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血液製剤の使用指針及び 輸血療法の実施に関する指針. 医薬発第 715 号 平成 11 年 6 月 10 日 厚生省医薬安全局長. 編集:広島大学病院 輸血部 高田 昇. 血液製剤と輸血療法の適正化. 昭和 61 年薬発第 659 号 新鮮凍結血漿の使用基準 アルブミン製剤の使用基準 赤血球濃厚液の使用基準 平成元年健政発第 502 号 輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準の廃止 輸血療法の適正化に関するガイドラインの制定 平成 11 年 6 月 10 日医薬発第 715 号 血液製剤の使用指針 輸血療法の実施に関する指針. 改訂のポイント.
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血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針 医薬発第715号 平成11年6月10日 厚生省医薬安全局長 編集:広島大学病院 輸血部 高田 昇
血液製剤と輸血療法の適正化 • 昭和61年薬発第659号 • 新鮮凍結血漿の使用基準 • アルブミン製剤の使用基準 • 赤血球濃厚液の使用基準 • 平成元年健政発第502号 • 輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準の廃止 • 輸血療法の適正化に関するガイドラインの制定 • 平成11年6月10日医薬発第715号 • 血液製剤の使用指針 • 輸血療法の実施に関する指針
改訂のポイント • 新鮮凍結血漿・アルブミン製剤・赤血球濃厚液の使用基準 (1) 使用対象疾患及び対象病態をより具体的に示した。 (2) 未熟児貧血及び末期投与に対する療法の項目を新設した。 • 輸血療法の実施に関する指針 (1) 血液製剤の有効性と安全性の評価の項目を新設した。 (2) 血液製剤に関する記録の保管・管理の項目を新設した。
国内自給の達成のため血液製剤の使用適正化の推進国内自給の達成のため血液製剤の使用適正化の推進 • 1986年 • 採血基準を改正して血液の量的確保対策 • 血液製剤の使用適正化基準 • 血液製剤の国内自給の達成を目指す • 1989年 • 輸血療法の適正化に関するガイドライン策定 • 1992年 • 濃縮凝固因子製剤の国内自給 • アルブミン製剤 1985年 5% → 1997年 26% • 免疫グロブリン製剤 1995年 40% → 1997年 56%
I-1.血液製剤療法の原則血液成分の欠乏あるいは機能不全→臨床上問題となる症状I-1.血液製剤療法の原則血液成分の欠乏あるいは機能不全→臨床上問題となる症状 • 補充療法の前に • 症状と臨床検査値→到達すべき目標値を予め設定 • 必要な血液成分量を計算 • 血管内外の分布・代謝速度を考慮→補充量 • 補充間隔を決める • 補充療法の後に • 有効性の評価←臨床症状と臨床検査値の改善 • 副作用と合併症のチェック • 診療録に記録
I-2.療法上の問題点と使用指針の在り方 • <従来> • 経験的な使用で血液製剤の選択と投与方法が決定 • しばしば不適切な使用が行われてきた • <指針> • 内外の研究成果に基づき合理的な検討 • 本指針と異なった適応、使用方法などにより、重篤な副作用や合併症があればその療法の妥当性が問題とされる。 • 本指針を踏まえて患者との療法についての説明と同意 • 本指針で保険審査の在り方を再検討する手がかりになることを期待する。
I-3.今回の改正の概要1)赤血球濃厚液と全血の適応I-3.今回の改正の概要1)赤血球濃厚液と全血の適応 • 成分別の種々の病態への使用指針策定 • 赤血球濃厚液と新鮮凍結血漿の等量の併用禁止 • 全血の適応 • 新生児の交換輸血 • 循環血液量以上の大量の出血 • 自己血輸血の推進 • 同種血輸血の安全性は飛躍的に向上 • しかし免疫性、感染症などの副作用や合併症 • 待機的手術における輸血症例の80~90%は、2,000mL以内の出血量 • 多くは自己血輸血(術前貯血式、血液希釈式、術中・術後回収式)
