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米国のアジア回帰と 東アジアの安全保障

米国のアジア回帰と 東アジアの安全保障. 2012/09/08 第 5 回外交・安全保障サマーセミナー 報告者 福田毅( tkfukuda@hotmail.com ). 報告の構成. 米軍の前方展開戦略 ブッシュ政権期の前方展開態勢見直しと対中認識 オバマ政権初期のアジア太平洋戦略と対中認識の変化 中国の A2/AD 能力への懸念の高まりと AirSea Battle 構想 オバマ政権による態勢見直しとアジア「回帰」. 米軍の前方展開戦略(1). Unified Command Plan. 米軍の前方展開戦略(2). 米軍の前方展開戦略(3).

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米国のアジア回帰と 東アジアの安全保障

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Presentation Transcript


  1. 米国のアジア回帰と東アジアの安全保障 2012/09/08 第5回外交・安全保障サマーセミナー 報告者 福田毅(tkfukuda@hotmail.com)

  2. 報告の構成 • 米軍の前方展開戦略 • ブッシュ政権期の前方展開態勢見直しと対中認識 • オバマ政権初期のアジア太平洋戦略と対中認識の変化 • 中国のA2/AD能力への懸念の高まりとAirSea Battle構想 • オバマ政権による態勢見直しとアジア「回帰」

  3. 米軍の前方展開戦略(1) Unified Command Plan

  4. 米軍の前方展開戦略(2)

  5. 米軍の前方展開戦略(3)

  6. 米軍の前方展開戦略(4) • 前方展開のメリット • 即応性の向上 • 抑止力の強化(トリップワイヤー) • 接受国との軍事的協力強化 • 接受国に対する影響力増大 • 緊急時のアクセス拠点確保…… • 米軍の前方展開態勢は特殊な歴史の産物

  7. ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(1)ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(1) • 脅威認識の変化 • テロ、「ならず者国家」、大量破壊兵器(WMD)拡散、地域紛争……(冷戦後の「新たな脅威」) • これらの脅威は、いつ、どこで発生するか予測不可能 • 機動力に富んだ部隊を柔軟かつ即座に世界各地に投入できる態勢を構築することが必要  =冷戦期の前方展開態勢からの脱却

  8. ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(2)ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(2) • トランスフォーメーション • 基本的には既に進行していたRMAの継続 • IT等の先端技術を駆使して米軍の戦闘能力、即応展開能力、兵力投射能力等を飛躍的に高めることを目指す • GPR • トランスフォーメーションと密接にリンク • 西欧と東アジア(日韓)に集中していた前方展開態勢を、「中東から北東アジアへと広がる不安定の弧」への展開を視野に入れた態勢へと転換

  9. ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(3)ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(3) • GPRにおける重点事項 • 前方展開部隊の即応展開能力と戦闘能力の強化(量よりも質の重視) • 米軍の行動の自由(米軍接受国から域外への展開)の拡大 • 同盟国の能力強化と役割拡大 • GPRとは、単に部隊や基地の配置を組み替えるだけのものではなく、それらの役割をドラスティックに転換するもの • これに伴い、同盟国軍に対する米軍の期待も変化

  10. ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(4)ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(4)

  11. ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(5)ブッシュ政権期のトランスフォーメーションとグローバル・ポスチャー・レビュー(5) • 未完に終わったGPR • 在日米軍再編=基地周辺自治体との調整が難航し、進展に大きな遅れ • 在韓米軍再編=北朝鮮の核開発計画をめぐる緊張の高まりを受け、2008年4月に削減凍結(28,500人態勢の維持) • 在独米軍再編=イラク、アフガニスタンへの展開で部隊運用にストレスがかかり計画は停滞気味

  12. 中国の軍事的台頭に対するブッシュ政権の認識中国の軍事的台頭に対するブッシュ政権の認識 • QDR2001=アジアでは「強大な資源を持つ軍事的競争相手が出現する可能性が存在する」 • 中国の接近阻止(anti-access)能力向上への懸念の高まり(2005年前後から) • 中国軍事力報告書2004年版:中国は巡航ミサイル、潜水艦、機雷、情報作戦(サイバー攻撃)といった手段を用いて台湾海峡への米海軍の接近を阻止する戦略を採用 • しかし、米軍の「対中シフト」は本格化せず • 米中間の経済的相互依存の拡大 • 対テロ戦や対北朝鮮対処等で中国からの協力が必要 • 中国の軍事的近代化はまだ途上 • イラク・アフガニスタンへの関与で米軍に余力が残されず

