1 / 30

生命科学基礎  1

生命科学基礎  1. 岡本嘉六(鹿児島大学農学部獣医学科 獣医公衆衛生学). いのちを科学するとは: 科学と宗教. 「何処から来て、何処へ行くのか?」 この答えを出すために生きている・・・. カオス (古典ギリシア語: Χάος 、英語: Chaos )とは、ギリシア神話に登場する 原初神 である。英語の読み方で、ケイオスとも言う。 この世が始まったとき最初に 無の空間 に誕生した 神 で、 混沌 を神格化したもの。一人でガイア(大地)、タルタロス(奈落)、エロース(愛)、エレボス(暗黒)、ニュクス(夜)といった神々を生んだ。.

ian-frank
Download Presentation

生命科学基礎  1

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 生命科学基礎 1 岡本嘉六(鹿児島大学農学部獣医学科 獣医公衆衛生学) いのちを科学するとは: 科学と宗教 「何処から来て、何処へ行くのか?」 この答えを出すために生きている・・・ カオス(古典ギリシア語:Χάος、英語:Chaos)とは、ギリシア神話に登場する原初神である。英語の読み方で、ケイオスとも言う。 この世が始まったとき最初に無の空間に誕生した神で、混沌を神格化したもの。一人でガイア(大地)、タルタロス(奈落)、エロース(愛)、エレボス(暗黒)、ニュクス(夜)といった神々を生んだ。 宇宙 ⇒ 銀河系 ⇒ 太陽系 ⇒ 地球 ⇒ 日本 ⇒ 鹿児島 ⇒ そこに生きる自分は? 宇宙 銀河系

  2. 最初の生命体(原核生物) 35億年前の最古の化石 緑藻類などの真核生物 10億年前 アオミドロ 原始大気 起源 その後 現在 二酸化炭素  CO2 原始地球から脱ガス 石灰岩CaCO3 地下有機物(化石燃料) 0.03% ただし増加中 大量 縞状鉄鉱などの酸化物 その後は大気中に蓄積 成層圏のオゾンO3層 酸素  O2 生物の光合成 なし 21% 地球の誕生: 約46億年前  原始大気と原始海洋の誕生 1991年5月普賢岳の噴火

  3. 大気と水に恵まれた地球で生命が誕生し進化してきた大気と水に恵まれた地球で生命が誕生し進化してきた 大気中ガス濃度 27 10 5.1 3.7 500万年前 4.4 2.1 人類の出現 ほ乳類の出現 脊椎動物の上陸 陸上植物の出現 脊椎動物の出現 緑藻類などの真核生物 光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア) 炭酸ガス CO2 酸素 O2 46 35 地球誕生 原始生物 地球にも寿命があり、地殻活動などの環境変化により絶滅した種もいる。人類は? ダーウィンの著書 1859年 「種の起源」 進化論 ミラーの実験 「化学進化」 原始大気と放電でアミノ酸ができる パスツールの実験 1862年 「生物は生物からしか生まれない」

  4. 自分が立っている大地が回転していることを感じ取ることは不可能であり、「大地は不動」と思っているのがフツー。だからこそ、地震が発生すると「拠り所」を失ってうろたえる。大地が常時動いていることを主張することは、フツーの人々に「不安」をもたらすことであった。 (自動車と飛行機の揺れの感じ方)。 さらに、天地創造の教義に抵触することから・・・自分が立っている大地が回転していることを感じ取ることは不可能であり、「大地は不動」と思っているのがフツー。だからこそ、地震が発生すると「拠り所」を失ってうろたえる。大地が常時動いていることを主張することは、フツーの人々に「不安」をもたらすことであった。 (自動車と飛行機の揺れの感じ方)。 さらに、天地創造の教義に抵触することから・・・ 1543年 コペルニクス 『天球の回転について』 (迫害を恐れ、30年間刊行せず) 1616年 ローマ教皇庁はコペルニクス説を禁ずる布告を出した。 プロテスタントは地動説を受け入れ。 カトリックが正式に地動説を承認したのは1992年。 ガリレオ裁判 ニュートン Isaac Newton 1642 - 1727 ガリレオ Galileo Galile 1564 - 1642 ケプラー Johannes Kepler 1571 - 1630 コペルニクス Nicolaus Copernicus 1473 - 1543

