1 / 19

マルチレベルモデルが拓いた可能性 ― 統計的妥当性を超えて ―

2011.9.19. 日本社会心理学会第52回大会自主ワークショップ 「社会心理学から見たマルチレベルモデル ― 理論と実証 ― 」 話題提供. マルチレベルモデルが拓いた可能性 ― 統計的妥当性を超えて ―. 尾関美喜  (早稲田大学 人間科学学術院). 何のためのマルチレベルモデル?. なぜマルチレベルモデルを使うのか? 統計的妥当性のためではない この手法が使いたいからではない 以前の私なら・・・ 「集団の姿をあぶり出すために」 いずれも理由としては不十分? 使いようによっては、それ以上の可能性が. 集団アイデンティティの マルチレベル・アプローチ(1).

ion
Download Presentation

マルチレベルモデルが拓いた可能性 ― 統計的妥当性を超えて ―

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 2011.9.19. 日本社会心理学会第52回大会自主ワークショップ 「社会心理学から見たマルチレベルモデル―理論と実証―」 話題提供 マルチレベルモデルが拓いた可能性―統計的妥当性を超えて― 尾関美喜  (早稲田大学 人間科学学術院)

  2. 何のためのマルチレベルモデル? • なぜマルチレベルモデルを使うのか? • 統計的妥当性のためではない • この手法が使いたいからではない • 以前の私なら・・・ 「集団の姿をあぶり出すために」 • いずれも理由としては不十分? • 使いようによっては、それ以上の可能性が

  3. 集団アイデンティティのマルチレベル・アプローチ(1)集団アイデンティティのマルチレベル・アプローチ(1) • 集団レベルの集団アイデンティティ • 「集団レベルの集団アイデンティティが高い集団はまとまっている」(Hogg, 1992) • これだけしかHoggは言わなかった • 「それが何かはわからないが、独自の機能を持つ、『集団レベルの集団アイデンティティ』というものがある」ことにされたまま で、何なの? わかんない。

  4. 集団アイデンティティのマルチレベル・アプローチ(2)集団アイデンティティのマルチレベル・アプローチ(2) 集団レベルの集団アイデンティティの測定 • 最大の課題 • 集団アイデンティティは個人の自己認知を通して測定される • 他人の集団アイデンティティを推測するとまずい • 集団内平均を、集団レベルの集団アイデンティティにする • 従来の手法だと、集団アイデンティティと、同時に分析に投入できない だから、誰もそれが何なのかを 明らかにしようがなかったんだね。 マルチレベルモデルを 使えばできるよ! で、どうするの?

  5. ML-SEMを適用すると・・・ • パスモデル上での表現と解釈 変数X 変数Y Betweenが 効いている成分 Betweenが 効いている成分 Between level model withinが 効いている成分 withinが 効いている成分 Within level model 同じ概念の、Betweenの成分とWithinの成分に、それぞれ別の意味を付与できる

  6. ML-SEMを適用すると・・・ • 集団アイデンティティのマルチレベル・アプローチをあてはめる 集団ID 変数Y 集団レベルの 集団ID Betweenが 効いている成分 集団での プロセス モデル 個人レベルの 集団ID withinが 効いている成分 個人の 内的な過程 ね!これで分析できるでしょ♪ なるほどね。

  7. 各レベルを解釈するにあたってのポイント(1)各レベルを解釈するにあたってのポイント(1) • 対応を考えて各レベルを解釈するにあたってのポイント(Raudenbush & Bryk, 2002; 豊田, 2000 ) • 集団レベルの方で、ある変数は個人に帰属されるものとして解釈、別の変数は集団に帰属されるものとして、というような混在はまずい • 個人レベルに出てくるものは個人のもの、 • 集団レベルに出てくるものは集団のもの • 個人レベルモデルは個人内プロセス、 • 集団レベルは集団プロセス

  8. 各レベルを解釈するにあたってのポイント(2)各レベルを解釈するにあたってのポイント(2) • 集団に帰属される概念の、個人レベルの成分を解釈するとき • 「誤差(個人の認知バイアス)を下に払い落とす」イメージ • 個人に帰属される概念の、集団レベルの成分を解釈するとき • 「個人を超えて、集団として共通する部分を吸い上げる」イメージ

  9. 各レベルを解釈するにあたってのポイント(3)各レベルを解釈するにあたってのポイント(3) • 集団アイデンティティのマルチレベル・アプローチの枠組みの中での解釈 はい、準備はOK! あとはやるだけ、だね

