370 likes | 1.47k Views
わかりやすい力学と 機械強度設計法. (独)海上技術安全研究所 平田 宏一. 第2章 材料強度の基礎. 機械の必要条件. ★ 壊れない ★ 安全である ★ 正しく機能する. そのためには・・・. ★ 適切な材料を使う ★ 荷重が加わっても壊れない形状・寸法にする. どのような荷重が加わるか?. 2.1 強度設計とは. 強度設計の考え方 (荷重の形式,応力). 運動しているときの荷重は?. 静的荷重が設計の基本. どのような材料を使うか?. 壊れなくするための寸法・形状は?. 実験用魚ロボットの例・・・. 破損の原因(応力集中など).
E N D
わかりやすい力学と機械強度設計法 (独)海上技術安全研究所 平田 宏一
第2章 材料強度の基礎 機械の必要条件 ★壊れない ★安全である ★正しく機能する そのためには・・・ ★適切な材料を使う ★荷重が加わっても壊れない形状・寸法にする
どのような荷重が加わるか? 2.1 強度設計とは 強度設計の考え方 (荷重の形式,応力) 運動しているときの荷重は? 静的荷重が設計の基本 どのような材料を使うか? 壊れなくするための寸法・形状は? 実験用魚ロボットの例・・・ 破損の原因(応力集中など) 材料の知識(性質,強度)
★荷重の形式 どの部材に,どのような形式の荷重が加わるかを 適切に判断することが重要!
2.2 応力とひずみ(1) 応力とひずみの定義 引張り応力の場合 応力:外力による物体の変形に対抗して物体内に生じる内力。単位面積当たりの力で表す。 力 応力= 断面積 F σ= [N/m2] A
F F σ= τ= [N/m2] [N/m2] A A ★圧縮応力とせん断応力 圧縮応力の場合 せん断応力の場合
★ひずみの定義 引張り荷重の場合 ひずみ:外力によって物体が変形したとき,元の長さに対する伸びの割合。 伸び ひずみ= 元の長さ ⊿L ε= L * 荷重方向のひずみを「縦ひずみ」という。
σ E= ε ★応力とひずみの関係 フックの法則:ある範囲において,応力とひずみは比例する。 応力とひずみの関係 縦弾性係数(ヤング率) 重要!
(2) 材料の性質と強さ ●使用する材料の性質を知っておくことが重要。
(2) 材料の性質と強さ ●部品が変形してしまうと,機械が正しく機能しない。
材質 引張り強さ 降伏点または耐力 備考 特徴 参考 [N/mm2] [N/mm2] SS400 400以上 245以上 厚さ16mm以下 一般的な炭素鋼 JIS G 3101 235以上 厚さ16~40mm 215以上 厚さ40mm以上 SNB 5 690以上 550以上 径100mm以下 高温用合金鋼ボルト材,クロム鋼 JIS G 4107 SUS304 520以上 205以上 一般的なステンレス鋼 JIS G 4303 A1085P 75以上 35以上 厚さ4~6.5mm 純アルミニウム JIS H 4000 70以上 35以上 厚さ6.5~13mm 60以上 25以上 厚さ13~25mm A2017P-T3 375以上 215以上 ジュラルミン JIS H 4000 A20124P-T3 440以上 295以上 超ジュラルミン JIS H 4000 A7075PC-T6 480以上 410以上 超々ジュラルミン JIS H 4000 ★金属材料の機械的特性
★温度と強度の関係 ●金属材料は,温度上昇に伴い,強度が低下する。
2.3 機械の運動とトルク 機械 「動力によって一定の運動を行い,ある仕事をする複雑なしかけをもった器具」 「力」の伝わり方を考える。
(1) 回転運動と往復運動 回転運動 一定速度=扱いやすい 往復運動 速度変動=慣性力の増大=設計困難
(2) 回転運動とトルク 回転運動では,「力」の代わりに,「トルク」を使う。 トルク=力×回転半径
● おもりを持ち上げる仕事(J) 回転軸が1回転する場合,持ち上げる距離は2πR 仕事=力×移動距離 単位は同じ(J=Nm)でもトルクと仕事は違う!
●出力(仕事率) 回転軸(モータ)の回転数をN(rpm)とすると, 出力=仕事/時間 出力= 2π×トルク×回転数
●トルクの増減 回転軸Aのトルク<回転軸Bのトルク 回転軸Bは,回転軸Aよりも高い強度が必要
(3) トルクの測定 ひずみゲージを使用した計測用車いす
(3) トルクの測定 ひずみゲージを使用した計測用車いす
(3) トルクの測定 市販のトルク測定器を使用した発電機性能評価装置
2.4 許容応力と安全率 安全率は,材料強度のばらつきや荷重の見積もり誤差などの不確定な要因を考慮して決められる。
(1) 許容応力と安全率の定義 許容応力=基準の強さ/安全率 設計上,許容できる最大応力 許容応力 破損の限界を表す応力 基準の強さ
(2) 安全率の考え方 (a) 安全率および許容応力は,設計者自身が明確な根拠(経験や知識)を持って決める値である。 (b) 基準の強さは,破損の限界を表す応力であり,機械が機能しなくなるときの応力と考える。すなわち,設計する機械に応じて,材料が破損する引張り強さや弾性変形を維持する限度などを用いる。 (c) 設計者が決定する安全率には,明確な正解(最適値)はない。例え,機械が壊れなかったとしても,そのときに設定した安全率が最適であるとは限らない。 (d) 実際の設計では,前例や経験に基づき,安全率を設定することが多い。また,人命に関わる危険な機械を設計する場合には,法令で安全率が定められていることもある。