  5. ガリレオの生涯 1564年 誕生 1597(33歳) ケプラー宛の手紙で、地動説を信じていると記す 1610(46歳) 木星の衛星を発見、『星界の報告』として出版 1615(51歳) 地動説をめぐりドミニコ会修道士と論争 1616(52歳) 異端審問所審査で、地動説を唱えないよう注意される 1633(69歳) 第2回異端審問所審査で、終身刑を言い渡される(直後に軟禁に減刑)。ピッコロミーニ大司教宅 ⇒ 自宅 1638(74歳) 失明 1642(78歳) 逝去 それでも地球は回っている! ガリレオは、科学分野で実験結果を数学的に分析するという画期的手法で高く評価されている。彼以前にはこのような手法はヨーロッパには無かった。 さらにガリレオは科学の問題について教会の権威やアリストテレス哲学に盲目的に従うことを拒絶し、哲学や宗教から科学を分離することに寄与し、 科学の父 と呼ばれることになる。

  6. 科学と宗教は 車の両輪 「似非宗教=詐欺師=カルト=オウム集団」に惑わされてはならない! 世界観 生 き る 仏教 仏陀釈迦牟尼の教え キリスト教 イエスの教え 自然科学 生物学、医学、農学、工学、・・・ 宗教 イスラム教 マホメットの教え 科学 社会科学 法学、経済学、・・・ 人文科学 歴史、心理学、文学、・・・ 現実によって動く心の世界の解明と導き 2000年変わらぬ世界 生命観 現実にある事象の解析と解決方法の提示 日進月歩の世界

  7. 微生物学の父 1632年 ネーデルラント連邦共和国で誕生 1648(16歳) 織物商に奉公 1660(28歳) 羊毛店を開く: 織物の品質を調べるために 拡大鏡を使用 ⇒ 顕微鏡を自作 ⇒ 植物や昆虫等を観察 1673(41歳) 解剖学者 Reinier de Graaf がレーウェンフックの観察をロンドン王立協会に紹介 1674(42歳) 微生物を発見 1677(45歳) 精子を発見 1680(48歳) ロンドン王立協会会員 1723(90歳) 逝去 繁殖生理学のスタート Anton van Leeuwenhoek レーウェンフック 1632 - 1723 彼の顕微鏡は200倍に達したとされており、プランクトンはもとより、スピロヘータ等の大型の細菌も観察した。個体が増えていく様子も観察し、それは、ついに・・・・ “That what I am observing is just what nature, not by sinfully defiling myself, but as a natural consequence of conjugal coitus...“ 「私が観察しているものは、まさに自然そのものであり、罪深く自分自身を汚すことによってではなく、夫婦の性交の自然な結果として・・・」

  8. 近代細菌学の開祖 1822年 皮なめし職人の息子として生まれた 1846(24歳) 高等師範学校で博士号を取得 1849(27歳) 酒石酸の性質の解明 1861(39歳) 『自然発生説の検討』を著し、従来の「生命の自然発生説」を否定 1862(40歳) 発酵の研究: 低温殺菌法(パストリゼーション)の実験 1865(43歳) 蚕の「微粒子病(ノゼマ病)」 の原因として原生生物を特定 1885(63歳) 狂犬病ワクチン開発: 狂犬病を発病したウサギの脊髄を摘出し、石炭酸に浸してウイルスを不活化する 1895(73歳) レーウェンフック・メダルを受賞 パスツール Louis Pasteur 1822 - 1895 生命は生命から生まれる 自然発生説: アリストテレスの『動物誌』や『動物発生論』 1665年 フランチェスコ・レディの実験: 密閉容器ではウジが湧かない。 レーウェンフックによる微生物の発見は、自然発生説を蘇らせた。レディの実験は、空気を遮断したことによるのではないか・・・ 空気が通じている状態で、腐敗しないことを証明! 白鳥の首フラスコ

