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石礫床における覆瓦構造の形成と水理特性に関する研究. 河川工学研究室 日置 梓. 背景. 河川整備の基本的な考え方. 「多自然川づくり」. 河川が本来有している豊かな自然環境の保全・再生・創出を目的. 河川生態系を支えている環境構造の解明が不可欠な課題. 研究状況. PHABSIM に基づいて魚類の生活史を支える環境構造の定量的な評価を試み、良好な結果が得られてきた. 河床底面で生息している、水生昆虫(小型魚類)の生息場についての評価を加えるに至っていない. 目的. 石礫床に形成される覆瓦構造の形成過程の解明とその定量的評価を試みる.
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石礫床における覆瓦構造の形成と水理特性に関する研究石礫床における覆瓦構造の形成と水理特性に関する研究 河川工学研究室 日置 梓
背景 河川整備の基本的な考え方 「多自然川づくり」 河川が本来有している豊かな自然環境の保全・再生・創出を目的 河川生態系を支えている環境構造の解明が不可欠な課題 研究状況 PHABSIMに基づいて魚類の生活史を支える環境構造の定量的な評価を試み、良好な結果が得られてきた 河床底面で生息している、水生昆虫(小型魚類)の生息場についての評価を加えるに至っていない
目的 石礫床に形成される覆瓦構造の形成過程の解明とその定量的評価を試みる 出水後に見られる覆瓦構造と呼ばれる河床形状の形成過程について水理実験を通して把握 覆瓦構造の定量的な表現を考え、その評価を試みる
マイクロハビタット 河床の石礫や石積みの隙間 石礫 Flow 石礫 石礫 石礫 石礫 覆瓦構造について 実河川においては石礫が河床面に対して傾斜した姿勢で配列しており、瓦を重ねたような構造であることから「覆瓦構造」と呼ばれている マイクロハビタットに生息するヒゲナガカワトビケラとその巣
現地河川での石礫調査 千鳥橋 写真-1 石礫の測定の様子 各調査地点で100サンプル測定 谷汲山大橋 表-1 石礫の測定結果(長径・中径・短径) 図-1 調査地点(上:長良川 下:根尾川)
覆瓦構造形成実験の概要 現地河川での覆瓦構造の形成過程の把握は困難 実験水路にて覆瓦構造の形成過程を把握 ①実験装置の概要 ②実験装置のノイズ検証 ③実験条件 ④実験ケース ⑤実験結果 ⑥覆瓦構造の定量的評価
実験装置の概要 表-1 各GAINのでのエラーの割合 可視光レーザー変位センサの設定 測定モード:高精度モード(測定範囲350mm±100mm)1V=10mm GAIN:AUTO A/D変換カードのソフト(波形データ観測ソフト)の設定 サンプリング周波数:1kH レンジ:±10V ゲイン:1(標準) 水路 水路長:600 cm 水路幅:10 cm 水路勾配:1/150 図-2 実験装置の概要図
アンプユニット A/D変換カード 写真1- コンデンサーの接続 実験装置のノイズ検証の概要 ノイズをコンデンサーで吸収させる 表-2 図-3から読み取った振幅 図-3 アルミアングルの測定値
実験条件 河床材料: 石礫粒径:最大粒径5.64mm 最小粒径1.4mm 最大粒径の混合比:25%、50%、75% 流量:平均粒径の限界摩擦速度に対応する流量 常流状態:Fr<1 通水時間:0~20min、20~40min、40~60min 計測範囲:横断11.2cm×縦断82cm 図-4 各最大粒径の混合比の粒度分布 図-5 粒径別限界摩擦速度
測定ケース 表-3 実験ケース
測定河床を可視化した様子 通水前 通水後60min 通水60分後 図-6 最大粒径の混合比50%の河床形状
最大粒径混合比25% 測定A1,A4 最大粒径混合比25% 最大粒径混合比50% 測定B1,B4 最大粒径混合比50% 最大粒径混合比75% 測定C1,C4 最大粒径混合比75% 粒度分布と平均粒径の変化 図-7 各最大粒径の混合比の粒度分布 図-8 各最大粒径の混合比の平均粒径
水理量 表-4 水温、流量、水深、流速、摩擦速度、掃流力 表-5 流砂量
+の傾きの領域 -の傾きの領域 ⊿y Flow ⊿x 河床位置 覆瓦構造の定量的評価 石礫勾配の割合による評価 1断面縦断方向80cmの河床データを0.5mmピッチでの勾配を算出し、通水前の石礫床と通水後の石礫床で勾配の変化を求め、その勾配の割合によって覆瓦構造の程度を表現する方法である。石礫を上流の値から下流の値を引いて求めたため、負の傾きの割合が多くなる事で、覆瓦構造になる。 正規石礫形状による評価 河床形状を縦断方向において正規化することにより、一つの石礫と見立て定量的に示す方法である。縦断方向のデータ区間を1とし、正規石礫高さを算出した。正規石礫高さは、勾配の配列を降順に並べ替え、原点0に高さ方向の増分を順次加えて求めた。
