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平成 26 年度 特専「特別支援教育概論」. インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援. 第2章 視覚 障害 の理解と生涯発達支援. 担当:川幡. 1.1 器官の構造・機能. ・ 視覚器は、眼球、視路、視覚中枢及び附属器(眼窩・眼筋・眼瞼・涙器・結膜など)により構成される。 ・目に入った外界の光(視覚情報)は角膜で屈折し、房水(前眼房を満たす透明の液体)、瞳孔(虹彩の働きにより光量を調節する)を経て水晶体で再び屈折し、硝子体を通って網膜に焦点を結ぶ。 ・網膜には錐体細胞と杆体細胞の 2 種類の細胞がある。錐体細胞は中心窩付近に多く存在し、形態覚や色覚に関与している。
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平成26年度 特専「特別支援教育概論」 インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援 第2章 視覚障害の理解と生涯発達支援 担当:川幡
1.1 器官の構造・機能 ・視覚器は、眼球、視路、視覚中枢及び附属器(眼窩・眼筋・眼瞼・涙器・結膜など)により構成される。 ・目に入った外界の光(視覚情報)は角膜で屈折し、房水(前眼房を満たす透明の液体)、瞳孔(虹彩の働きにより光量を調節する)を経て水晶体で再び屈折し、硝子体を通って網膜に焦点を結ぶ。 ・網膜には錐体細胞と杆体細胞の2種類の細胞がある。錐体細胞は中心窩付近に多く存在し、形態覚や色覚に関与している。 ・杆体細胞は周辺部に多く分布し、主に光覚に関与している。
1.1 器官の構造・機能 ・視路は視神経、視交叉、視索、外側膝状体視放線から構成されており、視覚情報を網膜から視覚中枢に伝達する。 ・視覚中枢は大脳後頭部のブロードマン17野、18野、19野からなる。 ・伝達された視覚情報は大脳内で処理され、視覚が成立する。
1.1 器官の構造・機能 ・視機能は、視力、視野、色覚、光覚、眼球運動、調節、両眼視など様々な機能から成り立っている。 ・教育的な観点から特に重要な視機能に視力と視野がある。視力は細かいものを見分ける機能である。 ・一般的にランドルト環を視標とする標準視力表を用いて測定され、5ⅿの距離から1分の大きさ(1.5㎜)のランドルト環の切れ目が識別できる場合、視力が1.0である。 ・視野は目を動かさない状態で見える範囲であり、固視点を中心とする角度で表せられる。 ・片眼で見た場合の正常視野は、耳側が100度、鼻側と上方が60度、下方が70度である。
1.2 障害の定義・分類、原因・出現率 • ・視覚障害とは視機能の永続的、回復不可能な低下を総称した概念である。 • ・視覚障害は大きく盲と弱視に分類される。教育的な観点における盲と弱視の区分は、主に教育活動に用いる学習手段にもとづいている。 • ・盲児 → 点字を使用し、主として聴覚や触覚を活用した学習を行う必要がある者 • ・弱視児 → 矯正視力が0.3未満の者のうち、普通の文字を活用するなど、主として視覚 による学習が可能なもの • ・医学では生まれつきの盲を先天盲、生後失明したものを後天盲と呼ぶ。 • ・心理学的には視覚的経験の記憶の有無から早期盲と後期盲に区分している。 • ・3~5歳くらいまでの失明は視覚的経験の記憶が残らないと考えられている。 • ・医学でいう弱視は、視覚系に異常がないのに視力が未発達の状態であり、教育分野で扱う弱視とは意味が異なる。 • ・教育分野での弱視は、様々な病気の結果、治療が困難で眼鏡等でも治せない視機能の低下により、社会生活や教育で特別な配慮を必要とする社会的・教育的な意味での弱視を意味している。
1.2 障害の定義・分類、原因・出現率 ・視覚障害は、視覚器のいずれに障害がある場合生じる ・盲学校の児童生徒における原因疾患の上位5位(2000年度) 網膜色素変性症、未熟児網膜症、視神経萎縮、小眼球・虹彩欠損、白内障(摘出後を含む)である。 ・厚生労働省の身体障害児・者実態調査によると、2001年の視覚障害児は全国で約4800名と推定され、同年齢者1万人あたり約2人の出現率を示している。