  9. メンデルの法則: 優性の法則、分離の法則、独立の法則メンデルの法則: 優性の法則、分離の法則、独立の法則 1822年 オーストリア帝国で誕生 1843(21歳) 聖アウグスチノ修道会に入会、修道名グレゴール(グレゴリオ)を与えられる。 メンデルの所属した修道院は哲学者、数学者、鉱物学者、植物学者などを有し、学術的な研究や教育が行われていた。 1847(25歳) 司祭に叙階され、科学を独学する。 1851(29歳) 2年間ウィーン大学に留学し、ドップラー効果で有名な C.ドップラーから物理学と数学、F. ウンガーから植物の解剖学や生理学、他に動物学などを学んだ。 帰国後、1868年まで高等実技学校で自然科学を教えた。有名なエンドウマメの交配実験は1853年から1868年までの間に行われた。 1865(43歳) ブリュン自然協会で口頭発表。論文は『ブリュン自然科学会誌』 (1866) 一つの親の性質(形質)を決めているのは何らかの単位化された粒子状の物質であることを予言した(粒子説)。メンデル自身は名付けなかったが、この粒子は遺伝子そのものである。すなわち、遺伝子の考え方の枠組みを創出した点において、この発見は歴史的に重要であった。 Gregor Johann Mendel メンデル(1822 – 1884)

  10. 障害 嚢胞性線維症 先天性副腎肥大 デュシェンヌ型筋ジストロフィー 血友病A ホモ接合体αおよびβサラセミア ハンチントン病 多嚢胞性腎疾患(成人型) 鎌状赤血球貧血 テイ-サックス病(GM2ガングリオシド症) 遺伝形質 常染色体劣性 常染色体劣性 X連鎖性劣性 X連鎖性劣性 常染色体優性 常染色体優性 常染色体優性 常染色体劣性 常染色体劣性 発生率 1例/白人3300例 1例/10,000例 1例/男児誕生3500例 1例/男児誕生8500例 大半の集団において存在する 4~7例/100,000例 臨床的診断によると1例/3000例 1例/米国の黒人400例 1例/ユダヤ人3600例;他の母集団では1例/400,000例 遺伝子疾患 染色体異常 遺伝病の種類 常染色体優性: 約950種、常染色体劣性: 約600種、 伴性劣性: 約120種 染色体異常はすべての出産の約0.5%に生じる。すべて出生前診断が可能であるが、侵襲性の出生前検査によるリスクは利益よりも大きい。したがって、出生前診断は、危険性が増した人以外は見合わせるべきである。 高齢出産はダウン症などの確率が急激に増大する! 加齢現象とは何なのか?

  11. 染色体(chromosome) 1842 ネーゲリ(25歳): 染色体を発見して命名。メンデルに遺伝学を勧める。 1900メンデルの法則再発見。3人の遺伝学者(ド・フリース、コレンス、チェルマック)によって“再発見”されるまで世に知られることはなかった。ダーウィンも知らなかった。3人は謙虚にも、自分たちの発見を35年前のメンデルの再発見とした。 1902 サットン(25歳): 染色体が遺伝子の担体で あるとする染色体説を提唱 サットン Walter S. Sutton 1877 - 1916 ネーゲリ Karl Wilhelm von Nägeli 1817-1891 ショウジョウバエを用いた研究で古典的な遺伝学の発展に貢献した。染色体が遺伝子の担体であるとする染色体説を実証 1910(44歳) キイロショウジョウバエの白眼のオスを発見し、その遺伝子が性染色体上にあると考えた(伴性遺伝)。 1915(49歳) キイロショウジョウバエの染色体地図を発表 1926(60歳) 「遺伝子説」刊行: 遺伝子説の体系化 モーガン Thomas Hunt Morgan 1866 - 1945

  12. セントラルドグマ(Central dogma) 遺伝情報の伝達と発現 DNA→(複製)→子孫のDNA (転写)→RNA フランシス・クリック Francis H. C. Crick 1916 - 2004 ジェームズ・ワトソン James D. Watson 1928 - (翻訳)→タンパク質 1947(31歳) 物理学から生物学に転向 1953(37歳) 「Nature」 に「核酸の分子構造」を投稿 Molecular structure of nucleic acids. 生物学に専念してからわずか6年にして大きな成果を挙げた。しかも、37歳という若さで! ケンブリッジ大学キース校大食堂を彩るDNAのステンドグラス T(チミン) ー A(アデニン) C(シトシン) ー G(グアニン) ゲノム情報からタンパク質ができるまで

