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日本企業における BOP ビジネスの可能性と課題

日本企業における BOP ビジネスの可能性と課題. 千葉大学 内山ゼミナール. ねらい. 近年世界で注目されている、低所得者層を対象とした「 BOP ビジネス」について成功事例、不成功事例を通して 日本企業が今後「 BOP ビジネス」を展開していくための可能性と課題を考察していく。. 目次. 第 1 章  BOP ビジネスの概略と可能性 第 2 章 不成功事例      ~ P&G の BOP ビジネス~ 第 3 章 成功事例      ~味の素の BOP ビジネス~ 第 4 章  BOP ビジネス成功のために 終章 日本企業の進むべき道

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日本企業における BOP ビジネスの可能性と課題

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Presentation Transcript


  1. 日本企業におけるBOPビジネスの可能性と課題 千葉大学 内山ゼミナール

  2. ねらい 近年世界で注目されている、低所得者層を対象とした「BOPビジネス」について成功事例、不成功事例を通して 日本企業が今後「BOPビジネス」を展開していくための可能性と課題を考察していく。

  3. 目次 第1章 BOPビジネスの概略と可能性 第2章 不成功事例      ~P&GのBOPビジネス~ 第3章 成功事例      ~味の素のBOPビジネス~ 第4章 BOPビジネス成功のために 終章 日本企業の進むべき道     ~BOPビジネスと日本企業のこれから~

  4. 1章 BOPビジネスの概略と可能性 担当 : 工藤 真衣

  5. 1. BOPビジネスとは? 1.75億人 年間所得20000ドル 14億人 年間所得3000ドル Win-Win の関係! 5兆ドル この層を対象とする⇒ 40億人 BaseOfthe Pyramid 年間所得3000ドル以下     市場規模⇒40億人,5兆ドル(約470兆円)=日本の年間GDP 特徴⇒ BOP層の生活向上(貧困削減)、慈善事業ではなく本業 (収益の確保)、持続可能性の確保(サステナビリティ) BOP層自身がビジネスの担い手、 消費者であり生産者であり販売者

  6. BOPビジネスによる貧困解決⇒貧困ピラミッドから富めるペンタゴンBOPビジネスによる貧困解決⇒貧困ピラミッドから富めるペンタゴン 2.1 BOPビジネスの効用(経済開発視点) TOP MOP BOP TOP TOP MOP MOP BOP

  7. 2.2 BOPビジネスの効用(企業視点)

  8. 3. BOPビジネスが注目された背景 先進国市場の相対的縮小、   途上国市場の成長・拡大 薄利多売のビジネスモデル →世界経済における新たな市場 「ボリュームゾーン」 今のうちから手をつけよう! (億人) 予測値 途上国 BOP市場を制することは、 将来の市場基盤を 確固たるものにする (年)

  9. 4.1 BOPビジネスの市場分析(分野とその内容) (出所)IMF and WRI (2007) "NEXT 4 BILLION"

  10. 4.2 BOPビジネスの市場分析(地域別市場規模) BOP市場規模の地域別内訳 4290億ドル (4.86億人) 1340億ドル (0.42憶人) 4580億ドル (2.54億人) ( ) ( ) (出所)IFC、WorldResourcesInstitute 「THENEXT 4 BILLION」(2007)

  11. 5. 日本の現状 ●BOPビジネスに対する   認知度が低い ●外国企業と比較すると、   出遅れている!! ●進出企業でも  約7割が市場撤退   している!!(JETRO調査より) BOPビジネス成功の ために必要なこととは? (出所)2008Annual Statistical Report on United Nations Procurement(UNOPS)

  12. 2章 BOPビジネスの不成功事例 〜P&GのBOPビジネス〜 担当 : 小山 俊樹

  13. 1.「NutriDelight」の販売(1999年) ①BOPビジネスの概要(in the Philippines) •すべての必須微量栄養素が含まれ、味も良く(オレンジ味)、安価        な粉末状の栄養ドリンク製品を開発。  •先進国の市場でP&G製品を販売する際に多用している戦略と     ビジネス手法をそのまま駆使し、フィリピンで販売。 •製品の性質上、微量栄養素の利点に関する教育活動     に最もコストを費やした。    不成功…

