運搬不可・自動車は窓を全開 ・ 休止期間は掲示板及びWebでお知らせ 春日井のホームページが親切http://frontier.ltm.kyoto-u.ac.jp/ 液体窒素汲出方法 低温センター誌第4号(システム利用法)又はバーコード裏面参照 1. 換気扇まわす(新システムでは自動:但し確認必要) 2.はじめチョロチョロ:配管や容器 (ベッセル)冷やす   いきなり全開は効率が悪いばかりでなく危険 3.中パッパ:バルブは全開 4. あふれたら終了〜♪

  7. 寒剤供給:液体ヘリウム LHe 吉田地区・リンデ社製He液化機 液化率:300 liter/hour 液体ヘリウムくみ出し場所 ヘリウム容器置き場 面積:約 35 m2

  8. 寒剤供給:液体ヘリウム LHe 液体ヘリウム (LHe) :各地区共液化機で液化供給 吉田地区:年間 約10万リットル 宇治地区:年間 約2.5万リットル 桂地区 :本年度から 重量測定 パソコン入力 液体ヘリウム利用の手引(H18年版) ・登録:研究室情報のデータベース登録 ヘリウム容器のデータベース登録 ・予約:供給前日16時までに Web 申込 予冷(空時)・搬入・重量測定(残液)忘れずに ・価格:ガス回収率から算出 低価格・資源有効利用には回収率 Up 不可欠 ・容器貸出:使用量は一日300円など

  9. 偉い!) ただし 「その他」云々は法律では曲者! 高圧ガス保安法について 『法を知らずして低温を語るなかれ』(本日の副題) 半分本気だが、一言で語るにはちょっと複雑すぎる。 細部を細かく見るよりも、大枠を捉える事が大事 せめてこの法律の目的だけは知っておきたい。 法第一条(目的) この法律は、高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、移動、消費、及び取扱などを規制するとともに、保安に関する自主的な活動を促進し、もって、公共の安全を確保することを目的とする。

  10. 高圧ガス保安法について 高圧ガス保安法の構成図 高圧ガス保安法は ~1200 page にも及ぶ(高圧ガスに関する)国家法であるが、その組立てを考えると大体以下のような形に要約される。次ページ以降では、それらを端的(?)に掘り下げて解説する。

  11. 高圧ガス保安法と S I 単位 SI 単位(International System of units) とその組立単位の例 例えば 1 N とは、質量 1 kg の物体に作用して 1 m/s2の加速度を生じる力、1 J は 、1 N の力が物体に作用して 1 m 動かす時の仕事と読む。 圧力

  12. LTMセンターの保安管理体制 「高圧ガス保安法」によれば • 京都大学は • 高圧ガス製造事業所である (知事から製造の許可を得る必要) • 低温物質科学研究センターは • 京都大学事業所内  高圧ガス製造施設である • 処理能力が100 m3以上故 第一種製造者である • 第一種製造者は  保安組織構築・届出義務 危害予防規程策定・届出義務 保安教育計画策定の義務 • ユーザーは  規程の遵守義務 京 都 大 学 事 業 所

  13. 高圧ガス製造保安責任者免状 • 法第二十七条の二   保安統括者等の選任の義務 第一種製造者は当該事業所において保安統括者、 及び、保安技術管理者(免状取得者)を選任し、 製造施設の区分ごとには保安係員(免状取得者) をそれぞれ選任しなければならない。 • 法第二十九条 製造保安責任者免状 製造保安責任者試験に合格した者に交付する。 (製造に関する経験者に交付は廃止:同法) 免状の種類は事業所規模から乙種機械責任者 又は乙種化学責任者免状があれば良い。 ※一日の処理能力が100万M3以上では甲種! • Heavy User (Group の教員) に免状取得を推奨

  14. 第一種製造者について 第一種製造者の定義(法第五条) 一日の処理能力が100 M3 以上の設備を使用して高圧ガスの製造(高圧ガスの処理)を行う者は第一種製造者である。 ※処理能力とは処理設備又は減圧設備を24時間連続使用した場合の処理容積(100 m3だと約70 l / minで処理)をいう。 ◎第一種高圧ガス製造者   利用者に講習の義務 年一回の保安検査の義務 (期間中は原則供給サービス休止) • 国家資格が必要(第一種) • 届出が必要(第二種:一種以外者) ◎「製造」も条件によって 一日に多くの高圧ガスを製造しているほど厳しい!

