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インクルージョン時代の 障害理解と障害発達支援. 第8章 肢体不自由の理解と生涯発達支援. 担当:羽原(1,2章) 田中(3,4章). 1.1 主実行系. 運動に関する指令 が作られる. ▼大脳. 大脳内で最終的に運動が集約、運動系の出発点となるのが 大脳運動野. 運動 野が末梢の身体部位と一対一で対応 →部位自体、あるいは部位と末梢を結ぶ経路が障害された場合、対応する末梢部位の運動に障害が生じる= マヒ. ブロードマン 脳地図(第4野). ペンフィールド 脳の小人. マヒとは?. ①必要な運動自体を全く形つくれない、 運動がゼロになってしまう状態
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インクルージョン時代の 障害理解と障害発達支援 第8章肢体不自由の理解と生涯発達支援 担当:羽原(1,2章) 田中(3,4章)
1.1 主実行系 運動に関する指令が作られる ▼大脳 大脳内で最終的に運動が集約、運動系の出発点となるのが大脳運動野 運動野が末梢の身体部位と一対一で対応 →部位自体、あるいは部位と末梢を結ぶ経路が障害された場合、対応する末梢部位の運動に障害が生じる=マヒ ブロードマン 脳地図(第4野) ペンフィールド 脳の小人
マヒとは? ①必要な運動自体を全く形つくれない、運動がゼロになってしまう状態 →全く筋緊張が生じ得ない場合 ②必要な運動が余分な運動の中に埋もれてしまって生じ得ない状態 →高い筋緊張のなかに必要な筋緊張が埋もれてしまっている 場合 痙直型のマヒ
従来の脳性まひの原因 周産期・新生児期の医療の 進歩・充実 ・周産期仮死 ・核黄疸 ・未熟児出生 減少 今後も増えていく可能性あり 痙性両マヒ 脳室周囲には胎児期特有の血管が多数 走行。 未熟ゆえ血圧変動等のストレスに弱い →未熟出生の場合、血管が残存し血管 障害を引き起こす可能性あり。
脊髄には運動ニューロンがある。 脊髄から筋までの経路 →最終共通路 ▼脊髄 二分脊椎症 ・・・本来ならば脊椎の外にある脊髄が、脊椎の外に出て癒着や損傷しているため に起こるさまざまな神経障害の状態。 脊椎下部が閉じていない →下半身に知覚・運動の問題が生じる
1.2 修飾系 ▼大脳基底核 線状体(被核、尾状核)、淡蒼球、黒質等の諸核 • パーキンソン病(無動・寡動) • 舞踏病(激しい不随意運動) • アテトーゼ(不随意運動) ・・・基底核が黄疸のビリルビンにより黄染・障害される →ビリルビンが光化学反応を起こすことを利用した黄疸治療 (光線治療) 基底核は“運動の安定化装置”
▼小脳 • 姿勢・運動の中枢、運動学習の中枢 • 失調、協調運動の障害 ・・・粗大運動、手指運動に出現 • 運動の調子が整わなくなる 乳児期の子どもが自ら行う姿勢・運動 →運動マイルストン 子どもが外からの働きかけに対して行う運動 →反応・反射(原始反射・正常姿勢反射) 相互に拮抗する消長関連のなかで、運動マイルストンの獲得を確立していく。
2.1 早期発見と早期支援のシステム 母子保護法・・・1歳6か月検診と3歳児検診の義務付け(第12条) • 集団健康診査(保健センター・母子保健センター) • 個別健康診査(医療機関等に委託) • 精密健康診査(異常が認められた場合) 「母性、乳幼児に対する健康診断及び保護指導の実施について」(厚生省通知) • 新生児の検査 (生後6か月に達するまで:月1回) (6か月から1歳に達するまで:2か月に1回) • 1~3歳:年2回以上 • 4歳以降就学まで:年1回以上
乳幼児健診及び児童相談所による精神発達精密検査の国庫費負担が廃止乳幼児健診及び児童相談所による精神発達精密検査の国庫費負担が廃止 →自治体の財政負担が増加、健診の受診率に地域間格差が生じる
2.2 肢体不自由幼児の療育・保育専門機関における発達支援2.2 肢体不自由幼児の療育・保育専門機関における発達支援 肢体不自由幼児への発達支援(児童福祉法) • 肢体不自由児施設 • 心身障害児相談支援事業 • 病院併設の総合療養センター • 母子通園センター ・児童居宅介護 ・児童デイサービス ・児童短期入所(ショートステイ)の機能を有している 障害者自立支援法(平成17年10月)→障害者総合支援法(平成25年4月)へ 地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するために改正。 利用者負担は実質変わらぬまま。(1割負担、所得に応じての負担上限月額の設定) →サービスの利用率の低下
これまで障害者種別ごとに分かれていた施設体系は、通所・入所の施設利用体系によって分かれるようになった。これまで障害者種別ごとに分かれていた施設体系は、通所・入所の施設利用体系によって分かれるようになった。
2.3 幼稚園・保育所における肢体不自由幼児の保育2.3 幼稚園・保育所における肢体不自由幼児の保育 単位:人 ()は各区分の総数に占める割合(%) 保育所の障害児保育に関わる国庫補助金の廃止→一般財源化(2003年) 公立保育所運営費の廃止→一般財源化(2004年) 「障害児(者)地域療育等支援事業」→一般財源化(2003年) 職員の削減、パート数化の進行、巡回件数の減少 通常の幼稚園・保育園を希望する場合、保育士の加配・バリアフリー化の予算が問題 →自治体による判断に任されているのが現状
