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4 月 22 日講義 追加分. 早川 智. Gram 陰性菌と疾患 特に腸内細菌 , 食中毒菌. Gram 陰性菌の特徴. 細胞壁のペプチドグリカン層が薄く脂質が多い 外膜が莢膜や粘液層で覆われた構造となっているものが多く、相対的に病原性が高い 外膜は脂質二重膜構造で,アルコールで壊れやすい 莢膜が病原性を高めることがある リポ多糖類(内毒素)が敗血症性ショックを起こす 第一世代 β- ラクタム系に対する感受性が低い 第二世代はグラム陽性に対する感受性が高い
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4月22日講義 追加分 早川 智
Gram陰性菌の特徴 細胞壁のペプチドグリカン層が薄く脂質が多い 外膜が莢膜や粘液層で覆われた構造となっているものが多く、相対的に病原性が高い 外膜は脂質二重膜構造で,アルコールで壊れやすい 莢膜が病原性を高めることがある リポ多糖類(内毒素)が敗血症性ショックを起こす 第一世代β-ラクタム系に対する感受性が低い 第二世代はグラム陽性に対する感受性が高い 第三世代セフェム系ではモダシン(ceftazidime)が緑膿菌を含めたグラム陰性桿菌に対して最も優れている 臨床上問題となるグラム陰性球菌は、NeisseriaとMoraxellaの2種類しかない
systemic inflammatory response syndrome( SIRS )全身性炎症症候群 • 全身性高サイトカイン血液症 • 1992年米国救急医学会と胸部外科学会が従来の敗血症治療の限界に対して包括的に病態を把握するために提唱 • 感染に起因するSIRSが敗血症(sepsis) • 臓器障害、臓器還流異常を伴った場合が重症敗血症(severe sepsis),補液(fluid resuscitation)に反応しない、あるいは昇圧剤vasopressorなどの投与を必要とするような低血圧を合併した場合を敗血症性shock(septic shock)という
感染性食中毒 病原性細菌が 経口感染により体内増殖 腸炎ビブリオ サルモネラ属菌 キャンピロバクター 病原大腸菌
腸炎ビブリオVibrio parahaemolyticus • 主に海水中に生息する通性嫌気性ブドウ糖を発酵好塩性グラム陰性桿菌 • コレラ菌と同様、ビブリオ科ビブリオ属に属する • 汚染された魚介類を生食することで、感染して腸炎 ビブリオ食中毒を起こす • 日本の食中毒ではサルモネラとともに多い • 海水中では、水温が20℃以上のときに活発に増殖 • 東南アジアでも多いが, 欧米では稀 • 1951年藤野恒三郎が発見
約75種ある血清型のうち「O4K8」が1995年まで主流で、1996年から米国や東南アジアに多い「O3K6」に置換約75種ある血清型のうち「O4K8」が1995年まで主流で、1996年から米国や東南アジアに多い「O3K6」に置換 感染症法において、五類感染症の定点把握疾患である感染性胃腸炎に含まれる 生鮮海産魚介類を介した経口感染が主で、ヒトからヒトへの感染はまれ 発症には約100万個以上の生きた菌の摂取が必要 6-12時間の潜伏期の後に、激しい腹痛を伴う下痢(水様便で精液臭あり)を主症状として発症し、嘔吐、発熱(高熱ではない)を伴うことがある。 抗生物質・止痢剤は通常使用しない.
