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      C.T.ホーングレンほか、渡邊俊輔監訳 『 マネジメント・アカウンティング 』                  ~ Introduction to Management Accounting

      C.T.ホーングレンほか、渡邊俊輔監訳 『 マネジメント・アカウンティング 』                  ~ Introduction to Management Accounting. 明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール 担当 坂元謙太 池戸聡. 第9章 マネジメントコントロールシステムと責任会計. 内容. マネジメントコントロールシステムの基本概念 管理可能性と業績評価 非財務的業績尺度 マネジメントコントロールシステムの未来. はじめに. これまでの章において ‥ 管理会計上の多くの重要な技法について説明してきた ABC

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  1.       C.T.ホーングレンほか、渡邊俊輔監訳『マネジメント・アカウンティング』                 ~ Introduction to Management Accounting 明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール 担当 坂元謙太 池戸聡

  2. 第9章 マネジメントコントロールシステムと責任会計第9章 マネジメントコントロールシステムと責任会計

  3. 内容 • マネジメントコントロールシステムの基本概念 • 管理可能性と業績評価 • 非財務的業績尺度 • マネジメントコントロールシステムの未来

  4. はじめに • これまでの章において‥ 管理会計上の多くの重要な技法について説明してきた • ABC • 差額原価・収益分析 • 予算管理 • 差異分析など  これらの技法は、何れもそれ自体で有用である • しかし、これらの技法は、1つのシステムに統合されれば、より一層効果的なものとなろう。

  5. マネジメントコントロールシステム • 計画とコントロールに関する意思決定を行う •  従業員を動機づける •  業績を評価する ↓ こういった情報を収集・活用するために、 論理的に統合された一連の技法のことをいう

  6. マネジメントコントロールシステムの目的 • 組織の目的を明確に伝達する。 •  マネージャーや従業員が、組織目的を達成   するために自分たちに要求されている特定    の行動について理解できるようにする。 •  マネジメントコントロールシステムが環境の   変化に対応できるようにする。

  7. マネジメントコントロールシステムの構成要素マネジメントコントロールシステムの構成要素 What do we want to achieve ? How do we set the direction ? 目的、業績尺度、目標の設定 (図表9-1) フィードバック と 学習 評価と報酬 計画の作成とその実行 追跡と報告 Are we encouraging the right behavior ? What is getting in our way ? How much progress arewe making ?

  8. マネジメントコントロールと組織目的 • 適切なマネジメントコントロールシステムは以下のことを容易に行えるようにする。 •  意思決定のプロセスの支援・調整 •  組織成員の動機づけ •  収益ドライバー、コストドライバー水準の予測 •  予算管理 •  業績評価 • マネジメントコントロールの中心問題は、マネージャーの意思決定や業績向上への動機づけ(業績評価も含む)を組織目的に合致させることである。

  9. 目的、業績尺度、目標設定の手順 トップマネジメントは、組織全体の目的と業績尺度(α)、それに目標を設定する またこれらは、その目的を達成するために必要な「クリティカルプロセス」と一致している トップマネジメントとクリティカルプロセスマネージャーは、 「重要成功要因」とその業績尺度(β)を設定する またこれらは、「特定の行動(目標)」と一致している クリティカルプロセスマネージャーとその下位のマネージャーは、 「それぞれの行動(目標)」に対する特定の業績尺度(γ)を設定する (図表9-2)

  10. 目的・目標・業績尺度の設定 • (図表9-2)より、トップマネジメントによって、組織全体の目的(goal)、業績尺度(performance measure)、目標(target)が設定されていることが分かる。 • これらの目的によって、組織が市場でどのような位置を占めるかについての全体的な計画を作成するための骨組みが与えられる。 • しかし業績尺度を伴わない目的は、マネージャーを動機づけられない。 ↓          方向性を明確にし、なおかつマネージャーを         動機づけられる業績尺度を設定しなければならない。

  11. クリティカルプロセス(critical process) 重要成功要因(key success factor) •  クリティカルプロセス(critical process)      組織目的の達成に直接影響を及ぼす一連の行動 •  重要成功要因(key success factor)      組織目的を達成させるために適切に行わなければならない行動 • 目的とそれに関連する業績尺度は非常に幅広いので、実際にマネージャーや従業員を導くには曖昧すぎることも多い。 • その結果、トップマネジメントはクリティカルプロセスと重要成功要因を特定する。

  12.       事例(Luxury Suites) • 大規模な豪華ホテルチェーンであるLuxury Suitesでは、以下のような目的と業績尺度を採用している。

