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11 ・進化主義的人間観. 2011.12.7. 帝京・文化人類学 Ⅱ. 多系進化説 vs 単一進化説 (1). 多系進化説 …… 各地域の人類は、遙か以前に共通の祖先から分かれて以来、それぞれの地域で独自に進化してきた、とする説 単一進化説 …… われわれに直接つながる祖先は、どの地域の人類も、比較的近い過去の同じ祖先から分かれたもので、各地域のさらに古い化石とは直接つながらない、とする説. 多系進化説 vs 単一進化説 (2). 多系進化説 vs 単一進化説 (3).
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11・進化主義的人間観 2011.12.7. 帝京・文化人類学Ⅱ
11・進化主義的人間観 多系進化説 vs 単一進化説(1) • 多系進化説……各地域の人類は、遙か以前に共通の祖先から分かれて以来、それぞれの地域で独自に進化してきた、とする説 • 単一進化説……われわれに直接つながる祖先は、どの地域の人類も、比較的近い過去の同じ祖先から分かれたもので、各地域のさらに古い化石とは直接つながらない、とする説
11・進化主義的人間観 多系進化説 vs 単一進化説(2)
11・進化主義的人間観 多系進化説 vs 単一進化説(3) • 多系進化説は、アフリカに現在住むひとびとの祖先は、ずっと以前からアフリカのなかで進化してきた、またヨーロッパに現在住むひとびとの祖先は、やはりずっと以前からヨーロッパのなかで進化してきた、とする考え方 • アフリカとヨーロッパの親戚関係は非常に遠いものだ、とする考え方につながる • 人種差別主義との親和性が高くなる • 逆に、単一進化説は、アフリカのひとびとの祖先とヨーロッパのひとびとの祖先は、ずっと近しい親戚関係だ、とする考え方になる • 「人類皆兄弟」的なスタンスとの親和性が高くなる
11・進化主義的人間観 進化主義と博覧会 • 1851年のロンドン万国博覧会をはじめとする博覧会は、植民地帝国の威信を示す場であった……帝国内植民地から運ばれてきた工業製品や原料、めずらしい物品などを本国民に「見せる」場 • その「めずらしい」物品の一つとして、帝国内植民地から連れてきた「原住民」が、生活つきで「展示」された • 野蛮→未開→文明という発展図式を見せる装置としての博覧会 • 背景にあるのは、ダーウィン『種の起源』(1859年)に基づく進化主義……人間も「進化」する • 1883年アムステルダム万博で、植民地の原住民が実際に居住する「植民地展示」が注目を集める • 1889年パリ万博(エッフェル塔で有名)でもやはり植民地館で「原住民展示」
11・進化主義的人間観 博覧会における原住民展示(1) 1889年パリ博で「展示」された植民地住民と観客
11・進化主義的人間観 博覧会における原住民展示(2) 1904年セントルイス博で「フィリピン村」に「展示」されたイロンゴット
11・進化主義的人間観 日本における「原住民」展示 • 1903年第五回内国勧業博覧会(大阪)に便乗して設置された「学術人類館」 • 内地に近き異人種を集め、其風俗、器具、生活の模様等を実地に示さんとの趣向にて、北海道のアイヌ五名、台湾生蕃四名、琉球二名、朝鮮二名、支那三名、印度三名、同キリン人種七名、ジャワ三名、バルガリー一名、トルコ一名、アフリカ一名、都合三十二名の男女が、各其国の住居に模したる一定の区域内に団欒しつつ、日常の起居動作を見する……沖縄人から猛烈な抗議を受ける • 1912年拓殖博覧会 • 1914年東京大正博覧会 • 北海道・樺太・朝鮮・小笠原・伊豆諸島・満州・蒙古・南洋などの特設館が設置された……「ジャワ、シンガポール、クンタン、ワイルドサカイ、ベンガリー、キリンの六人種にて男一八人、女七人」(南洋館)
11・進化主義的人間観 拓殖博覧会展示の北海道アイヌの住居
11・進化主義的人間観 拓殖博覧会展示の樺太アイヌの住居
11・進化主義的人間観 進化主義的人間観 • とりわけ19世紀以降の「西洋」と「非西洋」の接触は、進化主義的人間観に基づいて、さまざまな問題を生み出しながら、現在に至っている • 進んだわれわれ西洋人 vs遅れたあの原住民たち • 日本は、はじめ後者の側に立ちかけたが、明治維新後の富国強兵化政策の下で、前者の側に立つことをめざした
11・進化主義的人間観 進化主義的人間観がもたらすもの • 科学主義的=進化主義的人間観に基づけば、 • ヤノマモ(未開人)……文明人であるヨーロッパ人から、キリスト教信仰や合理性などの「叡智」を引き算した存在ヤノマモ(未開人)=「ヨーロッパ人」-「叡智」 • 原始人……現代に生きるヒトから、進化の過程で身につけてきた「知識・技術・能力」を引き算した存在原始人=「現代人」-「知識・技術・能力」 • 「叡智」と「知識・技術・能力」を等価に、「ヨーロッパ人」と「現代人」を等価にみなせば、目前の未開人は、原始人と等しいものとなる • 未開人をモチーフとして、もはやこの世に存在しない原始人の図を描くことになる
11・進化主義的人間観 原始人のイメージ • 原始人は、かつて地球上に存在したが、現在は絶滅した動物である • わたしたちが、見たこともないはずの原始人の姿形が描けるのはなぜだろうか?
11・進化主義的人間観 原始人のイメージ図 • 「原始人」のイメージが、ヤノマミのような人々のイメージから派生した(ヤノマミが先) • 人間はゼロから創造するのは非常に難しいと考えると、ヤノマミを参考に原始人を想像したと考えるのが自然 • 原始人≒ヤノマミ、なのではなく、ヤノマミ→原始人 • モデルなのだから、似ているように見えるのは当然 • しかもその「モデル」としての位置づけは、西洋の自文化中心主義によるところが大きい • では、ヤノマミとは本当はどういう人々なのか?
11・進化主義的人間観 ヤノマモとはどんなひとびとか? • ここまでみてきたように、有史への突入=四大文明の登場(6000~7000年前)以前に、ほとんど全世界にヒトは進出した。 • なかでもモンゴロイドは、環境適応を行ないながら、寒冷地・海洋部へ進出していった。南米にすむヤノマモはいわば「ヒトの進化の最終形態」ともいえる。 • 少なくとも、人間的能力において、ヤノマモとわたしたちとの間に明白な集団的差異(個人的差異ではない)は存在しない……異文化理解の出発点