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核種分離技術総論 “ad hoc” 再処理(巨大化学プラント)事故は如何に起こったか、 如何に防ぐか

茨城大学集中講義 2013 原子科学と倫理 平成 25 年 12 月 25 日 3 コマ(核種分離・再処理) 日立事業場(大学院理工学研究科 ). 核種分離技術総論 “ad hoc” 再処理(巨大化学プラント)事故は如何に起こったか、 如何に防ぐか. 小澤 正基 東京工業大学原子炉工学研究所 原子力国際共同研究センター http://www.nr.titech.ac.jp/~ozawa/. 再処理と分離(湿式). 再処理 (Reprocessing). 分離 (Partitioning, Separation). DIAMEX-SANEX / EU. 溶媒抽出法.

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  1. 茨城大学集中講義2013原子科学と倫理 平成25年12月25日 3コマ(核種分離・再処理) 日立事業場(大学院理工学研究科) 核種分離技術総論“ad hoc” 再処理(巨大化学プラント)事故は如何に起こったか、如何に防ぐか 小澤 正基 東京工業大学原子炉工学研究所 原子力国際共同研究センター http://www.nr.titech.ac.jp/~ozawa/

  2. 再処理と分離(湿式) 再処理(Reprocessing) 分離(Partitioning, Separation) DIAMEX-SANEX / EU 溶媒抽出法 ORGA / JNC-KRI GANEX / EU 使用済み燃料溶解液 イオン交換クロマト分離法

  3. 分離・変換 群分離・消滅 (2000年頃) 国際的にはPartitioning & Transmutation (P&T)が通用

  4. 核種 • 放射性毒性: Σ放射能(Bq) x 実効線量係数(Sv/Bq) • 103年まではAm,Cm,Pu,90Sr,137Csの寄与大。 103年以降はNp, LLFP及びUの寄与が増す。 使用済み燃料(SF)を再処理する際発生する高レベル廃液(HLLW)の潜在的摂取毒性は時間とともに減衰するが、数万年以上の時間を経なければ地球環境/生態系への潜在的な影響を無視できるほどには低下しない。その原因は長寿命核種(アクチニド、核分裂生成物LLFP)の存在である。 • 高レベル放射性廃棄物(HLLW)の潜在的放射性毒性の経時変化 Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation - Status and assessment Report, pp.196, OECD 1999.

  5. 分離変換の効果;高レベル放射性廃棄物の毒性が原料(天然ウラン)の毒性と同等以下まで低下する期間の短縮分離変換の効果;高レベル放射性廃棄物の毒性が原料(天然ウラン)の毒性と同等以下まで低下する期間の短縮 • An, LLFP の分離変換係数が99.9%の場合、その期間を数万年から数百年に短縮できる。 「長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方」 平成12年3月31日 原子力委員会 原子力バックエンド対策専門部会

  6. その潜在的な毒性を低減するために、HLLW(あるいは使用済み燃料SF)からアクチニド、LLFPを選択的に分別・除去(「分離」と略称する)し、分離した元素や特定核種を、原子炉あるいは加速器で照射し安定核種または短寿命核種への核種変換(「変換」と略称する)を施すことを目的とした研究計画(通称OMEGA計画)が我国で開始されてからほぼ25年が経過している(2013年現在)。その潜在的な毒性を低減するために、HLLW(あるいは使用済み燃料SF)からアクチニド、LLFPを選択的に分別・除去(「分離」と略称する)し、分離した元素や特定核種を、原子炉あるいは加速器で照射し安定核種または短寿命核種への核種変換(「変換」と略称する)を施すことを目的とした研究計画(通称OMEGA計画)が我国で開始されてからほぼ25年が経過している(2013年現在)。