1.3 障害児の心理・行動・発達の特性 • ・視覚障害の発達に及ぼす影響は、整理・解剖学的要因(視覚障害の様相や程度、障害を受けた年齢、視覚障害以外の発達阻害要因等)により一時的に規定される。 • ・二次的要因として①行動の制限、②視覚的情報の欠如、③視覚的模倣の欠如、④視覚障害児に対する社会の態度などがある。 • ・これらは環境的・学習的な要因であり、適切な教育的支援によってかなりの部分を補うことが可能である。 • ・視覚障害児は、発達の過程で目を押したり、眼前で手を振ったりするなどの一連の反復性の行動を多発することがある。→ブラインディズム • ・研究の過程で大多数の晴眼児の幼児期にも同様の行動が確認されている。 → 常同化した状態であると考えられる。 • ・言語の面では、バーバリズムの問題が指摘されている。※しかし誰にでも見られる現象である。 • ・視覚が十分に活用できない場合、補足的な情報を補うなどの配慮が重要である。
1.4 障害の診断・アセスメント • ・学習や生活場面における実態把握のため、様々なアセスメントが用いられる。 発達検査 → 遠城寺式乳幼児分析的発達検査、津守式乳幼児精神発達質問紙、日本版 デンバー式発達スクリーニング検査、広D-K式視覚障害児用発達検査など 知能検査 → 鈴木ビネー式知能検査、田中ビネー式知能検査、WPPSI知能検査、WISC-Ⅲ 知能検査など • ・弱視の見えに関しては、医学的な視機能検査とは別に、教育の場において視機能をいかに活用できるかという観点からの教育的な視機能評価が必要である。 • ・重複障害では視覚障害以外の障害の特性にも十分配慮する必要がある。 • ・また教育機器・支援機器の積極的な活用も重要であるため、適切な製品の選定が求められよう
2.1 早期発見と早期支援システム • ・視覚障害を含めた障害の早期発見・対応システムの根幹 → 乳幼児健康診査 • ・「母子保健法」(第12条)で規定されている1歳半健診や3歳児健診が自治体ごとに実施されている。 • ・3歳児健診では視力検査行い、視力、視野、色覚、両眼視、眼球運動、光覚等をチェックして視覚障害の発見が行われる。 • ・近年、医学・治療の進歩による超低出生体重児の救命率の高まりを背景として、幼児期の未熟児網膜症、知的障害、肢体不自由、言語・聴覚障害などの重複障害を併せもつ割合が増加している。 • ・2000年度の盲学校調査によれば、幼稚部の重複障害幼児は62%に上り、視覚障害の程度も重度化の傾向にある。 • ・課題 →総合的な子どもの発達状況の把握。 医療機関から早期療育・保育機関にスムーズにつないでいくこと。
2.2 盲学校幼稚部における発達支援 • ・視覚障害は他の障害と比較して対象の子どもが少なく居住地域も広汎で、早期対応の場が大きく制限されているのが現状。 • ・視覚障害の早期発達支援を中心的に担っているのが盲学校の幼稚部である。 • ・71校の盲学校のうち47校に設置(2004年度)、271名在籍(香川、2005)。 • ・幼稚園・保育所に在籍しながら幼稚部の相談・指導を受けている子どもが34名、幼稚園・保育所等での幼稚部教員による巡回指導を受けている子どもが17名と倍増。 • ・盲学校幼稚部はセンター的な役割を果たしている。→ほとんどが県内で1校という設置状況。 • ・「盲学校、聾学校及び養護学校幼稚部教育要領」では視覚障害に対応した専門的なケアを行う「自立活動」を設定している。 • ・ねらい → 遊びの指導を中心に「幼稚部における生活の全体を通して」、子どもの発達全般を促進する。 • ・教育課題 → 子どもが安心・安全できる環境を用意し外界からの興味・関心を育て、全身的な運動発達を促し、触覚的・聴覚的な経験を相互的に活用しながら生活経験を拡大していくこと • ・具体的には「手の操作と触覚的観察」「空間認知」「歩行」「形態認知と見ることの指導」 • ・手指の操作機能は触覚による外界への働きかけ、認知機能や知的発達とも密接に関係している。