  13. レトロウイルスと逆転写酵素(reverse transcriptase)の発見 1911 ラウス(F.Peyton Rous,1879-1970)が、ニワトリに肉腫を生じさせる濾過性病原体の発見: 伝染性腫瘍に関する最初の実験的証明。後に、『ラウス肉腫ウィルス』。 1913 京都大学の藤波鑑 (1870-1934)も同様の発見。後に、『藤波肉腫ウィルス』。 RNAウィルス(レトロウィルス) セントラルドグマの崩壊??? RNAしか持っていないウィルスが、どのようにしてDNAを持った細胞をがん化させるのか? テミン(Howard M. Temin; 1934 - 94)は、 RNAがんウィルスはDNAになってから働くと主張していたが、実験的証拠がなかった(この段階では単なる奇人、変人)。 1963年(テミン29歳)、DNAからの転写を抑制する薬剤(Actinomycin D)を作用させると、 RNAウィルスによるがん化が抑制されることを発見し、RNAウィルスがDNAを生産している証拠であると考えた。 1969年、テミンの研究室に来た水谷哲が、RNAウィルス粒子をつぶした液に核酸を加え、 RNAを鋳型にしてDNAが合成されることを証明した。同時期にボルチモアも同様の実験に成功し、テミン・水谷とボルチモアの論文は1970年6月の『Nature』に同時に掲載され、ついに「逆転写」が認知された。

  14. プリオン蛋白の立体構造 伝達性海綿状脳症に異常蓄積される異常プリオンは、正常プリオンが変化したものである。 αへリックス アミノ酸組成は全く同じで、立体構造が異なるだけ βシート 正常プリオン PrPc 異常プリオン PrPsc 正常プリオン PrPc 異常プリオン PrPsc スタンリー プルシナー Stanley B. Prusiner 1942年 - Proteinaceous infectious particle タンパク質感染粒子 Prion プリオン たんぱく質がたんぱく質を変える(増殖?)

  15. 生命の起源:  化学進化説 原始大気がメタン(CH4)やアンモニア(NH3)を主成分とする還元的大気であると想定し、有機物の合成実験を初めて行った(1953年)。 ミラーは簡単な装置で実験をした。水の入った下のフラスコが原始海洋、上の大きなフラスコが原始大気、火花放電は化学反応を起こさせるためのエネルギー源で、自然界での雷を想定。 このような状態で1週間後には、グルシン、アラニンなどのアミノ酸を含むいろいろな種類の有機物が合成されることを確認した。 Stanley L. Miller 1930- 2007

  16. 生命の起源 生命の起源 最初の生命は宇宙からやってきたとするパンスペルミア仮説もあるが、原始地球で最初の生命が誕生したとするならば・・・・ DNA World 説 ポリヌクレオチドの合成にはポリペプチドが必要であり、ポリペプチドの合成にはポリヌクレオチドが必要だという問題点がある。 RNA World 説 RNAワールド 「RNA からなる自己複製系」が最初に誕生し、それが現生生物へと進化したという仮説。RNA が遺伝情報と酵素活性の両方を持ちうることがその根拠。 ● RNAは自己スプライシングやrRNAの例もあり、自ら触媒作用を有している ● RNAはRNAウイルスにおいては遺伝情報の保存に役割を果たしている ● RNAはDNAに比べて変異導入率が高く、進化速度は速い Protein World 説 ● タンパク質は生命反応のあらゆる触媒を担っており、代謝系を有する生命には必須である ● 20種類のアミノ酸から構成されており、多様性に富んでいる ● セントラルドグマのあらゆる反応に酵素の触媒は関与している ● ユーリー - ミラーの実験で生じた、4種のアミノ酸(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、バリン)を重合させたペプチドは触媒活性を有している(GADV仮説)。 ● さらにそれらのアミノ酸の対応コドンはいずれもGからはじまるものであり、アミノ酸配列からDNA、RNAに情報が伝達された痕跡であると考えられる(GNC仮説)。

  17. 生命と生物 生物や生命を定義するのは難しい。「生命とは生物に備わっているもの」であり「生物とは生命をもつもの」であるという循環に陥ってしまうためである。現在、我々が生物と見做しているものが、生物の全てである保証はない。 生物が無生物から区別される一般的な特徴として、生物は、自己増殖能力、エネルギー変換能力、恒常性(ホメオスタシス)維持能力という3つの能力をもっている。 生命の起源 生物 1.外界および細胞内を明確に区別する膜を有する。 2.自己複製する能力を有する。 3. 外界から物質を取り込み、代謝する系を有する。 「生命とは、生物が生物として自己を維持、増殖、外界と隔離する活動の総称であるが、はっきりとした定義を与える事は難しい。」

