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インクルージョン時代の 障害理解と生涯発達 支援. 第 5 章 知的障害の理解と生涯発達 支援 担当:藤田( 1 ・ 3 章)、木下( 2 ・ 4 章). 第 1 節 生理・心理の視点 から. 1.1 知的障害とは何か *知的 障害の定義 日本 には教育、福祉、医療の分野に共通した知的障害の定義はない 。 しかし、知能テストでIQ 70 以下の場合に知的障害を疑う。 *アメリカ知的・発達障害協会( AAIDD )の定義 ①知的能力の明らかな制約( IQ70 以下) ② 概念的、社会的、実用的な適応スキルで表される 適応行動の明らかな制約 ③18歳までの発症.
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インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援 第5章 知的障害の理解と生涯発達支援 担当:藤田(1・3章)、木下(2・4章)
第1節 生理・心理の視点から 1.1 知的障害とは何か *知的障害の定義 日本には教育、福祉、医療の分野に共通した知的障害の定義はない。 しかし、知能テストでIQ70以下の場合に知的障害を疑う。 *アメリカ知的・発達障害協会(AAIDD)の定義 ①知的能力の明らかな制約(IQ70以下) ② 概念的、社会的、実用的な適応スキルで表される 適応行動の明らかな制約 ③18歳までの発症 (American Association Intellectual and DevelopmentralDisabilities)
*適応行動とは… ①概念的スキル 言語と読み書き、金銭概念、時間観念 等 ②社会的スキル 対人スキル、社会的責任、騙されやすさ、 用心深さ 等 ③実用的スキル 身辺処理、作業スキル、保健ケア、移動、 安全、金銭や電話の使用 等
特に支援が必要なのではないか なぜ、IQ70以下が知的障害なのか… SD = 標準偏差 IQ
1.2 類型による理解という考え方 《障害の程度による類型》 ・軽度(IQ50程度からIQ70程度) ・中度(IQ30程度からIQ50程度) ・重度(IQ20程度からIQ30程度) ・最重度(IQ20程度以下) 《病因による類型》 ・病理型 脳の障害によって生じたと考えられる知的障害 ・生理型 原因不明で知的障害以外に明確な問題が見られず、多くが軽度。 知的障害の約半数を占めていると言われている ・心理・社会型 障害の発生に心理・社会的な要因が関係している
A 教科書P.57 図5‐1‐1 A:生理型の知的障害 もともとの能力でIQ70以下。 B:病理型の知的障害 もともとIQ70以上の能力があるが、事故などに よる脳の損傷によってIQ70以下になっている。 B
《支援のレベルによる分類》 AAIDDは、知的障害をIQで分類することを廃止し、新しく4つのレベルに分類した。 ①断続的 必要に応じて提供される支援 ②限定的 継続的に加えて期間が限定される支援 ③広範囲 期間を限定せず、定期的に必要な支援 ④広汎 あらゆる環境で一貫して強力に行われる 全面的支援
知的障害児者基礎調査 (厚生労働省) ・2000年(H12) 2005年(H17) 0~4歳:1万2400人 →1万5600人 5~9歳:3万1000人 →3万9800人 ・幼児期…・療育手帳取得していない ・専門機関ではなく保育所に通っている 等の例も相当数あり、 知的に遅れがあり支援 が必要な子どもは、 これより大幅に多いとの指摘もある。 第二節 保育・早期発達支援の視点から
2.1 早期発見と早期支援のシステム • 早期発見・早期支援 →乳幼児健康検査(母子保健法) (検診内容): 疾病の早期発見 身体発育の確認 虐待の徴候の確認 歯科検査 聴覚・視覚検査 栄養相談 心理相談 等 何らかの問題 教育相談…医師、心理士、 保健師 ・発達の遅れが指摘 →保健所、心身障害児総合通園センター
≪手帳制度≫ • 知的障害児;療育手帳 • 法律に基づく制度ではない。 「療育手帳制度について(療育手帳制度要領)」による。 身体障害者手帳とは異なる。 • 各都道府県知事、指定都市市長が交付。 • 地域により手帳の名称、等級区分の標記、判断基準が異なる。 ・(例)福岡県:障害程度