  15. 危害予防規程について (京都大学高圧ガス製造施設) 危害予防規程 京都大学内の種々規程集の中の一つ(京大ホームページにも掲載) 第一条(趣旨)法第二十六条に基づく学内規程 第四条(統括管理者)保安統括者は総長 第二十一条 保安教育 (教育者サイド) 保安教育計画書及び保安指示書の策定の義務 保安教育実施の義務を負う(法第二十七条関連) 同条第3項 保安教育受講の義務 (受講サイド) 未受講者のセンター利用原則禁止 第二十二条 危険時の措置 保安指示書に定めるところにより、 安全な場所に移す等応急措置後速やかに退避

  16. 講習内容 保安教育計画書について 第一章 総則 1.1 保安教育計画 教職員、学生等に行う保安教育はこの保安教育計画書の基準による。 「保安講習は保安教育計画書に基づいて行う」である!! 第四章 教育の方法及び時期 4.1 年間教育 毎年一回以上適切な時期に行う 第五章 高圧ガスの種類ごとの教育内容 5.1 液化ヘリウム及びヘリウムガス 一~三 次項に同じ 5.2 液化窒素及び窒素ガス 一 チッソの物性を含めた高圧ガスの特徴 二 高圧ガス容器や超低温容器等の取扱上の注意事項 三 酸欠、凍傷等保安に対する注意事項

  17. 保安指示書について 保安指示書は日常&緊急時の安全について指示 1-2 貯槽からの液化窒素の汲み出し方法 • (1)Web 公開の液体窒素利用の手引きに従う。 • (2)液化窒素の汲み出しは、高圧ガスの製造である事を充分 •    認識し、高圧ガス保安法等の関係規則を遵守する。 • (3)汲み出しに使用する超低温容器には、大気中の水分が内 •    部にコンデンスしないような方策を講じること。 その他 • 容器表面に結露や霜付きがないか常時外観検査を行う • 容器が危険な状態になった場合には付近の人達を退避させた後放出弁を開く等の緊急の措置を講ずる。

  18. 高圧ガスについて 高圧ガスの定義(法第二条) 高圧ガス とは- 圧力の高いガス(35℃で1 MPa以上) 液化ガス(常温に戻した時に0.2 MPa以上) 政令による適用除外:圧縮空気 空気は 5 MPa 液体窒素、液体ヘリウムは高圧ガス 沸点温度の液化ガスを35℃ に戻すと、液では存在出来ず圧力も 0.2 MPa をはるかに超えるからである。 液体窒素1lの場合 より約4気圧となる? 上式を液体にそのまま適用するのは少々無理。 液からガス、ガスからガスと密度差を使って丁寧に計算をたてると、35 ℃では約729気圧にもなる。共に臨界点が非常に低いので室温では一気にガス化する事も圧力上昇に一層拍車をかける。(怖い!) もう一度言う、寒剤は高圧ガスである!!

