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テロの歴史と現状. 社会安全政策論第10回. テロリズムとは . *恐怖と不安の拡散により、政治的と称する目的の達成に資することを意図した組織の暴力犯罪活動 ~ICPO決議。警察庁国際テロリズム対策課も同様 (米国務省定義) 国家より下位の集団又は秘密工作員により 非戦闘員を標的に敢行される 計画的な政治的動機に基づく 暴力行為 一般大衆に影響を与えることを意図. テロとは?(田中説). 社会的な目標(政治、宗教)達成のため 政治家・一般大衆の行動変化を目的に 直接的な暴力による恐怖を利用した 組織的犯罪(ただし、個別には個人犯罪として捉えうる場合もある).
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テロの歴史と現状 社会安全政策論第10回
テロリズムとは *恐怖と不安の拡散により、政治的と称する目的の達成に資することを意図した組織の暴力犯罪活動 ~ICPO決議。警察庁国際テロリズム対策課も同様 (米国務省定義) • 国家より下位の集団又は秘密工作員により • 非戦闘員を標的に敢行される • 計画的な政治的動機に基づく • 暴力行為 • 一般大衆に影響を与えることを意図
テロとは?(田中説) • 社会的な目標(政治、宗教)達成のため • 政治家・一般大衆の行動変化を目的に • 直接的な暴力による恐怖を利用した • 組織的犯罪(ただし、個別には個人犯罪として捉えうる場合もある)
なぜテロが起こるのか? • 歴史的には、政治体制の変革目的 ~圧政からの解放 • 20世紀以降は、 ①国際共産主義 ②民族国家樹立 ③イスラムへの攻撃撃破 等を目標とするものが多い • 階級格差、南北(東西)問題が底流 (cf.犯罪と貧困)
テロリズムの歴史 • フランス革命時のジャコバン党による恐怖政治が語源(レジーム ドラ テルール) • ロシア革命時 • 植民地解放闘争~アルジェリアのFLNテロ • 南アのマンデラもテロリストとして28年間投獄 • イスラエル建国もテロ(イルグーン団)による ⇒パレスティナ問題の発生
戦後の国際共産主義テロ • 植民地闘争からパレスティナ独立闘争へ ~共産主義による世界革命(左翼反体制テロ)の一環 • 1968:イスラエル国営航空機ハイジャック事件(P FLF。テロリスト釈放要求) • 1972: 欧州一斉蜂起と日本赤軍 • ミュンヘン五輪事件(イスラエル選手2名射殺、政治犯釈放要求。人質9人・犯人射殺)→PLO認知 • テルアビブ空港乱射事件(24人死亡) • よど号事件(ハイジャック犯要求に屈し赤軍メンバー等11人釈放)
共産主義とテロ • 共産主義の特徴 :革命の必然性・暴力性・国際主義 ~コミンテルンを通じソ連指導下に世界へ 暴力革命輸出 • 日本共産党 ①「国際共産党日本支部」として発足(1922) →コミンテルン指揮下で非合法活動 ②戦後は51年から暴力闘争へ(~56) ③活動方針変更とともに過激派が分派
日本のテロ 1 • 国内テロ~三菱重工ビル爆破、警視総監邸爆破、成田東峰十字路事件など。 • 国外テロ~PFLPと共同武装闘争 • よど号事件(1970)~共産同赤軍派の活動家9人が129人を人質に北朝鮮に投降→拉致事件に関与 • テルアビブ事件(1972)~空港で乱射。24人死亡、76人重軽傷。 • ドバイ事件、ハーグ事件 • 北朝鮮による日本人拉致
日本でのテロ 2 • 「悪魔の詩」訳者(筑波大学助教授)殺害(92) • オウム事件(94.95) ~松本で7人、東京で12人殺害。 *都市における化学兵器 初使用テロ ⇒公安調査庁の観察対象
テロ国家北朝鮮 • 1968:武装部隊による朴大統領暗殺未遂 • 1983:ビルマでの全大統領暗殺未遂(21人死亡) • 1987:大韓航空機爆破(115人死亡) ~ソウルオリンピック妨害目的 • 2001:九州沖で重武装した工作船と銃撃 *スパイ教育、なりすましのため日本人を拉致 *韓国・日本への工作(スパイ)事件多数
テロ原因の変化 • 民族国家生成のためのテロ~仏、米、ロシア、イランほかアジア、南米、中東、アフリカ各国 • 資本主義・共産主義対立時の反体制テロ • イスラム過激派テロ • 民族浄化 • 狂信者によるテロ • 右翼テロ
