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8 Be のクラスター状態に関するテンソル力の効果. 北海道大学 山本雄平、富樫智章、加藤幾芳. ~ Brueckner-AMD の 8 Be への適用~. 研究背景. 原子核の構造. ・基底状態近傍では、殻構造、敷居値近傍では、 クラスター構造 をもつ原子核が 見つかっている。→原子核の構造を 核力の立場 から調べる。. 現実的核力を用いた計算の進展. 現実的核力を用いて、仮定を置かず、クラスターが再現できるか。. R.B.Wiringa et al., PRC62 (2000) 014001.
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8Beのクラスター状態に関するテンソル力の効果8Beのクラスター状態に関するテンソル力の効果 北海道大学 山本雄平、富樫智章、加藤幾芳 ~Brueckner-AMD の8Beへの適用~
研究背景 原子核の構造 ・基底状態近傍では、殻構造、敷居値近傍では、クラスター構造をもつ原子核が 見つかっている。→原子核の構造を核力の立場から調べる。 現実的核力を用いた計算の進展 現実的核力を用いて、仮定を置かず、クラスターが再現できるか。 R.B.Wiringa et al., PRC62 (2000) 014001 Green’s function Monte Carlo(GFMC)が8Beのクラスター状態を再現することに成功。 ・しかし、クラスターを再現する メカニズムが分からない。 本研究では、 現実的核力による、構造の理解をしたい。 一方では、クラスターを仮定した模型に現実的核力を用いることで、 クラスター化のメカニズムが研究されてきた。
研究背景 先行研究 ・Bando.et.alによる先行研究 ( Ref.H.Bando et.al. PTP 44 (1970),646 ) ― 現実的核力をクラスター模型に適用(Brueckner理論) (0s)4のconfiguration d α粒子の存在を仮定 Brink w.f. α α 模型波動関数に現実的核力を用いるときの問題点 エネルギー期待値が発散 模型波動関数 現実的核力 (強い斥力芯) + ⇒ Brueckner理論により、模型波動関数に対応した有効核力を作る。 ―8Be,12Cを計算 →3E状態のテンソル力が、 クラスターの発達に大きな影響を もつことを示唆。 実際に、テンソル力の寄与は示されていない。 模型の発展 ・核子の配位を仮定しない模型として、 AMDが登場 ( Ref: Y.En’yo et.al, PRC 52 (1995), 628 ) →配位を仮定せず、殻構造、クラスター構造の両方を記述。 →模型波動関数で扱える、現象論的な核力を使用。 Brueckner理論+AMD
研究内容 Brueckner-AMD(1)を8Beに適用し、 クラスターの距離で制限をかけて計算。 Ref .(1): T.Togashi, K.Kato PTP 117 (2007) 189, T.Togashi,T.Murakami, K.Kato PTP 121 (2009) 299 ・ 構造が変化したときに、核力の寄与は、どのように変化するか。 (核力の状態依存性) Argonne v8’(AV8’)とArgonne v4’(AV4’)を使用 ・1粒子軌道の構造の変化 AV8’→中心力+テンソル力+LS力 AV4’→中心力 核力について AV4’とAV8’の関係 テンソル力を含む場合(AV8’)と含まない場合(AV4’)で、 クラスター生成する要因はどう変わってくるか。
研究内容 先行研究と異なる点 ・Brink w.f. ではなく、AMD w.f. を使用 →核子の配位を仮定しない。 (クラスター構造を仮定せず、エネルギー変分の結果、自動的に導かれる) テンソル力の寄与 を直接示す ・G-matrixに繰り込まれていた成分 →correlation function を用いて分解 ・1粒子エネルギーについても同様の計算 →1粒子状態を通して、構造の変化を議論。
Antisymmetrised Molecular Dynamics 波動関数は、1粒子波束のSlater行列式で表される AMD波動関数 α’ 制限付き摩擦冷却法 R1 d R2 今回の計算では、擬クラスターの距離による制限(d-constraint)を用いた。 Ref.Y.Taniguchi et.al. PTP 112 (2004) 475 擬クラスターの重心 : :任意に選んだ波束からなる 擬クラスター 擬クラスターの距離 : ※重心の距離による制限であり、配位、クラスターの存在を仮定しない
