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すばる秋の学校 2011. 地上中間赤外線の観測・解析. 東京大学天文センター 宮田隆志. はじめに. 地上中間赤外線 の観測・解析って . めんどうそう. 何やってるか わからん. データを見ても 何 も映ってない. 特殊な人の 職人芸?. この 講演 では (地上)中間赤外線観測の環境 用いられる観測 技術 COMICS データの構造 についてお話しします. 中間赤外線に興味がない人こそ、ぜひ聞いてください. 中間赤外線とは?. 中間赤外線とは?. 波長 8-40um の波長領域 これ より短波長側を近赤外線 これより長波長側を遠赤外線
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すばる秋の学校2011 地上中間赤外線の観測・解析 東京大学天文センター 宮田隆志
はじめに 地上中間赤外線の観測・解析って... めんどうそう 何やってるか わからん データを見ても 何も映ってない 特殊な人の 職人芸? この講演では (地上)中間赤外線観測の環境 用いられる観測技術 COMICSデータの構造 についてお話しします 中間赤外線に興味がない人こそ、ぜひ聞いてください
中間赤外線とは? 中間赤外線とは? 波長8-40umの波長領域 これより短波長側を近赤外線 これより長波長側を遠赤外線 ※近年は2.5-8umの波長も中間赤外線に含めることがある
中間赤外線の特徴 • 中間赤外線の特徴 • 温度 50-300Kの物体からの放射をトレース • 星自身だけでなく、星周物質やwarm regionの観測に最適 • 多数のダストフィーチャが存在 • ダストの性質、および存在環境の研究が可能 • ダスト吸収の絶対量が少ない • 深く埋もれた天体も観測できる Dust featureの例 ダストによる吸収
中間赤外線の特徴 地球大気は一部波長で透明になっている(大気の窓) 波長を選べば、地上からも天体観測が可能 N-band : 7.5-13.5um Q-band : 16-26um 大気透明度 Mauna Keaでの大気透過率 N Q K J H L M 波長[um] 主な吸収源は水蒸気・二酸化炭素・オゾンなど
中間赤外線の特徴 「温度 50-300Kの物体からの放射をトレース」 常温のものは中間赤外線でびかびか光る!!!
中間赤外線の背景放射 望遠鏡・大気からの放射は「背景放射」として観測される -2mag/arcsec2 に相当 c.f. K-band 13mag/arcsec2 V-band 21mag/arcsec2
中間赤外線の背景放射 入ってくる光子の数が莫大なので、検出器は素早く読みださねばならない すばる望遠鏡COMICSの場合、20msecで画像を取得 20pix 320x240 pixelを16 output portsから20msecで読みだすには 20 ÷ (320 * 240 / 16) = 0.0042 msec = 4.2 usec 240pix …. 常時高速で読み出しを行う (シャッターなどの機構はない) COMICSで用いられている Si:As BIB 320x240検出器
中間赤外線の背景放射 さらにこの背景放射は揺らいでいる sky data ∝f-1.44 2-3Hzよりも低周波側で ノイズのパワーが増えている Poission noise level
Chop&Nod法 地上中間赤外線観測・解析 莫大かつ高速で変動する背景光の中から 天体の光を正確に抜き出す Chop & Nod法
Chop&Nod法 Chopping 望遠鏡副鏡を動かし、数Hzで装置の視野を振ることで、背景光を除去する
Chop&Nod法 すばる望遠鏡のチョッピング副鏡 口径 1.3 meterの副鏡を a few Hzの速度で矩形駆動 振り幅 片側 30arcsec 両側使用で最大60arcsec
Chop&Nod法 厳密に見ると、 Choppingによってビームが望遠鏡上で少しずれる もしここに光るものがあると、 背景光が綺麗に差し引けない Choppingの残存パターン(residual pattern)
Chop&Nod法 Nodding Chopping観測を行った後に、少しだけ望遠鏡を振って、同じChoppingを実行 残存パターンを除去 併せて Chop&Nod法 という
Chop&Nod法 どれぐらの速さが必要か? Chopping周波数 大気が変動する前にbeam切替を行う必要がある 典型的には0.5-3Hz程度 ※すばるは変動がゆるやか sky data ∝f-1.44 Nodding周波数 周辺放射量が変動する前に行う必要がある 典型的には数10秒から1分 ※すばるは残存パターンが小さく、Noddingの必要性が高くない Poission noise level