キャンピロバクター腸炎Campylobacter jejuniキャンピロバクター腸炎Campylobacter jejuni 家畜の消化管の常在菌 汚染鶏肉の生食が主 旅行者下痢症の5ー10% 大腸型腸炎;腹痛・発熱・下痢・血便 消化器症状は2-3日で消失 下痢を伴わない場合、虫垂炎との鑑別要 稀にGuillan Barre症候群や関節炎 培養には特殊な培地を要し,時間もかかる 基本的に抗生物質は不要であるがEM感受性 近縁のCampylobacter fetusは免疫不全者で菌血症と悪寒・戦慄など全身症状を来す
大腸菌 Escherichia coli 通性嫌気性グラム陰性の桿菌 遺伝子工学で最も一般的に用いられる 温血動物(鳥類、哺乳類)の消化管常在菌 基本的には無害であるが時に重篤な感染症を来たす(エンドトキシンショックなど) 特に強い毒性のある株を病原性大腸菌という
Theodorvon Escherich 1857-1911 ドイツ生まれ.Gerhardt、Kochらに細菌学を学ぶ 1885年大腸菌を発見 Munchen大学,Graz大学,Wien大学 細菌学・小児科学教授 Säuglingsschutz 設立 母乳哺育を推奨
腸管出血性大腸菌( enterohemorrhagic E. coli ,EHEC) O157(O-157は誤用),O1、O18、O26、O111、O128H7,など強い腹痛、下痢、血便を来たす ベロ毒素(強いリボゾーム毒性)により血便,溶血性尿毒症症候群(HUS)、脳症などをきたす 大腸菌に赤痢菌からDNA断片ファージにより移入
細菌性赤痢(Shigellosis) 下痢・発熱・血便・腹痛などをともなう大腸感染症 細菌性赤痢とアメーバ性赤痢があり,一般的には細菌性赤痢 最近はエジプトで多発.日本では散発 東南アジアからの輸入感染が多い 2000年現在,84%以上がST 合剤、およびテトラサイクリン(TC)に耐性 OFLX耐性も報告
赤痢菌Shigella グラム陰性通性嫌気性桿菌 ヒトとサルのみが自然宿主 1898年、志賀潔によって発見 赤痢菌(Shigella) Shigella dysenteriae(A群赤痢菌・志賀赤痢菌) Shigella flexneri(B群赤痢菌・フレクスナー赤痢菌) Shigella boydii(C群赤痢菌・ボイド赤痢菌) Shigella sonnei(D群赤痢菌・ソンネ赤痢菌) かってはA群,最近はB.D群が多い
赤痢 -2 鞭毛(運動性)がない。 リジン脱炭酸を行わない点や、大部分がラクトースを分解しない点で、近縁の大腸菌やサルモネラと鑑別 ただし,遺伝子レベルでは大腸菌と鑑別が難しい 酸に対する抵抗性は比較的高く,胃酸による殺菌を受けにくい 汚染された食物や水による経口感染 まず,M細胞に感染し,基底側から上皮に侵入 リソソーム殺菌を回避, icsBでオートファジーを回避 icsAが腸管上皮細胞骨格のアクチンを再構成して細胞質内を移動して、さらに隣接する細胞に侵入
志賀毒素(シガトキシン) A亜群に属する赤痢菌の一部(S. dysenteria 1)が産生する外毒素であり、腸管出血性大腸菌のベロ毒素1と同一 プラスミドがコード A(Active)サブユニット)1個と、細胞との結合活性を持つB(Binding)サブユニット)5個から構成 BがGb3ガングリオシドに結合,Aが進入 28SリボソームRNAの4324番目のアデノシンに作用して、その糖鎖を切断(N-グリコシダーゼ活性)し,機能を阻害
粘血便 通常、潜伏期1 ~3日で発症し、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性下痢を呈する。 発熱は1~2日続き、腹痛、しぶり腹(テネスムス)、膿粘血便などの赤痢症状をみる。 近年では重症例は少なく、数回の下痢や軽度の発熱で経過する事例が多い。 通常、S. dysenteriae やS. flexneriは典型的な症状を起こす事が多いが、S. sonneiの場合は軽度な下痢、あるいは無症状に経過することが多い
診断と治療 確定診断は糞便からの赤痢菌の検出 大便からは、DHL 寒天培地やマッコンキー寒天培地で分離する。37℃1夜培養後、直径約1~2mm の無色、半透明、湿潤な集落を形成 遺伝子診断として,腸管侵入性に必須な大型プラスミド上の侵入性関連遺伝子群を検出 強力な止瀉薬は使用せずに、感受性のある抗菌薬っと乳酸菌、ビフィズス菌などの生菌整腸薬を併用 予防は下水道の整備と個人の衛生観念の向上(特に手洗いの励行,生水生食物に注意