2.2知的障害児の療育保育専門機関における発達支援2.2知的障害児の療育保育専門機関における発達支援 ≪療育保育機関≫ ・知的障害児施設(児童福祉法) :(目的)「知的障害のある児童を保護するとともに、独立生活に必要な知識 技能を与える」 知的障害児施設(入所) 知的障害児通園施設(通所) →2012年4月から ・障害児入所施設(福祉型・医療型) 目的:障害児を入所させて、保護、日常生活の指導および独立生活に必要な知識 技能の付与を行う。(福祉型) ・児童発達支援センター(福祉型・医療型) 目的:障害児を日々保護者の下から通わせて、日常生活における基本的 動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う。(福祉型) ・その他地域障害児対策拠点…心身障害児総合通園センター →さまざまな障害の相談・診断・検査・判定・療育訓練
参考(厚生労働省HP・ 5 障害児支援の強化について –より)
参考(全国社会福祉協議会・障害者自立支援法のサービス利用説明パンフレット(平成24年4月改訂版)より)参考(全国社会福祉協議会・障害者自立支援法のサービス利用説明パンフレット(平成24年4月改訂版)より)
≪発達支援≫ ・認知やことばの発達 …他者に関心を示す力、声や動作を模倣する力、人や物との関係を理解する力。 →特に幼児期は、子どもの興味や関心にあった遊びを介して人との穏やかな関係を結ぶこと、 手指の巧緻性を高めることが、療育の基盤となっている。 ・障害幼児への療育 [職員配置] ・人員配置(最低基準):子ども:職員=4:1 ・指導者:保育士・児童指導員、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語 聴覚士・心理士・社会福祉士 等
2.3 幼稚園・保育所における障害児保育 • 障害のある子どもの受け入れの広がり
・幼稚園や保育所に在籍する知的障害幼児 ②の場合は、特に親の不安や緊張感が強く、専門機関との連携が重大な課題となる ・統合保育 障害保育枠、保育士加算配置、巡回訪問指導
2.4 保護者・家族への支援 • 親と家族を支援する視点。 • 専門職者が一方的に方向性を示すのではなく、家族が主体的に参加できるように支援。
第3節 教育の視点から 3.1 知的障害児教育の制度と現状 *知的障害児の教育 ・特別支援学校 ・特別支援学級 ・通級指導教室 ・通常学級 知的障害児対象の特別支援学校 特別支援学校の重複障害学級 知的障害児は軽度であっても 通級指導の対象にはならない
特殊学級を規定 3.2 戦後の知的障害児教育の歴史 1947年 学校教育法 制定 1955年 特殊学級の計画設置 1956年6月 公立養護学校整備特別措置法 制定 1963年 養護学校小学部・中学部学習指 導要領精神薄弱教育編 1979年4月 養護学校義務制 実施 1998年 「精神薄弱」から「知的障害」へ名 称変更 養護学校 の設置が進む
3.3 知的障害児教育の実際と今後の課題 知的障害特別支援学校の教育課程 各教科の指導 (小学部) 生活、国語、算数、音楽、図画工作、体育 領域の指導 道徳、特別活動、自立活動 総合的な学習の時間
学校教育法施行規則 第73条11② ・領域・教科を合わせた指導 指導形態:作業学習 生活単元学習 遊びの指導 日常生活の指導 算数や国語といった教科別の指導より、生活単元学習などの時間が多く見られる。 学習意欲や将来の社会自立を目指す 日常生活や学校生活上の課題を学習 毎日の生活で繰り返される活動を指導する中で、身辺自立に向けて生活習慣を確立を目指す
第4節移行支援・福祉の視点から4.1「自立と共生」へ向けた制度改革の中へ第4節移行支援・福祉の視点から4.1「自立と共生」へ向けた制度改革の中へ • 2005(H17)年 障害者自立支援法成立 → 障害種別を問わない事業体系 企業就労促進 地域生活移行支援 2006年4月から 原則利用者1割負担 ・障害者雇用促進法 一部改正 2012年から 応益負担 (最大でも1割) へ移行。 ・「自立と共生」を可能とする街づくり ・障害者も、障害福祉サービスの構 築と維持に直接参画