  18. 1831(22歳) ケンブリッジ大学を卒業、 イギリス海軍の測量船ビーグル号に乗船 ● 南米沿岸を移動すると、生物が少しずつ近縁と思われる種に置き換えられていくこと ● 南米で今は生き残っていない大型の哺乳類化石を発見したこと ● ガラパゴス諸島の生物の多くが南米由来と考えざるを得ないほど南米のものに似ていること ダーウィン Charles Robert Darwin 1809 - 1882 31/12/27 36/10/2 1839(30歳) 「ビーグル号航海の動物学」 1859(50歳) 「種の起源」 「進化 evolution」 35/9 36/1 34/3

  19. 分類学から系統学へ 原生生物界 動物界 植物界 チャールズ・ダーウィンの進化論に感銘し、動物の系統を進化論に基づいて明らかにしようとした。彼はその根拠として反復説をとなえ、発生の仕組みに基づいて動物の系統に関する自説をまとめ、これを分かりやすく示す手段として大木の枝先に 各分類群を配置したような図を作った。この場合、系統的に離れたものほど太い幹からの枝分かれが離れた位置になるように配置し、高等な体制のものほど高い枝に置いた。 ヘッケル Ernst Heinrich P A Haeckel 1834 - 1919 根源 モネラ界

  20. 動物界 菌界 植物界 分類学に基づいて動物界と植物界に大別したのはリンネ(1707 - 1778)であったが、ヘッケルが原生生物界を加えた系統発生図を描き(3界説)、ホイタッカー(1920 - 1980)は原生生物界にモネラ界を、植物界に菌界を付け加えて「5界説」を唱えた(1959)。 消化 吸収 光合成 真核生物、多細胞 原生生物界 真核生物、単細胞 モネラ界 原核生物、単細胞 生物の系統発生図 生物の分類

  21. 太陽 微生物の菌類・細菌類などが中心。生産者や消費者の遺体や排出物の有機物を無機物に分解し、もとの環境に返す。 一次消費者を食べる生物 肉食動物 二次消費者 菌界 動物界 生産者を直接食べる生物 草食動物 分解者 一次消費者 自分で栄養素を作る 光合成植物 植物界 生産者 大地・大気・水 エネルギー(生態)ピラミッド

  22. 系統樹 ファーミキューテス門 赤: 真核生物 緑: 古細菌 青: 真性細菌 原核生物 クラミジア門 動物界 プランクトンミセス 植物界 原生動物門 アクチノバクテリア ユリアーキオータ門 フソバクテリア 共通祖先 クレアーキオータ門 古細菌界は、メタン菌・高度好塩菌・好熱好酸菌・超好熱菌などを含む。進化系統的には、真性細菌よりも真核生物に近縁である。 シアノバクテリア 1977年にウーズラはモネラ界を真性細菌と古細菌界に分け、三つのドメインとした。 プロテオバクテリア門

  23. 真核細胞 細胞の基本構造 細胞壁 葉緑素 核小体 核膜 細胞質 粗面小胞体 核 ミトコンドリア ライソゾーム リボゾーム 滑面小胞体 生物に共通の特徴は、  1)タンパク質や核酸からなる細胞  2)物質やエネルギーの代謝  3)自己増殖する生殖 原核生物と真核生物の主な違い 原核細胞 白血球の呑食に抵抗 付着 蛋白合成 原核細胞と真核細胞の差異 1.遺伝子の性状と配置 2.膜結合器官 3.蛋白合成系 4.細胞壁の化学組成 運動器官 → 化学療法剤などの「選択毒性」の基礎 核膜がない 細菌や酵母に存在するDNAで薬剤耐性等を伝達する

  24. 生物の系統発生学的位置 病原体 高等生物: 動物界、植物界、菌界 真性細菌 古細菌 寄生虫 Eucaryote 真核生物 Procaryote 原核生物 ウイルスはエネルギー生産、蛋白合成に係わる酵素系を欠如しており、この図には含まれない

  25. 有用微生物(1) 発酵食品 発酵食品 味噌 麹カビ: Aspergillus spp 食品を発酵させることで、新たな味覚を備えたものとし、栄養価や保存性も高まる。味噌、醤油、酢、漬物、納豆、塩辛、酒 ・・・・、これらの主役は酵母と麹カビ。 これとは逆に、有害物質の産生や味覚の悪化などで可食性を失う場合を腐敗という。 ブルーチーズ アオカビ:Penicillium spp