サルモネラ腸炎 ヒトに病原性を有するサルモネラ菌は、各種の家畜、家禽類、ペット、爬虫類、両生類、野生動物の腸管に棲息し、河川からも検出される 鶏卵や生肉の摂取、感染動物による食品汚染、水系汚染、ペットからの接触感染が知られる 発熱を主症状としたチフス様症状を呈する例と腹痛を伴う下痢を主症状とする胃腸炎が区別される。臨床症状からサルモネラ腸炎の診断を下すことは困難で、便培養が必須である。
サルモネラ 続き Salmonellatyphi(チフス菌)以外のサルモネラ感染症には抗菌薬を投与しない(保菌状態を長引かせる) 例外として,幼児と高齢者,細胞性免疫低下者(HIV感染,臓器移植後,リンパ腫),人工骨頭,人工関節患者には投与する シプロキサシンやオフロキサシンなどニューキノロンが第一選択となる
バクテロイデスgenus Bacteroides • グラム陰性の偏性嫌気性非芽胞形成桿菌 • 細胞膜にスフィンゴ脂質が含まれてる • 多糖および単糖を代謝して栄養源とし、動物の腸内に大量に存在する。人間の大便には1gあたり100億から1000億個存在 • ビタミンK他を合成 • 基本的には病気の原因とはならないが、日和見感染症の原因となる • エリスロマイシンやテトラサイクリンなどに耐性を示す菌株が増えており、薬剤耐性遺伝子のプールとなる
Porphyromonas gingivalis(P.gingivalis) 通性嫌気性グラム陰性桿菌 成人性歯周炎の発症・増悪に関わる最重要細菌であり、血液寒天培地上での黒色集落形成 赤血球凝集性、ヘモグロビン吸着性、糖非発酵性、強力な菌体表面および菌体外プロテアーゼ産生性
歯周疾患 歯肉炎(歯肉に限局した炎症) 歯周炎(他の歯周組織に波及) 歯周疾患は糖尿病や動脈硬化,早産など全身に影響を及ぼす(歯周病菌連鎖) 永続的に除菌できる抗生物質・ワクチンはまだないので口腔内で殺菌するしかない
緑膿菌Pseudomonas aeruginosa グラム陰性好気性桿菌 自然環境中に存在する常在細菌 健常者に感染することはほとんどない 日和見感染の原因となる 欧米では cystic fibrosisの感染が問題 消毒薬や抗生物質耐性が強く,院内感染の原因
Pseudomonas aeruginosa • 0.7 x 2 µm程度で、芽胞は形成せず、 • 菌体の一端に1本の鞭毛(まれに2-3本)を持ち活発に運動する。 • 菌体の一端には線毛を有する。 • 偏性好気性であり、栄養要求性は低い • quorum sensing で増殖調節 • トリメチルアミンを産生し、腐臭がある • 熱抵抗性は低いが、消毒薬や抗生物質に抵抗性 • ピオシアニンを産生し緑色 • 分離されても、単なるコロニー形成で感染の原因でないことがある。緑膿 菌が出たというだけで安易に抗菌薬を投与しない。
quorum sensing N-アシル-L-ホモセリンラクトン (AHL) と呼ばれる、菌体の内外を自由に行き来することが可能な低分子物質(オートインデューサー)を産生しており、環境中での生育密度が上がると、この物質の濃度も上昇する。この物質は、緑膿菌のさまざまな遺伝子に対して転写因子として働き、さまざまな物質産生を誘導する。AHL自身もまたAHLによってその産生が誘導されるため、この機構は正のフィードバックによる制御を受けている。これらの機構を巨視的に見ると、緑膿菌が自らの生育密度を感知して、その上昇に伴って、さまざまな物質産生を行うことになる。クオラムセンシングは、緑膿菌同士が細胞間で行う一種の情報伝達機構と考えることができる。
ムコイド型緑膿菌=バイオフィルム 粘性の高いムコ多糖 (アルギン酸)を産生し、そのなかで増殖 バイオフィルムは物質表面に対して強く付着しているため、機械的な除去に対して抵抗性が強い バイオフィルムの内部には消毒薬などの薬剤が浸透しにくい 他の微生物や白血球貪食などの、生物的な排除から抵抗性 AHLが拡散せず、局所的な濃度が上昇しクオラムセンシング ムコイドやバイオフィルムの産生が病原性や感染リスクの増加 感染患者から分離される病原性緑膿菌のほとんどはムコイド型であり、感染した粘膜表面などでバイオフィルムを形成 白血球による貪食や抗体、補体など、宿主の免疫機構による排除から逃れ、抗生物質の浸透性低下によって治療も困難になる。 医療用カテーテルの内側などで緑膿菌がバイオフィルムを形成して増殖することで院内感染を起こす