  13.     解説(Luxury Suites) • Luxury Suites で「顧客の期待を上回るサービス」という目的が採られている場合には、「サービスを生産・提供する」というプロセスがクリティカルプロセスとされる。 • トップマネジメントとクリティカルプロセスのマネージャーが、下位目的、   すなわち重要成功要因と、それに関連する業績尺度とを設定する。 • 「サービスを生産・提供する」というプロセスにおける重要成功要因の1つの例は「タイムリーさ」である。 • タイムリーさを測定する業績尺度の例としては、「チェックインにかかる時間」「チェックアウトにかかる時間」「宿泊客からの注文に対応するのにかかる時間(例えば電話に応答するまでの呼び出し回数)」などが挙げられる。

  14. 留意事項 • 重要成功要因及び関連する業績尺度によって、マネージャーはより焦点を絞ることができる。 • しかし下位のマネージャーや現場の従業員には行動の方向性を示すことができない。 • こうした方向づけを行うべく、クリティカルプロセスのマネージャーは、下位のマネージャーと協同して目標を設定する。 短期的に観察可能な目に見える特定の行動(活動)

  15. 留意事項 • 様々な目標の釣り合いをとることがマネジメントコントロールの重要な側面であるが、しばしば以下のようなことが起こる。 •  重要成功要因の無視 •  誤った業績尺度の強調 •  マネージャーのトレードオフへの直面  • (例)営業部長は、顧客からの問い合わせに対する応答の目標水準を下げることにより、従業員満足度を向上させられるかもしれない。 • こうした行動によって、従業員の満足度指標は改善されるが、顧客の不満は増えるかもしれない。  バランスをとることが難しい。

  16.    マネジメントコントロールシステムの設計   マネジメントコントロールシステムの設計 • 組織の要請に合致するようなマネジメントコントロールシステムを導入するには、システム設計者は、以下のことを行わなければならない。 •  企業をとりまく制約条件の認識 •  責任センターの識別 •  コストと便益の比較 •  目標一致 •  従業員の努力を引き出すような動機付けの提供

  17. 組織構造の中での機能 • あらゆるマネジメントコントロールシステムは、組織目的に合致していなければならない。 • 図9-1で見たように、計画を作成し、それを実行することは、マネジメントコントロールシステムの第2の重要な機能である。 • 計画作成(予算編成)の主な目的の1つは、組織内のあらゆるマネージャーが、組織目的に適した行動をとらせるようにすることにある。

  18.     組織構造の例 • マネジメントコントロールシステムは、組織構造(organization structure) に適合していなければならない。 • 組織構造の例として、以下のようなものが挙げられる。 • 生産、販売、支援部門など、主に職能別に編成されている組織 • 製品や地域ごとに利益責任をもった事業別に編成されている組織 • 両組織の混合形態として編成されている組織

  19. 責任センターの識別 •  責任センター(responsibility center) マネージャー、マネージャー集団、従業員などに割り当てられた一連の活動 • (例) 1郡の機械設備と機械加工という作業は、現場監督者にとっての責任センターとなる。製造部門全体は、製造部長の責任センターとなる。最後に、組織全体は社長にとっての責任センターとなる。 • 経営責任が従業員グループによって共有されている組織も見られる。 ↓   これは様々なマネージャーが意思決定をする際に、企業の所有者の観点から行うようにし、創造的な意思決定を促進し、失敗に対する恐怖(無関心)が意思決定を支配することを防ぐためである。

  20. 責任会計(responsibility accounting) • それぞれの目標に対して、主たる責任を負っている組織単位を識別し、業績測定と目標値を設定し、組織単位、すなわち責任センターごとに業績報告書を作成すること。 • 有効なマネジメントコントロールでは、現場の各マネージャーに、一連の活動と業績尺度が与えられる。そして図表9-1のように、(1)活動の成果と(2)マネージャーが結果に及ぼした影響が、追跡・報告される。 • このようなシステムは、トップマネジメントにとって魅力的なものである。なぜなら、トップマネジメントが意思決定の権限を委譲し、計画とコントロールに専念できるようになるからである。 従って、システム設計者は、責任会計の考え方を適用して、業績尺度と目標を設定し、各組織単位すなわち責任センターごとに業績報告書を作成するのである。

  21.     コストセンター(cost center) • マネージャーがコストに対してのみ責任を負っている責任センター。 • コストセンターの財務的責任は、原価管理と原価情報の報告である。 • 部門全体が1つのコストセンターである場合もあるし、部門の中に複数のコストセンターが含まれている場合もある。 • コストセンターの数をいくつにするかというのは、コストと便益を比較して判断する問題である。 ↓   つまり、計画・コントロール・業績評価のために、コストセンターを細かくして得られる便益は、報告のために多くかかるようになるコストを上回るか、を判断しなければならない。

