170 likes | 300 Views
意外と知らない、建設業者の工場防火. 2013 年2月16日. 三好労働安全コンサルタント事務所. 本日の内容. 1.建設業者の思い違い 2.工場火災の発生事例 3.火災統計 4.防災対策 5.防火とリスクマネジメント 6.火災事故防止に向けて. 1.建設業者の思い違い. 1.工場外の建設現場では当たり前のように火気を使っているから (意識が希薄) 2.今までに 、 私の建設現場で火災を起こした事はない (自信過剰、思い込み) 3.ガス溶断・アーク溶接ができなければ仕事にならない (思考低下)
E N D
意外と知らない、建設業者の工場防火 2013年2月16日 三好労働安全コンサルタント事務所
本日の内容 1.建設業者の思い違い 2.工場火災の発生事例 3.火災統計 4.防災対策 5.防火とリスクマネジメント 6.火災事故防止に向けて
1.建設業者の思い違い 1.工場外の建設現場では当たり前のように火気を使っているから(意識が希薄) 2.今までに、私の建設現場で火災を起こした事はない(自信過剰、思い込み) 3.ガス溶断・アーク溶接ができなければ仕事にならない(思考低下) 4.消火器と水バケツを用意しているから大丈夫、火が点いてもすぐに消せる 5.火災を起こしても工事保険(請負者賠償責任保険)で弁償するから大丈夫 (安易な考え) (補償額知らないから) 建設業者のグチ 『工場の防火規則は厳しいなぁ~』『工事価格も安いし割に合わないなぁ~』『でも、工場(元請け)との付き合いもあるし、いやでも請負うしかないなぁ~』 火災発生 これらの思い違いは下請け業者に多く、下位(二次→三次→・・・)ほど顕著。また、未経験の元請け業者(現場スタッフ)にも多く見受けられる。
2.工場火災の発生事例 2-1 タイヤ工場の火災 ・発生の経過精錬棟に設置された機器脚部の床の穴を埋めるため従業員が金属板で塞ごうと溶接作業を行ったところ、タイヤの原材料に引火し火災が発生した。 ・出火原因ゴム練り機付近の溶接作業(無許可) ・損害状況バンバリー棟 40,000㎡全焼 46時間半にわたって燃え続け、半径1キロ以内の住民5000人以上が避難した。 ・他社への影響他工場からの供給、他社への代替発注を実施 出典:タイヤ会社HP 会社ルールを逸脱した工事が原因
2.工場火災の発生事例 2-1 タイヤ工場の火災 復旧に要した期間 12日後:一部生産再開 3ヶ月後:60~70% 5ヶ月後:80% 火災事故による被害額 • 建屋・設備 30億円 • 再建費用 100億円 • 復旧費用 50億円 • 逸失利益 220億円 ------------------------------------- 合計 400億円 負傷者 なし (ただし、関係者1名自殺) 長期にわたる事業中断、莫大な損害額
2-2 工事中の火災事例 ケース① 工場テント倉庫の鉄骨を構造補強するため、鉄板を現場溶接していた時、溶接火花が下部にあるラック棚内の部品入り段ボール箱に着火し、ボヤを発生させた。 箱は防炎シートで覆っていたが溶接用(耐炎)ではなかったため溶接火花がシートを貫通したもの。監視員あり。 作業範囲内の可燃物は予め除去する。シートは火玉が溜らないように掛ける。 防炎(200~300℃) 耐炎(1000~1600℃程度) ケース② 工場の厨房室改修中にレンジフードを撤去する際、ダクトをガス溶断器で切断したため、ダクト内部に付着した油ヤニに着火し、ダクト伝いにRF(ルーフファン)まで火が走り、RFを消失させたもの。監視員あり。 ダクトをガス切断しない(ハサミで切断する) 行き先・内部が分からない配管等は火気切断禁止(パイプソーで切断する)