I-3.今回の改正の概要2)新鮮凍結血漿 • 新鮮凍結血漿の適応の現状と問題点 • 感染性の病原体不活化処理がない。 • 血漿蛋白濃度は抗凝固保存薬により希釈。 • 本来の凝固能の補正として使われていない。 • 循環血漿量の補充に用いられてきた。 • 適応は複合的な凝固因子の補充に限定 • 例外:TTP/HUS • 血漿分画製剤の国内自給推進
I-3.今回の改正の概要3)アルブミン製剤 • 適応の現状と問題点 • 蛋白質源の補給 • 低アルブミン血症 • アルブミン製剤の自給
I-3.今回の改正の概要4)小児に対する赤血球製剤I-3.今回の改正の概要4)小児に対する赤血球製剤 • 小児に対する血液製剤の投与基準については、いまだ十分なコンセンサスが得られていない。 • 今回は未熟児早期貧血への赤血球製剤の投与方法の在り方に限定して指針を策定
II.赤血球濃厚液の適正使用1.目的 • red cell concentrate : RCC • 急性あるいは慢性の出血 • 貧血の急速な補正 • 末梢循環系へ十分な酸素を供給 • 循環血液量を維持
血液保存液と添加液 • 血液保存液 • ACD-A液 • (acid-citrate-dextrose:クエン酸ナトリウム22.0g/L、クエン酸8.0g/L、ブドウ糖22.0g/L) • CPD液 • (citrate-phosphate-dextrose:クエン酸ナトリウム26.30g/L、クエン酸3.27g/L、ブドウ糖23.20g/L、リン酸二水素ナトリウム二水和物2.51g/L) • 赤血球保存用添加液 • MAP液 • (mannitol-adenine-phospate:Dマニトール14.57g/L、アデニン0.14g/L、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.94g/L、クエン酸三ナトリウム1.50g/L、クエン酸0.20g/L、ブドウ糖7.21g/L、塩化ナトリウム4.97g/L)
2.赤血球濃厚液の製法と性状1)MAP加赤血球濃厚液(MAP加RCC)2.赤血球濃厚液の製法と性状1)MAP加赤血球濃厚液(MAP加RCC) • ヒト血液200mLにつきACD-A液30mLを混合 • 強遠心(200mL採血は4,000G・6分間、400mL採血は4,600G・6分間) • 血漿と血小板・白血球層(バッフィーコート)を除く • ヘマトクリット(Ht)値を約90%にした赤血球沈層に、 • MAP液を46mL、92mL添加 • 最終容量:140mLと280mL • Ht値:60%、Hb含有量:29±2.7g、58±5.4g • 血小板とリンパ球と血漿蛋白は約1/10、顆粒球は約60%前後含む。 • 有効期間:21日間(申請時42日間)
2.赤血球濃厚液の製法と性状2)CPD加赤血球濃厚液(CPD加RCC)2.赤血球濃厚液の製法と性状2)CPD加赤血球濃厚液(CPD加RCC) • ヒト血液200mLにつきCPD液28mLを混合 • 強遠心(200mL採血は4,000G・6分間、400mL採血は4,600G・6分間) • Ht値を約65~70%に調製 • 容量:130mLと260mL
II.赤血球濃厚液の適正使用3.使用指針1)内科的適応II.赤血球濃厚液の適正使用3.使用指針1)内科的適応 • 慢性的な造血器疾患、慢性的な消化管出血や子宮出血など • 慢性貧血の場合には、Hb値7g/dLを目安 • 投与量は臨床症状の改善 • 鉄過剰状態(iron overload) • 鉄剤、ビタミンB1、エリスロポエチンなどの薬剤の投与により治療が可能な貧血は、輸血の適応とはならない。
II.赤血球濃厚液の適正使用3.使用指針2)外科的適応II.赤血球濃厚液の適正使用3.使用指針2)外科的適応 (1)術前投与 • 心肺機能、原疾患の種類(良性または悪性)、全身状態、慢性貧血、術前に栄養管理 (2)全身状態のモニター • 血圧・脈拍数などのバイタルサインや尿量・心電図・血算、さらに血液ガスなど • 収縮期血圧を90mmHg以上、平均血圧を60~70mmHg以上 • 尿量(0.5~1mL/kg/時)を確保できる輸液・輸血の管理 • 特殊な状態 • 冠動脈疾患あるいは肺機能障害や脳循環障害:Hb値を10g/dL程度 • 可能であれば回収式自己血輸血 (3)術後投与