  7. 分離変換技術開発の意義・目的 地層処分技術と相互に補完することにより、一層の環境対策の向上を図る。 《 分離変換技術は、原子力利用の結果生じる放射性廃棄物の中に存在する長寿命核種を短寿命化あるいは安定核種に変換し、放射能及び潜在毒性が人類の時間スケールをはるかに越える長期間に及ぶことに起因する不安を軽減すると共に、最終処分される廃棄体量低減や処分場の合理化に繋がる可能性を秘めた核燃料リサイクルの高度化技術である。 すなわち分離変換技術は、長寿命の放射性核種の廃棄量そのものを減ずることにより、能動的に廃棄物の潜在的危険性の低減を目指すものであり、生活環境に潜在的危険性を顕在化させないことを目的とする。 さらに、アクチニドの回収率を向上すると共に、MAを含む全アクチニドをリサイクルして燃焼させることによるウラン資源利用率のさらなる向上や、白金族元素やレアアース等の希少金属の回収、有効利用等の可能性も併せ持つ技術である。 分離変換技術は、これらの可能性を追求することにより、社会の原子力に対する理解と受容度の向上を図る。

  8. MA分離概論 多価イオンのNp(VI)はU(VI)及びPu(IV)と供にPUREX法などによる抽出分離が可能である⇒ JAEA、CEA、他 3価MAイオン(Am(III), Cm(III))の抽出分離についてはTBPより抽出能に優れた配位子(例えばDIDPA、CMPO、TODGAなど)を用いる必要がある。 抽出操作でマクロ量の被抽出種が存在した場合、往々にして抽出錯体が分相して第3相を形成しそれにより様々な抽出操作上の問題を引き起こすことがある*。従って、MAの分離ではPUREX法等によりマクロ抽出種(U(VI)及びPu(IV))を除去した後のHLLWを対象液とせざるを得ない。 ほとんどのMA(+Ln)分離配位子にはf-元素の相互分離機能がないので、窒素(N)や硫黄(S)などソフト元素で構成される分離配位子(N系;DTPA, BTP等、S系;CYANEX301等)を別途用いることによりMAからLnの除去を図る必要がある。 *フッ素系の極性希釈剤による抽出錯体溶解度の著しい向上効果を利用して、溶解液中の全アクチニドを同時一括して分離する新抽出プロセス(ORGA Process;再処理・分離融合プロセス)の開発が行われた。

  9. 概論 (そのII) • 多成分系の原料(高放射性)から照射ターゲットにしたい物質を効率よく分離・回収し、かつ目標とする製品純度を達成するための抽出分離操作は、抽出剤及び逆抽出剤の性能に基本的に依存する。抽出分離プロセスは “素材”に立脚した化学工程である。 • 即ち、分離技術の開発は素材開発の積み重ねである。 • 70年代からの単座配位型抽出剤(DIDPA;酸性・有機リン系、TRPO;中性・有機リン系、他)によるフローシートの構築及び改良の継続 • 80~90年代の二座配位型(CMPO;中性・有機リン系、DIAMIDE;中性・ジアミド系、他)の出現及びフローシート化研究 • 90年代後半からの多座配位型(カリックスクラウン;中性・大環状、TODGA;中性・三座アミド系、他)の萌芽

  10. 核種分離技術はどこまで来ているか(1) OMEGA 1st Phase終了時(20世紀末)の核種分離技術

  11. 核種分離技術はどこまで来ているか(2)   核種分離技術(続き) その成果の例を挙げると、旧日本原子力研究所(JAERI)ではDIDPAを主配位子とする4群群分離法を成熟させ、Am,Cmの抽出率>99.998%、逆抽出率>99.98%を得ている。また多座の非有機リン系、TODGA配位子を用いたARTISTプロセスを展開した。 出典;GLOBAL’99

  12. f-元素の溶液化学

  13. 単座、二座、多座配位子

  14. MA分離プロセス OMEGA 2ndPhase? OMEGA 1stPhase 構造 名 称 1970 1990 1995 2000 2005 対象元素 単座 DIDPA[酸性] (JAERI) TRU DBBP[中性] (JNC) TRU TRPO[中性] (清華大学) TRU 二座 TRU CMPO[中性] (ANL,JNC) DIAMIDE[中性] (CEA) TRU 多座 クラウンエーテル(各国) TRU,Tc,Sr TRU,Cs カリックスクラウン(CEA) TRU TODGA (JAERI-JAEA) DIDPADiisodecylphosphoric acid DMDOHEMA Dimethyl-dioctyl-hexylethoxy-malonamide OφD[iB]CMPO (CMPO) Octyl(phenyl)-N,N-diisobutylcalbamoyl-methylenephosphine oxide TRPO Trialkylphosphine oxideR1,R2,R3=hexyl, heptyl, octyl (1:5:4) TODGAN,N’-tetraoctyl-3-oxapentanediamide