  13. オバマ政権初期のアジア太平洋戦略 • ヒラリーの初外遊は日中韓、インドネシア • 出発前の演説(2009.2):アジア太平洋諸国との関係は「米国の安全と繁栄に不可欠」 • オバマ訪日(2009.11) • 米国を「太平洋国家」と位置付け、アジアへの関与を強化すると宣言 • アジア重視の背景 • 前政権との相違の強調(Anything but Bush) • リーマン・ショック後の米国経済の再建 → 新たなアジア太平洋戦略は「雇用戦略」でもある(オバマ)

  14. オバマ政権の対中認識の変化(1) • 当初は経済分野での協力を重視 • 中国の封じ込めは目指さず、繁栄する中国の台頭を歓迎(オバマ) → この点は現在も不変 • 中国の海洋進出活発化への懸念増大 • 海洋観測艦インペカブルへの妨害(2009.3) • 天安沈没事件(2010.3)後の米韓演習への反対 • 南シナ海でもインドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム等との衝突が頻発

  15. オバマ政権の対中認識の変化(2) • シャングリラ・ダイアログ(2010.6)でのゲーツ発言 • アジア太平洋における自由な通商、法の支配の尊重、海・空・宇宙・サイバー空間といった「グローバル・コモンズ」への自由なアクセス、紛争の平和的解決を重視 • 「懸念が増大しつつある地域は南シナ海」、「米国は、領有権に関してはどの国の主張にも与するものではないが、武力行使や航行の自由を妨げる行動には反対する」

  16. オバマ政権の対中認識の変化(3) • ARF(2010.7)でのヒラリー発言 • アジア太平洋における航行の自由の確保は米国の国益 • 南シナ海で領土や海域に対する権利を主張する国は、その根拠について国連海洋法条約や慣習国際法に基づいた説明を提示すべき

  17. 中国のA2/AD能力に対する懸念の高まり • QDR2010 • 「接近阻止環境下における攻撃の抑止と打破」を米軍の6つの主要任務の1つに • 中国は「大量の先進的な中距離弾道・巡航ミサイル、先端兵器を搭載した新型の攻撃型潜水艦、能力向上が進む長距離防空システム、電子戦能力、コンピューター・ネットワーク攻撃能力、先進的戦闘機、対宇宙システムを開発・配備」 • 現在は、接近阻止・領域拒否(A2/AD, Anti-Access/Area Denial)という用語が一般的に

  18. 中国のミサイル戦力 Source: Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China, 2011, p.78. ・核戦力と通常戦力の双方を含むが、海上・海中・空中発射型のミサイルは含まず ・中国は各種ミサイルの射程延長や対艦弾道ミサイルDF-21D(CSS-5 ASBM)の開発を進めている

  19. AirSea Battle構想(1) • QDR2010で検討開始を宣言(検討作業はいまだ終了せず) • 戦略予算評価センター(CSBA)報告書 • 中国には米国や同盟国に対する強力な先制攻撃を行う計画が存在(グアムや日本にある海空軍基地に対する弾道・巡航ミサイルの一斉発射、対艦弾道・巡航ミサイルによる米軍と同盟国の艦艇への攻撃、電子戦兵器や対衛星兵器を用いた米軍と同盟国軍の情報・監視・偵察(ISR)能力の無力化、潜水艦戦力による太平洋のシーレーン遮断作戦等)

  20. AirSea Battle構想(2) • CSBA報告書の描く戦闘シナリオ • 早期警戒システムの構築、後方地域への航空戦力の即時分散、基地の防護能力強化(シェルター設置やミサイル防衛強化等)といった措置により、米軍は中国軍による先制攻撃(ミサイル一斉発射等)から受ける損害を限定 • 敵の第一撃を凌いだ米軍が、中国軍の情報・監視・偵察(ISR)システムと長距離攻撃能力(特にミサイル戦力)を無力化 • 中国軍の水上艦、潜水艦、航空戦力を攻撃し、海・空・宇宙での優勢を確保 • マラッカ海峡等で中国の海上輸送路を遮断するための海上阻止作戦を実施

  21. AirSea Battle構想(3) • 前述のような作戦を遂行するには、海空軍の緊密な連携が不可欠 →“AirSea Battle” • ASBは米中全面戦争を想定 • 中国はASBを「冷戦思考の現れ」と批判 • 国防総省はASBが特定の国を対象としたものではないと主張 • しかし、ASBの核心は対中作戦計画 • ASBは対中ヘッジ戦略、抑止戦略の一環