Chop&Nod法 どれぐらの振り幅が必要か? Chopping (+Nodding) の振り幅 小さすぎると... 天体同士が重なって普通には解析できない ※観測天体の最大サイズは振り幅で制限される 大きすぎると... 天体が視野の外に出て行ってしまう ☞全観測時間の1/2は ターゲット天体を見ていない (Chop&Nodの場合は3/4) 観測効率を大きくロス 天体に応じて適切なサイズを指定
Chop&Nod法 COMICSの観測では 観測者は、観測に先立ち、Chop&Nodのパラメータを決める ✓ Chopping振り幅・方向 ※COMICSでは周波数は~0.5Hzで固定されている ✓ Noddingを行うか否か 行う場合は振り幅・方向 観測者支援用applet 設定とそのチェック用ツール http://canadia.ir.isas.ac.jp/comics/open/guide/APPLET/comics_obs.html
COMICSのデータ 撮像でchop&nod観測を行った場合を想定 時間 1 3 Chop-α 5 ・・・・ 2 4 Chop-β 6 Nchop Nchop回のbeam切替 Chop-α ・・・ Chop-β ・・・ 検出器は20msecで 読出しを続ける 1回の読み出し = 1Exposure Chopper遷移中は データを捨てる Chop ビーム1回ごとに 複数のexpが取得される ビーム毎の取得枚数 Nexp
COMICSのデータ 撮像でchop&nod観測を行った場合を想定 時間 1 3 Chop-α 5 ・・・・ 2 4 Chop-β 6 Nchop Chop-α ・・・ Chop-β ・・・ 加算処理 加算処理 Nexp枚のexposureを 加算する 1frame ※add modeの場合
COMICSのデータ 撮像でchop&nod観測を行った場合を想定 時間 1 3 Chop-α 5 ・・・・ 2 4 Chop-β 6 Nchop ・・・・ NAXIS3 (Z軸) Choppingの繰り返しで ファイルを作成 1File COMA ........ 1 File = Nchop [frames] = Nchop * Nexp [exposures]
COMICSのデータ 撮像でchop&nod観測を行った場合を想定 時間 1 3 Chop-α 5 ・・・・ 2 4 Chop-β 6 Nchop ・・・・ NAXIS3 (Z軸) ✓ COMAのz軸方向に順番に足し引きをしていけば、choppingの解析になる (1+3+5+7+...+Nchop-1) - (2+4+6+8+.. +Nchop) = COMQ file ✓ COMQ同士を差し引きすれば、Noddingの解析になる - =
COMICSのデータ 他は通常の解析と同様 ✓ Flat処理 ✓ Bad pix除去 ✓ Photometry .... 詳しい手続きに関しては Reduction Manual参照 ☞ 地上中間赤外線のデータ処理 通常の解析に加えて Choppingの差し引き演算 Noddingの差し引き演算 を加えればよいだけ
地上中間赤外線観測の利点 地上中間赤外線 ✓ 強い背景放射 大きなPossion Noise ✓ 時間・空間的なゆらぎ Chop&Nodでも差引けない残存エラー (Sky Noise) 感度はあまりよろしくない 10000 IRAS survey 1000 SUBARU/COMICS 5sig500sec Akari Survey 100 mJy 10 1 Akari Pointing Observation 5sigma500sec 0.1 0.01 Wavelength micron 10 20 30 ではなぜ地上で中間赤外線を観測しなければならないのか?
地上中間赤外線観測の利点 (利点その1)空間解像度 >10μmでは空間解像度はシーイングではなく望遠鏡の回折限界で決まる 高い空間解像度を達成するには大口径の望遠鏡が必要 星像サイズ [arcsec] 8.2m望遠鏡の回折限界 シーイング 0.6”@V-band 1 10 波長[um]
地上中間赤外線観測の利点 (利点その2)モニタリング・突発天体対応 ✓ 衛星寿命は短いため、継続的なモニタ観測などには地上望遠鏡が必要 ✓ 突発天体などへの対応も地上の利点 (利点その3)新技術のテストベンチ ✓ 衛星の開発には時間がかかる ✓ 新技術導入にはリスクが大きい 地上観測装置による実証が不可欠
地上中間赤外線観測まとめ ✓ 地上中間赤外線観測・解析 Chop&Nodという手法・解析を理解すればOK ✓ 地上中間赤外線観測の利点 ① 高解像度 ② モニタリング能力 ③ 新技術導入 SUBARU/COMICSを用いた観測提案をぜひどうぞ 不明な点はどしどしSupport Scientistにご相談ください ☞