  15. DIDPA(Diisodecyl phosphoric acid) • 単座配位型の酸性有機リン化合物で、分子中のプロトンが解離し、MA3+が陽イオン交換されて抽出される。従ってその解離を容易にし、プロトンとの競合を緩和するためにはTRPOの場合と同じく、HLLW中の硝酸濃度を下げる必要がある。 • 一般的にP置換基から酸素原子が抜けるとP-OH結合が強まるので、中性化合物の場合とは逆に、酸性化合物では酸素原子の存在は好ましい抽出能を与える。 • R基については鎖長が長い程抽出能が増大する。また、分岐度が増すに従い溶解度が増すので、第3相形成に対する抑制効果が増す。 • 旧日本原子力研究所では、Rに i-C10H21を配したDIDPAによる抽出法に、活性炭吸着法、沈殿法や無機イオン交換法を併用する4群群分離法を開発している。 RO O  \  / P DIDPA(R: i-C10H21)         / \ RO OH

  16. 4群分離プロセスからTODGA法へ(旧JAERI-JAEA) 4群分分離プロセスの開発 実廃液による試験で元素分離性能を実証 より合理的で、より経済的なプロセスへTODGA抽出プロセスの開発に着手

  17. TRPO(Trialkylphosphine oxide) • 単座配位型の中性有機リン化合物で、清華大学(中国)において開発途上にある。 • 中性有機リン化合物の場合、以下に示すようにP置換基から電子吸引性の酸素原子を抜くに伴い抽出能力は増大する。 • TRPOの場合、アルキル(R)基は直鎖の、しかも長鎖長が好ましいとの考えから、hexyl、heptyl及びoctylがそれぞれ10、50及び40 %と混合した構造の化合物が現在の研究対象となっている。 RO RO RO R \ \ \ \ RO—P=O  <   RO—P=O < R— P=O  <   R— P=O / / / / ROR RR TBPDBBPTRPO 単座配位型は通常、P=Oへのプロトンの配位がMA3+カチオンと競合するため水相中の硝酸濃度を低減しなければならない。

  18. 抽出メカニズム(単座、酸性配位子) DM3+ M3++3X-+nB=MX3・nB 高硝酸域 H++ M3++ 4X-+nB =HMX4・nB 低硝酸域 中硝酸域 H+ H++X-+mB=HX・mB 単座配位型の抽出パターン

  19. TRUEX(TRans Uranium EXtraction)法  • アルゴンヌ国立研究所(ANL)で開発された、二座配位型の中性有機燐化合物である、OφD[iB]CMPO(Octyl[phenyl]-N,N-diisobutylcarbamoylmethyl- phosphineoxide) 、を主配位子とするアクチニド分離法で、核燃料サイクル開発機構JNCでは”高度化再処理プロセス”の一環として開発を進めてきた。 • OφD[iB] CMPOは下図のように非対称の構造が特徴的であり、TBP及びドデカンで希釈して用いる。 二つの官能基のうちP=Oが第一ドナーとして金属カチオンを、C=Oが 第二ドナーとしてプロトンを受け持つので(Horwitz ; Intramolecular Buffering Effect) 、高硝酸環境においても高い抽出能が維持される。 故に、構造的には主にP置換基の静電的、立体的性状が抽出能に大きく影響を及ぼすと考えられ、なかでもフェニル基φの効果については量子化学的な興味深い解釈が与えられている。硝酸溶液からのAm3+の抽出は次の通りである。   Am3+ + 3NO3- + 3E・(HNO3)n ⇔ Am(NO3)3・E3(HNO3)m + (3n-m)HNO3 n=0~2, m=0~3

  20. CMPO置換基の役割 Effect of Substituents on the Properties of the Carbonyl-phosphoryl Moiety OφD(IB)CMPOの分子モデル (E P. Horwitz / ANL 提供) 変則アリール効果(A.M.Rosen,Russia);フェニル基の導入でプロトンの配位能は低下、Am3+は6員環の形成で逆に抽出能増大 イントラモレキュラーバッファリング効果(E.P.Horwitz,US);カルバモイル酸素C=Oがプロトンを優先的に受け取る

