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植物細胞生理学(第12回 1/12) 光合成・光応答. 環境・人口問題: 12 分類 「銃・病原菌・鉄」、「文明崩壊」著者 J.Diamond による (2012年1月3日朝日新聞). 自然破壊 漁業資源の枯渇 種の多様性喪失 土壌侵食 化石燃料の枯渇 水不足 光合成で得られるエネルギーの限界 化学物質汚染 外来種の被害 地球温暖化 人口増 1人当たり消費エネルギーの増加. 光合成. 光合成に必要なもの・・・・ 光/二酸化炭素/水 (環境因子としては温度や植物栄養も). 一番足りないものが制限因子(限定要因)となる
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植物細胞生理学(第12回 1/12)光合成・光応答植物細胞生理学(第12回 1/12)光合成・光応答
環境・人口問題:12分類「銃・病原菌・鉄」、「文明崩壊」著者 J.Diamondによる(2012年1月3日朝日新聞) • 自然破壊 • 漁業資源の枯渇 • 種の多様性喪失 • 土壌侵食 • 化石燃料の枯渇 • 水不足 • 光合成で得られるエネルギーの限界 • 化学物質汚染 • 外来種の被害 • 地球温暖化 • 人口増 • 1人当たり消費エネルギーの増加
光合成 光合成に必要なもの・・・・ 光/二酸化炭素/水(環境因子としては温度や植物栄養も) 一番足りないものが制限因子(限定要因)となる →水がlimiting factorになることも多い (温度や(海洋では)N,P,Feによる制限も多い) 海洋鉄散布による二酸化炭素固定化実験の例 (赤:対照 青:鉄添加 散布面積8×10km2)
二酸化炭素濃度の経年変化(気象庁 気象庁統計情報より)二酸化炭素濃度の経年変化(気象庁 気象庁統計情報より) (植物にとって)二酸化炭素濃度は適正か? 気孔のCO2応答は?
植物のCO2固定能力 ← 低炭素社会実現のために大きな期待植物のCO2固定能力 ← 低炭素社会実現のために大きな期待 • 生態学的なアプローチ (植林 海洋植物プランクトン・・・) • 生理学的なアプローチ (個体の光合成能力の向上) • 効率向上のためには、律速部分(rate limiting step)を改善 気孔 水損失との兼ね合い CO2感受機構の解明 原形質膜 アクアポリン 既報 NtAQP1 (Nature2003) HvPIP2;1 (PCP2004) 炭酸固定酵素(RubisCO) 低いCO2親和性 O2との反応性 (光呼吸)
気孔 統合されたシステムによる開閉 閉じる場合の分子メカニズム (植物細胞工学シリーズ18「植物の膜輸送システム」) 描かれていないものは・・・・・ 開く場合: 青色光 → フォトトロピン → H+-ATPase → H+が排出 → K+、Cl- が流入 → 水が流入 → 孔辺細胞が膨潤
CO2透過活性を持つアクアポリン分子種の確定 • どのアクアポリン分子種がCO2透過活性をもつか? • CO2を認識する分子構造は? HvPIP1;1 HvPIP1;5 HvPIP1;2 OsPIP1;1 OsPIP1;3 HvPIP1;4 OsPIP1;2 HvPIP1;3 現在わかっているのは 水分子の選択透過性機構のみ → (第8回に既出) OsPIP2;7 HvPIP2;2 OsPIP2;6 HvPIP2;3 HvPIP2;4 OsPIP2;1 OsPIP2;8 OsPIP2;3 HvPIP2;5 HvPIP2;1 OsPIP2;5 OsPIP2;2 OsPIP2;4 原形質膜型のアクアポリン分子種の系統樹 HvPIPs:オオムギ 10種類 OsPIPs:イネ13種類
CO2透過性を持つアクアポリンを効率的に選抜する新手法の開発CO2透過性を持つアクアポリンを効率的に選抜する新手法の開発 Galプロモータ制御下にアクアポリン遺伝子を入れる CO2(平衡化したNaHCO3)を添加 分光光度計 酵母の入って溶液
CO2透過性をもつアクアポリン分子種の同定CO2透過性をもつアクアポリン分子種の同定 NaHCO3を加えてから1秒間の変化 Positive control (既知:NtAQP1) NaHCO3 蛍光強度(任意単位) → 蛍光強度(任意単位) → F ΔF Δt NtAQP1 タバコアクアポリン (CO2透過性が既知のコントロール) HvPIP2;1 オオムギPIPの一つ 暫定結果(現在検証中) オオムギ 6個 イネ 2個 シロイヌナズナ 2個 のアクアポリン分子種 T228MHvPIP2;1 活性中心の228番目のThrをMetに置換した不活性型