  14. 1.「NutriDelight」の販売(1999年) 製品は途上国の問題を念頭に開発されたが、 発想が先進国向けのものだった!! ②BOPビジネスの不成功要因   (1)価格の適正性の不足(他の粉末ドリンクより約5割高)   (2)インフラの未整備に対する対応不足   (3)人々の需要の喚起不足   (4)現地密着性の不足

  15. 2.「NutriStar」の販売(2001〜2003年)2.「NutriStar」の販売(2001〜2003年) ①BOPビジネスの概要(in Venezuela) •「NutriDelight」から「NutriStar」にブランド名を変更  •現地で安定した実績を持つ新たなパートナーシップ構築 e.g.)NGO、現地企業、地元の小児科医協会 •価格:1袋30~40セント(約32~40円) •販売場所:       ・食料品店⇒“taller ,stronger and smarter kids”をスローガン          ・マクドナルド⇒Cajita Feliz[カヒータフェリス](ハッピーセット)のドリンク       ・学校⇒サンプリング販売(教育キャンペーン)                  

  16. 2.「NutriStar」の販売(2001〜2003年)2.「NutriStar」の販売(2001〜2003年) ②BOPビジネスの不成功要因    (1)価格の適正性の不足 (炭酸ドリンクの約3割安、他の粉末ドリンクの約2.5割高)    (2)現地密着性の不足        (本当に栄養を必要としているBOP層の人々にはマクドナル          ドなどに行く余裕はない) (3)政情不安が追い討ち 2度目の市場撤退…

  17. 【参考】P&Gの今(成功事例) 失敗を教訓にし、適切なパートナーシップ構築、適正な価格設定、徹底的な現地密着化により現在ではうまくいっている。   2004年からCSR活動の大きな取り組みの一つとしてChildren’s Safe Drink Program(子供のための安全な飲料水プログラム)を掲げている。 ◎「PUR(ピュア)」の販売(in the world) •水を浄化する粉末。(粉末1袋→10リットルの飲料水) •価格:10セント(約8円;卵1個に相当 in the Philippines) •2009年度時点で、累計16億リットル、推定9000        名以上の命を救うのに相当する量を届けた計算。

  18. 3章 成功事例〜味の素のBOPビジネス〜 担当 : 冨士原 匠

  19. 1.1 世界に普及する「味の素」

  20. 1.2 活動の目的 • 潜在市場を掘り起こす   うまみをとりにくい環境にあり栄養不足などの食に関する課題が健在    「うま味」摂取を軸に、食課題を改善

  21. 1.3 3つのキーポイント 新市場開拓における味の素独自のミッション • Affordable  誰でも気軽に買える • Available    いつでもどこでも買える • Applicable    どのような料理もおいしくすることを伝える

  22. 2.成果:ナイジェリアの国内消費量

  23. 3.1 「誰でも気軽に買える」の実現 • 品種・価格政策:一物一価  消費者購入価格を起点にした品種・価格政策 →小袋・中袋、箱の順番で価格設定 小袋:1コイン(通貨単位)/1ユニット(重量単位)

  24. 3.2 「いつでもどこでも買える」の実現 ナイジェリア直販体制ネットワーク   支店25箇所  ほぼ全国を直接販売によってカバー             理由:インフラ整備が必要不可欠

  25. リーフレット付き サンプリング販売 路面小売店向け 説明販売 3.3.1 「どのような料理も おいしくすることを伝える」の実現 販売促進活動

  26. 3.3.2「どのような料理も おいしくすることを伝える」の実現 • 試食キャラバン活動 主婦が子供の送り迎え、世間話のために外出する機会   を捉え、学校、移住地近くの広場で、ダル(豆)スープをキーメニューとし、「味の素」のon/offを比較試食

  27. 4.1 拡大する海外売上高 • BOPビジネスの重要性は確実に増してきている • 理由:デフレや金融危機による国内消費量の不振をカバーできるため         会計上にも成果が出ている