  21. CMPOによる基礎分配特性 Am3+ + 3NO3- + 3E・(HNO3)n ⇔ Am(NO3)3・E3(HNO3)m + (3n-m)HNO3 n=0~2, m=0~3 (JNC)

  22. 改良TRUEXフローシート (PNC-JNC) HOOC−COOH (CPF-JNC)

  23. CMPO-TRUEX法 抽出平衡曲線 (CPF-JNC)

  24. CMPO-TRUEX法 ホット試験結果の例 (CPF-JNC)

  25. DIAMIDE-DIAMEX法 • フランス原子力庁(CEA)が開発中の、DIAMIDE類縁体を抽出剤とする新しいMA分離法である。 • DIAMIDEは 二つのアミド基をマロン酸型に置き、二種類のR、R‘置換基をcis型に配した骨格構造の、二座配位型中性有機化合物である。 • MA抽出能、溶解性及び第三相形成抑制などの観点から種々の類縁体が合成されており、現在でもR、R‘、R“基の炭素数、酸素原子の効果及びメチレンブリッジ数等に関する最適化が進行中である。 • これまで下記に示すDMDOHEMA (Dimethyldioctylhexylethoxymalonamide)、 マロン酸 を工業用分岐性ドデカン(TPH)に混合した溶媒によるフローシート研究がなされている。 DMDBTDMAは 単座配位型に比べれば適合する硝酸領域が広い。未調整の4 M硝酸濃度の実高レベル抽残液HARをフィード液とした多段向流抽出試験の結果、99.5 %のMA回収率が報告されている。 DIAMIDEは対称構造の故製造が容易(従って安価)、分子中にリン原子を含まない(“CHON”プロセス)為に、最終処分が容易等の点で他化合物に比べ有利である一方、Fe、Mo及び Ruの制御法などに研究課題が残されている。

  26. MA/Ln分離概論 90年代後半からの分離化学は、それまでのMA分離性能の見極めが一段落し、各MA分離プロセスに共通する課題として認識された対アクチニド選択性配位子(高MA/Ln分離性)の創製へと焦点が移った。 手法としては、配位子を構成する原子の種類(ソフトドナー)、配列、骨格構造及び置換基の種類を、経験的あるいは計算化学的に評価し、分離性(実データ)との相関性から支配原理を導き、メカニズムを解明した上で新規の分子設計及び合成に繋げるというもので、ヨーロッパ諸国・研究機関(CEA、FZK)を中心に研究開発に凌ぎが削られている。 一方、我国においても原研を始めとして大学においても、例えば東工大では3級ピリジン型樹脂、NIPA-BTP共重合ゲルの開発が進められている。

  27. 互いに化学的性格の似るf-元素同士の分離への挑戦は、量子計算化学、有機電子論、有機合成化学、錯体化学またNMR、EXAFSなどの構造分析化学の知見を必要とし、周辺基礎化学への波及も大きい。互いに化学的性格の似るf-元素同士の分離への挑戦は、量子計算化学、有機電子論、有機合成化学、錯体化学またNMR、EXAFSなどの構造分析化学の知見を必要とし、周辺基礎化学への波及も大きい。 現在主流となっている研究対象化合物は窒素系(BTP、TPTZ)及び硫黄系化合物であり、特に後者の高度精製Cyanex301は極めて優れた選択的Am抽出性(SFAm/Eu:>ca.6,000)を示し、f-元素の相互分離におけるHSAB則を明快に実証することとなった。 しかしながら、将来プラント規模での定常的使用を想定した場合、安定性と廃棄物低減性(“Salt-Free”、“CHON”)の点において一歩優る窒素系化合物を追求する方向に向かうべきとの判断が優勢である。