  26. 光岡知足 1930 - 有用微生物(2) 腸内細菌 空気(酸素)に触れると即刻死んでしまう高度の偏性嫌気性菌の培養法を開発し、腸内細菌の研究を画期的に推進した。 整腸作用だけではなく、体の調子を整える作用、免疫機能を高める作用もあることを明らかにしてきた。 メチニコフ Ilya Ilyich Mechnikov 1845 - 1916 加齢に伴う腸内細菌叢の変化 大腸内の細菌が作り出す腐敗物質が老化の原因であるとする自家中毒説を提唱し、ヨーグルトを摂取している民族が長寿であることから、大腸を乳酸菌で満たして老化の原因菌を駆逐することが有用であると主張した。 ビフィズス菌の作用 1.病原菌の腸内進入を阻止する 2.腐敗菌を抑えて、有害物質産生を抑える 3.免疫系を刺激して、免疫力を高める 4.発ガン物質を吸着・分解する 5.腸の運動を促し便秘を防ぐ 6.ビタミンB群を作る ⇒ ビオフェルミン

  27. 有用微生物(3) 下水処理 人類が農業と定住生活を始めた時に最大の問題となったのは屎尿処理。当初は肥料として土壌還元であったが・・・ 余剰汚泥を嫌気性菌が分解して減量化する。有機肥料として活用される。 曝気槽(エアレーションタンク) 汚水に含まれる有機物を吸収・分解し、新たな個体を誕生させることで、沈殿し易いとする。 その主役は、様々な好気性細菌や原生動物である。 細菌:Zooglea ramigera 繊毛虫: Vorticella convallaria

  28. 有用微生物(4) 医薬品 1889 ミンコウスキー(独)、膵臓摘出犬の研究で、糖尿病と膵臓の関係を発見 1921 バンティングとベスト(カナダ)がインスリンの抽出に成功 1926 アベル(米)、インスリンの結晶化に成功 1956 サンガー(英)、インスリンのアミノ酸配列を解明 1964 インスリンの化学合成に成功 1978ブタインスリンからヒトインスリンを半合成 1979 ヒトインスリン遺伝子の解明 1980 遺伝子組換え技術(大腸菌)による生産 1987 遺伝子組換え技術(酵母)による生産 メタボ(metabolic syndrome、代謝症候群): 内臓脂肪型肥満に高血糖、高血圧、高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいう。 食品の安全性を巡って大騒動を繰り返しているが、実は、安全な食品を食べてメタボで死んでいる!

  29. 死と生:「連続性」と「不連続」 あらゆる生物は、個体が死滅しても子孫を残し、生物種として保存される仕組みを持っている。個体の死という不連続と、種の保存という連続性が、連綿と続いている。 それは、個体レベルだけでなく、遺伝子を受け渡す精子は、卵子に入る際に解体する(死)ように、細胞レベルでも維持されている。また、臓器移植でみられるように、個体の死と細胞の死は別次元のことである。 さらに、成分輸血のように、細胞を含まない「化学物質」が個体の生命維持に活用されている。生命(いのち)とは、どこからどこまでの範囲を言うのか? レーウェンフック 1632 - 1723 ヒトと動物の関係学会 獣医学は、様々な動物における病気の予防と治療を担う専門職である。生きる上で最もやっかいな病気、これを制圧したいという願いは、万人のものである。いや、全ての命ある生物の願いである。 しかし、生物は生物を食べることによってしか生きられない。ヒトがヒトを食べることは許されないが、ヒトが牛を食べることは何故許されるのか? いのちの食べかた 病原体も、35億年前に発生したとされる原始生命体から進化してきたものであり、我々と共通の祖先を持つ。排除(100%安全なのですか?)の方向ではなく、共生する方向(ワクチン等)を目指すことが大事ではないか?

  30. 生命倫理 「獣医師の倫理綱領」 「医師の職業倫理指針」 日本医師会 日本獣医師師会 いのちを科学するとは: 科学と宗教 細胞をすり潰して酵素反応を実験する場合と、ネズミやイヌを使って実験する場合のどこが違うのか? 旧日本軍が「満州国」において「流行性出血熱」の原因究明のために、中国人捕虜を「丸太」と称して人体実験に供したこととどこが違うのか? この問に、科学は明快な回答を持たない。等しく、生命現象を取り扱っている訳であり、「生命の神秘」に対して畏怖する心を持ち続けなければならない。「生命」を、自分の興味、満足、利益のために、弄んではならない。

More Related