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不安の医学 第14回都民講演会 パニック障害. 2008 年2月3日 早稲田大学国際会議場 井深大記念ホール. 療 養 と 看 護. 医療法人 和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック なごやメンタルクリニック 横浜クリニック 心療内科・神経科 鎌倉山クリニック 安心堂 理事長 貝 谷 久 宣 (かいや ひさのぶ). パニック障害の特徴(1 /2). ① 家族性発症率が高い ② 多くは発症の誘引となるストレスを認める ③ ストレスが去っても一度発症したパニック障 害は定まったコースをたどる。
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不安の医学 第14回都民講演会 パニック障害 2008年2月3日 早稲田大学国際会議場 井深大記念ホール 療 養 と 看 護 医療法人 和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック なごやメンタルクリニック 横浜クリニック 心療内科・神経科 鎌倉山クリニック 安心堂 理事長 貝 谷 久 宣 (かいや ひさのぶ)
パニック障害の特徴(1/2) ① 家族性発症率が高い ② 多くは発症の誘引となるストレスを認める ③ ストレスが去っても一度発症したパニック障 害は定まったコースをたどる。 ④ 慢性の病気で、再燃・再発が多く、長期治療が必要である
パニック障害の特徴(2/2) ⑤ 軽快しているがなお残遺症状を持つ患者が多い ⑥ ほかの精神障害(社会不安障害、うつ病など)の合併の有無が重篤度に大きく影響する ⑦ 重症例では病気による性格変化が生じ社会的障害度が増す
パニック障害患者の心得 • 検査で異常が出ないこのような病気がある。 • パニック発作は薬で完全にコントロール可 (医師の指示通り服薬すれば) • この病気で死ぬことはない まず、自分の病気について正しい理解をしよう!
患者の周囲の者が心得ること まず、病人の状態についての正しい理解に努めよう! • 心の持ち方が悪いから起こるのではない • 昔のことをほじくり返しても治療にならない • わざとやっている病気ではない • 心の病気に偏見を持たないー 肝臓病、心臓病に偏見を持ちますか? パニック障害は脳喘息です!
幕 開 き パニック発作発症
本邦におけるパニック発作症状 なごやメンタルクリニック N=539 100% 89% 90% 80% 74% 70% DSM-Ⅳパニック発作症状 60% 55% 52% 49% 49% 48% 50% 47% 40% 33% 32% 31% 29% 28% 30% 25% 19% 20% 16% 14% 13% 12% 10% 10% 6% 0.8% 0% 窒息感 発汗 震え 胸痛 頭痛 尿意 便意 めまい 耳鳴り 離人症 口の渇き かすみ目 心悸亢進 呼吸困難 死の恐怖 発狂恐怖 熱感・冷感 下肢の脱力 しびれ・うずき 鼻粘膜うっ血感 胃をつかまれた感じ 吐き気・腹部不快感
パニック発作が起きたときの対応 大丈夫! だいじょうぶ! 大丈夫! と言って、 やさしく背中をさする
パニック発作で救急車を呼んだ回数 (N=218) 18.1 (%) 14.2 4.4 3.8 3.8 3.5 1.8 1.9 19 16 4 4 4 2 5 (人) 2
パニック発作: 起り方と薬物治療効果 薬 物 療 法 ( BZD+SSRI ) パニック発作の強さ 日数
パニック発作は次のパニック発作の温床となるパニック発作は次のパニック発作の温床となる 抑制 Black Box 脳血流低下? 前頭前野 脱抑制 パニック発作 扁桃核↑
近赤外線スペクトロメトリーによる 脳血流の測定 52ch NIRS装置(日立メディコ社製)
Lateral prefrontal cortex Right Left PA(-) PA(+) p<0.05 PA(-) vs PA(+) 計測までの1ヶ月間におけるパニック発作(PA)の有無による解析 PA(-)PA(+) 人数(m/f) 年齢 教育年数 初発発作年齢 初発発作~ NIRS計測日 PDSS-J SDISS SDS WAIS-R 課題成績 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. 13(5/8) 31.31 14.15 22.77 88.59 19(9/10) 32.37 13.63 25.21 83.26 6.11 5.72 30.47 84.00 13.79 p<0.01 p<0.01 n.s. n.s. n.s. 13.00 13.69 35.15 88.7 14.62