  28. 4.2 成果:拡大する海外売上高  ①海外売上高は右肩上がりである  ②海外営業利益が増加傾向である  ③金融危機においても売上高の落込みは低い 重要性が高い  出所:http://diamond.jp/articles/-/7949(ダイヤモンドオンライン)

  29. 4.3 成果:拡大する海外売上高 • 2010年の味の素の連結営業利益は当初予測から170億円増額修正し、660億円になると発表    味の素はBOPビジネスにおいて成功している企業といえる

  30. 第4章 BOPビジネス成功のために 担当 : 峯岸 有希

  31. 1.P&G(不成功)・味の素(成功)の要因 【味の素の成功要因】 ・小袋価格設定 ・直販システムの完備 ・試食会などの宣伝活動 【P&Gの不成功要因】 ・適正価格の不一致 ・流通確保のためのインフ  ラの不整備 ・需要喚起の不具合 ・ターゲット層の不一致

  32. 2.BOP層の消費力を創り出すには ① 手頃な価格設定  ② 製品・サービスへのアクセス  ③ 入手のしやすさ 土着化とは・・・? BOP市場で必要とされる3原則 カギ : この原則を踏まえた地域への土着化

  33. 3.1新たなステークホルダーと               コミュニケーションをとる3.1新たなステークホルダーと               コミュニケーションをとる ・ 対象となるステークホルダー : 貧困者、弱者、非識字率者、無関心者、利害対立者 BOPペナルティーをもつ ①交通の便の悪さから市場に出るには高いコスト         ②粗悪で高額なサービスを提供する地元業者による搾取の犠牲 ・ BOPペナルティーの解消 ⇒ 新たな消費者余剰を創出 ・ 同じ視点でコミュニケーション(手法:参加型農村調査法などの現地調査)をとれば…   ⇒ 障害を発見できる   ⇒ BOP層の生活改善のための真のニーズを見極めることができる      成功例)味の素の小袋販売 33

  34. 3.2現地のパートナーと共同開発する 現地のパートナー・・・現地のNGO,コミュニティ,町村レベルでの 地方政府など cf.×中央政府,現地の大企業            ・ 低所得者層市場から遠い             ・ 政権の腐敗、政治の風向きの変化といった              悪影響を受けやすい   例)P&G

  35. 3.2現地のパートナーと共同開発する ・ ユーザーに直にアプローチ     ⇒低所得者層市場から遠い ・政権の腐敗などの悪影響を        受けやすいといった問題の回避 ・ 途上国のニーズ・人脈に精通     ⇒当該国で製品・サービスを提供してくれる販売員を見つけ、       育成することが可能に ・ 現地の環境に関する知識、合法性の情報を提供してもらえる     ⇒必要資源へのアクセス、設備調達、マーケティングが容易に

  36. 3.2現地のパートナーと共同開発する 日本企業の ステークホルダー に対する重視度 (出所) 経済同友会(2003)『第15 回企業白書』 36

  37. 3.2現地のパートナーと共同開発する (出所) 日本経済団体連合会 「2008年度における社会貢献活動実績に関する調査」

  38. 3.3 小規模の低コスト調査と低コスト実験を     繰り返す3.3 小規模の低コスト調査と低コスト実験を     繰り返す ・ 小規模なら・・・ ①スピーディかつ継続的に学習できる   ②失敗を早期に見極め、会社に大きな負担がかかる前に中止しやすい ・ 方法 ・ プロトタイプの商品開発・テストマーケティング         ・ 試験販売   成功例)味の素の「試食キャラバン活動」 ・ 評価 :    短期利益・高マージンを期待することができない  → 販売量と資本効率の測定・評価を軸とした投資判断のための新たな    評価基準・指標 ⇒ リアルオプション分析が有効 38

  39. 3.4 企業ー日本政府機関の連携 日本 :・ BOPビジネスについての認知度が低く        情報が少ない      ・ NGOとの連携事業に馴染みがない     政府機関と連携することも有効!