  19. 高圧ガスの製造について 高圧ガスの製造とは  製造方法の技術上の基準(一般則第6条)の所で記載 高圧ガスの製造はその発生、分離、精製、反応、混合、充填、加圧又は減圧において、次に揚げる基準によることにより保安上支障のない状態で行うこと。 一般則だよ! これは実質的な高圧ガス製造の定義である! 製造方法の技術上の基準の一例 充填容器等(内容積5 l 以下を除く)には、転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱いをしないこと。

  20. 高圧ガスの消費について 高圧ガスの消費 はて、製造と消費は違うんだっけ? 消費とは、高圧ガスを高圧ガスでないガスにする事 例えば、液体窒素を容器Aから容器Bに移すのは、高圧ガスの製造と定義されるが、容器A内の液体窒素を移し変えずにそのまま冷媒として使用した(自然蒸発させた)場合などは、高圧ガスの消費となる。但し、消費にも技術上の基準はある。 液化ガスを容器に入れるのも法的には充填となる

  21. 高圧ガスの貯蔵について 液化ガスの貯蔵について • 液化ガスの貯蔵は 貯槽 又は 容器 の2種類どちらかで行う。 • 地盤面に対して移動できない   貯槽、移動できる   容器 寒剤用の容器は超低温容器と呼ばれこの名で規制。 貯蔵の規制を受けない容積は、0.15 m3 以下(一般則第19条1項) 但し、液化ガスである時は、質量10 kgをもって容積1m3とみなす。 液体窒素では1.86 l たったの1.8 l じゃと? 1.8 l 魔法瓶はOK! 液体窒素10トンタンクは貯槽 移動式製造設備 タンクローリーは C E(Cold Evaporator)と C C(Cold Converter) ◎消費か製造か(ガス取りか液取りか)の違いがある!!

  22. 貯蔵所と容器置場 貯蔵(貯槽・容器)はその容積で法適用判断 第一種貯蔵所 (法第16条貯蔵の許可) • 容積 300 M3 以上の高圧ガスを貯蔵する時、 •   許可を得た第一種貯蔵所での貯蔵を要す。 • 液化ガスの時、 •   液体10 Kg をもって容積1m3とみなし上記規定を適用。 • ガスの種類が第一種ガス(He , N2,CO2等)の時、 •   容積 3000 M3以上と読み換える(平成11年法改正)。 第二種貯蔵所 (法第17条の2 貯蔵の届出) • 政令で定めるガス(第一種ガス等)で上記規定を受けないもの • 例えば、液体窒素の10トンタンクは、容積 1000 m3故 • 第二種貯蔵所(届出)での貯蔵で良い事になった。 容器置場 上記以外は容器置場による貯蔵となり面積により保安距離異なる

  23. 物質の状態図について 物質の三態図(ヘリウムを除く) 物質は元素の種類や結合の仕方で、気・液・固体の三形態を取る。 最も一般に知られた H2O の三態(状態図)を基に説明する 【 H2O の物性値】 臨界温度:374.2℃ 臨界圧力:218 atm 沸点:100℃ 融点(凝固点):0℃ 三重点:0.01℃ 水蒸気密度:598 g /l(沸点) 液密度:1000 g /l(4℃で最大) 注)臨界点では液体(温度上昇で膨張)と水蒸気の密度の差がなくなり両者の区別がつかなくなる。 物質の種類によって融解曲線の傾きが変わるんだったよね!? 窒素の融解曲線

  24. 液体窒素の性質 窒素の状態図 窒素はご多分に漏れずその状態図には三重点が存在 【窒素の物性値】 臨界温度:125.5 K 臨界圧力:33.5 atm 沸点:77.3 K 融点(凝固点):63.3 K 三重点:63.1 K ガス密度:1.25 g /l (0℃,1 気圧) ガス密度:4.59 g /l (沸点) 液密度:808 g /l (沸点) = 0.808 g / cm3 【窒素の状態図】 注)固体には2型があり、35.6 K以下では六方細密格子から面心立方格子に変態する。

  25. 液体窒素の性質 • 液体窒素の蒸発潜熱:199 kJ/kg • 顕熱(エンタルピー差)(77K→300K):234 kJ/kg • 液体ヘリウムに比べて顕熱がかなり小さいが、 • それでも潜熱よりは充分大きい • 潜熱と顕熱を有効利用(そのためには) • 膜沸騰が起きない様ゆっくり入れる 脱脂綿 キャップ • 液体窒素容器には必ず専用のキャップを被せる • 紛失したならブンゼンバルブ、脱脂綿等で代用 • 開放状態では空気中の他のガスの成分を凝縮し、 • 結果として液体窒素が液体空気に変化し沸点上昇 簡易定点に使用時やSampleジャボズケ時には特に注意!

