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大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻 博士後期課程一年 櫻井 千穂. 国内小中学生の母語支援教育 ‐ 兵庫県スペイン語グループの取り組み‐. はじめに. ◆ 当スペイン語母語教室設置の経緯とその位置づけ ◆神戸市立本庄小学校のスペイン語母語教室の カリキュラムと教材の特徴 ◆これまでの成果と今後の課題 ◆今後の展望(兵庫県の事業として). 新渡日の外国人児童生徒にかかわる母語教育支援事業 . 兵庫県下の外国人児童生徒数 4623名 (日本語指導が必要な外国人児童生徒数 643名)
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大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻 博士後期課程一年 櫻井 千穂 国内小中学生の母語支援教育‐兵庫県スペイン語グループの取り組み‐
はじめに ◆当スペイン語母語教室設置の経緯とその位置づけ ◆神戸市立本庄小学校のスペイン語母語教室の カリキュラムと教材の特徴 ◆これまでの成果と今後の課題 ◆今後の展望(兵庫県の事業として)
新渡日の外国人児童生徒にかかわる母語教育支援事業 兵庫県下の外国人児童生徒数 4623名 (日本語指導が必要な外国人児童生徒数 643名) 主催:兵庫県教育委員会事務局人権教育課 事業の趣旨: ◆母語を思考基盤とする新渡日の外国人児童生徒 に対し、学習言語の習得を支援。 ◆母語・母文化にふれる様々な体験をとおして、当該児童生徒 のアイデンティティの確立を支援。 『平成20年度 新渡日の外国人児童生徒にかかわる母語教育支援事業実施要項』より 実施年度:2006年度から(今年で3年目) 対象母語(センター校数):7言語(17校) ベトナム語(8)、中国語(3)、スペイン語(2)、ポルトガル語(1)、 韓国・朝鮮語(1)、インドネシア語(1)、タガログ語(1)
当母語支援教育実施に至る背景1-行政の視点-当母語支援教育実施に至る背景1-行政の視点- 『外国人児童生徒にかかわる教育指針』兵庫県教育委員会(2000) あらゆる教育活動の中で、外国人児童生徒の自尊感情の形成を促すとともに、課外活動などを通して、母国の文化や言語にふれる学習機会の提供に努めることが大切である ◆人権教育の観点に基づく 母語・母文化に関する教育の必要性 ◆母語の力を強化することで、日本語による学習 の促進、学力の向上
当母語支援教育実施に至る背景2-学校現場の視点-当母語支援教育実施に至る背景2-学校現場の視点- 神戸市立本庄小学校 在籍する外国人児童数 13名(2008年度) (そのうちスペイン語母語児童が5名) 日本語指導が必要な外国人児童に対して1言語1校1人の子ども多文化共生サポーターがつく (週1回(4時間)~3回のサポート) サブマージョン環境であり、日本語教室担当などの 加配教員はいない (当事業の担当も、在籍学級の担任が兼任)
当母語支援教育実施に至る背景3‐NPO団体の視点‐当母語支援教育実施に至る背景3‐NPO団体の視点‐ こうべ子どもにこにこ会(外国人児童生徒支援NPO団体) 神戸市東灘地域に住む外国から来た多様な文化や社会 背景を持った子どもたちへの日本語・教科、母語の学習や、学校を含む生活面でのサポートを通して彼らの居場所づくり、情報発信等に取り組む (同団体ホームページよりhttp://www.hyogo-ip.or.jp/nikoniko/ 2008年8月6日取得)
地域の 公共施設内で 実施 神戸市立 本庄小学校内 に場所を 借りる 神戸市立本庄小学校 が県の母語教育支援事業の センター校に指定される 当母語支援教育(母語教室)実施の経緯 2004年~ 2006年~ 2002年10月~ こうべ子どもにこにこ会が運営 本庄小学校が運営 こうべ子どもにこにこ会と連携