石礫勾配の割合による評価 図-9 勾配のヒストグラム (混合比25%) 図-11 勾配のヒストグラム (混合比75%) 表-6 勾配の割合(混合比25%) 表-8 勾配の割合(混合比75%) 図-10 勾配のヒストグラム(混合比50%) 表-7 勾配の割合(混合比50%)
正規石礫形状による評価 図-12 水路中央部の正規石礫形状
まとめ ・通水後の写真から覆瓦構造を形成していた石礫の長径は、流れに対して直角である場合が多い。 ・最大粒径の混合比25%では、通水後に上流300cmまでは覆瓦構造が形成され、それより下流域では細粒分が多く覆瓦構造は見られない。平均粒径も上流部では大きく、下流部では小さくなっていた。最大粒径の混合比50%、75%では、通水後に全域で覆瓦構造が形成した。最大粒径の混合比75%では上流に行くに従って、平均粒径が小さくなったが、覆瓦構造を形成している。 ・石礫勾配による評価では、通水後に負の勾配の割合が増加した事から、通水後に覆瓦構造が形成されたと考えられる。最大粒径の混合比25%では、単体での覆瓦構造がみられ、今回対象としている瓦のような形状ではない。 ・正規石礫形状による評価では、通水後に最大粒径の混合比25%は正規石礫高さが低下したことから、勾配の割合に差が低下し、石礫が傾いた様子が示さた。最大粒径の混合比50%は正規石礫高さがあまり変化せず、通水時間ごとで傾きが変化した事から、正の勾配の値が負の勾配に変動した事が示される。最大粒径の混合比75%は、正規石礫高さが減少し、通水時間ごとで傾きが変化していることから、25%と50%の現象が出ている。この評価は、覆瓦構造とそうでない場所の傾きを求めて、覆瓦構造を評価できると考えられる。
今後の展望 ・覆瓦構造の形成実験と現地河川との比較を行う ・覆瓦構造の物理的評価と空間評価を詳細に行うこと が必要である
多自然川づくりが目指すもの ・すべての川づくりは多自然川づくりの理念に基づいて行うこと。すなわち、多自然川づくりは、治水事業・利水事業そのものである。 ・多自然川づくりとは、良好な自然環境が残るところについては、その多様な環境をできるだけ保全し、改変しないように努め、可能であればさらによりよい環境の再生・復元をはかること。 ・ 多自然川づくりとは、すでに良好な自然環境が失われつつあるところについては、環境の悪化を食い止め、少しでも多くの環境の再生・復元をはかること。 ・多自然川づくりとは、地先ごとの対症療法としてではなく、水系全体の視点から考えるべきであること。 ・多自然川づくりとは、地域の暮らしや文化と切り離されたものではなく、地域の特性を踏まえた総合的な川づくりの視点から考えるべきであること。 ・多自然川づくりとは、工事の際の配慮事項だけではなく、調査、計画、設計、施工、維持管理のすべてのプロセスを含んだ河川管理全体のなかで考えるべきであること。 国土交通省 河川局HPより
多自然川づくりとは 常に水系全体の視点を持って、地域の暮らしや文化にも配慮し、 河川が本来有している生物の良好な生息・生育環境、並びに美 しい河川風景を保全あるいは創出するために、河川の管理ある いは整備を行うこと 人々に愛され親しまれる川を次世代に引き継ぐ 国土交通省 河川局HPより
PHABSIMとは Physical Habitat Simulation System/Model:物理的生息場環境評価法 IMIF(Instream Flow Incremental Methodology)により決定された流量が生息場に与える影響を予測する方法がPHABSIMである。 IMIFとは、多くの河川利用者(最も古くからの利用者としての魚類なども含む)が相互に納得する形で流水の利用方法を決めていくためのプロセスに関するフレームワークあるいは方法論あるいは手法体系。 計算法:WUA(Weighted Usable Area:重み付き利用可能生息場面積) 流量に対する生息場の計算が可能。
粒径別限界摩擦速度 芦田・道上の式 岩垣公式 cm-s単位
Einsteinの方法 水路断面を側壁に影響される部分と底面に影響される部分に分割して,側壁の影響を補正する方法である.
① 側壁部分と水路部分における平均流速とエネルギー勾配は同一である① 側壁部分と水路部分における平均流速とエネルギー勾配は同一である ② 摩擦損失係数は、 で与えられ、側壁部分と水路部分についても成立する ③ 側壁と水路床における粗さは,それぞれの部分で同一である Vanoni-Brooksの方法 Vanoni-Brooksは,1942年にJohnsonによって提案された側壁影響の補正方法を修正し、水路断面を水路床と側壁に影響される部分の2つに分割して次のことを仮定した 滑面管路のBlasiusの式
合成粗度係数 合成粗度係数 m-s単位 マニング・ストリクラーの式 m-s単位
流量の算出 直角三角堰の式(沼地・黒川・淵沢が求めた実験式 ) 式の適用範囲 図-3.18 直角三角堰の切欠き図 直角三角堰の式から算出した流量Xと測定流量Yの関係式