語流暢課題開始55秒後の[oxy-Hb]変化量のトポグラフィ画像語流暢課題開始55秒後の[oxy-Hb]変化量のトポグラフィ画像 健常対照群(女性31名) カラーレンジ (mM・㎜) 計測までの1ヶ月間にパニック発作を経験しなかった群19名 (男性9名・女性10名) 計測までの1ヶ月間にパニック発作を1回以上経験した群13名 (男性5名・女性8名)
パニック発作は次のパニック発作の温床となるパニック発作は次のパニック発作の温床となる 前頭葉血流低下→機能低下 脱抑制 パニック発作 扁桃核↑
療養のつぼ パニック発作を阻止するためにあらゆる手を尽くせ
規則正しい生活を心がけましょう! パニック障害は極端な無理のきかない病気、 節制、節制また節制! 身体を鍛えよう、5%ぐらいの無理をする 過労 睡眠不足 風邪 二日酔い ストレス パニック障害を悪化させるもの
服薬の期間(医師の指示のもと行います) 維持療法期間 (症状が完全に消失した後半年から1年) 漸増期 (発作をコントロールするためのもの) 漸減期 (少しずつ減らしていき断薬まで) 薬の量 発作の再燃や 残遺症状をコントロール 1ヶ月~3ヶ月 時 間 6ヶ月~1年 1~6ヶ月
服薬の心得 • 防衛治療 ― パニック発作が起きてから薬を飲むのではなく、起きないように定期的に服薬する • 自分で自分の病状を見て飲んだり飲まなかったり、自分で服薬量を調節することは再発の原因 • 減薬はあわてずゆっくりと • 服薬は医師の指示通り定期的に
パニック障害と喫煙 ① パニック障害患者の喫煙率は高い ② ニコチンは急性的には不安解消作用があり、慢性的には不安惹起作用がある ③ 現在の喫煙はパニック障害の発症に関係し、予後に悪影響を与える ④ 喫煙は三環系抗うつ薬の血中濃度を低下させる。
パニック障害の予後調査 ・ 1998年4月~2001年9月になごやメンタルクリニックを受診した パニック障害患者(671名、♂:♀=248:の3~7年後の転帰 1998年4月~2001年9月 2004年12月 初発PA 初診 問診票記入 転帰調査 重症度・QOL 転帰の予測因子 重症度が高い:Panic & Agoraphobia ScaleQOLが低い:Sheehan Disability Scale ・女性である ・初診時の年齢が若い ・第一度親族に精神疾患家族歴がある ・初発PA時の年齢が若い ・初発PAの発作症状数が多い ・初発PAの発作症状数が多い ・初診時の回避が強い ・初診時のSDS得点が高い ・初診時の予期不安の頻度が高く、また程度も高い ・初診時の回避の程度が高い ・初診時のQOLが低い ・転帰調査までの受診回数が多い ・初診時のSDS得点が高い なごやメンタルクリニック
3~7年後転帰調査 初診時の喫煙と発作症状の関連3~7年後転帰調査 初診時の喫煙と発作症状の関連 1. 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加 2. 発汗 3. 身震いまたは震え 4. 息切れ感または息苦しさ 5. 窒息感 6. 胸痛または胸部不快感 7. 嘔気または腹部の不快感 8. めまい感、ふらつく感じ、 頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ 10.コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖 9. 現実感消失(現実でない感じ)、 または離人症状 11.死ぬことに対する恐怖 12.異常感覚(感覚麻痺) 13.冷感または熱感 オッズ比 なごやメンタルクリニック
転帰調査 初診時喫煙が転帰に及ぼす影響 * 初診時 # *:p=0.03, #: p=0.05 初診時喫煙(+)群は、喫煙(-)群よりも、転帰調査時のSDS得点、QOL得点が有意に高く(重症度(PA)は傾向))、転帰不良であると考えられる。 なごやメンタルクリニック
パニック障害とアルコール ①アルコールはGABA-ベンゾジアゼピン-塩素イオノフォア-複合体にアゴニストとして作用し、抗不安作用を持つ ② この抗不安作用の持続は短く、リバウンドを生じ、パニック発作の誘引となる ③ アルコールはBZDと相乗作用を持ち、眠気、ふらつきを増強し事故の危険性を招く ④ パニック障害はアルコール中毒を招き易い
療養のつぼ アルコールとタバコには手を出すな!