  22.     利益センター(profit center) • コスト(費用)だけでなく、収益にも責任を負っている責任センター。利益センターは、収益性に関する責任を負っている。 • 責任センターがサービスの対価を受け取っている場合、利益センターは、非営利組織にも存在する。 • (例)Western Area Power Authority(WAPA)は、米国西部の電力会社に動力を販売することによって、操業費用を回収することが義務づけられている。 • WAPAは、本来、費用を全額回収するという目標をもった利益センターである。 • 利益センターは、全て収益と費用の両方に対して責任を負うが、全ての利益センターが利益を最大化するように求められるわけではない。

  23. 投資センター(investment center) • 利益額だけではなく、投下資本に対する利益額の大きさによって、業績が測定されている責任センター。 • 実務では、投資センターという用語は余りもちいられてはいない。 • むしろ、収益と費用に対する責任センターは、投下資本に対する責任を負っている場合でも、いない場合でも区別せずに、利益センターと呼ばれる。

  24. 業績尺度の設定 • ほとんどの責任センターは、複数の目標をもっており、業務予算許容額、利益目標、所要投下資本利益率など、財務的に表現される目標は、与えられた目標の1部に過ぎない。 • 同時に達成すべき他の目標は、元来、非財務的な尺度によってしか測定できない。 • 適切に設計されたマネジメントコントロールシステムでは、業績尺度を作成し、報告を行う際に、財務的な目標と非財務的な目標の両方について、同じように機能する。

  25. 業績尺度がもつ属性 • 優れた業績尺度がもつ属性として、以下のようなものが挙げられる。   1 組織目的に関連付けられている。   2 長期的な視野と、短期的な視野のバランスがとれている。   3 重要な行動や活動が管理されているかどうかを反映している。   4 マネージャーや従業員の行動を反映する。   5 従業員にとって分かりやすい=単純であること。   6 マネージャーや従業員の業績評価や報酬算定に用いることができる。   7 適度に客観的で、測定が容易である。   8 継続的、定期的に用いられる。

  26. 財務的尺度と非財務的尺度 • 財務的尺度と非財務的尺度は、どちらも重要である。 • しかし、財務的尺度は会計システムから容易に入手できるため、会計担当者やマネージャーは、利益や原価差異などの財務的尺度に、注意を払いすぎることがしばしばある。 • しかし、マネージャーは、非財務的な業績尺度に配慮することによっても、業績を適切にコントロールできる。 • 非財務的業績尺度はタイムリーであり、測定が容易で、分かりやすく、またサービスを提供する組織末端の従業員の行動に深く関わっている。 ↓ そのため、業績目的を達成するよう従業員を動機づけるのに有効。

  27. 非財務尺度の重要性 • 非財務的業績がよくない場合、その影響は、かなりの基盤が失われるまで、財務的尺度には表れないことが多い。 • 財務的尺度は、先行指標がない限り、実態に対して余りに遅れがちで、充分に役立たない。 その結果・・・ • 現在、多くの企業では、活動が実際に行われてから収益や費用について検討するのではなく、収益や費用を発生させる活動自体の管理に力を注ぐようになっている。 • 通常、優れた財務的業績は、優れた非財務的業績の後に続いて現れる。

  28. 業績の測定・報告 • 計画とコントロールのプロセスにおいては、全ての階層のマネージャーと従業員の間の効果的なコミュニケーションが成り立っていることが重要である。 • 組織学習から財務的な強みをもたらすことも必要である。   1 組織学習からもたらされる結果は、継続的なプロセスの改善   2 継続的なプロセス改善により、顧客はそれらを高く評価し、結果として、     製品・サービスに対する需要が増えることになる   3 製品・サービスを提供するためのコストが下がり、需要が増えれば、     財務的な強みが生じる   4 財務的な強みは、例えば製品の収益性、営業利益の尺度などにより     測定される。

  29. 成功する組織の要素と達成指標 (図表9-3)

  30. 留意事項 • 重要なのは、成功する組織は、「学習→プロセス改善→顧客満足→財務的な強みの獲得」で終わらないということである。 ↓ 財務的な資源から得られる便益は、継続的な学習や、継続的 プロセス改善を支援することによって、組織に再投資される。 • 効果的に作成された業績報告書によれば、マネージャーに与えられた目的・目標と業績とが比較される。 • そしてマネージャーはその指針を得ることができ、組織全体が目的とその達成度合いを理解でき、組織は変化を予測し、変化にすばやく対応できるようになる。

