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インクルージョン時代の障害理解と 生涯発達支援. 第 10 章 病気療養の理解と生涯発達支援 担当:安東. 第1節 生理・心理の視点から. 1.1 学齢期・思春期の心と体の発達の特徴 ○人間のライフステージ 出生前期、出生時期または周生期、新生時期、乳児期、幼児期、 学童期、思春期、青年期、成人期、老年期 学童期(小学校の時期) 小学校高学年頃・・・第二次性徴、脳機能は青年期に近づく 思春期・・・過敏性、不安傾向、倫理の飛躍、自己中心性、 感情の両価性 小学校前半・・・ことばを使って心の状態を表現できるようになる.
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インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援 第10章 病気療養の理解と生涯発達支援 担当:安東
第1節 生理・心理の視点から 1.1 学齢期・思春期の心と体の発達の特徴 ○人間のライフステージ 出生前期、出生時期または周生期、新生時期、乳児期、幼児期、 学童期、思春期、青年期、成人期、老年期 学童期(小学校の時期) 小学校高学年頃・・・第二次性徴、脳機能は青年期に近づく 思春期・・・過敏性、不安傾向、倫理の飛躍、自己中心性、 感情の両価性 小学校前半・・・ことばを使って心の状態を表現できるようになる
中枢神経系の生物学的成熟に強く関係する機能の発達の障害あるいは遅れ中枢神経系の生物学的成熟に強く関係する機能の発達の障害あるいは遅れ 1.2 ライフサイクルからみた発達障害 発達障害(ICD-10) 多くの精神障害を特徴づける傾向のある軽快や再発のない安定した経過 つねに乳児期か 児童期の発症
1.3 心の障害の合併と不適応 ○学童期、思春期においての発達障害の子どもの心と行動の障害 不適応行動が著明、頭痛・腹痛・だるさ
第2節 保育・早期発達の視点から2.1 病棟保育士による入院中の乳幼児の保育・早期発達支援第2節 保育・早期発達の視点から2.1 病棟保育士による入院中の乳幼児の保育・早期発達支援 病棟保育士・・・保育士の資格を取得している人が病院などで勤務すること。 子どもたちの不安の緩和、精神的安定 • 身辺介助及び身辺自立に向けた関わり • 設定保育 • 集団での自由遊び ・・・保育者が明確な指導目標を持って保育を行うこと。 • 入浴、体ふき • プリパレーション • 個別の自由遊び ・・・子どもにとって苦痛を伴う処置を行う際に処置の内容を分かりやすく説明すること。先の見通しをつけ、心の準備をしてもらうことを意味する。 • 行事的活動
2.2 その他の支援者による入院中の乳幼児の保育・早期発達支援2.2 その他の支援者による入院中の乳幼児の保育・早期発達支援 特定の曜日に、ある程度のメンバーが特定の病院に来棟して活動を行う 人形劇や手品、音楽など、ボランティアがその特性を生かして様々な病院を訪問 様々なボランティアがその特性を生かした活動を、特定の病院の病棟に月1,2回程度ずつ来棟して活動を行う • 保育に関するボランティア 自由な雰囲気を大切にした遊びの活動を通し、子どもがストレスを解放して過ごすことを支援 課題 保育や安全・感染等についてのメンバーの理解、病棟の理解・協力、場所やおもちゃの数などの問題 子どもが多くのボランティアのおのおのの特性を生かした様々な遊びや文化とふれあえる。 月1回のボランティア活動なので継続可能。ボランティアならではの取り組み イベント的なものとして、単調になりがちな入院生活の刺激となり、感動を与える機会となっている。 クリニクラウン(臨床道化師)の活動
2.3 入院中の乳幼児の保育・早期発達支援の課題2.3 入院中の乳幼児の保育・早期発達支援の課題 プリパレーション 子どもにわかりやすい インフォームドコンセント (プリパレーションⅠ) 医療者からのインフォームドコンセントを前提とした上で、遊び活動等による感情表出により治療に起因する不安を克服して精神安定を図る技法 (プリパレーションS) 遊びなどを通して精神的安定が図られるような援助を行い、結果的に治療に向き合える精神的地力を援助 する 人形などを使って病気や治療についてわかりやすいように説明し、治療や療養生活への理解を図るための直接的な働きかけ