AMD - Hartree Fock 法 AMDでは、1粒子波束は、Gauss型で表わされるので、それぞれの 1粒子波束は直交していない。 AMD Hartree-Fock法 ①重なり行列を対角化する1粒子軌道 , ②Hartree-Fock Hamiltonianを対角化する1粒子軌道 , Hartree-Fock Hamiltonianの固有値として得られる 一粒子エネルギーを用いることで、Brueckner理論が適用できる。
Brueckner-AMD ・現実的核力→近距離での斥力芯→AMD w.f.では、直接扱えない。 ・原子核内での2体の散乱を解くことによって、 生の核力からモデル波動関数に対応した有効核力を作る → Brueckner理論 Bethe-Goldstone方程式 AMD-Hartree Fock法によって定義 ・Correlation functionを定義 : Bethe-Goldstone eq.の解 correlation function : : AMD w.f. 現実的核力
Correlation Functionを用いた核力の分解 1粒子ポテンシャル 1粒子軌道 correlation function Correlation functionにより、核力の成分に分解できる。
Result: Energy surface AV8’ AV4’ E(min.):-37.5(MeV) optimised distance:3.0(fm) E(min.):-54.4(MeV) optimised distance:2.5(fm) クラスターは再現されているのか⇒一粒子エネルギーを調べる 殻構造→(0s) 4(0p)4となり、2つの軌道に分かれるはず。 αが遠くなれば、(0s)4×2となり、同じ一粒子エネルギーに縮退する。
Result: Single-particle energy AV8’ AV4’ ・一粒子エネルギーは、4粒子ずつほぼ縮退している。 (殻的な構造、0sと0pに入る粒子) ・遠方では、8粒子全てが同じ値に近づく (2つのα粒子が、独立に存在) AV8’,AV4’の両方で2‐αの クラスター構造を再現 もっと見やすい形で違いが見えないか 絶対値は、AV4’の方が大きい
Result: Single-particle kinetic energy AV8’ AV4’ 一粒子エネルギーが、4つずつ縮退していたので、平均したものを示す。 ポテンシャル部分はどうか。 (1E,1O,3E,3Oの寄与を調べる) 運動エネルギーは同じ
一粒子エネルギーに対する1E-channelの寄与 AV8’ AV4’ 1Eの寄与は、AV8’とAV4’で同じである。 1Eに関しては、同じ核力をもつから。
一粒子エネルギーに対する3E-channelの寄与 AV8’ AV4’ 5.5MeV 8.5MeV ・AV4’の方が絶対値が大きい エネルギーの変化量に着目すると ・エネルギーの高い粒子(赤線)よりも、 エネルギーの低い粒子(青線)の振舞に違いが大きくみられる。 ・AV8’の変化量は、AV4’よりも小さい。
AV8’の3Eの核力の成分の寄与 拡大すると 中心力 0.7MeV 拡大すると テンソル力 4.8MeV AV8’の3Eは、 テンソル力がdominantである
AV8’とAV4’のOdd-channel(1O+3O)の寄与 AV4’ AV8’ ・AV8’では、odd(1O+3O)の寄与は、ほとんどない。 ・AV4’では、斥力として働く。
AV8’とAV4’におけるOdd-channelの効果 AV8’ AV4’ Oddの寄与をゼロとしてみる ・AV4’では、optimised distanceが2.0(fm)にずれる ・AV8’では、ほとんど影響を受けない。 中心力のみからなるAV4’では、Oddの斥力がクラスターを再現するために、重要な役割をもつ。 一方で、AV8’では、Oddは、ほとんど効かず、3Eのテンソル力の効果で クラスターを生成する。
Summary ・中心力とテンソル力、LS力からなるAV8’でも、 中心力のみからなる、AV4’でも8Beのクラスター状態を再現する。 →ただし、再現の仕方が異なる。 ・AV8’とAV4’の違いは、3EとOddの寄与にあり、 特にAV8’においては、テンソル力が3Eのdominantな成分となっている。 ・AV4’では、近距離でのOddの斥力的な振舞によって、 クラスター状態を好むようになっている。 (ただし、AV4’では、optimised distanceは、AV8’より小さい。) ・一方、AV8’では、Oddの寄与は、ほぼゼロであり、 テンソル力の効果として、クラスターを再現する。