設計仕様解析によるハード／ソフト最適分割システムの構築と評価

設計仕様解析によるハード／ソフト最適分割システムの構築と評価設計仕様解析によるハード／ソフト最適分割システムの構築と評価立命館大学　理工学研究科梅原　直人，○和田　智行，山崎　勝弘 2007/9/5

研究背景 • 高速化、低消費電力化などにコデザインは必要 • 大規模化によるシステムの複雑化 • システムにはハードとソフトのバランスが必要目的 • ハード/ソフト最適分割システムの構築 • システムの設計仕様解析ツールの作成 • 実際にアプリケーション（暗号アルゴリズム）に適用し、システムの有効性を検証

ハード／ソフト分割探索 • モジュール数により分割領域が指数関数的に増加 • 人間の判断で行うには限界がある • シミュレーションによる数値解析にも限界 • ハード/ソフトの最適な分割を支援すること • 早期の予測による手戻り損失の減少

ハード/ソフト最適分割システム • C言語リファレンス・プロトタイプ作成段階から分割領域（境界）の特定 • 関数をハードウェアモジュールに対応システムの最終出力 Cソースコード int a(); char b(); void c(); Hardware Software Analysis&Answer int a(); void c(); char b(); • ユーザの要求から分割 • 速さ優先、消費電力優先、コスト優先、etc… ソースコードと要求仕様を併せて、設計仕様と呼称

設計仕様解析手法 モジュール外部要素 C言語ソースコードプリプロセッサ・関数抽出モジュール（ファンクション）ファイルコード解析 CDFG 合成演算式評価データトレース FSM 合成設計仕様解析器モジュール毎の各要素の内部表現（CDFG・演算強度など）性能解析個別・相互評価回路規模速度メモリ量消費電力工数

設計仕様解析器 • 各関数はハードウェア・モジュールに1対1対応 • 実装環境を考慮 • ユーザの要求を考慮（速度重視、メモリ重視、……など） • goto文・malloc文・ポインタ・文字列操作はサポートしない • 実装言語はRuby Ｃ言語ファイルモジュールインスタンス(CDFG) int func(int B,int C){ int A,I,j; for(i=0;i<4;i++){ for(j=0;j<4;j++){ A=B+C; } } return A; } rtm,true,[“int”.”int”] farg,”int”,[“B”,”C”] decl,””,[“A”,”i”,”j”] loop,”for”,0,”i”,0,”<4”,”++” loop,”for”,1,”i”,0,”<4”,”++” assign,2,[“A”],[“B”,”+”,”C”] ctrl,”return”,0,no_assign,”A” 処理の流れ構造の深度

平文（64bit） FL 32 16 16 KLi1 FL FL KLi KLi+1 Loop（N times） KLi, KOi FO KLi2 KLi+1, KOi+1 FO FL FL KLn+1 KLn+2 暗号文（64bit） Misty1暗号アルゴリズム • 64ビットブロック・128ビット秘密鍵暗号 • 条件分岐の一切ない構造 64 bit FO 16 9 7 32 16 16 S9 KOij S7 FI KIij KIi2 KIi1 S9

モジュール連結による実験 • MISTY1を最適分割実験に使用 • MISTY1は軽く、簡単な制御 e.g.モジュール連結による実験結果の計測平文 • ループ回数は100固定 • 連結によって意図的に巨大モジュールを作成 • 解析によってどのような変化が結果に出るのかを考察 MISTY1BLOCK[0] インライン展開（連結） MISTY1BLOCK[1] 暗号化ブロック数は可変大きなハードウェアモジュール MISTY1BLOCK[N] 暗号文

実験環境 OPB Clock DLL Block RAM SW処理＋制御 • Xilinx社のソフトコアMicroBlazeを軸に構築 • FSLでユーザペリフェラルと通信 • ツールと専用コンパイラが付属 • 結果はUART-RS２３２Cからデスクトップへ MicroBlaze UART RS232C Connector SDRAM control SDRAM FSL FSL FSL FSL HW処理 Clock counter User Peripheral User Peripheral FPGA

MISTY1単一ループモジュール性能 • 1ブロック（64bit）をN=8で暗号化する場合 • 最高性能で4Gbps程度のスループット • MB検証システムの動作周波数は100MHｚ固定 • ソフトウェアのみで同じ動作を行う場合2892サイクルこのハードウェア・ソフトウェアの結果を本システムにフィードバックして設計仕様解析器を実現

モジュール性能評価式 • 偏差値は価値を画一するため（Bytes,Cycles…） • 分数計算は偏差値の揺れ幅を揃えるため • ユーザ要求の係数は比率 • Evalが最も大きい時にそのパターンを使用 Eval：各モジュール評価総和、Wu　　：ユーザ要求の係数Std()：偏差値導出関数、Val：CDFGなどの性能値 item

実験結果と評価 MISTY1暗号の解析結果 MISTY1暗号の評価結果処理速度重視回路規模重視メモリ使用量重視 11

MISTY1暗号解析結果の評価と考察 Evaluation • 処理速度とメモリ量はハードの化による評価の向上が高い • 回路規模はあまり変化なし • [6,2,2]の比率でも大差はない • MISTY1はハードウェア化で高性能になる A：速度重視 B：回路規模重視 C：メモリ使用量重視

Add ShiftRows, Round SubBytes, 40% MixColumns, 36% 14% Key, 10% AES暗号での実験 • 全く異なるモジュールからなる • 負荷の高いモジュールを優先的にハードウェア化 S W 大 H W 大 14

AES暗号による解析結果評価 Evaluation 実測評価結果解析評価結果 Evaluation

ピアソンの積率相関係数による類似性証明 • １に近いほど相関関係が強く、0に近いほど無関係 • 平均値は0.85 • 概ね解析が正しいといえる • “A”と“D”が高いことから処理速度（クロックサイクル数）の見積もり精度は高いといえる • “C”と“F”から、メモリ量解析でまだ見積もり精度に問題

まとめ • ハード/ソフト最適分割システム • 分割方法の探査のための実験・考察 • MISTY1暗号のハード/ソフト分割 • ツールの有効性判断 • AES暗号の実測値と解析値の類似性証明課題 • 設計仕様解析器の完成 • 解析器の精度向上 • 他のアルゴリズム実装による実験

設計仕様解析による ハード／ソフト最適分割システムの 構築と評価