  28. MA/Lnの分離化学

  29. MA/Ln分離プロセス OMEGA 1stPhase 名称 研究機関 1970 1990 1995 2000 2005 DTPA ORNL, EC, Sweden(Talspeak法)JNC-JAEA(SETFIX)JAERI(DIDPA) CEA, 東工大(JAEA) TPTZ、3級ピリジン R-BTP FZK, CEA, 東工大 HDEHDTP CEA CYANEX301 清華大学 芳香族置換DTP FZJ, EC DTPADiethylenetriaminepentaacetic acid HDEHDTP di(2-ethylhexyl)dithiophosphoric acid CYANEX301 bis(2,4,4-trimethylpentyl)dithiophosphinic acid BTP 2,6-bis(1,2,4-triazin-3yl)-pyridineR1=H, methyl, n-propyl, i-propyl, n-butyl,i-butyl R2=H, i-nonyl diphenyldithiophosphinic acid + synergist (TOPO, TBP,TBPO) X=H, CH3, F, Cl TPTZ 2,4,6-tri(2-pyridyl)-1,3,5-triazine

  30. TPTZによるAm/Eu分離 TPTZのEuに対する希土類元素,Amの選択性 CEA-フランス(CEA-JNC共同研究 )

  31. CyanexによるAm/Eu分離 (JNC-CEA共同研究)

  32. FP分離概論 LLFPの分離を対象にした技術開発は、アクチニド分離に比べると、どの研究機関においても限定された条件で進められた。これは、限られた投入研究資本内ではアクチニド分離研究を優先するという各国に共通する研究開発戦略によるものである。 f-元素は単味あるいは2種の抽出剤による系統的分離が可能であるが、LLFPを構成するd-元素類などは溶液化学が多様であるために、分離対象元素ごとに分離工程も異なるという特徴(弱点)がある。 旧日本原子力研究所は早くから化学沈殿法や吸着法による白金族元素FP、Tc及び発熱性元素Cs、Srの分離研究に着手し、分離性を実証してきた。 Tc分離に関してアメリカは60年代前半、ロシアは70年代の前半においてそれぞれキログラム量の分離に成功しており、種々の利用研究を進めてきた。我国では東北大において放射線照射によるTcO2ナノ粒子の生成とその利用研究が進められた。 最近ロシアはテクネチウムルネッサンスと称し、99Tcの核変換後の安定Ruの利用を目的とする研究が活性化している(Tc-2002, Dubna会議)。 90年代に入ると、分離剤・法の多様化が進み、クラウンエーテルやカリックスクラウン(CEA等)など新規のマクロサイクル(大環状化合物)やCCD(ロシア)のような強アニオン、あるいはゼオライト(東北大)やKTiFC(精華大)のような無機イオン交換体により、Cs及びSrの定量的分離が可能であることが示された。

  33. また旧サイクル機構では希少元素FP(白金族、Tc、Se、Te、Ag)が電気化学的に貴であることに着目し、電解採取法による一括分離が可能であること、またPd2+、Rh3+などの添加(リサイクルすることを想定)がRuNO3+、TcO4-など他d-元素の電解析出を促進する(UPD;アンダーポテンシャルディポジッション)ことなどを見出している(触媒的電解採取法)。混合析出物の触媒活性は高く、海水電解による水素製造触媒として、従来の白金電極に代替する可能性が高い。また旧サイクル機構では希少元素FP(白金族、Tc、Se、Te、Ag)が電気化学的に貴であることに着目し、電解採取法による一括分離が可能であること、またPd2+、Rh3+などの添加(リサイクルすることを想定)がRuNO3+、TcO4-など他d-元素の電解析出を促進する(UPD;アンダーポテンシャルディポジッション)ことなどを見出している(触媒的電解採取法)。混合析出物の触媒活性は高く、海水電解による水素製造触媒として、従来の白金電極に代替する可能性が高い。 このようにLLFP及び希少元素FPの分離法は多様であるが、今後の技術改良の方向は、湿式法の利点であるシステムの安全性、連続性及び遠隔自動制御性を担保しつつ、経済性と環境負荷低減性の両立を目指す、所謂“Green Chemistry”の理念に沿ったものであるべきで、例えばゴミ処理処分におけるダイオキシン発生のような轍を踏むべきでない。 先進的な核燃料サイクル技術としての整合性を強化するためには、分離手法としての徹底した二次廃棄物の低減、ゼロ化及び無毒化に留意すべきであろう。