パニック障害とコーヒー ① カフェインには催不安作用がある ② 体重10kgにつきコーヒー1杯(100mg)を飲用させると7割の人にパニック発作または類似の症状が見られた ③ パニック障害患者287名中コ-ヒ-を飲んだ後にパニック発作または不安感や不快な症状を訴えた人が54名(18.8%)みられた
パニック障害患者はコーヒーを飲んでよいか?パニック障害患者はコーヒーを飲んでよいか? • コーヒーで不安になったりパニック発作が出た人は禁止! どうしても欲しい人はカフェインの含まれていないデカフェを楽しんでください。 • それ以外の人は量を程ほどにして楽しんでください
パニック発作 残遺症状 パニック障害を火山に例えると う つ 空気穴 =ストレス マグマ 病気の元
気分の落ち込み、憂うつ 興味や喜びがない 食欲がない 眠れない いらいら・考えが進まない 疲れやすい・気力がない 生きる価値がないと思う 決断できない・集中力↓ 死にたいと思う うつ病
広場恐怖を伴うパニック障害の併発障害(生涯有病率)広場恐怖を伴うパニック障害の併発障害(生涯有病率) 93.6 何らかの不安障害 15.0 全般性不安障害 75.2 特定の恐怖症 66.5 社会不安障害 37.6 PTSD 19.6 強迫性障害 23.5 分離不安障害 73.3 何らかの気分障害 38.5 大うつ病 14.6 気分変調障害 33.0 双極性障害Ⅰ型 Ⅱ型 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 % (Kessler RC et al.,Arch Gen Psychiatry 2006 63:415)
症例:22歳 大学4年生 Aさん ・生活歴:歯科医の父親、母親、姉、弟。現在一人暮らし。 ・生育歴:特に恐怖症や人見知りすることはなかったが、環境の変化に馴染むことができない所、何か一つ気になる事があるとクヨクヨと考え込んでしまう所があった。Aさんは教育熱心な母親の期待に応えようと成績は常によく、大学も推薦で合格し、留学の経験がある。 ・心理検査:ベックうつ病尺度;27点(中等度うつ)、不安うつ病尺度;40点。TSAS;15点、LSAS;15点。TEG;厭世タイプ
・現病歴: X年2月、就職活動を始めたある日、面接官が怖く思えて、何も話せなかった。それ以降、面接官の前で極度にあがってしまい、就職活動が上手くいかなかった。この時期から、些細な言葉で泣きやすく憂うつな気分が続いた。そして就寝前12時頃に一人で寮にいると突然、理由のない涙が流れ、孤独感、空虚感、絶望感、強い不安・焦燥感に襲われた。自分はこの先どうなるのだろうと考え、動悸、発汗、眩暈が数分間続いた。Aさんは、どうして毎日涙が出るのだろうと疑問に思ったが、誰にでもある事だとも思っていた。
X年4月、学校にむかう地下鉄の中で突然、動悸、眩暈と強い不安感に襲われた。電車を降りることはなかったが、人込みや大学が怖くなり、ほとんど外出が出来なくなった。寮では一人何もしていない夜になると、理由のない落涙が毎日のように2,30分続き、将来への不安感と孤独感に襲われていた。この数分の間、Aさんは居場所を変え、大好きな犬の本を眺めることで気分を癒していた。X年4月、学校にむかう地下鉄の中で突然、動悸、眩暈と強い不安感に襲われた。電車を降りることはなかったが、人込みや大学が怖くなり、ほとんど外出が出来なくなった。寮では一人何もしていない夜になると、理由のない落涙が毎日のように2,30分続き、将来への不安感と孤独感に襲われていた。この数分の間、Aさんは居場所を変え、大好きな犬の本を眺めることで気分を癒していた。 X年11月になると動悸、発汗、眩暈の症状限定のパニック発作が頻発し、さらに毎晩、理由のない突然の落涙があった。Aさんは、頻繁に涙が出る自分は心の病気かもしれないと思い、当院を初診した。