  26. 液体窒素の性質 液体窒素は容易に液体空気となる 液体窒素容器を開放状態で放置した場合、空気中の酸素を液体窒素内にどんどん凝縮し、結果的に内部が全て液体空気に置き換わる事になる。 空気中の酸素の存在比はおおよそ21%あるので、空気にさらした状態では酸素がこの比率まで混入後、平衡状態となる。この時の温度は78.8Kである。 例え短時間でも一旦空気にさらすと、もはや窒素温度を保持できず、その時点での混合比率に即した温度となる。(液体空気となる) 透明であった液体は凝縮した水分で白濁する 酸素のみならず空気中の湿気も凝縮するので、それが凍って雪となり液体内部を対流する。

  27. 液体ヘリウムの性質 ヘリウムの状態図 ヘリウムは唯一三重点のない特異な物質(圧力を下げても固化しない)として有名であるが、3He と4He の二種類あるので、それらの状態図を以下に示す。同位元素存在比(3He / 4He)は最大でも1ppm 。 従って、ヘリウムと言えば 4He を指し、λ点がある事でも有名。 1 K(0.12mmHg)~4.2 Kの間で蒸気圧温度計として利用できる。 超流動ヘリウム 沸点:4.2 K 臨界温度:5.19 K 臨界圧力:2.26 atm 沸点:3.2 K 臨界温度:3.34 K 臨界圧力:1.15 atm

  28. 液体ヘリウムの性質 ヘリウムの蒸発潜熱:20 kJ/kg(LN2:200 kJ/kg) 顕熱(エンタルピー差) (4.2K→300K):1520 kJ/kg 冷却に冷たいガス(即ち顕熱)を利用 容器の底から窒素以上にゆっくりトランスファー 1.常に回収を:価格,効率,安全のため   ベッセル,実験装置とも回収口へ 2. バブラー,ガスメーター:設置義務 3. タコニス振動:簡易液面計に利用   但し、実験装置で発生すると, 液体の蒸発が激増(注意!)     液体ヘリウムの浪費 4. トランスファーはロスを少なく LHe 年間消費量の節約

  29. 液体ヘリウムの性質 He温度近傍で起こるタコニス振動(Thermal Oscillation) • 温度勾配が急な管 • ガスが上方に移動(若干圧力上昇) • 上端での管壁を通した熱流入 • 熱膨張(更なる圧力上昇) • 全体が均一な圧力になる(圧力降下) 細いチューブの先が He 液面に達したときに(質量移動による)強烈な熱振動を起こす現象を言う。 これを利用して、簡易液面計が作れる。但し、実験装置内で発生すると、蒸発率が激増する為、穴あけ等の対策必要。 [簡易液面計] 圧力振動起す

  30. 液体ヘリウムの性質 液体ヘリウムのフラッシュロス ヘリウムは蒸発潜熱が小さいので、少しの擾乱でも大きな液体ロスに繋がる。中でも圧力変化による液損失をフラッシュロスといい、液体Heをトランスファー(等エンタルピー膨張)する度に起る。例えば 0.2 気圧でも約 8%、一気圧では約 40% の液体がガス化する。 液体とガスの密度差からくるロス 液体ヘリウムをトランスファーすると送り側の容器に液体ヘリウムがガス化して残り、例えロスが無くても受け側の容器には約 87% の液体しか溜めることが出来ない(窒素は99.5%溜めれるが)。