  34. FP分離プロセス OMEGA 1stPhase 1970 1990 1995 2000 2005 方法 名称、分離剤 対象元素 溶媒抽出法 カリックスクラウン Cs クラウンエーテル Sr, Tc TRU,Sr,Cs CCD 沈殿法 脱硝沈殿法 Tc,PGM イオン交換法(吸着法) Sr チタン酸 モルデナイト Cs ヘキサシアノチタン鉄(II)酸カリウム Cs PGM,Tc,Te,Se,Ag 電気化学法 電解採取法 DtBuCH18C64’,4’(5’)-di-t-butyl-(dicycrohexano-18-crown-6) Sr抽出用 (SREXプロセス:米国) DCH18C6 dicycrohexano-18-crown-6Sr抽出用 (清華大学) DB18C6 dibenzo-18-crown-6Tc抽出用 (CEA)

  35. Sr分離配位子 (JNC)

  36. Cs分離配位子 (CEA-フランス)

  37. アンダーポテンシャルデポジッション(UPD)を利用した白金アンダーポテンシャルデポジッション(UPD)を利用した白金 • 族の分離 UPD(UnderPotential Deposition)とは?異種原子間の結合力が同種間よりも大きい場合に、REDOX電位よりも貴な電位で起こる析出現象。特異な触媒活性を示す。 Anti-Universal Law for Waste Management ” It gets bigger every time you touch it! ” Pd2+あるいはRh3+の添加が白金電極上で、TcO4-及びReO4-の析出を促進! 20 19

  38. Electro-deposition of NRM in S-HLLW; HCl vs. HNO3 media HNO3-S-HLLW HCl-S-HLLW Electrolysis; Catholyte: 50cm3, 50℃, Cathode: Ptsmooth, 2cm2, Ic:2.5mA/cm2(1hr)→75(2hr)→100(4hr), ICP Atomic Emission Spectrometry 20

  39. 白金族/テクネチウム・アダトム電極の水素製造触媒利用白金族/テクネチウム・アダトム電極の水素製造触媒利用 • アダトム触媒表面は水素吸着席数が多く、アルカリ水や人工海水の電解で触媒活性が高い。現行Ni電極(商用電解)を代替する可能性が高く、また酸素過電圧も低いので他分野でも有力な触媒となる可能性が高い。 多元系アダトム触媒 2元、4元系アダトム触媒 単味系アダトム触媒 【人工海水電解水素製造】 ・4元系の水素発生開始電位は平滑白金に比  べ、約0.6V貴側にシフトする。 ・より少ないエネルギー負荷で多くの水素が得 られる可能性が高い。 【アルカリ電解水素製造】 ・所定電位での水素発生速度(Y軸)は見掛けの水素  発生開始電位(X軸)に対しほぼ、リニヤーに増加する。 ・4元系及び多元系の触媒活性は白金黒電極をも上回  り、平滑白金電極の3倍強を示す。 ・Pdは活性には寄与せず、主としてRuが活性を支配する。 ・単味及び二元(Rh)系で比べた場合、TcはReよりも触媒  活性が優れる。 20

  40. 再処理プロセス;事故と安全機能

  41. 内 容 1. 巨大技術と安全性 2. 原子力発電所と核燃料サイクル 3. 再処理プロセスと安全設計 4. 原子力の事故例 5. 再処理(核燃料サイクル)の事故例 (1)歴史 (2)Red-Oil爆発、等に関する知見 (3)アスファルト爆発に関する知見 6.再処理の安全評価 

  42. 巨大技術と安全性 【巨大技術の定義】 1)非常に沢山の技術要素を含んだ、複雑で高度な技術応用体 2)かなりのエネルギーないし有害要素を内包した体系、巨大な運   動量を帯びた体系 3)今後の社会経済の活力の維持向上、豊かな生活の確保のため   に欠かせない技術 ⇔ テロ対象技術 【例】 1)高層ビル、地下街 2)化学プラント、石油施設 3)原子力発電プラント 4)巨大ダム 5)微生物研究施設 6)高速鉄道システム 7)大型船舶 8)大型航空機 9)宇宙飛行システム 核燃料サイクル施設と共通