II.赤血球濃厚液の適正使用3.使用指針2)外科的適応II.赤血球濃厚液の適正使用3.使用指針2)外科的適応 (2)術中投与 • 循環血液量の • 15~20%:細胞外液系輸液薬を出血量の2~3倍投与 • 20~50%:細胞外液系輸液薬と赤血球濃厚液 • 膠質浸透圧を維持する必要:人工膠質液(HES、デキストランなど)を投与 • 50~100%の出血:等張アルブミン製剤を投与する。 • 100%以上(24時間以内):新鮮凍結血漿や血小板濃厚液
II.赤血球濃厚液の適正使用 4.投与量 予測上昇Hb値(g/dL) =投与Hb量(g)/循環血液量(dL) 循環血液量:70mL/kg {循環血液量(dL)=体重(kg)×70mL/kg/100}
II.赤血球濃厚液の適正使用5.効果の評価 • 投与前に • 必要な理由と • 必要な投与量を把握 • 投与後に • 検査データの比較 • 臨床所見の改善 • 副作用の有無 • 診療録に記載
II.赤血球濃厚液の適正使用7.使用上の注意点II.赤血球濃厚液の適正使用7.使用上の注意点 1)感染症の伝播 2)鉄の過剰負荷 3)輸血後移植片対宿主病(GVHD)の予防対策 • 放射線照射後保存3日後からカリウムイオンが上昇 • 保存2週間後には1単位のカリウムは最高約7mEq • 急速輸血時、大量輸血時、腎不全患者あるいは未熟児 4)白血球除去フィルターの使用 • 発熱性非溶血性反応 • 血小板輸血不応状態 5)溶血性副作用
[注2] 手術時の血液準備方法について: 1.最大手術血液準備量(Maximum Surgical Blood Order Schedule;MSBOS) • 合併症のない定型的な待機的手術症例 • 術式別の平均的な出血量あるいは投与量、交差適合試験申し込み量から算出された血液量(MSBOS)のみを手術前に準備すること • 交差適合試験をして準備する血液単位数(C)と実際の投与に使用した単位数(T)にできるだけ近づける • C/T比を1.5以下が妥当 • 欠点 • 術前の患者の貧血のレベル等、個別の状況が考慮されていない
[注2] 手術時の血液準備方法について:2.手術血液準備量計算法(Surgical Blood Order Equation;SBOE) • 血液型不規則抗体スクリーニング法を前提 • 術式別に平均的な出血量 • 投与開始の基準点(トリガー;Hb 7~8g/dL) • 術前Hb値 • 3つの数値から、患者固有の血液準備量を求める • 手術での出血量が出血予備量を上回らない場合には血液の準備をしない
2.血液型不規則抗体スクリーニング法(Type and Screen;T & S) • 術中投与の可能性の低い場合に用いられる方法 • 予めABO血液型・Rho(D)型(T)と不規則抗体スクリーニング(S)を実施 • Rh陽性・不規則抗体陰性なら交差適合試験をしない • 必要になった場合には、 • 輸血用血液のABO血液型の確認(オモテ検査) • あるいは主試験(生理食塩液法の迅速法)で払い出す
III. 新鮮凍結血漿の適正使用1.目的 • 新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma: FFP)の投与は、凝固因子の欠乏による出血傾向の是正を目的に行う。 • 特に、複数の凝固因子を補充することにより、止血効果をもたらすことにある。
2.新鮮凍結血漿(FFP)の製法と性状 • 全血より分離された血漿あるいは成分採血で採取 • 採血後6時間以内に-20℃以下で凍結 • 容量は:80mL、160mL、450mL • 有効期間:1年間 • 組成: • 血液保存液により希釈され、およそ10~15%低下 • ナトリウム濃度は増量 • 凝固第V、VIII因子活性はわずかながら低下 • 少量の血小板、赤血球及び白血球が混在
3.使用指針 • 凝固因子の補充を主目的とする。 • 他に安全で効果的な血漿分画製剤、代替医薬品がない場合 • 観血的処置時を除きFFPの予防的投与の有効性は証明されていない • 投与前にPT、APTT及びフィブリノゲン値を測定する
3.使用指針1)凝固因子の補充 (1)PT・APTTが延長している場合 • PT30%以下に低下、APTTは基準の1.5倍以上 i.複合型凝固障害 • 肝障害、播種性血管内凝固(DIC)、大量輸血時 ii.濃縮製剤のない凝固因子欠乏症 • 血液凝固第V、第XI因子欠乏症 iii.クマリン系薬剤(ワルファリンなど)効果の緊急補正 (2)低フィブリノゲン血症(100mg/dL以下)の場合 • 播種性血管内凝固(DIC)、L-アスパラギナーゼ投与後