RubisCO( Ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase )の改良・改善 • RuBP + CO2→(C6) →2×PGA(3-phosophoglycerate) • CO2に対する親和性(現在のKm:10∼20 µM)の改善 • 現在の大気中のCO2濃度( 390 ppm )と平衡状態にある25℃の水のCO2濃度 =12.3 µM • 分子活性(Kcat:3 sec-1) の改善 • O2に対する反応(光呼吸)の低減 RuBP + O2→ 3-ホスホグリコール酸 + 3-ホスホグリセリン酸 • 発現量の増加 小サブユニットの過剰発現でRubisCO全体の量が増加 ただし窒素当たりの光合成活性は増えない (Plant Cell Physiol. 48:1472, 2007) 8個の大サブユニット(53-kDa) 葉緑体DNAにコード rbcL 8個の小サブユニット(14-kDa) 核コード rbcS (紅色植物などでは両サブユニットとも葉緑体DNAにコード) (一部のバクテリアでは別構成)
光合成:明反応暗反応 (一部次回) NADPH(還元力)とATPを使って暗反応(CO2の固定)を推進 ミトコンドリア内膜の反応と、光合成の明反応の共通点 1) 電子伝達に伴い水素イオンの膜を越えた輸送が行われる2) 膜の内外に生じた水素イオン濃度勾配と電位差を利用してATPを合成する
集光複合体(LHC) クロロフィル分子の約1パーセント以下のものが実際の反応中心(a) エネルギーの転移が重要(直接光が反応中心に当たる確立は低いから) アンテナ色素とも呼ばれる 集光性クロロフィルa/b 補助色素( βカロテン、 キサントフィル(ルテイン、フコキサンチン) フィコシアニン フィコエリトリン)
光応答 • 葉緑体とクロロフィル オルガネラ分化 • 光屈性 光周性 • 光受容体 赤色光:フィトクロム 青色光:フォトトロピン、クリプトクロム プラスチドの光応答 プロプラスチド 色素体(クロモプラスト) (原色素体)白色体(ロイコプラスト)アミロプラスト(starch) 葉緑体 光 PEP: バクテリア型RNAポリメラーゼ(プラスチドコード) NEP: 単サブユニット型RNAポリメラーゼ(核コード)
オルガネラ分化の光制御と生理機能 グリオキシソーム 葉緑ペルオキシソーム (基礎生物学研究所 西村研究室) 糖代謝(新生) 脂質代謝 酸化作用(光呼吸)
ペルオキシソーム形成変異株 apm1とその表現型
光屈性 茎葉が光の方を向く(根は反対方向)光屈性 茎葉が光の方を向く(根は反対方向) 実際の偏差成長にはオーキシンが関与 作用スペクトル:波長の違いによる生理反応の強さを表す 光量子:光子そのもの (エネルギーではなく) 縦軸のプロット: 同じ生理反応を引き起こすのに必要な量の逆数を取る 作用スペクトルは・・・光受容色素の吸収スペクトルを反映すると期待される フォトトロピンのLOVドメイン 複数の光受容体あるいは色素が関与?/別の色素に吸収される?
光受容体 赤色光 光周性の光中断はフィトクロムが受容 短日反応では・・・Pfrの減少→花芽誘導 Pr Pfr • フィトクロム(光周性、光発芽、伸長抑制)発見は1959年と古い 遠赤色光 暗反転 現在シロイヌナズナでは A~Eの5種類が同定 PhyA 遠赤色光反応に関与 PhyB 赤色光反応に関与 植物工学シリーズ 「植物の光センシング」より 赤色光による光合成システム構築誘導の場合の分子機構
フォトトロピン(気孔の開閉、屈光性、光定位)遺伝子の発見は1997年フォトトロピン(気孔の開閉、屈光性、光定位)遺伝子の発見は1997年 Phy3はホウライシダで見つかった、N末端にフィトクローム配列を融合したもの http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~toxan/tokutei/page/phototropin.html (フォトトロピン研究の現状)より フォトトロピン蛋白の光条件下での自己リン酸化 Phot1とPhot2のリン酸化→カルシウムシグナル
クリプトクロム (伸長抑制、概日時計)発見は1995年 昆虫や脊椎動物(マウス)におけるクリプトクロムは、概日時計と視覚からの光情報の統合において機能していることが示されている
概日時計(内性リズム)/光情報/花成統合の分子遺伝レベルでの理解概日時計(内性リズム)/光情報/花成統合の分子遺伝レベルでの理解 シロイヌナズナの花成誘導概要 シロイヌナズナの時計遺伝子 青色光 クリプトクローム (概日時計)GI発現上昇 FKF1(LOVドメイン持つ)活性化 FKF1-GI (複合体形成) CO転写阻害因子CDF1の阻害を解除 CO発現 光周性経路での光受容はファイトクローム(赤)とクリプトクローム(青)が担うが、ここではクリプトクロームが関与する経路(の一部)のみを示す