  43. リスクとは • 【定義】 • 将来発生するかも知れない、人間にとって望ましくないこと即ち、 •  人命、健康、財産等に関する有害な影響、に対する懸念 • 「リスク」=「被害の大きさ」X「発生確率」単位10-6死/人・年 • ⇒人口100万人あたりの年間死亡者数 • <1 ; 諦める • 10~100 ; リスクとベネフィットのバランスを考えて対策や •        改善のための投資を図る • >1000 ; 容認されない • 【事例】 x10-6死/人・年 • i) 自動車事故;200 • ii) 墜落事故、地震(30)、鉄道事故(20)、台風・津 •        波(12)、海難・火災(10) • iii) 洪水、落雷(≪1) • 【巨大技術のリスクの特徴 】 • 偏在し、一挙であること。しかも集中的、衝撃的。 • 最新鋭の技術への信頼を揺るがし、施設全体の財産的損害も • 巨額。

  44. リスクの比較(人口100万(106)人あたりの年間死亡者概数)リスクの比較(人口100万(106)人あたりの年間死亡者概数) いろいろな事項についての10万人あたりの年間死亡数、体質研究会、http://www.taishitsu.or.jp/risk/risk2006.html リスクのモノサシ、中谷内一也、NHKブックス

  45. 巨大技術(非原子力)の事故例 1)メキシコ・イスワテペックの事故(LPG貯蔵センター) 1984.11.19 火災爆発、死者約500人、負傷者約7000人、 2) インド、ボパールの事故(化学プラント)1984.12.2 UC殺虫剤製造プラント、毒性のメチルイソシアネート(MIC)の放出、 死者約2500人、障害者20万人  3) 日本航空ボーイング747事故(旅客機)1985.8.12 死者520人、負傷者4人、 4) スペースシャトル・チャレンジャー号事故(宇宙)1985.1.28  死者7人、個体ブースター継手部Oリングの機能不備、約30億$の損 害 5)ナホトカ号重油流出事故(タンカー)1997.1.2  船体の破断、死亡1名、約6m3 の原油流出・重大な環境汚染、 損害補償金額261億円 6) H2ロケット打ち上げ失敗(宇宙) 1999.11.15343億円の損害

  46. 原子力施設での考え方

  47. 巨大技術【原子力】の事故例 1) ウラル・マヤーク(チェリャビンスク65)HLLW貯槽の爆発 放射性核種放出 1957.9.29 ウインズケール火災 1957.10.10 炉心黒鉛減速材火災 2万CiのI-131放出 数十人が白血病で 死亡 3) サンローラン・デ・ソー原子炉(フランス)炉心溶融 1963.10 4) 原子力砕氷船レーニン号原子炉暴走 1965.2 パロマレス米軍機B52-G墜落(スペイン南部)1966.1.17 4個の水爆のうちの2個の起爆装置が爆発500gのPuが土壌に残留 6) 原子力船「むつ」放射線漏れ1974.9.1 7) 海洋偵察衛星墜落(カナダ)1978.1.24 原子力電池搭載コスモス954300万$の損害賠償 8) TMI島原子力発電所 炉心溶融1979.3.28レベル5 原潜事故エコー2型K-431原子炉爆発(ウラジオストック)1985.8.10 10名死亡250名被ばく 10) チェルノブイリ原子力発電所爆発1986.4.26レベル7 9000名死亡(WHO)55,000名死亡(14周年 追悼式典) 11) ゴイアニア被ばく事故(ブラジル)1987.9 Cs-137線源の盗難 250人被ばく、4名死亡 12) トムスク再処理施設爆発1993.4.6 U-TBP錯体の熱分解 Pu3.7x1010Bqの環境放出 13)ラプソディーNa貯蔵タンクの爆発1994.3.31プロパノールとNaとの反応による水素爆発レ ベル3 14) 動燃高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏洩1995.12.8 15) 動燃東海アスファルト固化施設火災爆発1997.3.11 レベル3 16) JCO核燃料加工施設臨界事故1999.9.30 レベル4 日本で3番目の臨界事故2名死亡 17) トリカスタン原子力発電所 放射性核種放出2008.7.7レベル0 3万㍑のウラン溶液の流出250 人被ばく 18) 福島第一原子力発電所炉心溶融・水素爆発2011.3.11 レベル7

  48. 溶融ガラスからの放射性核種の漏洩

  49. 再処理施設の安全の考え方;原子力発電所との比較再処理施設の安全の考え方;原子力発電所との比較

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