  31. 液体ヘリウムの性質 予冷の必要性について • 液体ヘリウムは蒸発潜熱が非常に小さい事から、断熱容器内の予冷は最重要と考えるべきである。以下その例を示す。 熱容量の大きい固体程、寒剤の消費量増加する。 顕熱の有効利用には底からふかすが鉄則 潜熱と顕熱の両方を利用する事の重要性も理解できる

  32. 寒剤(液化ガス)の性質 液体の性質一般論 分子の熱運動エネルギーがその結合エネルギーと同レベル 固体と同じようにほぼ一定の体積を持つ 分子間の隙間が狭く圧縮しにくい(気体と大きく異なる) 液体は一般に圧縮率(κ)が小さく、比べて膨張係数(β)が大きい 温度1℃up で何十気圧も上昇 !! 少しの体積変化で過大な圧力発生 容器内で発生すると容器破裂の危険 容器や貯槽への過剰充填を法律で禁止!

  33. 寒剤(液化ガス)の性質 各種寒剤の蒸発潜熱(気化時に吸収する熱量) 図より窒素の潜熱はヘリウムの約10倍あるのが解る。また、蒸発潜熱は一定だと思われがちだが、沸点温度(at 1atm)を越すと急激に減少し、加圧状態ではほとんどこれを有効に利用できなくなる事を意味する。(参考:1 W = 1 J/sec)

  34. 寒剤(液化ガス)の性質 輻射の影響について 寒剤は極低温であり蒸発潜熱も非常に小さい事から、室温からの輻射エネルギーの影響をもろに受ける。 単位体積当りの輻射による熱伝達量はStefan – Boltzmann の法則により ただし なる物質を考え室温からの熱流入を上式より計算すると、T1が 77 K の場合、約46 mW/cm2(77→4.2Kなら0.2 mW/cm2)もの熱量が流入する。

  35. 寒剤(液化ガス)の安全な利用 • 液体窒素:沸点 = 77.3K (-196℃) ← 1気圧下 臨界温度=126K  臨界圧力=33.5atm  比重=0.8 比熱=2.03kJ/kg気化すると体積は約700倍(at 20℃) ※ 保存状態が悪いと液体空気に変身するので注意! • 液体ヘリウム:沸点 = 4.2K (-269℃) ← 1気圧下 臨界温度=5.2K  臨界圧力=2.26atm  比重=0.125 比熱=4.41kJ/kg気化すると体積は約750倍(at 20℃) 取扱を誤ると… 凍傷 - 軍手は禁物 爆発 - 大災害の危険 窒息 - 気づいたときには死に至る 特徴 慣れた頃が危ない - 車の運転と同じ

  36. 寒剤の安全な利用(凍傷の危険) 凍傷の危険 液体窒素:77.3K(約-196℃と極端に冷たい) じゃあ,どうする? 革手袋? 軍手? 毛糸の手袋? 素手? なぜ軍手や毛糸の手袋はだめ? = 量次第だが確実に凍傷を起こす! 液体がしみこみ凍る 素手はなぜいいのか? それは膜沸騰のおかげ(スフェロイダル現象) 膜沸騰でガスの膜が出来るので、かかっても大丈夫。 冷たい金属等の固体は、膜沸騰望めない。直接触ると? ウエスを間にかます、革手袋を着ける 手が貼りついて危険

  37. 高圧ガス 危険 液体 寒剤の安全な利用(爆発の危険) • 液体窒素・ヘリウム:低温で液体    室温になると体積 約700倍 !! 密封すると… 爆発して 頑丈な容器ほど 高い圧力で破裂する! 氷による閉塞(密閉状態、京大でも He断熱容器で多発!) 汲込口や蒸発口を開放したまま放置しない(これ鉄則!) 常に回収系に繋ぐ、安全弁元弁全開、或いは ブンゼンバルブを付ける、タオルなどで出口を覆う (一種の逆止弁⇒蒸発可能で,水分の侵入を防ぐ) 怠ると爆発事故も!(特に満杯近くで起こると危険)