プリパレーションS 医療者と病棟保育士の連携 治療計画(不安因子) 病棟保育士が事前に得ておく 専門性・役割 医療者が子どもにわかりやすく病気や治療について説明(プリパレーションⅠ)をする際の、人形などの道具の準備や「子どもにとってわかりやすい説明」についての助言
保育ボランティア・・・ボランティアならではの「多様さ」保育ボランティア・・・ボランティアならではの「多様さ」 病棟保育士が提供することが難しいところにボランティアの協力が求められる ex)就寝ボランティア、読み聞かせ、演奏等 CLS (チャイルド・ライフ・スペシャリスト) CLSとは・・・ 医療環境にある子どもや家族に、心理社会的支援を提供する専門職 業務 保育ボランティアの指導 ボランティア相互の 連絡・調整など 支援者全体のトータルコーディネーターの役割
第3節 教育の視点から3.1 病弱教育の歴史 1853年デンマークのコペンハーゲン市郊外で休暇を利用した戸外学校が世界最初。 日本:1889年(明治22年)三重尋常師範学校において、脚気の生徒に対して病虚弱教育の開始。 ※当時脚気は、国民病として死亡率が高く、労働力を奪う病気で、国民健康の最大の課題となっていた。 ○戦前の病弱教育○ 1873年(明治5年)学制以降:劣悪な学校衛生環境から児童の疾病の多発が社会問題に。 トラホーム・近視・伝染病などの疾病を「学校病」と称される。 1897年(明治30年):全国の公立小学校に学校医の配置。 自然環境に恵まれた海浜・林間での虚弱児を対象とした教育の始まり。 1941年(昭和16年):虚弱児教育が国民学校令に位置づけられる。 1942年(昭和17年):国民学校の養護学校総数は1682学級、児童数65930人 そのうち身体虚弱は1616学級(96%)、児童数64891人(98%)
しかし! 戦後の病弱教育 ・病弱児は学校教育法第23条の就学猶予・免除規定の対象とされた。 ・1961年の学校教育法改正まで病弱養護学校は明確に位置づいていなかった 小児専門結核保養所の学齢児のために、 小・中学校の特殊学級や教員派遣による訪問教育が行われた。 ・1979年(昭和54年):養護学校教育義務制実施以後、訪問教育に替わって養護学校の教育が 中心となる。 入院中の重症心身障害児の就学により、障害の重度・重複化と多様が進む 医療技術の目覚ましい進歩、QOLの追及、社会状況の変化で病弱教育をめぐる状況は大きく変化 それにともなって さらに!
病弱教育が対象とする病種 1950年代 結核性疾患児、栄養不良、伝染性疾患 1960年代 筋ジストロフィー 1970年代 腎疾患・心疾患、喘息 1990年代 小児がんなどの悪性新生物 近年 喘息・肥満・アレルギーなど身体症状と心理的な問題を抱えた心身症や精神神経系疾患の増加。発達障害の増加傾向もみられる。 1990年代後半 入院期間の短縮化、小児科病棟・小児病院の閉鎖や統廃合に伴う病弱養護学校や院内学級の統廃合。慢性疾患の子どもの9割は通常学級在籍。 病気治療を続けながら成人期を迎える。 小児医療:成育医療という新たなシステムの提唱 学校卒業後を見通したトータルケアが課題
3.2 教育の場 病弱教育(病弱・虚弱教育) 病弱:慢性の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの 虚弱:身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とするもの 病弱養護学校の学校数・在学者数及び教員数 病弱・身体虚弱特殊学級数、在籍児童生徒数 教育の場 病弱養護学校(2007年度より特別支援学校(病弱)) 院内学級・院内分教室、小・中学校の病弱身体虚弱特殊学級(2007年度より病弱・身体虚弱特別支援学校)、訪問教育 など多様な形態
学習空白・学習の遅れ 経験の不足 心理的な不安定 社会性の未熟さ 3.3 病気療養と教育の意義 現状:「病気による長期欠席」→「治療優先」教育的対応が消極的 病気療養児 病弱教育の意義 ①学力の保障 ②心理的安定 ③積極性・自主性・社会性の育成 ④生活リズムをつけ、病気や健康を自ら管理する力の育成 ⑤生きる意欲と治療効果の向上