・視覚障害の子どもは歩行指導が重要な指導内容とされ、認知面の指導としても重要・視覚障害の子どもは歩行指導が重要な指導内容とされ、認知面の指導としても重要 • ・直進歩行や音源直進歩行の獲得により、周囲の状況に応じた歩き方の調整、活動範囲の拡大ができるようになる。 • ・点字学習のレディネスを養うという観点からも幼児期の十分な指導が求められる。 • ・外界への興味・関心を広げ、身体運動や遊びを十分に楽しませることで、それらの行動を減少・改善させていく指導が求められる。 • ・視覚は「経験や訓練にて発達する感覚」であり、弱視の子どもに対するロービジョンケアは「リハビリテーションよりハビリテーションの側面が強い」といわれる(高橋、2002) • ・ロービジョンケアでは子どもの見え方の個人差を十分考慮しながら、残存視力を最大限に活用し、事物の認識力を高める視知覚向上訓練が必要である。 • ・盲学校では、0歳代からの相談・指導や幼稚園・保育所・通所施設等に在籍しながら必要に応じて相談・指導助言を受けるケースが多い。 • 課題 →視覚障害が発見されて間もない0歳代から就学前さらには就学へと連続するような一貫した支 援・相談体制の整備拡充
2.3 幼稚園・保育所における視覚障害乳幼児の保育2.3 幼稚園・保育所における視覚障害乳幼児の保育 • ・視覚障害に対応した専門的なケア・指導の必要性を考慮しながら、保育の場の選定、適切な保育環境が用意されているか、園と専門機関との通園日数などを慎重に判断することが重要。 • ・日常の保育では保育者が子どもへの身近な声掛けや身体接触を重ねることで、人や物の存在を実感させ、心の安定をもたらすことが重要。 • ・そのため、日常的な危険防止策も必要。また安心できるような支援、配慮も重要である。
2.4 保護者・家族への支援 • ・保護者の多くは、わが子の障害を受けとめる間もなく、大きな心理的負担や経済的負担を抱える • ・さらに、「障害者自立支援法」の施行による「育成医療」の廃止、身体障害児の補装具給付規定(「児童福祉法」第21条)の廃止による「一割負担」導入に伴い、保護者の費用負担増大、従来の「育成医療」対象者の制限が行われている。 • ・乳幼児期の福祉サービスを成人と同様の体系に組み込むことは十分な検討を要する。 • ・盲学校幼稚部では前述の教育・指導のほか視覚障害の理解や障害の特性に応じたコミュニケーション方法、家庭における育児上の配慮について助言したりして、子どもの初期発達に必要な母子のかかわりを十分にもてるように支援していくことが求められる。 • ・早期教育相談などを通して、専門機関における教育・指導内容とその成果や効果、地域生活に必要な福祉サービスなどの情報提供、同じ視覚障害児の子どもをもつ保護者同士の交流・コミュニケーション、情報交換の場を設けるなどの取り組みも重要な支援課題となる。
3.1 視覚障害児の就学と教育形態 • ・視覚障害児教育は特別支援学校(視覚障害)、弱視特別支援学級、弱視通級指導教室及び通常学級で行われる。 • ・2002年に文部科学省から出された「障害のある児童生徒の就学について(通知)」 盲者 → 両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等のしようによっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難(盲学校) 弱視者 → 拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難(弱視学級) 通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする(通級による指導) • ・この通知では新たに「認定就学者」の規定が設けられ、学校の施設設備や教員の指導上の専門性が確保されていれば、就学基準に該当する障害のある児童生徒であっても、小・中学校に就学できる。 • ・盲学校の児童生徒数は少人数化傾向であり、重複化も進んでいる。 • ・課題 → 弱視学級については大部分の学級で1学級に在籍する児童生徒が1人だけという現状にあり、学校全 体として視覚障害教育に関する専門的知識と技能をどのように共有し、発展させていくか。
3.2 教育課程の編成と授業 • ・視覚障害児教育の教育課程は、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間と、視覚障害にもとづく困難を改善させるための自立活動によって編成される。 • ・指導内容については内容を選定して与えることが求められる。 • ・高等部については本科卒業後に職業教育を行うための専攻科が設置される。 • ・専攻科ではあん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の養成を目的とした理療科であるが、保健理療科や理学療法家、音楽科、情報処理科、普通科がある。 • ・重複障害をもつ児童生徒については一人ひとりの障害の程度や特性に考慮し、教科や道徳、特別活動の一部を自立活動と代替したり、教科・領域を合わせた授業を行うなどの対応が重要。 • ・実際には養護学校に近い内容によって教育課程が編成される。