2.4 肢体不自由幼児の保護者・家族への支援 ・特別児童扶養手当(軽・中度の肢体不自由幼児) ・障害児福祉手当(重度及び施設入所) ・特別支援教育就学奨励費(特別支援学校幼稚部在籍の肢体不自由幼児) 毎日の 健康チェック 医療機関との連携 環境整備 遊びへの 配慮・工夫 安全対策 ・子どものQOL(生活の質)を支える健康観察・管理サポート ・子どもの意思表出やコミュニケーション手段の確保 ・発達初期を豊かに過ごすためのきめ細やかな対応
第3節 教育の視点から 3.1 肢体不自由教育のなりたち 1932(昭和7年) 肢体不自由児の学校教育始まる(東京市立光明中学校) 通学ができず入学できない → 寄宿舎の併設が必要 ⇒ 医療との連携・協働と専門職の配置、施設設備、 通学手段の確保など不可欠 1960年代 脊髄性小児マヒ激減 ← ポリワクチンの普及 ⇒脳性マヒ増加、障害の重度・重複化 障害の重い肢体不自由児:就学猶予・免除 1960年代後半 不就学をなくし障害児の教育と発達の権利保障を求める運動 ・訪問教育:特殊学級から教員を派遣する ・肢体不自由養護学校で障害の重い子どもの受け入れ
1974(昭和49)年 東京都 希望者全員就学 1979(昭和54)年 養護学校教育義務制実施 養護学校増設、教育条件整備、 障害の重い子どものための教育課程・教育内容の見直し ⇐ 介助員制度の導入、教職員の増加、重度・重複学級の認可 1990年代 「医療的ケア」を必要とする子どもの増加 肢体不自由教育 日常生活行動=教育の一環 重度・重複化していく子どもに見合った教育課程、集団編成、 教材・教具・教育評価などを進める
表8-3-1 肢体不自由特別支援学校在籍児童・生徒の病因別割合(%)表8-3-1 肢体不自由特別支援学校在籍児童・生徒の病因別割合(%) 平成24年5月1日現在 ※全国特別支援学校肢体不自由教育校長会事務局調べ 表8-3-2 肢体不自由養護学校における常時医療的ケアを必要とする児童・生徒の割合 平成16年5月1日現在 ※全国肢体不自由養護学校長会「平成16年度 児童生徒病因別調査」より引用
3.2 肢体不自由児の就学と学校教育 ○肢体不自由養護学校(肢体不自由特別支援学校) 都道府県立:数が少なく遠距離通学 区市町村立:数が少なく高等部設置されていない → 肢体不自由養護学校高等部=生徒増と多様化 ⇒ 障害種別を超えた受け入れのより、 身近な地域での就学 指導上の専門性・仲間集団の確保が課題 ○訪問教育 対象:障害が重く通学困難な子ども 理由:遠距離通学 医療的ケアの対応の不十分さによる通学負担 養護学校から教員が訪問し、 週3回(毎回2時間)程度の授業を行う → 教育条件の整備の遅れ
○小・中学校の肢体不自由特別支援学級 対象:軽度の肢体不自由児 編成基準:児童生徒8名、教員1名 (介助員、看護師等の配置あり) 人的配置・施設設備が必要なため、設置率が低い ○通常学級(認定就学者を含む) 校舎のバリアフリー導入などの受け入れ条件の整備 介助員の配置は少なく、保護者の付き添いが多い 通級による指導:26名(平成25年度) ⇒ 特別支援学校に求められていること ・通常学級・特別支援学級に在籍する児童生徒の自立活動等の支援 ・通級による指導、巡回指導 肢体不自由児の地域での教育=様々な場の充実と連携 特別支援学校の小規模・分散化、通級による指導、居住地交流の拡充
表8-3-3 肢体不自由特別支援学校の学校数及び在学者数表8-3-3 肢体不自由特別支援学校の学校数及び在学者数 ※文部科学省「特別支援教育資料(平成25年度)」をもとに作成 表8-3-4 肢体不自由学級の学級数と在学者数 ※文部科学省「特別支援教育資料(平成25年度)」をもとに作成
3.3 肢体不自由教育の充実をめざして ○コミュニケーションの拡充 肢体不自由児:言語障害、書字の困難、表出手段の乏しさ → コミュニケーション手段の限定 ⇒ 自己決定・主体的参加のためのコミュニケーションの保障が課題 ・AAC(拡大・代替コミュニケーション) ジェスチャーやサイン、手話、文字盤、コンピュータ機器、VOCA等 ※第4章参照 ○自立活動 肢体不自由児教育の自立活動 医療との連携のもとに「障害」「健康」「からだ」と子どもの意志や認識を総合的に捉えて行う → 深い子どもの理解にもとづく取り組み ⇒ 専門領域と連携した実践、人との信頼関係・共感関係、周囲への認識をとり、 自立活動を追及する
第4節 移行支援・福祉の視点から 4.1 高等部卒業後の進路実態と進路指導 特別支援学校に在籍する生徒の障害の重度・重複化、就職先が見つからない ⇒施設・医療機関の利用形態の変化=地域生活の補完 ・社会福祉施設のデイサービス、ショートステイの利用 ・通所型の授産施設の利用
差 生活行動に関する本人の要求水準 実際の成就水準 = 情緒不安、劣等感 ⇒他者依存的で自己決定が苦手な状態に 進路指導 自立のための自己決定の素地の確立 特別支援学校の進路指導者 利用予定の 社会福祉施設 社会福祉士 就労予定の事業所 ※必要に応じて、卒業後のアフターケアの場においても展開する
