460 likes | 837 Views
意思決定会計論B. 第6回、第7回 戦略的意思決定. 戦略的意思決定とは. Strategic decision 経営の基本構造の決定・変革に関して随時的に行われる意思決定 新製品の開発、新規事業への進出、海外市場への進出、海外への工場建設、新鋭の生産設備の導入、M&Aの実行、既存事業のリストラなど. 設備投資意思決定. 設備資産に関する資本支出の計画 資本予算として実施される. 設備投資意思決定の特徴. 個々の投資プロジェクトそれ自体を対象に行う キャッシュ・フローを用いる 個々の投資プロジェクトの予想貢献年数(経済命数)を計算対象期間とする
E N D
意思決定会計論B 第6回、第7回 戦略的意思決定
戦略的意思決定とは • Strategic decision • 経営の基本構造の決定・変革に関して随時的に行われる意思決定 • 新製品の開発、新規事業への進出、海外市場への進出、海外への工場建設、新鋭の生産設備の導入、M&Aの実行、既存事業のリストラなど 意思決定会計論B
設備投資意思決定 • 設備資産に関する資本支出の計画 • 資本予算として実施される 意思決定会計論B
設備投資意思決定の特徴 • 個々の投資プロジェクトそれ自体を対象に行う • キャッシュ・フローを用いる • 個々の投資プロジェクトの予想貢献年数(経済命数)を計算対象期間とする • 貨幣の時間価値を考慮する 意思決定会計論B
図表7-1 投資決定の基本原則 投資からのリターン R > I 投資額 ↓ 投資案を実行 意思決定会計論B
図表7.2 投資決定意思決定 の評価プロセスと関連基礎概念図表7.2 投資決定意思決定 の評価プロセスと関連基礎概念 I ①原投資額の算定 評価プロセス R>I or R<I ③計算・評価 R ②毎期の経済的効果の見積 関連基礎概念 • CFの見積 • 付随費用 • etc. • CF/会計上の利益の見積 • 経済命数 • 時間価値 • 資本コスト • etc. • 各種評価技法 意思決定会計論B
設備投資意思決定の基礎概念 • キャッシュ・フロー(現金流出入額) • 原投資額 • 毎期のキャッシュ・フロー • 処分時のキャッシュ・フロー • 経済命数 • 貨幣の時間価値 • 資本コスト 意思決定会計論B
キャッシュ・フロー CF • 現金の流出入額 • 財務会計における費用収益対応の原則に基づいて測定された収益・費用とは異なる 意思決定会計論B
原投資額 • 投資案の経済的効果を実現するために必要とされるキャッシュ・フローすべて • 取替投資の場合、旧設備の処分によるキャッシュ・インフローは原投資額から控除する 意思決定会計論B
設例7-1 原投資額=取得原価(本体価格+付随費用) -旧資産売却によるCF =(95億円+5億円)-10億円 =90億円 意思決定会計論B
毎期のキャッシュ・フロー • 投資案実行後の当該設備から得られるCIF(売上高)から、実際に現金支出を伴う費用(COF)を控除した正味CF • 財務会計上の利益には、実際に現金支出のないものが含まれるので注意 • 減価償却費(非現金支出費用) 節税効果(タックス・シールド)をもたらす 意思決定会計論B
毎期のキャッシュ・フロー • 算定手続 • 売上高-(現金支出費用+減価償却費) ⇒ 税引前利益 • 税引前利益-税金 ⇒ 税引後利益 • 税引後利益+減価償却費 ⇒ CF 意思決定会計論B
設例7-2 2年度 3年度 4年度 5年度 100100100100 40404040 18181818 42424242 21212121 • 21212121 • 18181818 • 39393939 1年度 売上高 100 (-)現金支出費用 40 (-)減価償却費 18 税引前利益 42 (-)法人税(50%)21 税引後利益 21 (+)減価償却費 18 キャッシュ・フロー 39 減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数 =(100億-100億×10%)÷5 =18億 意思決定会計論B
処分時のキャッシュ・フロー • 設備投資案の経済命数終了時の当該設備に処分価値がある場合はそれを含める。 • 設例7‐2で、設備の実際の処分価値が残存価額と同額とするならば、第5年度のCFは 49(=39+10)億円 意思決定会計論B
経済命数 • 個々の投資プロジェクトからの経済的効果が生じる期間 • 経済命数は、法定耐用年数とは異なる 意思決定会計論B
貨幣の時間価値 • 時の経過によってお金の価値が変わる 利子が年10%だとすると 現在の1万円は、1年後1.1万円になる 1年後の1万円は、現在9,091円である 9,091円×(1+0.1)≒10,000円 逆に 10,000円÷(1+0.1)≒9,091円 意思決定会計論B
