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リーク化する社会. 植田純司. 論点. 発表の流れ. ウィキリークス概要・事例. ウィキリークス概要. ・ オーストラリア出身のジュリアン・アサンジが中心となって2006年に設立、2010年のイラクにおける米軍誤射映像で有名に ・ 活動方針: 「あらゆる地域の政府、企業の非倫理的な行為を暴こうと望むすべての人々の役に立ちたい」 ・ 情報の「ハブ」として活動、「科学的ジャーナリズム」としての立場 ・ 人権保護団体からの評価は高い一方、機密情報の 公開を巡っては評価が二分 アサンジ は現在、性的暴行の容疑で英国で軟禁状態. 事例1:アフガニスタン戦争機密資料公開事件.
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リーク化する社会 植田純司
ウィキリークス概要 ・ オーストラリア出身のジュリアン・アサンジが中心となって2006年に設立、2010年のイラクにおける米軍誤射映像で有名に ・ 活動方針: 「あらゆる地域の政府、企業の非倫理的な行為を暴こうと望むすべての人々の役に立ちたい」 ・情報の「ハブ」として活動、「科学的ジャーナリズム」としての立場 ・ 人権保護団体からの評価は高い一方、機密情報の 公開を巡っては評価が二分 • アサンジは現在、性的暴行の容疑で英国で軟禁状態
事例1:アフガニスタン戦争機密資料公開事件事例1:アフガニスタン戦争機密資料公開事件 • 2010年7月25日、「Afghan War Dairy] と題した約7万7000件の文書を公開 • パキスタンの三軍統合情報部が裏でタリバンとつながっていることを示す文書 • 公開に先立ち、英紙「ガーディアン」、米紙「ニューヨークタイムズ」、独週刊誌「シュピーゲル」に文書を公開し、事実の検証作業を共同で行った • 公開されたファイルの中に個人の実名が残っていた
事例2:イラク戦争機密資料公開事件 • 2010年10月22日、イラク戦争に関する機密資料約39万件が「Iraq War Logs」として公開 • 隠されたイラク市民の死者数や、イラク治安当局の捕虜虐待、窃盗、殺人、レイプとそれに対する米軍の黙認をリーク • 前回の3メディアに加え、仏紙「ル・モンド」が加入 • 情報の公開の程度やアサンジュへの批判記事を巡り「ニューヨークタイムズ」との間に軋轢、協力関係は絶たれる
事例3:外交公電漏洩事件 • 2010年11月28日、世界274か国のアメリカ大使館をはじめとした在外公館と米国務省の外交公電、約25万件を公開 • 西紙「エル・バイス」も参加、「ニューヨーク・タイムズ」は「ガーディアン」から情報を提供 • 情報の公開に当たり個人情報の削除を実施 • 「ニューヨーク・タイムズ」は公開前に、政府に文書の掲載について是非を問う ・ 後にパスワード流出により、WLは25万件の情報を未編集で公開 ⇒メディアからの批判
外交公電漏洩事件2 ・米国による各国指導者の評価 「バットマンがプーチンで、メドベージェフは相棒ロビン」 「金正日は肉のたるんだ年寄り」 ・米国関連 「米国による同盟国(英国など)や国連に対するスパイ行為」 「従属国での汚職や人権侵害の黙認」 「サウディ国王は米国に圧力をかけてイランへの軍事行動を求めた」 ・日本関連 「アメリカ政府が迎撃ミサイルの欧州への輸出解禁について、日本に武器輸出三原則の見直しを日本に迫った」、「核密約へのこだわり」 、「外務官僚『日米の対等求める民主政権は愚か』」
関係図 「処刑されるべき」情報交換 など激しい批判 共同検証作業 癒着関係?
ウィキリークスの特徴 ① 内部告発の在り方を変化 <旧型> <新型> ⇒デジタル時代の新たな「競争」 例)アルジャジーラは内部告発者の受け口となる「トランスペアレンシーユニット」を開設
ウィキリークスの特徴 ② 無国籍なウェブ媒体のニュース組織
ウィキリークスへの批判(米国と日本の反応)ウィキリークスへの批判(米国と日本の反応)
批判2:米国民の反応 米国安全保障情報に関する世論調査 (CBSNEWS 調べ 2010年12月3日)
ジャーナリズム視点からの批判 ・プロの報道機関に求められる倫理観が不足している (匿名処理の件) ・既存のジャーナリズムが明らかにできなかった事実を公開した ・ダブルスタンダード(調査報道はなぜ許されるのか) ・ウィキリークスと協力関係にありつつも、ウィキリークスを批判するという矛盾 ・政治的中立性への疑問 ・ウィキリークスが明らかにした事実を報道できなかった責任 ウィキリークスに対して 既存の報道機関に対して
日本の反応 東京の米国大使館からの公電数は三番目の多さ • 政治家 前原誠司「言語道断の犯罪行為」 • メディア 公電公開当時は海老蔵報道に重点 知る権利への貢献を評価しつつも、「暴露系サイト」による信頼性のない情報だと決めつける(海外の報道は少なからず情報を隠匿していた政府を批判している) 「朝日新聞」がウィキリークスのメディアパートナーとなる ⇒政府とメディアが一体となりウィキリークスを非難
新聞社の見解 朝日新聞 • 個人の生命、安全を危険にさらす恐れがあると判断した情報は掲載を見送りました。同時にWLに対しても文書を公表する際は該当箇所を削除するよう提案、WLも削除に応じた上でサイトに掲載しました。朝日新聞が報道で取り上げた公電については、現在のWLのサイトでも該当箇所が削除されたまま掲載されています。 • WLは「完全な透明性こそが民主主義を保障する」と唱えますが、保護されるべき情報について配慮されないまま、公電のすべての情報が公開されることには賛同できません。 • 報道機関を通さずに、直接すべての情報を公開できるインターネットがある限り、意図的な情報拡散・内部告発をストップすることは難しい。情報管理が問題となってくるが、人間が関わる以上、100%の情報管理は不可能だ。流出や内部告発を受けることを考慮に入れて、ファイルを外部に持ち出せないように設定したり、ファイルそのものを保存しないといった運用方針にするべきかもしれない。 読売新聞
日本の法制度(告発者への) 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」 「保護対象者は労働者(公務員含む)で、告発者に対する解雇、減給、そのほかの不利益な取り扱いを無効にする」 ⇒通報対象事実が刑罰に相当するものである時のみ適応 ⇒マスコミなどへの通報は規定が厳しい ⇒「秘密」に関しては明確な規定はなく、案件についてその都度対処しているのが実態、法制度の未熟
日本の法制度(報道機関への) 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保証する 放送、新聞社、通信社その他の報道機関が報道の用に供する目的 国家公務員の守秘義務違反のそそのかし行為、オフレコ ⇒リーク情報の報道に関しては、事前検閲制がない国の場合、各メディアの判断に委ねられている
参考文献 • 小林恭子他『日本人が知らないウィキリークス』、洋泉社、2011 • フレッグ・ミッチェル『ウィキリークスの時代』、岩波書店、2011 • 上杉隆『ウィキリークス以後の日本』、光文社新書、2011 • 朝日新聞社『Journalism2011年4月号』第251号 • 「ウィキリークス全公電公開に波紋 欧米紙『援護できず』」(asahi.com) http://www.asahi.com/international/update/0922/TKY201109210728.html • 「ウィキリークスとは何?内部告発について」(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20101203- OYT8T00730.htm