  40. 3.4 企業ー日本政府機関の連携  主体 : 経済産業省    ・2009 年度「官民連携によるBOPビジネスの推進」の取り組みを開始   ・BOPビジネス政策研究会を設立   ⇒多くの支援事業を実施      フォーラム・普及啓発セミナーの開催、公募で選考された企業との      現地F/S調査など       政府機関の支援の存在を知り活用する企業が増えれば...   今後日本企業がBOP市場で事業を展開し成功させる可能性は大きい

  41. 終章 日本企業の進むべき道〜BOPビジネスと日本企業のこれから〜終章 日本企業の進むべき道〜BOPビジネスと日本企業のこれから〜 担当:メンバー全員

  42. 1. 進出すべき地域 (出所)IFC and WRI (2007)"THE NEXT 4 BILLION"

  43. 2.1 今後取り組むべき10の分野(解決すべき社会課題) ① 教育    低い成人識字率(例:バングラデシュ74%、エチオピア36%)や、初等教育    就学率(例:ベトナム88%、エチオピア61%)等の改善 ② 保健医療・福祉    高い乳幼児死亡率(例:バングラデシュ5.4%、エチオピア10.9%)の改善 ③ 水・衛生    改善された水源を利用できる人口の率(例:バングラデシュ74%、エチオピ       ア22%)等の改善 ④ 農林水産業 農林水産業における生産の高効率化等による所得向上 ⑤ 食料・栄養飢餓の削減や栄養状況(例:5歳未満児栄養失調割合: バングラデシュ48%、エチオピア38%)等の改善

  44. 2.2 今後取り組むべき10の分野(解決すべき社会課題) ⑥ 環境エネルギー機器  省エネ技術(例:太陽光発電技術)等を活用した電化、ネットワーク等 ⑦ 家電電器・産業機械  安心で安全な家電機器による生活の質の向上、1次産業から2次産  業への移行による所得向上等  ⑧ 情報・通信①~⑦の実現に必要な社会基盤の整備        ⑨ 金融・ファイナンス(例:情報通信であれば、携帯電話等の生                ⑩ 運輸・輸送機器     産・普及や利用インフラの整備など)

  45. 【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~ 内山製薬株式会社  設立!!!!

  46. 【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~ ・対象:ガスティック(ガスがたまることによる腹痛)に苦しむ人々                                 (大半が子供たち) ・製品:整腸剤(錠剤) ・価格:5タカ(約5.9円)/1錠 ・販売場所:現地の薬局、病院 ・パートナーシップ:グラミン銀行、現地製薬会社、現地NGO、             日本政府(経済産業省) ・販売促進:グラミンレディによる訪問販売         (製品説明、サンプリング販売も)

  47. 【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~ BOP市場で必要とされる3原則を満たせている ①手頃な価格設定 住民の72.1%が月1回(年12回)ガスティックになっている   ・整腸剤にかかる年間費用(1人当たり) →5タカ×2錠(1日あたり摂取量)×年12回 =120タカ(約142円)   ・一人当たりの年間所得(2009年度)→43200タカ(約56160円) ②製品・サービスへのアクセス   病院への平均アクセス時間→全体の69.6%が徒歩約10分 ③入手のしやすさ   ・1錠ずつの小分け販売   ・現地に根付いたパートナーシップ構築によるBOPペナルティー解消

  48. 【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~【ビジネスモデル例】~バングラデシュの場合(保健・医療分野)~ ガスティックで学校に思うように通えなかった子供たちが整腸剤により1日でも多く学校に通えるようになる!! 教育機会の創出!! ・需要予測と社会貢献 120タカ(年24錠購入)×1.6億人(総人口)×72.1%(ガスティック患者割合)×15%(想定市場シェア)=約20.7億タカ(約24.5億円) WIN-WIN関係成立

  49. 最後に BOPビジネスのビジネスモデルは、事 業者と低所得者層がともに発展できる というものです。 このようなBOPビジネスにおける日本 企業の活躍を期待しています。

  50. 参考文献 ・スチュアート・L・ハート 著 石原薫 訳  『未来をつくる資本主義』 英治出版 2008年 ・櫻井通晴 著  『管理会計 第4版』 同文舘出版 2009年 ・C.K.プラハード 著 スカイライトコンサルティング 訳 『ネクスト・マーケット「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ) 』   英治出版 2005年

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