緑膿菌の毒素 エキソトキシンA: 臨床分離される緑膿菌の90%がエキソトキシンA産生 ジフテリア毒素と同じ生理活性がある=タンパク合成阻害 血素 ヘモリジン(タンパク質性の溶血毒) β溶血性 ラムノリピド(脂質性溶血毒) 分泌酵素としては、アルカリペプチダーゼ、エラスターゼ、コラゲナーゼ、リパーゼなど 感染部位の組織を破壊し、細菌の侵入や増殖を容易にすると同時に、出血や壊死などを引き起こす病原因子として働く。
緑膿菌と消毒・抗生剤 グラム陰性菌の中でも特に強い薬剤抵抗性を有する(自然耐性)低濃度のクロルヘキシジン(ヒビテン)は全く無効だが酸や銀イオン・EDTAに対しては感受性 通常のβ-ラクタム系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質は効かない 広域ペニシリン :チカルシリン ピペラシリン 第三世代セフェム:セフタジディム,カルバペネム:イミペネム・シラスタチン、メロペネムや、抗緑膿菌性アミノグリコシド:アミカシン,トブラシン,ゲンタシン ニューキノロン: シプロキサシン
多剤耐性緑膿菌 広域β-ラクタム系、アミノグリコシド系、ニューキノロン系に対して、同時耐性 五類感染症定点把握疾患 硫酸アルベカシン、硫酸ポリミキシンB,コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム が有効
緑膿菌感染症 日和見感染症の原因である カテーテルや気管挿管、手術などの医療行為によって尿道、気道、創傷からの感染を起こしたり、褥瘡や火傷、外傷などで皮膚のバリア機構が失われた部分から感染する 全身感染による、敗血症(致死率約80%) 、続発性肺炎、心内膜炎、中枢神経感染など 院内感染の成立: (1) 緑膿菌が存在しやすい環境下 (抗生物質・消毒薬による選択)で (2) 易感染宿主(基礎疾患あり)が (3) 感染原因になりうる医療行為をうける
Moraxella(Branhamella) catarrhalis オキシダーゼ陽性、カタラーゼ陽性、非運動性、好気性のブドウ糖非発酵グラム陰性双球菌で芽胞は形成しない。一部の菌は莢膜を有する 鼻腔や泌尿生殖 器系の粘膜に常在 急性中耳炎、急性気管支炎、肺炎などの急性 感染症及び慢性下気道感染症急性増悪期、また日和見感染の起炎菌となる 多くはPC,セフェム感受性だが,耐性菌の報告あり
セラチア Serratia marcescens 糞便や口腔などからしばしば分離される常在菌 赤色色素産生株があり,パンがキリストの血で赤く染まる故事に因んで「霊菌」という 蜜蜂には猛毒であるが、ヒトでは日和見感染 内因性感染症:癌の末期や極度の免疫不全状態などの際、腸管からの細菌の侵入を阻止しているバリアの機能が低下し、腸管内に常在している菌が血液中に侵入し、菌血症や敗血症を引き起こす(内因性感染) 腎盂炎などの際に腎臓から血液中に菌が入る場合や、重症の肺炎や術創感染症などに伴って、菌血症や敗血症になることがある(二次感染) セラチアにより汚染された注射剤や輸液ルートが原因で、血液中に菌が人為的に送り込まれる場合(外因性) 普通のセラチアと 多剤耐性セラチアは、治療や対策の際に、区別して取り扱う必要がある
通常のセラチアと多剤耐性セラチア 通常のセラチアは、ABPCやCETなど初期のセファロスポリン系抗生物質に耐性であるが、セフォタキシム(CTX)やセフタジジム(CAZ)などの第三世代セファロスポリン系抗生物質やラタモキセフ(LOX)などのオキサセフェム系β-ラクタム薬、セフミノクス(CMN)などのセファマイシン系β-ラクタム薬、イミペネム(IPM)などのカルバペネム系β-ラクタム薬などに対し良好な感受性を示す 多剤耐性セラチア」には、CTX、CAZ、LOX、CMN、IPMなどに広範な耐性を示すのみならず、アミカシンなどのアミノ配当体系抗生物質や、合成抗菌薬であるレボフロキサシンやシプロフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗菌薬にも耐性を示す
レジオネラ Legionella 通性細胞内寄生性、グラム陰性桿菌 少なくとも46の種と、70の血清型がある 2–5µmで一本以上の鞭毛 レジオネラ感染症(レジオネラ肺炎およびポンティアック熱)の原因 自然環境の常在菌(原生動物や藻類に寄生) 大量の水を溜める場所で繁殖 浴槽などの表面でバイオフィルムを形成 浴槽(24時間風呂),加湿器,水中分娩などで感染 マクロライド系、ニューキノロン系、リファンピシン、テトラサイクリン