  31. 成功する組織の要素と達成指標 (図表9-3) 再投資

  32. バランストスコアカード • 財務的業績尺度と業務的な業績尺度とをうまくバランスさせ、業績と報酬とを結びつけ、組織目的が多様であることを、明示的に示した業績報告システム。 【バランストスコアカードの長所】 • 現場のマネージャーが、彼ら自身の行動と結びついた非財務的業績尺度と、組織目的に関連した財務的業績尺度との関係を理解できる。 • 図表9-3に示した成功する組織の、4要素のそれぞれに着目していることであり、このことが組織学習を促進させる。 ↓ マネージャーが、自分のとった行動の結果と、自分の行動が組織目的に どのように結びついているかを学ぶのに有効である。

  33. Luxury Suites Hotelsのバランストスコアカード (図表9-4)

  34.     解説(図表9-4) • このスコアカードは組織全体のものである。 • バランストスコアカードには、組織成功のための4要素全てについて、業績測定尺度が設けられている。 • 組織には、様々なスコアカードが見られ、実際、それぞれの責任領域に独自のスコアカードがあってもよい。 • 日常的な業務のみに従事している現場責任センターのスコアカードでは、4要素のうちの1つしか取り上げられていないかもしれない。 • あらゆる業績測定尺度がスコアカード上になければならない、というわけではないのである。

  35.     重要業績指標(key performance indicator) •  組織目的の達成を促進する指標のこと。 • (例)Luxury Hotels のトップマネジメントは、「顧客の期待を上回ること」を組織目的として採用した。 • そうなるとバランススコアカードには、この目的に関連した重要業績指標が、少なくとも1つは記載されなければならない。 ↓ 顧客満足指数、ブランドロイヤリティ指数、改善件数、チェックイン、及びチェックアウトの平均サイクルタイムなどの業績尺度は、いずれもこの目的に関連したものである。

  36.     コストと便益の比較 • マネジメントコントロールシステムの設計者は、組織の必要性を考慮しながら、様々な代替案の各々についてコストと便益を比較する必要がある。 • 完全無欠なマネジメントコントロールシステムなどは存在しない。 • しかし、あるシステムが合理的なコストで業務上の意思決定を改善することができるならば、そのシステムは他のシステムよりも優れたものであると言えよう。

  37.     事例(Citicorp) • Citicorp の会計政策担当者は次のように述べている。   「非常に入り組んだマネジメントコントロールシステムを何年間か使ってみたところ、そのシステムから得られる便益に比べて、そのシステムを運営するためのコストが高すぎることが分かった。」 • そのため、Citicorp ではより単純で不正確ではあるけれども、コストのかからないマネジメントコントロールシステムを再び導入することになった。

  38. 従業員の動機づけ • 最小のコストで最大の便益を得るには、マネジメントコントロールシステムによって、目標一致と従業員の努力が助長されなければならない。 • 個人あるいはグループが組織目的と同一の目的をもつときが目標一致が存在している状態である。 • 目標一致(goal congruence) 従業員が自分の利益のために行った意思決定が、組織全体の目標達成に 寄与するような状況 • 目標一致が確保されている場合には、従業員が自分の利益のために働き行った意思決定が、組織全体の目的の達成に役立つものとなる。

  39. 従業員の努力 • 従業員の努力がほとんど足りない場合に、目標一致が達成されている場合もあるし、その逆もあり得る。しかし、両者を同時に達成するには報酬が必要となる。 •  従業員の努力(managerial effort) 組織目的や、組織目標の達成のためにとられたあらゆる意識的な行動。効 率と有効性の上昇をもたらす。作業監督、計画立案、思考など活動も含む。 • 図表9-1で示したように、マネジメントコントロールシステム設計上の課題は、組織目的の達成に役立つ行動を、従業員にとらせるような目標、業績測定システム、報酬システムを設定することである。

  40.     事例(1) • ある組織では、従業員の能率と有効性の継続的な改善を組織の下位目的として設定していた。 • しかし、従業員たちは継続的な改善が成功した結果、標準はより厳しく、作業速度はより速くなり、従業員の解雇が行われると感じていた。 • 従業員たちは、継続的な改善が必要であることには同意していた。 • しかし、何らかの報酬が与えられて、継続的改善のために努力をすることが、従業員自身の利益になるという状態がもたらされない限り、継続的改善活動に従事することは期待できないであろう。

  41.     事例(2) • ある学生が大学で履修登録をした。彼は、管理会計について勉強しようと考えていたからである。 • この学生と大学当局は同一の目的を持っているが、目標が一致しているだけでは充分でない。 • 大学当局は、学生が努力するように成績評価制度という形で報酬も取り入れた。 • 成績評価は、昇給、昇進、その他の報酬のために用いられる業績報告書と同様の業績評価の一種である。