i.複合型凝固障害 肝障害 • 重症肝障害における出血傾向 • 凝固因子の産生低下 • 血小板数の減少 • 網内系でのFDP除去能の低下 • 消費性凝固障害では、容量の過負荷 • 血漿交換療法(40~60mL/kg/回)を併用
i.複合型凝固障害 播種性血管内凝固(DIC) • 治療は原因の除去(基礎疾患ノ治療)とヘパリンなどによる抗凝固療法 • 凝固因子と共に不足した生理的凝固線溶阻害因子の同時補給 • フィブリノゲン値が100mg/dL • or 血中凝固因子活性が30%以下 • or アンチトロンビンIII活性が70%以下
i.複合型凝固障害 大量輸血時 • 循環血液量(70mL/kg)に相当する輸血量又はそれ以上 • 希釈性凝固障害(凝固因子活性が30%以下)→FFPの適応 • FFPの予防的投与は行わない
凝固因子欠乏症 • 濃縮製剤のない凝固因子欠乏症 • 血液凝固第V、第XI因子欠乏症→FFPが適応 • 濃縮製剤があるもの→FFPは適応でない • 第VIII、IX、XIII因子→各欠乏症 • 先天性無フィブリノゲン血症→濃縮フィブリノゲン製剤 • 第II、VII、X因子欠乏症→濃縮プロトロンビン複合体製剤 • フォンビレブラント病→因子を含んだ第VIII因子濃縮製剤 • 投与量や投与間隔 • 各凝固因子の必要な止血レベル • 生体内の半減期や回収率などを考慮
iii.クマリン系薬剤(ワルファリンなど)効果の緊急補正iii.クマリン系薬剤(ワルファリンなど)効果の緊急補正 • ビタミンKの補給により数時間以内に改善 • クマリン系薬剤による抗凝固療法中の出血で緊急に対応すべき場合と、緊急手術時に限って適応となる
(2)低フィブリノゲン血症(100mg/dL以下)の場合 • 播種性血管内凝固(DIC) • L-アスパラギナーゼ投与後 • 肝臓での産生低下によるフィブリノゲンなどの凝固因子の減少→出血 • アンチトロンビンIIIなどの抗凝固・線溶因子の産生低下→血栓症 • これらの諸因子を同時に補給するためにはFFPを用いる。
2)血漿因子の補充(PT・APTTが正常な場合)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)・溶血性尿毒症症候群(HUS)2)血漿因子の補充(PT・APTTが正常な場合)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)・溶血性尿毒症症候群(HUS) • 巨大分子量のフォンビレブラント因子→微小循環で血小板血栓 • ある種の血漿因子(vWF-CP)の減少 • FFPを置換液として血漿交換療法(通常40~60mL/kg/回) • FFPの単独投与
4.FFPの投与量 • 生理的な止血効果を期待する最少活性値は20~30% • 循環血漿量を40mL/kg[70mL/kg×(1-Ht/100)] • 血中回収率を100%とすれば、8~12mL/kg(40mL/kgの20~30%) • 投与量や投与間隔の決定 • 患者の体重やHt値(貧血時) • 残存している凝固因子レベル • 生体内への回収率や半減期 • 消費性凝固障害の有無な
5.効果の評価 • 投与の妥当性 • 選択した投与量の的確性 • 副作用の予防対策 • 投与前後の検査データと臨床所見の改善の程度を比較して評価
6.不適切な使用 1)循環血漿量減少の改善と補充 2)蛋白質源としての栄養補給 3)創傷治癒の促進 4)その他 • 重症感染症の治療 • DICを伴わない熱傷の治療 • 人工心肺使用時の出血予防 • 非代償性肝硬変での出血予防
7.FFPの融解法 • 30~37℃の恒温槽中で急速に融解 • 3時間以内に使用 • バッグ破損に注意→汚染防止用のビニール袋
8.FFP使用上の注意点 1)感染症の伝播 2)クエン酸中毒(低カルシウム血症) 3)ナトリウムの負荷 4)アレルギー反応 5)フィルターの使用 • 使用時には輸血用フィルターを使用