年数 将来価値=現在価値×(1+利子率) 将来価値の求め方 10,000円の将来価値(利子率10%) 0年 1年 2年 3年 4年 5年 10,000 11,000 12,100 13,310 14,641 16,105 10,000円の将来価値(利子率20%) 0年 1年 2年 3年 4年 5年 10,000 12,000 14,400 17,280 20,736 24,883 意思決定会計論B
将来価値 現在価値= (1+利子率) 年数 現在価値の求め方 10,000円の現在価値(利子率10%) 0年 1年 2年 3年 4年 5年 10,000 9,091 8,264 7,513 6,830 6,209 10,000円の現在価値(利子率20%) 0年 1年 2年 3年 4年 5年 10,000 8,333 6,944 5,787 4,823 4,019 意思決定会計論B
1 (1+r) n 複利現価係数表 意思決定会計論B
n -n (1+r) -1 r(1+r) 1-(1+r) r n 年金現価係数表 意思決定会計論B
資本コスト • cost of capital • 資本の利用から生じる価値犠牲のこと • 現在価値に割り引くための割引率 • 投資案の採否を決定するための切捨率 • 銀行からの借入 → 利息 • 社債の発行 → 利息 • 新株の発行 → 配当金 • 利益の留保 → 他に投資した場合の利益 意思決定会計論B
平均資本コストの求め方 • 加重平均コスト(WACC) • 調達源泉ごとの資本コストを、その構成比率によってウエイトづけして平均を求める 意思決定会計論B
金 額 70億円 50億円 60億円 20億円 200億円 資本コストの計算例 借入金 70億円(6%) 資本金 60億円(10%) 社債 50億円(8%) 内部留保 20億円(12%) 資本構成 35% 25% 30% 10% 100% × × × × = = = = 平均資本コスト 2.1% 2.0% 3.0% 1.2% 8.3% 資本源泉 借 入 金 社 債 資 本 金 内部留保 合 計 コスト率 6% 8% 10% 12% 意思決定会計論B
設備投資案の評価方法 • 投資プロジェクトを評価する代表的な技法 • 会計的利益率法(ARR法) • 回収期間法 • 正味現在価値法(NPV法) • 内部利益率法(IRR法) 意思決定会計論B
図表7.6 投資案の評価技法の体系 会計的利益率法 会計上の利益 考慮しない 貨幣の時間価値 経済的効果の測定 回収期間法 DCF法 正味現在価値法 キャッシュ・フロー 考慮する 内部利益率法 意思決定会計論B
税引後平均利益 総投資利益率= ×100 総投資額 税引後平均利益 平均投資利益率= ×100 平均投資額 会計的利益率法(ARR)投資利益率法(ROI) • 投資案の年々の平均利益の原投資額に対する割合を求め、その大小によって投資案を評価する方法 ①総投資額を用いる方法(総投資利益率法) ②平均投資額を用いる方法(平均投資利益率法) 意思決定会計論B
会計的利益率法の長所・短所 • 長所 ①収益性を考慮していること ②会計上の利益と整合性があること ③計算が簡単であること • 短所 ①会計上の利益を用いている ②貨幣の時間価値を考慮していない 意思決定会計論B
設例7.4 • A案 減価償却費:100億円÷5年=20億円 毎期の税引後利益 1期: 10億円(=30億円-20億円) 2期: 15億円(=35億円-20億円) 3期: 20億円(=40億円-20億円) 4期: 5億円(=25億円-20億円) 5期: 5億円(=25億円-20億円) • 総資本利益率{(10億+15億+20億+5億+5億)÷5}÷100億×100=11% • 平均資本利益率{(10億+15億+20億+5億+5億)÷5}÷(100億÷2)×100=22% 意思決定会計論B
設例7.4 • B案 減価償却費:125億円÷5年=25億円 毎期の税引後利益 1期~5期: 15億円(=40億円-25億円) • 総資本利益率15億÷125億×100=12% • 平均資本利益率15億÷(125億÷2)×100=24% • B案の方が会計的利益率が高いので、B案を採用すべき 意思決定会計論B
原投資額 回収期間= 年々のキャッシュ・インフロー 回収期間法 • 原投資額を回収するのに必要な期間を計算し、それが短いものを有利と判断する方法 • 原投資額の回収にはキャッシュ・フローが用いられる • 収益性よりも財務流動性あるいは安全性に重点をおいた方法 意思決定会計論B
回収期間法の長所・短所 • 長所 ①経済的効果の測定にキャッシュ・フローを用いる ②収益性よりも投資額の早期回収を重視 ③計算が簡単でわかりやすい • 短所 ①投資額回収以後の収益性を無視している ②基準となる回収期間の設定が恣意的 ③貨幣の時間価値を考慮していない 意思決定会計論B
