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人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループについて

人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループについて. 蔵治 光一郎 東京大学 愛知演習林. 平成 13 年 6 月より文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会人文・社会科学特別委員会において検討されてきました「人文・社会科学の振興について- 21 世紀に期待される役割に応えるための当面の振興方策-」報告(平成 14 年 6 月)を踏まえて、平成 15 年度から、人文・社会科学の新しい学問領域及び研究領域の創出を行おうとする「人文・社会科学振興プロジェクト研究事業」を実施しております。.

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人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループについて

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  1. 人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループについて人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループについて 蔵治 光一郎 東京大学 愛知演習林

  2. 平成13年6月より文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会人文・社会科学特別委員会において検討されてきました「人文・社会科学の振興について-21世紀に期待される役割に応えるための当面の振興方策-」報告(平成14年6月)を踏まえて、平成15年度から、人文・社会科学の新しい学問領域及び研究領域の創出を行おうとする「人文・社会科学振興プロジェクト研究事業」を実施しております。

  3. 目 的  本事業は、グローバル化、情報化が進む中、特に民族、宗教、精神生活、社会規範や制度をめぐる問題など、現代社会において人類が直面している問題の解明と対処のため、人文・社会科学を中心とした各分野の研究者が協働して、学際的・学融合的に取り組む「課題設定型プロジェクト研究」を推進するとともに、その成果を社会への提言として発信することを目的とする。

  4. プロジェクト研究は次のポイントに留意して進める。 • 研究者のリーダーシップ:直面する現代的諸問題を研究者自らが課題として設定し、研究者のイニシアティブ、柔軟な協働体制、調整と効果的運営におけるリーダーシップを重視する。 • 諸学の協働:各分野の研究者が協働して学際的、学融合的に研究に取り組む。 • 社会提言:プロジェクト研究の成果を社会への提言として発信し、現代的諸問題の解決に貢献する。 • 若手研究者も含むプロジェクト・リーダーの養成

  5. プロジェクト研究「水のグローバル・ガバナンス」(代表:中山幹康・東大教授)プロジェクト研究「水のグローバル・ガバナンス」(代表:中山幹康・東大教授) • 研究グループ(コア研究)1「越境影響評価と水のガバナンス」(代表:中山) • 研究グループ(コア研究)2「青の革命と水のガバナンス」(代表:蔵治) • 予算規模 平成16年度 5,695千円

  6. 青の革命とは • 21世紀は水問題が深刻化するだろうといわれている。 • 青の革命とは、従来の水の管理とは質的に異なる、土地利用、生態系、社会・政治システム、人間の心のあり方を含めた水の分配・利用を実現する新たな水のガバナンスを形成することである。 • かつて「緑の革命」により人口増加を上回る食糧の増産が達成されたが、水が不足し、かつ新たな水資源開発が望めないような地域では、水危機を克服するために「青の革命」が唯一の道であると考えられている。

  7. 「青の革命」グループの目的 • 新たな水のガバナンスの実現のためには、水に関する人文・社会科学や自然科学を現場の文脈に沿って学融合的に結集・再編していくことが必要になる。 • 本プロジェクトは、具体的な水系の諸問題における紛争や住民参加の事例研究を通じて、このような問題解決型の学術の結集・再編を進め、 • そのことにより国内や世界の水問題の実態と本質を把握し、「知の組み換え」を行いつつ、問題の解決に学術として寄与していくことを目指している。

  8. 目指している成果は何か • 水系の政治・経済・社会問題の実態を把握する(データベース) • 水系の社会問題の解決に寄与する学術のあり方を示す(研究会、シンポジウム) • 学問分野ごとでなく水系ごとに学術を束ねる(流域圏学会、ネットワーク支援) • 情報発信(メーリングリスト、ホームページ、出版) • 社会提言

  9. 活動報告 • 研究会 これまで2,3,5,8月の4回開催 • 現地調査 高知、熊本、タイ • 国内シンポジウム 1月 緑のダム • 国際シンポジウム 来年3月、タイ・チェンマイ • 外国人招聘 9月 • イアン・カルダー氏(「Blue Revolution」著者) • 青の革命データベース構築 • 流域圏学会立ち上げ支援 • 不知火海・球磨川流域圏学会、荒川流域圏学会 • 書籍 「緑のダム」 12月出版

  10. 不知火海・球磨川流域圏学会 • 不知火海・球磨川流域圏の望ましい方向性を目指して、学融合的な研究および実践的取り組みを、研究者と地域住民が連携しつつ行うことを重視する。 1) 森・川・海のつながりを流域圏として捉え、さまざまな分野での研究や情報を共有することにより、新たな視点で研究や実践をめざし、その成果を地域社会へ還元する。 2) 自然環境そのものを対象とするだけでなく、第一次産業、地域社会などとの関連を重視した人文・社会学的研究や取り組みを行う。 3) 研究者のみならず、市民との交流を促進し、子供たちへの流域文化の継承をも視野に入れ、横断的ネットワークづくりを進める。

  11. 期待される成果 • 学術の再編成(流域圏学会) • 学術と行政/地域住民の相互作用活性化 • データベースの充実 • 社会への情報発信(計画の科学の解説など) • 青の革命の実現 • 問題の政治決着を目指す活動(知事への直接提言など) • 市民運動の支援(弁護士との連携など) • 社会提言(河川法再改正、水源税の使い方など) • 国際比較