  42.     事例(3) • 業績評価は、目標一致や努力を増進させるために、広く用いられている手段である。 • その理由は、ほとんどの人間は、自分個人の利益と結びついたフィードバック情報を受け取る時に、より適切に行動する傾向があるからである。 • Allen – Bradley Co. や Corning のように、品質向上を重要な下位目的としているメーカーでは、品質目標をトップマネジメントのボーナス算定の計三要素としている。 • Corning でも、全工場の従業員と品質インセンティブ契約を結んでいる。

  43. 動機づけの際の注意 •  動機(motivation) 目的達成のための努力や、行動を引き起こす意欲。 • 目標一致と努力促進のために、マネジメントコントロールシステムの設計者は、従業員の動機づけについてよく考えなければならない。 • システム設計者の仕事は、多くの人が考える以上に複雑で、構造化しにくく、人間行動による影響を受けやすいため、従業員個人の利益を組織目的と合致させなければならない。 ↓ システム設計者は、システムごとに異なる動機づけの影響に注目すべき

  44. マネジメントコントロールの難しさ • 責任会計、予算管理、予算実績差異分析をはじめとする、あらゆるマネジメントコントロールの手段は、従業員の行動に有効な影響を与えなければならない。 • しかしマネジメントコントロール手段は、従業員を罰し、非難し、あら捜しをするための後向きなものとして認識され得る。 • 肯定的な見方  従業員の意思決定を改善するのに有効 • 否定的な見方  従業員の抵抗による無力化

  45.     事例(Moscow Cable Company) • 動機づけの与える影響を事前によそくできなかったために、どのような問題が引き起こされるのかを理解するために、 Moscow Cable Companyの例を考えてみたい。 • 同社のマネージャーは、銅の作業屑は当初予算が$100,000であったのに対して、実際には$40,000しか生じなかった。 • 中央政府の高官は、この工場が作業屑を予算どおりに出さなかったとして、$45,000の罰金を科した。 • これにより、作業屑を管理しようとする製銅会社のマネージャーの動機にどのような影響があっただろうか?

  46. 管理可能性と財務業績の測定 • マネジメントコントロールシステムにおいては、管理可能な事象と、管理不能な事象=管理可能費と、管理不能費を区別することが多い。 • マネージャーは、責任センターの業績にほとんど影響を与えられない場合でも、業績を説明するには、もっとも適した地位にあることが普通である。

  47. 管理不能費 •  管理不能費(uncontrollable cost) 一定の期間内で、責任センターのマネージャーによって影響されないコスト • (例)通販部門の担当部長は、労務費、発想費、注文のとり間違いとその修正、顧客満足には責任を負うことができる。 • しかし、業務を支援する情報システムのコストには、影響を及ぼすことができないので、それについて責任を負うことはない。

  48. 管理可能費 •  管理可能費(controllable cost) マネージャーの意思決定や行動によって、影響を受ける全てのコスト • (例)通信販売業務の情報システムのコストは、通販部長にとっては管理不能であるが、情報システム部長にとっては管理可能である。 • 「管理可能」という言葉は、ある意味では誤った名称である。なぜなら完全にマネージャーの管理下にあるコストなどないからである。 • しかし、完全には「管理可能」でないとしても、マネージャーの意思決定によって、影響されるあらゆるコストを指すのに広く用いられている。

  49. 管理可能費と管理不能費のまとめ • 管理可能費と管理不能費の区別は、情報を提供する際に有益である。 • 定義上、マネージャーの行動によって影響されないのが管理不能費であるため、完全に管理不能なコストは、マネージャーの意思決定や行動については何の情報も提供しない。 • 管理可能費の報告は、マネージャーの業績を示す • 管理不能費は、責任センターのマネージャーの業績評価を示せない • (例)Procter & Gamble や Upjohn では、いくつかの事業部でABCを導入した経験がある。 • ABCを試験的に導入したのは、ある潜在部門で管理可能費を識別するためであり、その結果、大幅な戦略上の変化が導き出された。

  50. 貢献利益 • 多くの企業では、貢献利益アプローチによる利益句低と責任会計とを結び付けている。 • すなわち、これらの企業では、コストビヘイビアだけではなく、管理可能性の程度による分類も行って報告書を作成している。 • 図表9-5に、衣料食料品スーパーである Barleycorn, Inc. が様々な組織単位(ゼグメント)の事務的な業績測定に用いた貢献利益アプローチを示す。 •  ゼグメント(segment)    個別に収益と費用を測定できる責任センター

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