設例7.5 • A案 期 CF 累積回収額 累積未回収額 0△1000△100 13030△70 23565△35 3401055 42513030 52515055 • 回収期間: 2年+35/40=2.875年 • B案 • 回収期間: 125/40=3.125年 • A案の方が回収期間が短いので、A案を採用すべき 意思決定会計論B
CF1CF2CF3CFn-1CFn NPV= + + +‥‥+ + -I0 1+r(1+r)2(1+r)3(1+r)n-1 (1+r)n 正味現在価値法(net present value method) • 正味現在価値の大きさによって投資の優劣を決定する方法 • 正味現在価値:投資から得られるCFを資本コストで割引いて求めた現在価値合計から原投資額を控除した、投資から得られる正味の現在価値 会計学総論B
現在価値法の長所・短所 • 長所 ①貨幣の時間要素を考慮している ②内部利益率法より計算が簡単 ③相互排他的代替案の区別ができる • 短所 ①現在価値に割り引くための資本コストを決定するのに問題がある ②完全市場を前提としている 会計学総論B
キャッシュ・インフローの現在価値合計 キャッシュ・インフローの現在価値合計 収益性指数= 原投資額 収益性指数法(profitability index method) • キャッシュ・フローの現在価値によって投資の資金効率を計算する方法 • 収益性指数が1超で、大きいものほど資金効率がよい 会計学総論B
設例7.6 正味現在価値法 • A案 3035402525 NPVA= + + + + -100 1+0.1 (1+0.1)2 (1+0.1)3 (1+0.1)4 (1+0.1)5 =30×0.9091+35×0.8264+40×0.7513+25×0.6830+25×0.6209-100 ≒18.8493(18.8465)億円 • B案 4040404040 NPVB= + + + + -125 1+0.1 (1+0.1)2 (1+0.1)3 (1+0.1)4 (1+0.1)5 =40×0.9091+40×0.8264+40×0.7513+40×0.6830+40×0.6209-125 =40×3.7908-125 ≒26.6315(26.628or26.632)億円 • B案のほうがいい 意思決定会計論B
設例7.6 収益性指数法 • A案 3035402525 NPVA= + + + + ÷100 1+0.1 (1+0.1)2 (1+0.1)3 (1+0.1)4 (1+0.1)5 =(30×0.9091+35×0.8264+40×0.7513+25×0.6830+25×0.6209)/100 ≒1.188493(1.188465) • B案 4040404040 NPVB= + + + + ÷125 1+0.1 (1+0.1)2 (1+0.1)3 (1+0.1)4 (1+0.1)5 =(40×0.9091+40×0.8264+40×0.7513+40×0.6830+40×0.6209)/125 =(40×3.7908)/125 ≒1.213052(1.213024or1.213056) • B案のほうがいい 意思決定会計論B
内部利益率(internal rate of return method) • 投資案の内部利益率を算出し、これを必要利益率(切捨率)と比較し投資案の優劣を評価する方法 • 内部利益率:投資案のキャッシュ・インフローの現在価値とキャッシュ・アウトフローの現在価値を等しくする割引率のこと • 内部利益率の大小によって順位づけするが、内部利益率が資本コスト(切捨率)を上回らないときは投資案は採用されない 会計学総論B
CF1CF2CF3CFn-1CFn + + +‥‥+ + -I0=0 1+r(1+r)2(1+r)3(1+r)n-1(1+r)n 内部利益率 • 以下の算式を成立させる r の値 会計学総論B
内部利益率法の長所・短所 • 長所 ①貨幣の時間要素を考慮している • 短所 ①必要利益率の決定に問題がある ②計算が複雑である 会計学総論B
設例7.7 内部利益率法 • A案 3035402525 0= + + + + -100 1+r (1+r)2 (1+r)3 (1+r)4 (1+r)5 r≒17% • B案 4040404040 NPVB= + + + + -125 1+0.1 (1+0.1)2 (1+0.1)3 (1+0.1)4 (1+0.1)5 =40×0.9091+40×0.8264+40×0.7513+40×0.6830+40×0.6209-125 =40×3.7908-125 ≒26.6315(26.628or26.632)億円 • B案のほうがいい 意思決定会計論B
設例7.8 意思決定会計論B
設例7.8 意思決定会計論B
設例7.8 意思決定会計論B
設例7.8 意思決定会計論B
設例7.8 意思決定会計論B