4.2 進路に関する学校の取り組み • 従来…①企業就労タイプ ②福祉就労(通所施設利用)タイプ ③施設入所タイプ →変化
①進路学習 ・どこで働くか?→どんな働き方ができるのか? ・働く暮らしとは? ・どのような喜びと苦しみ? ②職場実習と進路指導 ・実習先との協議と振り返りを丁寧に行う。 ③職場開拓 ・提案型「こんな配慮があると、こんな働き方ができる」 ④個別移行支援計画 ・企業を巻き込んだトータルな計画 ・卒業時の引き継ぎ・移行のツール ・卒業後3年間程度の継続的支援の計画
4.3企業就労への移行支援 • 知的障害者授産施設の不足 • 無認可作業所の増大 • 養護学校卒業生の55%は、授産施設へ • 授産施設から企業へ移行できる人は1% 障害者自立支援法 (現:障害者総合支援法) ・就労移行支援 ・地域生活支援事業 創設
参考 (全国社会福祉協議会・障害者自立支援法のサービス利用説明パンフレット(平成24年4月改訂版)より)
参考(障害者総合福祉法における就労系障害福祉サービス)参考(障害者総合福祉法における就労系障害福祉サービス)
4.4職業リハビリテーション施策 ≪企業就労への移行を専門に行う機関≫ ・ハローワーク(公共職業安定所) ・障害者職業センター (総合センター・広域セン ター・地域センター) ・障害者雇用支援センター ・障害者就業・生活支援センター
参考(厚生労働省HP:障害者自立支援法について)参考(厚生労働省HP:障害者自立支援法について)
4.5雇用施策ー雇用義務と雇用支援 • 障害者雇用促進法 障害者雇用率制度:民間企業、国・地方公共団体は、障害者雇用促進法施行令に定める割合(法定雇用率)に相当する数以上の身体障害者または知的障害者を雇用しなければならない。 表;法定雇用率 (2013年4月から、法定雇用率はそれぞれ0.2%ずつ引き上げ)
ダブルカウント (参考:厚生労働省HP:障害者雇用促進法について)ダブルカウント (参考:厚生労働省HP:障害者雇用促進法について) • 特例子会社制度 :企業の支配下にある子会社が、一定の要件を備える場合、親会社の一部門とみなして、その子会社の雇用する障害者を親会社の雇用数に合算することをみとめるもの。 • 除外率制度 平成22年7月から除外率引き下げ。 ※除外率は、一律に法定雇用率を適用することになじまない性質の職務について、事業主負担を調整する観点から、特定の業種について雇用義務の軽減を図る制度ですが、平成14年の法改正により、段階的に廃止・縮小することとされている。
4.6 働く暮らしの支援施策 • 障害者自立支援法 「住宅入居等支援事業(居住サポート事業)」と「あんしん賃貸支援事業」の連携について 1趣旨 障害者自立支援法が目指す地域生活移行の推進を実現するためには居住の場を確保することが重要であり、賃貸住宅への入居を促進する観点から、地域生活支援事業に「住宅入居等支援事業(居住サポート事業)」を創設したところである。また、国土交通省においては、高齢者、障害者、子育て世帯及び外国人の民間賃貸住宅への円滑入居を図るために「あんしん賃貸支援事業」(概要は下記のとおり)を実施している。 (厚生労働省HPより引用)
4.7 まとめにかえてー市民として生きる暮らしへの移行と支援4.7 まとめにかえてー市民として生きる暮らしへの移行と支援
参考文献(1・3章) 高橋智(2014):インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援,日本文化科学社 中村忠雄・須田正信(2013):はじめての特別支援教育ーこれだけは知っておきたい基礎知識ー,明治図書出版 昇地勝人・蘭佳代子・長野恵子・吉川昌子(2011):障害特性の理解と発達援助 第2版 教育・心理・福祉のためのエッセンス,ナカニシヤ出版
参考文献(2章・4章) • 『図解入門ビジネス 障害者総合支援法がよ~く分かる本 [第二版]』:(2013),福祉行政法令研究会,秀和システム • 『社会福祉士(精神保健福祉士)受験ワークブック2014』:(2013),社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験ワークブック編集委員会,中央法規