3.火災統計 3-1 工場火災の損害状況 建物火災における火元建物別の損害状況(H.22) (1)出火元の件数 住宅火災 15,430件(56.9%) 特定及び非特定複合用途 3,134件(11.5%) 工場・作業所 1,802件(6.6%) の順 (2)損害額 住宅火災 611億(44.2%) 工場・作業所 254億(18.3%) の順 工場・作業所の火災は1件あたりの損害額が大きい
3-2 建物用途別の火災発生状況 (総務省消防庁防災情報室 H22確定値)3-2 建物用途別の火災発生状況 (総務省消防庁防災情報室 H22確定値) 省 略
3-3工場火災の実態 (工事中の火災の原因)3-3工場火災の実態 (工事中の火災の原因) 国内の工場火災のうち、工事中の原因と同様のもの サンプル件数(1,693件) 電気装置, 108 建物・設備 ・溶接・溶断作業の火花 ・電気配線・器具 ・たばこ 等 人的要因等 電気機器, 101 溶接機・切断機, 114 電灯電話等の配線, 77 炉, 50 不明・調査中, 267 ストーブ, 45 配線器具, 42 その他, 573 焼却炉, 33 こんろ, 25 煙突・煙道, 20 交通機関内配線, 8 かまど, 5 衝突の火花, 1 ボイラー, 4 排気管, 1 たばこ, 63 放火, 55 灯火, 1 たき火, 22 放火の疑い, 47 火あそび, 2 取灰, 10 火入れ, 4 マッチ・ライター, 12 2009年(H21)消防庁・火災年報 工場火災の出火原因 工場火災では、溶接・溶断が多い
4.防災対策 4-1 溶接・溶断作業対策 ①発注者側企業(担当者)と十分に安全を確認し、溶断作業を減らす協議を行う。 ②可燃物の無い広い空地や金属加工室などの安全な場所で行う。 ③火花が飛散する範囲内の可燃物は事前に除去しておき、不燃性シート等で遮へいする。また、作業の範囲は清掃し、可能な限り散水する。 ④引火性危険物がある場所や危険物を保管していたタンクおよび内面にヤニが付いたダクト等の溶接・溶断工事は禁止する。可燃性断熱材を使用したダクトも危険。(事前調査は必須) ⑤溶接・溶断作業中は常時監視員を配置する。監視員が一時その場を離れる場合は作業を中断する。 ⑥溶接・溶断工事直後から1時間程度は残火監視を行う。途中や昼の休憩にかかる時間には行わないようにする。また作業終了1時間前の溶接・溶断作業は行わない。 ⑦作業のための消火器、水バケツ等を増置する。可能な限り最寄りの消火栓2個所以上からホースを近くまで引き伸ばしておく。
4-2 危険物、電気設備・配線、その他の危険対策4-2 危険物、電気設備・配線、その他の危険対策 危険物(塗料・油等) ① 1日の使用料を把握し余分な量を作業所内に持込まない。 ② 電気設備、火気使用場所、溶接・溶断作業場付近で使用したり、貯蔵しない。 ③ 危険物使用・保管場所付近での火気管理は特に厳重に行う。 ④ 作業所内に引火性液体を長時間置く場合は、扉の付いた不燃材料製の引火性危険物収容箱を配置し収容する。 ⑤ 引火性危険物使用場所は十分換気を行う。 ベーパービデオ 電気設備・配線 ① 仮配線工事 ・移動電線が損傷しないよう、配線場所を選定する。フォークリフトや人の踏み付けの恐れがある場所は避け、アースを必ず設置する。 ② 仮設照明 ・破損防止用のガードをつけ、屋外で使用するものは防滴型は防雨型を使用する。 その他の危険 ①金原現象 ②静電気火災 ③金属・混触火災 ④粉じん爆発 金原現象ビデオ 静電気ビデオ 金属火災ビデオ 粉じん爆発ビデオ