センター校 17 当スペイン語母語教室の位置づけ こうべ子どもにこにこ会 ・母語教師の確保 ・近隣の学校の子どもたちへ 声かけ ・助成金の確保(教材作成) 神戸市立本庄小学校 ・学校の放課後活動に 県の事業として位置づける ・担当教員の設置 ・シラバスの開発 『新渡日の外国人児童生徒にかかわる母語教育支援事業』 兵庫県教育委員会人権教育課 ・講師料などの予算確保、・教材、コピーにかかる費用 ・カリキュラム(週1回2時間等)の設定 ・情報の収集と発信及び研修(年3回)の実施
神戸市立本庄小学校のスペイン語母語教室の概要神戸市立本庄小学校のスペイン語母語教室の概要 参加児童数:7名(近隣の複数の小学校からも通級) 参加児童の国籍:ペルー 参加児童のレベル: 様々な要因においてマルチレベル 四技能間の能力差;聞く>話す>読み書き 教師:グアテマラ人スペイン語母語教師 授業時間:週1回×放課後2時間 (6月から翌年3月まで32回)
課題 マルチレベル性 (年齢、入国年齢、滞日期間、母語力、日本語力、学力、母文化に対する知識・経験、意欲等の個人差、個人の中での四技能(話す・聞く・読む・書く)の力の差) ◆到達目標の設定の難しさ:児童自身が達成感を得にくい ◆カリキュラム不在の当座の個別指導: 児童が授業内容を予測しにくい ◆適した教材がない:既存の母国の教科書や日本の教科書の 対訳、第二言語学習教材のどれも適しているとは言い難い
カリキュラム作成上の留意点1 1)目標 マイノリティ言語の母語による活動を通して達成感を得る機会 ⇒母語そのものに対する自信の形成。 ⇒母文化及び自分自身のルーツに対する自信の形成。 アイデンティティの確立 2)シラバス 『作品』(自己紹介文(絵)、国の料理紹介、ガイドブック、手紙、ビデオ、絵本)を作ることを目的としたプロジェクトワークベースのシラバス *母文化、母国に関すること、日本の教科学習との関連に配慮。 3)レベル プロジェクトワークの目標(作品)を共有することでマルチレベルに対応。*各プロジェクトワークに取り組むための練習問題をレベル別に設定。
カリキュラム作成上の留意点2 4)四技能 「読む・書く」活動を積極的に扱う。 5)授業形態 教師主導の知識伝達型ではなく、児童間のピアコーチングを活用した 児童中心型、全員参加型授業を目指す。 6)その他 ◆プロジェクトワークを通して「仲間作り」をする。 ◆モチベーション維持のため、宿題を出さない。 ◆プロジェクトワークごとに作成した「作品」を家族や日本人児童など、 教室の外に発信する機会を設ける。 ◆児童の言語能力を測るアセスメントをカリキュラムの開始時と終了時に実施。 このカリキュラムに沿った教材を作成
年間(32週)カリキュラムとカリキュラム対応教科書のテーマ年間(32週)カリキュラムとカリキュラム対応教科書のテーマ
これまでの成果と今後の課題 カリキュラム・自作教科書の作成 ◆マルチレベルの児童が一緒に活動できる⇒仲間ができ、参加意欲が向上。 ◆「作品」という表現活動⇒活動目標が明確になり、参加意欲が向上。 ◆自分自身の教材がある⇒活動に集中。 ◆教師にとって指針(教科書)がある⇒教室コントロールを行いやすい。 行政と学校現場とNPOとの連携 ◆学校の放課後活動に組み込まれる⇒参加意欲が向上。 ◆学校が運営責任をもつ⇒他の日本人児童への発信の場の確保。 計画的なアセスメントの実施 シラバス、各課の練習タスクの再考
今後の展望(県の事業として) ◆年3回の研修会の充実 ◆各センター校からの情報の収集と共有 ◆行政と研究機関とのタイアップ 方向性のさらなる確立
ご清聴 ありがとうございました。 櫻井 千穂 sakurai12129@yahoo.co.jp