病弱教育専門機関の整備 ①後期中等教育の保障 ②院内教育の拡充 ③年度途中で変動する在籍者に柔軟に対応できる指導体制 ④センター的機能の発揮 3.4 病弱教育の課題 本人・保護者の要望 病弱教育専門機関の転出入手続きの簡略化 学籍を移さなくても必要な教育が受けられること 学校や医療機関の連絡・連携 小・中高等学校の通常教育での子どもの健康問題、病気の子どもへの理解に関する研修が必要 しかし→「病気の子どもどころではない」という状況 養護教諭をパイプ役とした医療関係者との連携、担任任せにしない全校的な支援体制 地域における教育・医療・福祉のネットワークの構築
第4章 移行支援・福祉の視点から4.1 障害者手帳の有無第4章 移行支援・福祉の視点から4.1 障害者手帳の有無 障害者手帳・・・1級から7級までの区分が設けられている。(ただし、7級の障害が一つのみでは手帳の対象にはならない。) 手帳の交付対象となる障害 視覚障害 、聴覚障害 、平衡機能障害、音声・言語機能障害、そしゃく機能障害 、肢体不自由心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害 障害者手帳の有無 「有」42.0%「無」52.9%
病気への理解、学校での病変の可能性、体育の授業などにおいての具体的な配慮病気への理解、学校での病変の可能性、体育の授業などにおいての具体的な配慮 告知する必要性を感じない、偏見の目や特別扱い、就職にひびく 「有」43.5% 「無」26.1% 4.2 病気療養青年のニーズ 進学先への病名告知(大学、専修学校、短大) 進学での不安・困難と求める支援 進学で求める支援・配慮 体調不良時や病院への通院のための早退・遅刻・欠席中の補修などの配慮、進学先の病気への配慮や環境整備 進学で不安なこと、困っていること 遠距離通学、ラッシュ、交通機関、 一人暮らしでの体調の変化、体力的に続けていけるか、どこの病院にかかるか
「有」54.3% 「無」26.1% 就労先に対して、病気に対する周囲の理解や就労内容に対する具体的な配慮を求めざるをえない状況 採用されないと思ったから、解雇されるかもしれない、症状の悪化による不安 4.3 病気療養青年の就労ニーズ 就労先への病名告知 就労での不安・困難と求める支援 就労先で不安なこと、 困っていること 病気療養青年は外見上では病気と判断されにくく、それゆえ周囲の理解を得られない現状 就労先で受けている 支援・配慮 体調に合わせた就労形態、就労内容、通院のための早退等が就労先の理解によって行われている。 就労で求める支援・配慮 体調不良時や通院のための早退・遅刻・欠勤の考慮、環境整備、親の会・患者の会での情報提供
希望する 42.8% 希望しない 43.5% 4.4 病気療養青年の将来の地域・家庭生活のニーズ 将来家族との同居の希望の有無 結婚生活について不安なこと、困っていること 結婚生活について求める支援・援助 経済的なこと、病気の不安 一人暮らしをしたい、 自立・独立をしたい 相手が病気のことなどをどのように受け止めて理解するか、家事・出産・育児をやっていけるか、収入、子どもに障害が遺伝しないか 相手からの協力、病気の理解、妊娠・出産などへの配慮、家事、育児の援助、経済的なこと、経験者の体験談、など
進学、就労、将来の地域・家庭生活においての多様な不安・悩みやニーズを有する進学、就労、将来の地域・家庭生活においての多様な不安・悩みやニーズを有する 病気療養青年 4.5 病気療養青年の移行支援の課題 とその家族 「病気を理由に採用されないことが現実問題としてほとんどある」 卒業後に行政なり他の組織の適切な支援が必要 生涯にわたる教育・医療・福祉・就労分野などの様々な専門分野の連携・協働システムが不可欠
参考文献 ・今治のお医者さん あおい小児科 http://aoi-kids.jp/preparation/ ・特定非営利活動法人 日本クリニクラウン協会 http://www.cliniclowns.jp/ ・チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会 http://childlifespecialist.jp/ 東京都福祉保健局 東京都心心身障害者福祉センター http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/index.html