  38. 寒剤の安全な利用(爆発の効果) 爆風は衝撃波 爆発、爆轟及び容器破裂で発生する高圧ガスの急膨張等により発生する空気中の圧力波を爆風という。プラントの爆発で周囲1~2kmの建物のガラスが破損する事があるがこれは爆風の影響である。 爆風の圧力波形の特徴は波面が急速に立ち上がっている事と正圧(衝撃波)の後に負圧(逆風となる)が続いて、その後正常の圧力に戻る事(時に信じがたい力を出すので注意!) 電車の衝撃波の巨大な物をイメージすれば解り易い! 人が即死する爆風のピーク圧は約7kg / cm2、耳の鼓膜が破れるのは約170 g / cm2、ガラス窓の破損は3~60 g / cm2である。

  39. 爆発の事故例 • 2004年1月13日,京都山科区の総合病院 医療用超低温酸素容器の爆発   汎用液体窒素200 l 容器 衝撃加重の繰り返しによるネックチューブの座屈部に亀裂発生 倉庫内の容器爆発により病院及び隣接民家の窓ガラスが割れ、入院患者4名と隣接民家の6名がガラス等で軽傷を負った。倉庫も火災発生。 ○×?どうも「あの病院で爆発があったんだって!」と言っている様だが…。 • 2004年5月29日,福岡県の高校の文化祭 液体窒素を入れたラムネのビン   高圧になり爆発。 教員の指示以外のことをして、爆発!  10人が怪我。 液体窒素でデモ実験を行う時は、その物性を充分認識した上で行う事。

  40. 寒剤の安全な利用(窒息の危険) 空気は78%程度が N2 ガス(酸素は約21%含有) その点では無害・無毒 それ故、N2ガス濃度が上がっても気付かない 酸欠(窒息)の危険性 窒息 - 気づいたときには死に至る (酸素濃度6%未満では,あっという間) 小さな潜熱   室温を下げるのは無理 じゃあ,どうすればよい? 部屋に換気扇つける、窓を開ける、酸素濃度計を設置する

  41. 寒剤の安全な利用(窒息の危険)  酸素欠乏症(酸欠)について • 酸素濃度18%未満の状態を酸欠と定義 • 酸欠を起こすと最初に脳機能が低下し、極端な酸欠空気を吸入した場合、直ちに意識不明と呼吸停止が起り、脳細胞への酸素供給が絶たれると脳の諸機能は永久に失われる。 • 酸欠症で倒れた者が回復できるのは3分以内で、3~6分ぐらい迄は心停止がなければ人工呼吸で命は取りとめるものの中枢神経系に障害が残る。後遺症としては四肢の麻痺、記憶喪失、痴呆、性格異常が上げられる。但し、軽度の酸欠なら障害は残らない。

  42. 窒息の事故例 • 1990年8月27日,NTT研究所 •   窒素くみ出し中にその場を離れた。 •   後で気づいて部屋に入った時に,液体窒素が溢れていた。 •   急いで止めようとしたが,室内にはほとんど酸素なし • 1名死亡 • 1992年8月28日,北海道大学 •   停電のため作動しなくなった冷凍機の代わりに, •   液体窒素で保冷室内の冷却を試みた。 •   搬入した液体窒素:80リットル(ほぼ全て使用) • 2名死亡 窒息というのは、恐ろしいんじゃねえ! • 窒素くみ出し中には離れないこと • 液体窒素は密閉室で使わないこと 死亡事故多し!