・ソ連のアフガン侵略(1979・12)に対抗するイスラムテロ組織。・ソ連のアフガン侵略(1979・12)に対抗するイスラムテロ組織。 ・湾岸戦争(1990)で米がサウジに駐留、イラク戦争→敵を米などの先進国に ・「基地」軍事訓練組織(もともとは米が支援) ・市民標的に攻撃。自爆テロ UBL アルカイダの特徴
9・11までのテロ • 1993:世界貿易センタービル地下駐車場爆発事件 (6人死亡、1000人負傷) • 1994:フィリピン航空機内での爆発事件 ~日本人1名死亡、那覇に緊急着陸 →ボジンカ計画 ・東南アジア発アメリカ行航空12機同時爆破計画 ・マニラアジトから、法王、クリントン大統領暗殺、国連本部 爆破計画書 • 1998:ケニア・タンザニア米大使館爆破(200人以上死亡) →これらの背後にUBL
9・11テロと対策 9.11事件:旅客機が高層ビル、国防総省に 突入。3000人が死亡。 • アルカイーダとの戦争へ • テロネットワークへの包括テロ対策 • テロが国際問題から国内犯罪対策へ • 遡及的捜査でなく、予防的捜査に重点。 • 情報の収集、共有強化 捜査(FBI)と諜報(CIA)の協力
アルカイーダの活動と日本 • 日本も主要な標的国 • 「悪魔の歌」訳者殺害事件(筑波大、1992) • アルカイーダ幹部による米向け飛行機テロ(ボジンカ計画・1994年) • 2003UBL声明:「英、西、豪、ポーランド、日本、伊に適当な時期と場所で報復」 • 日本にリオネルデュモンが他人名義旅券で潜伏~イスラムコミュニティは9万人 • 日本人殺害に[金500グラム]報奨金(04・5)
リオネル・デュモン事案 アル・カーイダ関係者の不法入出国事案 氏名 : リオネル・デュモン (Lionel DUMONT) 国籍 : フランス ○2003年12月、独当局により逮捕 手配 : ICPO赤手配 資産凍結 : 国連制裁リストに登載、日本も告示 ○ 他人名義の旅券で数回にわたり日本に入出国 ○ 国内で外国人登録証を取得 ○ 別のイスラム過激派メンバーと国内で同居 ○ 日本でデュモンと関係のあった外国人が2004年9月にフランスで逮捕
最近のテロ • インドネシア爆弾テロ(02)~202人死亡* • スペイン列車爆破(04)~191人死亡* • ロシア航空機爆破(04)~90人死亡 • 北オセアチア学校占拠(04)~331人死亡 • ロンドン列車・バス爆破(05)~56人死亡* • アンマンホテル爆破(05)~57人死亡* この他、イエメン、モロッコ、トルコ、サウジでも
テロ未遂事案 • 英国でのアルジェリア人リシン所持(03) • オーストラリアにおけるテロ計画(05/11) • 22名を逮捕。爆弾材料、武器を押収 →原子炉を標的か? • カナダにおけるテロ計画(06/6) • トロントで17名逮捕。硝酸アンモニウム、拳銃 • 情報機関、軍、放送局、証券取引所、議会標的 • インターネットで資料収集、材料調達 →大量殺戮容易 • 潜在的テロリストの発見は困難 →予防手段重要
テロ対策の基本的考え方 • テロの原因除去は不可能 • テロを起こしにくい環境作り→未然防止 • テロを初期段階で探知、阻止する手段を整備 • 発生時に被害最小化 • 再発防止のための措置
テロの未然防止に関する行動計画04・12 • テロ防止対策を列挙 • APIS活用 • 入国時に生体情報認証 • スカイマーシャル • 紛失・盗難旅券情報データベース利用 • IC型旅券 • 外国人宿泊者本人確認 • 爆発物等原料管理 • 空港危機管理官、 港湾危機管理官設置
テロの未然防止のために近時導入された主な制度・施策テロの未然防止のために近時導入された主な制度・施策 出入国管理等に関する取組 ・ 乗員、乗客情報の事前報告の義務化(本年2月から実施) ・ 入国時における、指紋等の個人識別情報の提供を義務付け(本年11月までに実施予定) ・ テロリストとして認定された者の国外退去強制(平成18年6月から実施) ・ IC旅券の導入(平成18年3月から発行)、航空会社による旅券確認の義務付け (平成17年12月から実施) ・ 旅館等の宿泊者名簿の記載事項に、外国人宿泊者の国籍、旅券番号を追加 (平成17年4月から実施) 等 テロの手段を封じるための取組 ・ 