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太陽系近傍での暗黒物質密度の決定法の検証とその精度. 国立天文台 JASMINE 検討室 井上 茂樹. Nano-JASMIENE. position accuracy 3-4 mas @ 9 mag parallax accuracy 4-5 mas @ 9 mag 2013 年末 ~ 2014 年初 、 打ち上げ予定. proper motion accuracy 3-6 mas/ yr @ 9 mag ~0.2 mas/ yr @ 9 mag w/ Hipparcos. Gaia. 2013年9月、打ち上げ予定. Gaia.
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太陽系近傍での暗黒物質密度の決定法の検証とその精度太陽系近傍での暗黒物質密度の決定法の検証とその精度 国立天文台 JASMINE検討室 井上 茂樹
Nano-JASMIENE • position accuracy • 3-4 mas @ 9 mag • parallax accuracy • 4-5 mas @ 9 mag • 2013年末~2014年初、打ち上げ予定 • proper motion accuracy • 3-6 mas/yr @ 9 mag • ~0.2 mas/yr @ 9 mag • w/ Hipparcos
Gaia • 2013年9月、打ち上げ予定
Gaia • How far can Gaia reach? • What can we get from Gaia data? 60 kpc 10 kpc Observable region of trigonometric distances by 10 μas accuracy within 10 % error. the Milky Way Observable region of proper motions by 10 μas accuracy within 1 km/s error. 100 pc from the sun Observable region of trigonometric distances within 10% error by Hipparcos.
次世代位置天文学による局所暗黒物質密度の決定次世代位置天文学による局所暗黒物質密度の決定
天の川銀河の暗黒物質ハロー Sofue et al. (2009) • 銀河系の回転曲線 • 回転速度一定 ⇒ 膨大な見えない質量 • 暗黒物質ハローの存在 • ハロー球対称だと仮定すると、 • 太陽系近傍の暗黒物質量はM/pc3
暗黒物質ハローの形状 Aquarius Simulation • 回転曲線から求まる暗黒物質密度は球対称を仮定する。 • 暗黒物質ハローの形状は一般的に球状ではない。 • 局所的なDM密度は異なっているかもしれない。 Springel et al. (2008)
ハロー形状と局所暗黒物質密度 球対称 扁長型 ・矮小銀河のtidal tail 扁平型 dark disc 銀河円盤のポテンシャルで円盤周辺に暗黒物質が集まる効果。(Read et al. 2009) 回転曲線から求めた暗黒物質密度と、局所的に計測された暗黒物質密度の差異から、暗黒物質ハロー形状を探る手がかりになるかもしれない。
ダークマター直接観測 • 暗黒物質の直接検出 • e.g. XMASS @ 東大宇宙線研
星の垂直運動からのDM密度推定 • どうやって太陽系近傍の暗黒物質密度を測るか? • ある単一の種族に対する、z方向のジーンズ方程式 • 全質量(バリオン+DM)に対する、ポアソン方程式 • または質量分布をモデル化。 • この二つの方程式を解けば、全質量密度が求まる。 • バリオンの観測量を引けば、暗黒物質密度が求まる。
太陽近傍DM密度推定の先行研究 Garbari et al. (2011) • これまでこの手法で求めた近傍暗黒物質密度は、 • M/pc3 • 回転曲線から求められた値にだいたい一致する。 • ハローは球対称? Holmberg & Flynn (2000) Kuijken & Gilmore (1989) Pham (1997) Bienayme, Robin & Creze (1987) Creze et al. (1998)
太陽近傍DM密度推定の先行研究 • しかし、これまでの先行研究は、少々無理のある仮定を多く用いていた。 • 星の運動を等温とする。 • 分布関数がR, z方向で分離可能とする。 • 近年、Garbari et al. (2011,2012)がこれらの仮定を用いない、Minimum Assumption method (MA法)を考案した。 • 星の運動を等温とせず、分布関数を用いない手法。
最新の暗黒物質密度 • Garbari et al.の求めた近傍の暗黒物質密度の値では、 • 0.02 – 0.04 [M/pc3] • 回転曲線から求めた値の 3 - 4倍。 過去の研究では、導出に用いた仮定の影響で、DM密度を過小評価していた。 Garbari et al. (2011) • DM密度 [M/pc3] Garbari et al. (2011, 2012) • バリオン密度 [M/pc3]
ハロー形状と局所暗黒物質密度 球対称 扁長型 ・矮小銀河のtidal tail 扁平型 dark disc 銀河円盤のポテンシャルで円盤周辺に暗黒物質が集まる効果。(Read et al. 2009) • 局所的に高い暗黒物質密度は、「扁平型」のハローを支持する。 • しかし、矮小銀河のtidal tailの観測は、「扁長型」のハローを支持している。 • 両者をうまく説明するためには、「dark discが存在する」と考えられる。 Garbari et al. (2011)
本研究のテーマ • Garbari et al. のMA法が今のところ最も信頼できる手法と思われる。 • しかし、結果の値は先行研究と大きく異なる。 • Garbari et al.M/pc3 • 先行研究 M/pc3 • Zhang et al.(2012) new!! • 観測サンプルを精査すれば先行研究と同じ結果。 • しかし手法も違う。 • 解析的モデルから疑似観測データを生成し、MA法の検証を行う。 • 位置天文学の観測で得られる、太陽系近傍での暗黒物質密度の決定精度を議論する。
MA法の概要(銀河モデルの構築) • 銀河を15個の成分で構成されると仮定し、ポアソン方程式とジーンズ方程式を解きながら、垂直方向のポテンシャル形状を推測。 • 各成分の、、はパラ メータとして、観測誤差の範囲 内で不定の値とする。 • 上の2式を解き、銀河の ポテンシャルを推定する。 Flynn et al. (2006) 50% error 20% error