  43. 事故件数の推移 高圧ガス保安協会編 高圧ガス製造事業所事故件数の推移

  44. ヘリウムガスの回収について 理学部5号館・回収ガスバッグ [He ガスの埋蔵量と消費量] 上図は1973年のものであるが、埋蔵量に対する消費量の伸びを端的に表現しており、1994年には確認埋蔵量と消費量が横並びになると予想。この予想は大よそ的中し、既に生産国は備蓄を取り崩し始めており、各国ともHeの回収に力を入れだした。 回収ガス保管用長尺ボンベ

  45. ヘリウムガスの回収について  流量計とオイルバブラー • 液体ヘリウム利用者には流量計とバブラーの設置を義務づけている。 • 流量計の規格を右図に示すが、  当室では大型クライオスタット使用者にはN7号、それ以外の者にはN5号の使用を推奨している。 • バブラーは実験中ガスが正しく回収され、また実験終了後にはバルブの閉め忘れによるHeガスの逆流・流出(回収配管故大量に損失する)がないかを目視により監視出来るようにする為の機器である。最近はノンオイルの機器でも目視によりガスの状態が把握できる物なら使用可能としている。

  46. ヘリウムガスの回収について  ヘリウムガス回収口の太さと配管の長さ • 管に沿う圧力降下率と平均流速の関係は、粘性流体の代表式 Hagen-Poiseuille の式にレイノルズ数を代入すれば求まる。 ※レイノルズ数: 流れの慣性力の大きさと粘性の大きさの比を表す無次元数 上表より配管の内径は少なくとも 9 mm 以上、1inchあれば殆ど抵抗を感じずに使用でき、又、ヘリウムトランスファー時の流量は少ない(He Loss を考慮して極端に加圧しない)方が望ましい事が解る。

  47. 超低温容器 液体窒素と液体ヘリウムデュワーの構造 Damage! LHe Dewar LN2 Dewar 上記いずれもその形状から vessel と呼ぶこともある。

  48. 超低温容器 スーパーインシュレーションについて スーパーインシュレーションを使った断熱技術が発達する迄はヘリウム容器は全て(LHeとLN2の)二つの容器を重ねた二重構造であった。ところが、S I は容器の一重構造を可能とした。断熱技術と言えば高真空技術が主流であった頃を思うと隔世の感を否めない。今、市販の容器の殆んどはこの構造のものである。 スーパーインシュレーションとは? マイラーシート等にアルミを蒸着したものを多層に巻く事によって反射率を上げ(輻射の軽減)、スペーサーとしてガラス繊維布等をサンドイッチ(熱伝導の軽減)した構造である。従って材料や状況にあった最適な巻数が存在し、それこそ技術の勝負でもある。 minimum 容器の性能を決めるのは今やこの技術と言っても過言でない!

  49. 超低温容器 超低温容器の取り扱い上の注意 Ⅰ. 内部に空気&湿気を凝縮しない様な措置を講ずる。 Ⅱ. 転倒に限らず衝撃は容器の致命傷となる。粗雑に扱わない。 Ⅲ. 金属疲労、低温脆性等に起因したひび・割れを常にチェック Ⅳ. 間違っても臨界圧力に達する様な極端な加圧はしない。 真直ぐ切り掻く Hose band か Copper wire で縛る 窒素デュワーの周りをタオルで巻く 出入り口にブンゼンバルブを付ける 上記Ⅰ~Ⅳ迄でトラブルの最も多いのが、Ⅰである。図にはその対応策の一例を示したが、特に He ガスの出入り口は Gas bag や Recovery line に繋ぐなどして、絶対に空気に晒さない努力が必要である。

  50. 高圧ガスボンベ 高圧ガスボンベ • 法的には継目なし容器に分類 • ガスの種類で色が違う  (水素:赤、酸素:黒、塩素:黄色、炭酸ガス:緑、アセチレン:褐色、アンモニア:白、プロパン:ねずみ色、その他:ねずみ色) • レギュレータ取り付け時 石鹸水での漏れ検査を忘れずに • 転倒  頭が折れて飛んでいく 転倒防止:鎖でとめる (重さ約60 kg あるので脅威!)

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