2.基本的な考え方 • 新鮮凍結血漿の使用には治療的投与と予防的投与がある。 • 血小板や凝固因子などの止血因子の不足に起因した出血傾向に対する治療的投与は、絶対的適応である。 • 観血的処置時の予防的投与の目安は • 血小板数が5万/μL以下 • PTの凝固因子活性が30%以下に低下 • APTTについては基準の1.5倍以上に延長 • フィブリノゲンが100mg/dL以下 • 代替治療 • 例:酢酸デスモプレシン(DDAVP)→軽症のフォンビレブラント病の小外科的処置
[注]出血に対する輸血療法 1.止血機構 a.血管壁:収縮能 b.血小板:血小板血栓形成(一次止血)、すなわち血小板の粘着・凝集能 c.凝固因子:凝固系の活性化、トロンビンの生成、次いで最終的なフィブリン血栓形成(二次止血) d.線溶因子:プラスミンによる血栓の溶解(繊維素溶解)能 • 輸血用血液による補充療法の対象となるのは血小板と凝固因子である。
IV.アルブミン製剤の適正使用 1.目的 • 血漿膠質浸透圧を維持 • 循環血漿量を確保 • 治療抵抗性の重度の浮腫を治療
2.アルブミン製剤の製法と性状1)製法・製剤 人血清アルブミン • 多人数分の血漿をプール • 冷エタノール法により分画 • 蛋白質の96%以上がアルブミンである製剤を • 等張の5%溶液と高張の20、25%溶液とがある 加熱人血漿蛋白(plasma protein fraction;PPF) • アルブミン濃度が4.4w/v%以上、 • 含有総蛋白質の80%以上 • 等浸透圧(等張) • 既知のウイルス性疾患の伝播の危険はほとんどない • A型肝炎ウイルス、パルボウイルスB19、プリオンは不明
2)アルブミンの性状・代謝 • 585個のアミノ酸、分子量約66,500ダルトン • 役割:膠質浸透圧の調節機能(80%がアルブミン) • アルブミン1gは約20mLの水分を保持 • 生体内貯蔵量は成人男性では約300g(4.6g/kg体重) • 分布:血管内が約40%は、血管外が60% • 生成:肝(0.2/kg/日) • 調節:エネルギー摂取量、血中アミノ酸量、ホルモン • 分解:筋肉、皮膚、肝、腎 • 分解率:生体内貯蔵量の4%/日 • 半減期:17日
3.使用指針 • 急性の低蛋白血症に基づく病態 • 他の治療法では管理が困難な慢性低蛋白血症による病態 ↓ • アルブミンを補充することにより一時的な病態の改善を図る ↓ • 膠質浸透圧の改善→高張アルブミン製剤 • 循環血漿量の是正→等張アルブミン製剤あるいは加熱人血漿蛋白(PPF)
3.使用指針1)出血性ショック • 循環血液量の50%以上の多量の出血 • 血清アルブミン濃度が3.0g/dL未満 → 等張アルブミン製剤の併用を考慮する。 • モニター • バイタルサイン、尿量、中心静脈圧や肺動脈閉塞圧(楔入圧)、血清アルブミン濃度、膠質浸透圧 • 人工膠質液の使用が不適切と考えられる場合→等張アルブミン製剤 • 人工膠質液を1L以上必要とする場合→等張アルブミン製剤
3.使用指針2)人工心肺を使用する心臓手術 • 人工心肺の充填には、細胞外液系輸液薬が使用 • 術前より膠質浸透圧の高度な低下のある場合 • 体重10kg未満の小児の場合 →等張アルブミン製剤 • 血液希釈で起こった高度の低アルブミン血症 →利尿を図ることにより術後数時間で回復
3.使用指針3)難治性腹水を伴う肝硬変あるいは大量の腹水穿刺時3.使用指針3)難治性腹水を伴う肝硬変あるいは大量の腹水穿刺時 非適応: • 肝硬変などの慢性低アルブミン血症 適応: • 治療抵抗性の腹水に対し、利尿開始時に短期的(1週間を限度) • 大量(4L以上)の腹水穿刺時 →高張アルブミン製剤
3.使用指針4)難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群3.使用指針4)難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群 非適応: • ネフローゼ症候群の慢性低アルブミン血症 適応: • 急性かつ重症の末梢性浮腫 • 肺水腫 →利尿薬に加えて短期的(1週間を限度)に高張アルブミン製剤
3.使用基準5)血行動態が不安定な血液透析時 • 血圧の安定が悪い血液透析例 • 特に糖尿病を合併している場合 • 術後などで低アルブミン血症のある場合 • 透析に際し低血圧やショックを起こすことがある →循環血漿量を増加目的で予防的投与