爆発物、火薬類等を輸入禁制品に追加(平成17年4月から実施) ・ 生物テロに使用されるおそれのある物質の保管・管理の強化(本年6月から実施) 等 テロ資金を封じるための取組 ・ テロ資金対策に係るFATF勧告の実施(平成20年3月までに実施予定) 等 テロの対象となり得る施設の安全性を高めるための取組 ・ 航空機内への凶器(刃物、先端が著しく尖っているもの等)の持ち込み禁止(平成14年5月から実施) ・ スカイマーシャル制度(航空機への警察官の警乗)の導入(平成16年12月から実施) ・ 原子炉の防護措置の強化、治安当局による立入検査の実施(平成17年12月から実施) 等 ※ 赤字は法令事項
06年出入国管理法改正 • 外国人入国時の顔画像・指紋採取 • テロリストの入国拒否・強制退去 • 旅客名簿事前提出(APISを根拠づけ) • 乗客の旅券確認義務(05年改正) • 関税定率法改正~爆発物取り締まり強化
テロリストに対する入国規制の概要 問題点 テロリストの退去強制等は、テロの未然防止には極めて重要。 しかし、現行の入管法では、「テロリストであること」のみでは 退去強制事由に該当しない。 2006年国会で改正入管法が成立 【内容】 ○ 次のいずれかに該当する外国人を退去強制の対象とする ① 警察庁など関係省庁の意見を聴いて、法務大臣が公衆等脅迫目的の犯罪行為 を行うおそれがあると認める者 ② 国際約束(国連安保理決議など)により、入国を阻止すべきとされている者 ○ 退去強制の対象とすることで、上陸審査時から身柄拘束が 可能となる上、 政府の責任で送還することが可能
事前旅客情報システム(APIS)の概要 ヒット情報通知 ヒット情報通知 乗客・乗員情報 乗客・乗員情報 ヒット情報通知 2005年1月4日運用開始 (航空会社が任意に協力) 2006年国会で改正入管法・改正関税定率法が成立 船舶・航空機の長に対し、事前に旅客・乗員情報の提供を義務付け A P I セ ン タ ー 法務省 入国審査 乗客・乗員情報 航 空 会 社 照合依頼 ヒット情報通知 警察庁 警察捜査 財務省 税関検査
外国人テロリストの追跡調査に支障 外国人宿泊客の本人確認 問 題 点 ○ 宿泊者名簿の記載事項に国籍・旅券番号がない ○ 記載があっても不正確な場合あり ○ 警察に対する協力が得られないケースあり 既に講じた措置 (2005年4月) ○ 宿泊者名簿の記載事項に国籍・旅券番号を追加 (旅館業法施行規則の改正) ○ 旅館業者は外国人宿泊者に旅券提示を求め、写しを保存 ○ 旅館業者は、捜査機関からの名簿閲覧請求に対して協力 (厚生労働省の通知)
問 題 点 問 題 点 ○ 爆発物、火薬類等の危険貨物は輸入 禁制品ではなく、税関職員に直接的な 犯則調査権限がない ⇒ 疑いがあっても質問検査できない ○ TATPなど爆弾テロに使用されるおそれ のある爆発物の原料の中には、薬局等で 容易に入手できるものがある 例 : 過酸化水素(オキシドール) 原料管理強化 輸入管理強化 既に講じた措置 (2005年3月) 既に講じた措置 (2005年4月) ○ 厚労、経産、農水省が、関係業界に 通達を発出 ○ 関税定率法を改正 ・ 爆発物、火薬類、化兵法の特定 物質を輸入禁制品に追加 ・ 爆発物原料の盗難防止措置 ・ 必要に応じ、購入者の身元確認 ・ 不審な大量購入時の関係機関へ の通報 爆発物原料の管理強化・爆発物等の輸入管理強化
資金源対策 • 9・11は50万ドル、ロンドンテロは8000ポンド • インターネット利用により安価にテロ可能 • 銀行、地下銀行、運び屋を通じ、宝石、貴金属化により資金流動 • テロ資金供与防止条約(2002発効) • 日本でも本人確認制度、疑わしい取引の届出制、テロ資金収集・提供可罰化 • FATF~国際基準策定(40の基準)→日本の対応 • 本人確認、届出を義務づける職業の拡大 • FIUを警察庁に移管 • 資産凍結処分強化」
テロ資金提供処罰法(2002年) ○ テロ行為に用いられることを知りながら資金を提供する 行為の犯罪化 ○ テロの資金の収集行為の犯罪化 金融機関等本人確認法(2002年) ○ 金融機関等による、運転免許証等による顧客等の本人確認 及び本人確認記録の作成・保存 ○ 顧客等との取引記録の作成・保存 ※ 両法によりテロ資金供与防止条約を批准