3.3 指導方法 • ・盲児の指導で基本的な柱は点字、歩行、そして触覚による観察能力の向上である。 • ・点字は縦3点、横2列に並んだ6点の組み合わせである。 • ・盲児にとって点字の習得は行動意欲を高め学習に対する自信を養ううえで重要な意味をもつ。 • ・漢字の知識は日本語の文章を正しく理解するうえで不可欠であり、国語科の時間を中心として指導が行われている。 • ・歩行は「定位と移動」と呼ばれ、定位能力と移動能力の双方を習得させるための指導が行われる。 • ・触覚による観察能力の向上は、日常生活はもちろん、算数・数学の図形理解、理科の観察・実験、社会科の地図の読み取り等の大前提となる。
3.3 指導方法 • ・弱視児に対する指導の最大目標は見る力を最大限に引き出して育てることにある。 • ・弱視児の視覚認知能力には、①見えても見えずの段階、②見る能力相応に見える段階、③見えないものまで見ることができる段階の3段階があるとされる。 • ・実際の指導では、最終的には保有する視力を最大限に活用しつつ、実際には見えていないものについても、それまでの経験や体験をもとに正確な予測を行うことができるようになることが目指される。 • ・ただし、個人差もあるため、教師は「見える」という子どものことばを鵜呑みにせず、本当に見えているのか、見え方はどのようなものかについて常に把握しなければならない。 • ・教室環境は、様々な学習活動を行うことを想定して、適切に設定する。 • ・色彩に対する反応が弱い者のいるため板書ではコントラストが明確な色のチョークを用いる配慮も必要。
3.4 障害理解と自立活動、交流及び共同学習 • ・イギリスにおいて視覚障害児の生活の質を左右するもっとも重要な要因は周囲の人間の接し方であったという。 • ・同国では視覚障害児の80~90%が通常の学級に在籍しており、障害を理由にいじめに遭った経験を持つ子どもも少なくない。 • ・日本でも、弱視の児童生徒が周囲の視線を気にして学習に支障をきたす例がある。 • ・こうした問題は、視覚障害教育において障害理解がいかに重大な位置を占めているかを示唆する。 • ・視覚障害のない児童生徒の共感的理解を育てるための継続的な指導が、視覚障害児に対しては障害とその原因である眼疾患に関する理解を身につけると同時に生きる力を育むことが求められる。 • ・交流及び共同学習では視覚障害の生活や学習への理解を図るために視覚障害児自身が教師役となって指導を行う場面が見られる。 • ・このような経験も障害理解に結び付くだけでなく視覚障害児が自らの学習成果を振り返り自信をつける機会としても有効である。
4.1 高等部卒業後の進路実態と進路指導 • ・盲学校を卒業した者(299名)のうち40.1%が大学、専攻科への進学であった。(2006年度) • ・盲学校の専攻科78.3%を占め、大学・短大等への進学は21.7%であった。 • ・さらに、就職(14.4%)、社会福祉施設や医療機関への入所(26.1%)、教育訓練機関等への入学(2.7%)があげられ該当しない者は16.7%であった。 • ・盲学校の専攻科は視覚障害者の伝統的な職業である三療を学ぶ理療科のほか、理学療法科や音楽科などの職種がある。 • ・視覚障害者にとって三療は長年にわたって安定的な職業とされてきたことに加えて、それら以外の職種への就労はまだまだ厳しい状況にあるという背景がある。 • ・三療を従事するためには筆記による国家試験に合格することが求められているが、その合格率についてはあん摩が75%程度、はり・きゅうについては60%台であり、国家試験への対策は進路指導上の深刻な課題となっている。 • ・さらには晴眼の受験者も増加しており、必ずしも安定した職業とは言えなくなりつつある。 • ・重複障害をもつ生徒の進路は多岐にわたるが、盲重複の者を受け入れる施設は少なく進路先の確保が問題となっている。 • ・近年では、知的障害や肢体不自由の施設に入所したり、一般の企業に就職する事例も見られる。 • ・保護者の連携をもちつつ系統的に指導を積み重ねていくことが大切である。