  10. 集団レベルの集団アイデンティティとは何か(1)尾関・吉田(印刷中)より集団レベルの集団アイデンティティとは何か(1)尾関・吉田(印刷中)より • 「集団レベルの集団アイデンティティが高い集団はまとまっている」(Hogg, 1992) • 集団レベルで、集団実体性を予測するはず • 集団実体性(Campbell, 1958):集団らしさを表す概念。  これが高い集団はまとまりが強い。

  11. 集団レベルの集団アイデンティティとは何か(2)尾関・吉田(印刷中)より集団レベルの集団アイデンティティとは何か(2)尾関・吉田(印刷中)より • 尾関・吉田(2009)から予測されること • 集団アイデンティティ • 成員性:集団のまとまりにかかわる • 誇り:内集団の価値と密接な関連がある • 集団レベルでは・・・ • 成員性:集団実体性と関連するはず • 誇り:内集団価値と関連するはず

  12. 集団アイデンティティ 内集団価値 誇り 成員性 集団実体性 集団レベルの集団アイデンティティとは何か(3) 集団アイデンティティ 内集団価値 誇り ? 成員性 集団実体性 集団レベル ? 個人レベル

  13. 方法 • 調査対象者 • 2008年11月時点における,A県内の大学及び短大生287名(男性163名,女性123名,不明1名) の回答を使用。 • 2名以下の回答者しか存在しなかった学科を分析対象から除外し,合計17学科から得られた回答を分析に用いた。 • 使用した尺度 • 集団アイデンティティ • 尾関・吉田(2007)の集団アイデンティティ尺度に対し,所属学科について回答。 • 集団実体性 • Geartner et al., (2006)で用いられた集団実体性尺度を,学科について回答しやすいように表現を改め使用。 • 内集団価値 • Leach et al. (2007)を,一部表現を改めて用いた。 • 分析ソフトウェア • 清水他(2007)によるHAD5とAmos 7.0を使用

  14. 結果 • 各変数の級内相関係数 • 集団アイデンティティ • 成員性:ρ=.11, p<.001 • 誇り:ρ=.17, p<.001 • 集団実体性:ρ=.20, p<.001 • 内集団価値 • 有能さ:ρ=.13, p<.001 • 社会性:ρ=.35, p<.001 • 道徳性:ρ=.21, p<.001 • モデル適合度 • χ2(29)=36.50, n.s., GFI=.96, AGFI=.92, CFI=.99, RMSEA=.03

  15. 道徳性 成員性 R2 =1.74 集団レベル 2.21* 0.44 R2 =0.64 社会性 集団実体性 -0.01 0.43 0.54* 入試偏差値 有能さ 誇り R2 =0.39 R2 =0.78 0.08*** 道徳性 成員性 集団実体性 社会性 誇り 有能さ R2 =0.48 道徳性 成員性 0.20*** 0.24* 1.87*** R2 =0.28 集団実体性 0.61*** 社会性 1.28*** 1.41*** 0.91*** 有能さ 0.55*** 誇り 個人レベル R2 =0.17 集団レベルの成員性=集団のまとまりの源泉 集団レベルの誇り=集団の価値を反映 0.91***

  16. マルチレベル・アプローチだから明らかにできたことマルチレベル・アプローチだから明らかにできたこと • 社会的カテゴリ≠集団らしい集団 • 成員性が一定以上なければ、集団らしくならない • 集団凝集性の測定が成員の魅力となった原因の一端を示す • 集団アイデンティティ形成を通じた、集団実体化モデルの提唱

  17. 集団アイデンティティ形成を通じた、集団実体化過程モデル(簡略版)集団アイデンティティ形成を通じた、集団実体化過程モデル(簡略版) 誇り 成員性 集団実体性 集団レベル 集団の価値 社会性 この積み重ねが 集団を集団にしていく 道徳性・有能さ 誇り 成員性 集団実体性の認知 個人レベル

  18. もういちど、なぜマルチレベルモデル? • マルチレベルモデルの利点 • 個人・集団のプロセスを弁別し、集団現象を包括的に描き出せる • 集団レベルの集団アイデンティティと、個人レベルの集団アイデンティティを同時に扱える唯一の方法 • マルチレベル・アプローチによる集団アイデンティティ研究のこれから • 実は未知数 この手法でだけみられる、誰もみたことのないものの先へいくために、かな なぜ、使うの?

  19. ご清聴ありがとうございました ご質問はこちらまで ozeki.m@aoni.waseda.jp

More Related