不安・抑うつ発作とは 強い不安または抑うつを感じるはっきり他と区別できる期間で、そのとき、以下の情動のうち2つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。 (1)不安・焦燥感 (7)抑うつ感 (2)悲哀感 (8)自己憐憫感 (3)自己嫌悪感 (9)自責感 (4)絶望感 (10) 羨望 (5)孤独感 (11) 空虚感 (6)無力感
不安・抑うつ発作ー身体症状 平均症状数(6.8±2.4) (N=94)
不安・抑うつ発作ー対処行動 平均症状数(6.8±2.6) (N=94)
不安・抑うつ発作の特徴(1) (人)
不安・抑うつ発作の臨床的意義 ADF はフロイドが記載したAngstanfalle不安発作と考えることができる。すなわち、パニック発作の不全残遺型または代理症である。 多くの問題行動はADFの最中に起こる。 ADFが長期にわたり潜在するとうつ病となる。 それ故、ADFをはっきりと認識し、それに対する医学的・心理学的介在をする必要がある。
パニック性不安うつ病 パニック障害でははっきり診断基準を充たさなくとも7割以上の患者は何らかのうつ状態を持つ。 このうつ状態は、従来から知られている普通のうつ病(メランコリー型うつ病)とは異なり、非定型うつ病の特徴を多少なりとも持つ
非 定 型 う つ 病 「大うつ病エピソ-ド」「気分変調性障害」があり A 気分の反応性B 次の特徴のうち2つ以上 (1) 著明な体重または食欲増加 (2) 過眠 (3) 鉛様麻痺―疲労 (4) 対人関係における拒絶に対する過敏性
過眠、過度の疲労感は昼間でもまだ眠った状態になっているからである過眠、過度の疲労感は昼間でもまだ眠った状態になっているからである それは脳内時計が狂っているからです
体内時計のメカニズム www.creativehealth.jp/pages/lib/w3000298.html
パニック障害とメラトニン • Eleven panic patients’ concentrations of melatonin were significantly lower than controls at 10 p.m. and midnight. At 9 p.m. and 11 p.m., the concentrations were also nonsignificantly lower.(McIntyre IM et al: J Affect Disord, 1987 , 12:203) • Seven panic patients hadsignificantly greater melatonin concentrations from 4:00 a.m. to 7:00 a.m. than the control subjects.(McIntyre IM et al: Am J Psychiatry,1990 , 147: 462)
ヒトは昼行性の動物代々受け継がれてきたリズムは変えられませんヒトは昼行性の動物代々受け継がれてきたリズムは変えられません ヒトは24時間いつも同じに動くロボットではありません。昼には昼に動く体の仕組みがあり、夜には夜に動く体の仕組みがあります。体温のリズム、ホルモンのリズムなど、体のすべてのリズムがそれに基づいてプログラムされているので、その仕組みに合った生活をしないと、体や心をよりよく発達させることができなくなってしまいます。また、そのリズムに合わせて生活したときにこそ、ヒトはその能力を最も発揮できるようにつくられているのです。24時間型社会になっても、ヒト本来の生活リズムを守ることが、特にこれから成長していく子どもにとって大切です。 www.kodomo-seikatsusyukan-tokyo.jp/important.html
体内時計の狂いを治す (1) www.creativehealth.jp/pages/lib/w3000298.html
体内時計の狂いを治す(2) www.creativehealth.jp/pages/lib/w3000298.html