4.2 継続教育・高等教育と支援体制 生涯学習:人の一生を通した発達を拡充しつつ、充実した人生を送るための学習活動 生涯教育 ○障害者自立支援・社会参加総合推進事業 ・文化・スポーツ活動を通した自己実現支援 ・地域での講座、レクリエーション ○学校教育の取り組み ・HOU:web上で天文学や物理学の研究活動を行う教育プログラム ○高等教育に進む取り組み ・大学の意識改革、教育環境改善等のユニバーサルデザイン化 ・介助者の確保 ・入試における時間的配慮、PCの利用 生涯教育 生活経験を拡大し、生きがい形成を通して生涯にわたるQOLを充実させる
4.3 就労と支援体制 ※平成25年4月1日より、障害者法定雇用率2.0%に引き上げ → 実践力としての労働効率のため、上肢障害や全身性障害の人の雇用困難 ⇒ 働く意欲のある人に対するサポートシステム ・特別支援学校の進路指導教員による職場開拓 ・障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター ・ジョブコーチ制度の職場適応支援 ・トライアル雇用制度の事業主の意識改革
〈勤務形態の多様化〉 ○SOHO:自宅や自宅近在の事務所等においてパソコン等の情報通信機器を 活用して企業からの業務を請け負う働き方 ・事務系:文章入力、データ入力、テープ起こし ・デザイン系:グラフィックデザイナー、イラストレーター ・マーケティング系:アンケート調査・集計、市場調査 etc… ○在宅勤務 ← 障害者雇用促進法における在宅就業障害者に対する支援
4.4 地域生活と支援体制 地域における自立生活を支援する支援者が配慮すべき要点 谷口(2001) 1.社会資源としての支援サービスに関する情報提供 2.生活基盤への対応 生活費や住居の確保、補装具・日常生活用具の給付申請、住宅改造ニーズ支援等 3.日常生活への対応 居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、移動支援等のサービス提供者の確保、 障害程度区分の認定審査結果に不服があった場合の対応や自立支援給付等の利用支援等 4.健康への対応 頸椎性脊髄症や股関節脱臼・側彎などの二次障害や健康管理における医療サービス利用支援、加齢による運動機能低下で増大するADL困難への支援等 5.コミュニケーションニーズへの対応 言語障害を有する人へのトーキングエイドやパソコン等の利用支援等 6.社会生活スキルへの対応 対人関係構築支援、金銭管理・危機管理能力の形成支援等 7.社会参加に関する対応 レクリエーション(スポーツを含む)・余暇活動支援等 8.教育・就労への対応 学校教育・生涯教育ニーズへの支援、就労ニーズへの支援等 9.家族(多くの場合障害をもつ人の介護者)のQOLへの対応 ショートステイなどのレスパイトサービス利用支援等
参考文献(1、2章) ・障害児支援制度について(概要・利用の流れ) http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/shogaijishien.html ・障害者総合支援法について(厚生労働省) http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html ・平成18年度厚生労働省『身体障害児・者実態調査』http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/shintai/06/index.html ・特別支援学校設置数(文部科学省 平成23年度) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1322973.htm
参考文献(3、4章) ・高知県庁ホームページ http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/311001/files/2013111100307/2013111100307_www_pref_kochi_lg_jp_uploaded_attachment_105276.pdf ・特別支援教育資料(文部科学省 平成25年度) http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2014/05/30/1348287_1.pdf ・障害者雇用率制度(厚生労働省) http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/dl/120620_1.pdf ・障害者雇用状況の集計結果(平成24年) http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002o0qm.html ・福岡SOHOサポートセンター http://www.sohofukuoka.com/info/handbook.html ・在宅就労支援事業団 http://www.jigyodan.or.jp/jigyonusi/sub5.html