  12. 特に注目したいこと • 洪水・水資源と流域 • 一般性・普遍性よりも個性・現場知 • 科学者の役割と責任 • 民主的な意思決定 これまでの河川管理行政は、欠如モデルに基づくパターナリスティック(父権主義的)なものであったという認識

  13. 洪水・水資源と流域 • リスクを煽ればきりがないが、安全を過信するのも危険 • 利水: 水需要増加→減少へ 埼玉県都幾川村大野ダム中止 つくられた渇水 • 治水: 江戸時代の森林荒廃→山を治めるものは川を治めるという思想、政策 • 近年の豪雨傾向? • 洪水と流域にはどのような関係があるか 「密接な関係がある」という現場知

  14. 河川審議会答申 • 1996年6月「21世紀の新しい社会を展望した今後の河川整備の基本的方向性について」 • 河川は水循環系の主軸であり、流域と一体的なつながりを有している。流域における人口・資産の集積や土地利用の変化が河川に与える影響は大きく、洪水・土砂流出の増大、普段の河川の水量の減少、水質の悪化などの問題を生じさせてきた。こうした問題に対処するためには水系一貫の視点のみならず、流域全体を視野に入れた施策が重要である。

  15. 具体的方法 • ネットワークの形成  上下流交流、流域連携 • 流域の健康診断  矢作川水系森林協議会(矢森協)の取り組み • 流域を採点する

  16. 一般性・普遍性よりも個性・現場知 • 流域の2000年の歴史を踏まえる • 人間の時間スケールは長くて70年 長老の話を聞く • 人間の認識には不十分な点がある • 忘れる • マスコミ等の影響を受けて変わりやすい • 夜の現象は認識できない • 基礎知識、勉強が足りない住民も多い  理性よりも感情を重視

  17. 科学者の役割と責任 • 科学者は、ジャーナル共同体内で価値が決まり、社会貢献は評価されない • 構造的に蛸壷化されやすい • 異なるジャーナル共同体から異なった判断が示されることがある • あらゆる科学は不確実性を伴う • 科学の最先端は日々変化している • 社会的判断の場では、現場知は(不確実な)専門知と同等の価値を有する場合がある • 学識経験者を採点する

  18. 民主的な意思決定 • 科学的合理性の限界 不確実性 • 社会的合理性の担保 • 結果でなく過程 • 合意形成過程で必要なプロセス • 透明性、公開性 • 流域委員会を採点する

  19. 緑のダムに関する論点 • 森林面積に変化がないかどうか • 治水計画に森林の機能が前提となっているかどうか • ホートン型地表流が発生するかどうか • 大雨時には飽和するので森林の機能は無視できるかどうか • 森林は渇水時に流量を減少させるかどうか • 「緑のダム」を読んで勉強しましょう

  20. Thailand: Water management issue • Too much water - floods, landslides and debris flow • Too little water – insufficient water for demand of society – conflicts between upstream and downstream • Seasonal and inter-annual variation of meteorological condition and water resources are quite large • Integrated Water and Land Use Management is essential

  21. 背景(2) • GAME-T: 純粋自然科学プロジェクト 隣接流域の雨を調査 • その結果,隣接流域では,標高が高くなればなるほど,降る雨の量が多くなることがわかった.メーティア流域の最高点では,最低点の2倍以上の雨が降る. • 一緒に仕事をしていた森林局のKowit氏は,住民参加型流域管理の仕事に20年以上携わってきた人であり,彼から多くのことを学んだ. • その結果,サイエンスをこの地域で最も優先順位が高い社会的問題の解決に役立てたいというモチベーションが高まった.

  22. 関係者 • 下流住民: 乾季の終了間際(4-5月,最も川の水が少ない)に立ち退き運動,国道封鎖による実力行使(1988) • NGO(タイ国内の組織): 扇動 • 政府: 担当部局不明瞭,予算・人材不足,基礎データの欠如,問題解決のための方法論の欠如,民族問題の取り扱いの困難さ • 立ち退きは国王が望まない。移動先でも同じ問題が起こる • 上流住民(モン族,カレン族): 自分たちに問題はない

  23. 想定される手順 • 人文社会科学は,メーティア流域の水問題を解決するための基礎データとして,どのような科学的情報が必要かを調べ,示す. • 自然科学は,その要請に基づいて,メーティア流域の水資源,水需要,土地利用などを調べる.この過程で両科学は緊密に連絡をとり,それぞれの成果をフィードバックする. • 人文社会科学は,そのデータに基づき,すべてのステークホルダーの合意形成を実現できる解決法を模索し,その実現のために効果的な政策ツールを考案する.

  24. ワークショップの開催 • 3月8日 チェンマイ • Interdisciplinary Workshop on Multi-scale Governance of Forests, Village & Water in the Upper Ping River Basin, Northern Thailand • GAME, PUBも参加 • タイ国内、日本、世界の人文・社会科学者に広く参加を呼びかける

  25. おわりに • 国土交通省の第一線の方々は自信を失わずに、誇りを持って仕事をしてほしい • 必要な治水対策は着実に行うべき • お互いに、科学的でないものを無理やり科学的と主張するのはやめましょう • 社会的合理性の担保に尽くしましょう • 実態を調べ、公開しましょう • 流域の3分の2以上を占める森林に積極的に介入しましょう • 「青の革命」の実現に向けて努力しましょう

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