在郷軍人 (legionnaire) 平時は家業や民間企業に就し、有事の際に召集される予備役・退役・後備役などの軍人 (日本では憲法9条により予備自衛官という) 在郷軍人ヘノ勅語(旧帝國陸海軍) 朕惟フニ國防ノ完備ハ汝在郷軍人ニ待ツモノ洵ニ多シ汝等戮力 協心陸海一致シテ益軍人精神ヲ鍛錬シ軍事能力ヲ増進シ郷ニ在 リテハ忠良ナル臣民ト為リ軍ニ従ヒテハ國家ノ干城トナリ以テ 其ノ本分ヲ盡サムコトヲ期セヨ
在郷軍人病 1976年にアメリカ合衆国ペンシルヴァニア州で米国在郷軍人会の大会が開かれた際、参加者と周辺住民221人が原因不明の肺炎にかかり、34人が死亡 • 2-10日の潜伏期間を経て高熱、咳、頭痛、筋肉痛、悪感等の症状が起こる。 • 進行すると呼吸困難を発し胸の痛み、下痢、意識障害等 • 死亡率は15%–30%
レジオネラの感染機構 エアロゾルとして吸入,肺胞マクロファージに貪食 殺菌機構を逃れてマクロファージ内で増殖(通性細胞内寄生性) 食胞膜の性質を変化させてリソソームとの結合性を 低下させ増殖(LCV, legionella containing vesicle)
ペスト • Yersinia pesitisは卵型のグラム陰性通性嫌気性桿菌で,両端が強く染色される • クマネズミに寄生する蚤が媒介 • 食細胞に対して強い抵抗性 • ワクチン,抗菌薬の予防投与の有効性あり • テトラサイクリン,アミノグリコシド系,ST合剤が有効
回帰熱 • 齧歯類小動物、鳥類等を保菌動物とし、野生のダニ(オルニソドロス属ダニ)やシラミによって媒介されるスピロヘータ感染症 • アメリカ大陸、アフリカ、中東、欧州の一部で患者の発生が報告されている。本邦では、少なくともここ数十年、患者は報告されていない。 • グランドキャニオンを含むロッキー山脈で流行 • 野生動物、ネズミの出る不潔な宿舎などBorrelia hermsii ,洞窟探検Borrelia turicatae
症状と診断 • 菌血症による発熱期、および感染は持続しているものの菌血症を起こしていない状態(無熱期)を数回繰り返す、いわゆる回帰熱が臨床上の特徴である。 • 致死率は、治療を行わない場合、病原体の種類や健康状態等によっても異なるが、数~30% • [発熱期]感染後5 ~10 日を経て菌血症による頭痛、筋肉痛、関節痛、羞明、咳などをともなう発熱、悪寒がみられる。このとき、髄膜炎、点状出血、紫斑、結膜炎、肝臓や脾臓の腫大、黄疸がみられることもある。発熱期が3 ~7 日続いた後、一旦解熱し無熱期に移行する。 • [無熱期]無熱期では血中からは菌は検出されない。発汗、倦怠感、時に低血圧症や斑点状丘疹をみることもある。この後5 ~7 日してから、再び発熱期に入るとされている。 • 上記症状以外として、肝炎、心筋炎、脳出血、脾臓破裂、大葉性肺炎などがみられる場合もある。 • 診断は分離培養,PCRなど
治療・予防 • ダニ媒介性回帰熱の場合にはテトラサイクリン • シラミ媒介性回帰熱の場合は、テトラサイクリンとエリスロマイシンの併用、若しくはドキシサイクリンが有効 • 小児の場合はエリスロマイシンが推奨されている。 • 治療にともないJarisch‐Herxheimer 反応がみられることもある。 • 予防には、媒介ダニ、シラミとの接触をさけることが重要である。 • 保菌ダニが生息する地域では、ダニが生息する洞窟、廃屋などにはなるべく近寄らないこと
4月22日講義 追加分の訂正ならびにセフェム系に関する追加4月22日講義 追加分の訂正ならびにセフェム系に関する追加 早川 智
Gram陰性菌の特徴 細胞壁のペプチドグリカン層が薄く脂質が多い 外膜が莢膜や粘液層で覆われた構造となっているものが多く、相対的に病原性が高い 外膜は脂質二重膜構造で,アルコールで壊れやすい 莢膜が病原性を高めることがある リポ多糖類(内毒素)が敗血症性ショックを起こす 第一世代β-ラクタム系に対する感受性が低い 臨床上問題となるグラム陰性球菌は、NeisseriaとMoraxellaの2種類しかない
第一世代セフェム系の特徴 • グラム陽性菌に強い抗菌力 • グラム陰性菌に弱い抗菌力 • セファロスポリナーゼに不安定 • 緑膿菌、セラチアに無効 〈注射薬〉 セファゾリン(CEZ)殺菌力大!腎毒性小 〈経口薬〉 セファレキシン(CEX)繁用、吸収力大 セファクロル(CCL)