  22. オバマ政権による前方展開態勢の見直し(1)オバマ政権による前方展開態勢の見直し(1) • グアムを「安全保障活動のハブ」に転換、「海洋安全保障に関する多国間協力」や「海、空、宇宙、サイバー空間へのアクセス確保」を目的とした前方プレゼンスの増強(QDR2010) • 日米、米韓、米豪同盟の強化、「フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、パキスタン、インドネシア、シンガポール、その他のオセアニア諸国との間で軍事・安全保障上の協力・交流・共同訓練を拡大」、「グローバル・コモンズとサイバー空間へのアクセス」を確保(NMS2011)

  23. オバマ政権による前方展開態勢の見直し(2)オバマ政権による前方展開態勢の見直し(2) • キャッチフレーズ  「地理的により分散し、運用面でより抗堪性があり(operationally resilient)、かつ、政治的により持続可能な」態勢への転換 • 地理的分散=東南アジアとインド洋におけるプレゼンスを強化 • 抗堪性=敵からの攻撃に対する耐性の向上(ハード面での攻撃耐久性よりも広い概念) • これらはASB構想と合致

  24. アジア太平洋戦略の再構築(1) • ヒラリーのForeign Policy論文(America’s Pacific Century, 2011.11) • 「戦略的方向転換」:「過去10年間に2つの戦域へと振り向けていた膨大な資源」を今後はアジア太平洋に投入 • 米中印は「アジア太平洋における3人の巨人」 • 米中関係は「最も困難かつ重大な二国間関係」 • 航行の自由の確保に繰り返し言及 • 米軍の態勢見直しにも言及

  25. アジア太平洋戦略の再構築(2) • オバマのキャンベラ演説(2011.11) • 「国際的な法と規範が確立され、通商と航行の自由が妨害されず、新興諸国が地域の安全保障に貢献し、不一致が平和的に解決される地域、それが我々の求める未来像だ。……これまでの戦争を終えるに当たって、私は国家安全保障チームに対して、アジア太平洋におけるプレゼンスと任務を最優先するよう命じた。したがって、アジア太平洋を犠牲にして国防費を削減することはない。……米国は太平洋国家であり、我々はここにとどまり続ける」 • 演説内容に新味はないが、大統領自ら米軍のアジア重視を再強調した点がポイント

  26. 「国防戦略ガイダンス」の公表(2012.1.5) • 国防費削減の指針となる文書 • 内容の大半は既定路線の再確認 • 海や空で敵からの挑戦を受けずに遂行されてきた過去の対テロ・対反乱作戦から、A2/AD環境下での作戦へと重点を移行 • A2/AD能力を向上させている国として中国とイランを明記 • A2/AD対抗能力(海中戦力、新型ステルス爆撃機、MD、宇宙能力等)への重点的投資 • アジア太平洋の戦力強化

  27. ブッシュ・オバマ両政権による態勢見直しの相違点と類似点ブッシュ・オバマ両政権による態勢見直しの相違点と類似点 • 相違点 • ブッシュ政権:不安定の弧への対処 • オバマ政権:中国のA2/AD能力への対処(兵力の分散、resiliencyの重視) • 類似点 • 機動力、遠距離攻撃能力の重視 • 先端技術を活用した軍改革の推進 • 海外基地を部隊の経由地として活用 • 前方展開のメリットは冷戦期からほぼ不変

  28. アジア太平洋における再編の基本方針 • 「革新的で、コストが低く、展開部隊を小規模にとどめるアプローチ」を採用(国防戦略ガイダンス) • 大規模基地の新設は行わず、部隊のローテーション配備、艦船の寄港、共同演習等を増大

  29. アジア太平洋における再編の具体例(1) • 在日・在韓米軍=維持・強化 • ブッシュ政権期の計画を基本的に踏襲 • ただし普天間については微修正 • グアム=海・空・海兵隊を増強 • グアムのメリット=米国領、潜在的紛争地との距離、中国沿岸部からも約3,000km • オーストラリア=海・空・海兵隊を増強 • 2010年末から米豪間で協議、 2011.11のオバマ訪豪時に海兵隊のローテーション配備等に合意

  30. アジア太平洋における再編の具体例(2) • フィリピン • 沿岸警備隊の中古の大型巡視船を供与 • 海兵隊や沿岸戦闘艦(LCS)の配備を検討 • シンガポール • ゲーツがLCS配備計画を公表(2011.6) • インドネシア • 軍事交流の再開 • 中古のF-16 C/D戦闘機24機を供与

  31. Thank you!

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