4.2 継続教育・高等教育と支援体制 • ・視覚障害者への配慮が行われるようになった最初のきっかけは1979年に導入された国公立大学共通一次学力試験であった。 • ・これにより共通一次試験では別室受験と1.5倍の時間延長が行われた。1984年からは弱視者に配慮して拡大文字による出題が開始され1990年には弱視者に対する1.3倍の時間延長も実施されるようになった。 • ・大学進学者の半数が盲の学生であり、その大多数は筑波大学附属盲学校の出身者である。 • ・近年では、視覚障害者が一般の高等学校を経て大学に進学する事例も少数ある。 • ・視覚障害の大学受験に際しては入試問題の点訳を誰が行うかが問題となっていた。 • ・1991年に入試点訳事業部の活動が開始し、大学と契約を結び、点訳スタッフを大学に派遣し視覚障害者に平等な受験機会を提供する役割を担っている。 • ・大学入学後の支援体制は大学によってさまざまであり、未だに発展途上である。 • ・視覚障害学生の大学生活を支えるのに今後は、点訳サークルなどのボランティアグループのサポートに対して大学側がどのように連携していくかが必要であるといえる。
4.3 就労と支援体制 • ・1973年東京都公務員試験と司法試験で点字による受験が開始され、毎年1名ずつ採用している。 • ・1991年には国家公務員についても点字受験が可能になったが、全体を通してみると視覚障害者の雇用情勢は現在も厳しい状況である。 • ・盲学校高等部専攻科以外にも全国に設置されている理療師養成施設、国立身体障害者リハビリテーションセンターならびに職業リハビリテーションセンター、筑波技術大学、日本ライトハウス、職能開発センター等が職業訓練を行い就労支援を担っている。 • ・なかには教職に就くことを希望する者もおり、その多くは盲学校教員であるが英語や社会科等の一般教科で教員になることを目指す者もいる。→ 与座健作さん。 • ・与座さんの例は視覚障害者の職域を切り拓くうえで、盲学校がいかに大きな意義を果たしてきたかを示している。 • ・近年では、校内に求職求人バンクを設置し、卒業生だけでなく県内に居住する視覚障害者に向けて就職斡旋サービスを行ったり、すでに就労している視覚障害者に対しての技能を高めるための研修会を主催する試みもなされている。 • ・就労支援分野でのセンター的機能は今後の盲学校に期待される社会的役割の一つになる。
4.4 地域生活と支援体制 • ・表2-4-2に示される程度の障害があると判定を受け、身体障害者手帳を取得することをもってそうしたサービスの利用が可能となってきた。 • ・2006年4月に施行された障害者自立支援法によりこのサービスの内容と利用手続きが大きく変更された。 • ・障害者自立支援法が規定するサービスは「自立支援給付」と「地域生活支援事業」に大別される。 • ・「自立支援給付」は全国一律の基準を有する「介護給付」「訓練等給付」「自立支援医療」「補装具」の4群から構成される。 • ・「地域生活支援事業」は「相談支援事業」「コミュニケーション支援事業」「日常生活用具給付等事業」「移動支援事業」「地域活動支援センター機能強化事業」を必須事業とし、市町村の判断と工夫によりサービスの利用基準やサービス内容を定めてもよいものとなっている。
4.4 地域生活と支援体制 • ・図2-4-1は6段階の障害程度区分認定を受けたうえで、介護給付の各サービスの利用基準以上の障害程度区分がある場合にのみ申請に基づいて支給決定されることとなったため整理されたものである。 • ・視覚障害者の日常生活を支援するためのサービスとして「補装具費の支給」と「日常生活用具の給付または貸与」がある。 • ・「補装具」は障害者自立支援法によってかかった費用の支給に変更され、利用者が販売業者と契約し、市町村がその費用の9割を支給するという仕組みになった。 • ・居宅介護も重要なサービスであるが障害程度区分1以上の認定がないと利用できない • ・また身体障害者デイサービスは廃止され、「自立訓練」や「地域活動支援センター」などの事業に継承されている。 • ・盲導犬は視覚障害者に自由な歩行を提供するだけでなく、前向きな意欲や安らぎを与え、行動範囲を拡大させる。 • ・2002年に成立した身体障害者補助犬法は「補助犬の同伴を拒んではならない」旨の諸規定を定め、身体障害者福祉法により定められている盲導犬訓練施設では必要な訓練を無料または低額な料金で実施することとされている。 • ・ただし、現在わが国では十分な頭数の盲導犬がいないのが現状