4-3 喫煙管理、消火・避難対策、整理・整頓・清掃4-3 喫煙管理、消火・避難対策、整理・整頓・清掃 喫煙管理 ①発注者企業が指定する安全な喫煙場所のみで喫煙する。 ②水壷を用意し、吸殻を完全に消火する。 消火・避難対策 ①消火器および消火用水を設置する ②既存のスプリンクラー設備や消火栓設備が機能停止を行われる場合、発注者(建物管理者)側と十分情報を共有する。 ・避難経路を確認しておく。 ・避難路となる通路や階段室に工事用資材などを置かない。 整理・整頓・清掃 ・不必要な物は毎日片付け、特に消火設備、器具の周囲に物品を置いたり、通路を雑品で塞ぐことなどの無いよう十分整理・整頓・清掃に気を配る。
5.防火とリスクマネジメント 5-1 リスクマネジメントの4つのステップ 予想外の損失として企業が自己負担 (1)リスクの発見・把握 損失発生要因の発見と確認(企業活動のどこにどのようなリスクが、どのような形で存在しているかを把握) 発見・確認できなかったリスク (2) リスクの分析評価 リスクの発生頻度、損失の規模、形態を検討(リスクの性格、大きさを検討し、そのリスクによる損失の大きさを推測) (フィードバック) 過小評価されたリスク (3) リスクの処理または制御 リスクの企業経営に及ぼす影響を制御するための最適の方法を選択実施 ・軽減(分散、改善) ・回避(撤退) ・転嫁(保険) 処理または制御方法を誤ったリスク (4) 再評価、実施 リスクの把握、評価、制御の各手順に見落とし、誤りは無いかのチェック ・全体的な総合調整 ・実施ならびにフォロー
5-2 リスクを軽減する 発見したリスクを保有、軽減、転嫁、回避に分類し、それぞれを管理していく。特に対象となるのは「軽減」に位置付けられたリスク 回避 (頻度:大、損害:大) リスク 軽減 (頻度:大、損害:小) 転嫁 (頻度:小、損害:大) 保有 (頻度:小、損害:小) 損 害 保険賠償範囲
1.リスクの軽減 ①リスクの分散 一企業のリスクの単位を複数に分散し、仮に一つのリスク単位で事故、災害によって損失を被っても、他のリスク単位には影響が及ばないようにし、企業全体としてのリスクの軽減を図る方策である。(部分受注など) ②リスクの改善 リスクの頻度及び規模を積極的に小さくしようとする方策であり、「安全対策」「防災対策」といわれるものである。リスクの改善のためには、事故発生防止(事故発生そのものを防ぐ)と損害拡大防止(万一事故が発生した場合の損害をできるだけ小さくする)の二つの方策を平行して実施すること、及びハード対策(防火壁、消火設備の設置)とソフト対策(消火訓練の実施、安全教育の実施)とを平行して実施する必要がある。 2.リスクの回避 リスクの発生そのものを回避(撤退)する方策である。すなわち、リスクのある企業活動を取りやめること。回避ができない場合は賠償可能なレベルまでリスクの低減措置をする。 3.リスクの転嫁 リスク自体を減少させるものではないが、予想される損害の大部分または一部分を自己以外(企業外)に負担させ又は賠償可能なレベルまでリスクを低減する方策である。
6.火災事故防止に向けて ルールの明確化 協力会社との一体となった取り組みが不可欠として、 ・発注側担当者との相互連絡の徹底 ・確実な安全措置の実施確認がなされるよう、規則・基準を総点検して、確認・周知方法・手段の不明確な個所があれば、工事安全手順を明確化する。 ルール・規則 リスクアセスメント・危険予知 作業場所、作業内容、周りの環境は工事ごとに異なる。 ・作業開始前に現地危険予知活動を行って、見えないリスクを把握する。 ・ヒヤリハット、自社・他社の事故事例を活用する。 危険予知 リスク感性の向上 安全知識と感性の向上 ・安全知識をノウハウ(KNOW HOW)にとどめず、なぜそうなるかというノウホワイ(KNOW WHY)まで高める。 現場の実情に応じた情熱ある取組で成果に繋がる