MA法の概要(観測データへのフィット) • ある単一の種族の星(”tracer”)を観測し、銀河モデルで構築したポテンシャルを使って密度プロファイルを再現。観測と比較する。 • のデータを用意。 • 先のモデルから導出したポテンシャル を用い、を計算。 • 観測から求めた密度プロファイルと、観測の密度プロファイルを比較し、フィッティングの精度を評価。 • フィッティングの精度は銀河モデル のパラメータで決まる。 • このプロセスを繰り返し、パラメータをサーベイする。 • 最適な 、 の組み合わせを探す。 • 合計31個のパラメータ空間をサーベイするので、MCMC法を導入。
疑似観測によるMA法の検証・疑似観測データの生成疑似観測によるMA法の検証・疑似観測データの生成
疑似観測データの生成 • 仮想銀河を想定し、力学平衡を満たす人工的なtracer成分を作り、疑似観測を行う。 • 銀河モデルの15個(+DM)の成分に対し、密度プロファイルを仮定。 • discs & halo • dark matter M • tracerの密度プロファイルを任意に仮定し、速度分散 を計算。 • 観測からR, θ方向の速度分散を仮定。 • [km/s] • [km/s] Bond et al. (2010)
疑似観測データの生成 • ここに位置天文学由来のエラーを掛けていく。 • 三角視差による距離決定の相対誤差は距離の2乗に比例して大きくなる。 • 見誤った距離に比例して、視線垂直方向速度も大きくなる。 • 本来はproper motion自体の観測誤差もあるが、今回は無視する。視線方向速度も。 480 deg2 解析解 サンプル3000個 疑似観測
疑似観測データの生成 • ここに位置天文学由来のエラーを掛けていく。 • 三角視差による距離決定の相対誤差は距離の2乗に比例して大きくなる。 • 見誤った距離に比例して、視線垂直方向速度も大きくなる。 • 本来はproper motion自体の観測誤差もあるが、今回は無視する。視線方向速度も。 480 deg2 解析解 サンプル3000個 疑似観測
MA法への適応 • 仮想銀河の中で力学平衡を満たす星のサンプルが得られた。 • 疑似観測データをMA法に適応。 • 銀河モデルを構築(右表) • tracer密度プロファイルを推定 • 疑似観測 • 疑似観測の密度プロファイルと比較 • MCMCで繰り返してbest fitを探す。 50% error 20% error Flynn et al. (2006)
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなし • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなし • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなし • サンプル数6000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなし • サンプル数6000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなし • サンプル数3000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなし • サンプル数3000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
サンプル数の影響 • 距離決定エラーなしの場合 • サンプル数3000個あたりから、 90% confidence level に入ら ないケースが出てくる。 • 約3000個以上が必要。 • Garbari et al. (2012)は • 密度プロファイル 2016個 • 速度分散プロファイル 580個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差なし • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差(1kpcで10%エラー) • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差(1kpcで10%エラー) • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差(1kpcで30%エラー) • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差(1kpcで30%エラー) • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差(1kpcで50%エラー) • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定相対誤差(1kpcで50%エラー) • サンプル数12000個 エラーバーは 片側 90% confidence level DM密度 (z=0) [M / pc3] DM密度 (z=0) [M / pc3] 総バリオン密度 (z=0) [M / pc3]
距離決定誤差の影響 • 距離決定誤差によって、DM密度を過大評価する。 • 距離決定誤差は 1 kpcで10%程度に抑えなければならない。 • 位置天文学精度 0.1 mas に相当。 • Garbari et al. (2011) は Hipparcos サンプルを使用。 • 精度が足りていない? • z=0の太陽系近傍を高精度で観測す れば、精度は上がるかも? • cylinderで観測? 480 deg2
DM密度過大評価の物理的解釈 • 距離決定誤差による、密度プロファイルと速度分散プロファイルへの影響 • 距離決定誤差により、プロファイルがフラットになる。 • 誤差によって、z=0近くでの速度分散上昇。 • 余分な質量があると勘違いする。
まとめ • 太陽系近傍でのDM密度測定の最新研究で考案されたMA(Minimum Assumption)法を疑似観測によって検証した。 • Garbari et al. (2011, 2012)では、従来より有意に高いDM密度。 • 疑似観測の結果、MA法は • サンプル数、観測精度が十分であれば、DM密度を正確に求めることのできる手法である。 • しかし、距離決定誤差によってDM密度を過大評価する系統誤差が存在する。 • Garbari et al. (2011)ではサンプル数 and/or 精度が足りていないのかも? • MA法によって太陽系近傍のDM密度を正確に求めるために、 0.1 mas 以下の位置天文学観測の精度が必要と思われる。 • Hipparcos, Nano-JASMINE ⇒ 1 mas • Gaia ⇒ 10 μas • Gaiaであれば測定可能であると期待できる。