1 / 47

公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

H16年度建築研究所講演会. 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発. 小島隆矢 (独)建築研究所 住宅・都市研究G 主任研究員. はじめに. 「CSの時代」といわれる ISO9000s:2000年大幅改正  →顧客志向 インターネット普及による口コミ情報の流通 建築設計にニーズ・CSが反映されにくい 「売れ行き」というジャッジを受けない 建築基準法の性能規定化、 住宅品質確保法に基づく性能表示 ・・・など、前進してはいるが、不十分 →技術開発を目的とした研究課題(H14~16) 「ニーズ・CSを把握し活用するための技術」.

ahava
Download Presentation

公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. H16年度建築研究所講演会 公共施設のニーズおよび顧客満足度に関する調査分析技術の開発 小島隆矢 (独)建築研究所 住宅・都市研究G 主任研究員

  2. はじめに • 「CSの時代」といわれる • ISO9000s:2000年大幅改正 →顧客志向 • インターネット普及による口コミ情報の流通 • 建築設計にニーズ・CSが反映されにくい • 「売れ行き」というジャッジを受けない • 建築基準法の性能規定化、住宅品質確保法に基づく性能表示 ・・・など、前進してはいるが、不十分 →技術開発を目的とした研究課題(H14~16)「ニーズ・CSを把握し活用するための技術」

  3. 一般的な商品と建築物の違い • ニーズ把握の必要性 • 商品:売れ行きを左右 →利益追求の文脈 • 建築:選択の不自由(機会が少ない) →消費者保護の文脈 • 「失敗作」の顛末 • 商品:売れない →市場から消えるのみ • 建築:壊せない →不満の多い建物、良質でないストック • 複数のニーズへの扱い方 • 商品:いくつもつくる、特定の層に絞る →セグメント • 建築:単体としての成果物は1つ    →合意形成 枠組みは異なるが、取り組み不要のはずがない!

  4. 本日の発表内容:  公共施設を対象として現実場面で適用した 手法と事例を3件紹介 事例1官庁施設の計画段階における職員のニーズ調査手法:評価グリッド法

  5. 概要 • 国が所有する官庁施設の建設プロジェクトにおけるブリーフィングの一環 • 国土交通省官庁営繕部(ならびに各地の地方整備局)が担い手 • 本年度よりインタビューによるニーズ把握を試行的に導入 • インタビュアー :国交省営繕部職員 • インタビュイー :入居予定職員 • 方法 :評価グリッド法

  6. 従来のニーズ把握(ハローワークの例)

  7. 本年度より試行的導入された方法(ハローワークの例)本年度より試行的導入された方法(ハローワークの例) 話を聞く機会くらいあるべきですよね! 評価グリッド法を用いた インタビュー調査

  8. 評価グリッド法とは • 由来は臨床心理学における面接調査法 • 建築環境心理学の分野にて、讃井ほかがニーズ把握のためのインタビュー手法として改良・発展させた(1980年代) • 近年は商品企画などの分野でも利用され、「商品企画七つ道具」にとりいれられている

  9. オリジナル評価項目の抽出 任意の2つの対象の比較/もしくは、順位付け A Q)AとBではどちらがいいですか? →Aです。 D C B Q)なぜAの方がよいとお考えですか? E →Aの方が ○○だから です。 評価対象群  ・今まで過ごしたことのある建物   ・テレビ・映画でみた建物   ・本で読んだ・イメージした建物 この○○が、オリジナル項目! 新しい項目が出なくなるまで、様々な組み合わせで抽出する。 オリジナル項目 = 会話のきっかけ 評価グリッド法の手順 ラダーリングと記録 ××できる ○○である ◎◎が△△である ラダーアップ ラダーダウン 上位項目 オリジナル項目 下位項目 ・その(○○の)だとよい理由は何ですか? ・○○だとどんな良いこと、満足がありますか? ・○○とは、どういうことでしょう? 具体例(→現状・問題点・       解決策のヒント) よい理由(→真のニーズ・設計目標)

  10. 仕事の効率が上がる 資料を参照しながら作業できる ドラフターの他に机がほしい 仕事が中断されない 電話を処理するスタッフがいる 気持ちよく仕事ができる オフィスが静かプライバシー保てる 上位項目(本来実現すべきニーズ) 下位項目(手段・条件・具体例) 結果の一例:個人の評価構造

  11. 評価グリッド法の特徴 • 「比較評価→理由を聞く」という手順 →回答者の本音を抽出できる • 調査が一定の手順に沿って進められるまとめ方がネットワーク図(文章ではない) →調査・分析者の主観の混入が少ない • 認知構造のうち対象物の良し悪し評価に関与する部分だけを選択的に抽出 →調査の効率化、結果の冗長性回避 • ニーズを階層的な構造として出力 →新しい解決策への発展が期待できる

  12. 適用状況 • 本年度の対象事例 • 運輸局、法務局、研修施設など計5施設 • インタビュイーは10名程度の場合が多い • 所要時間は1名あたり60分前後調査日数は1.5~2日程度 • 適用における詳細なノウハウ・工夫 • 数回の説明会、およびOJT • この用途に適した形へのアレンジ • 具体的な内容は割愛

  13. 結果の一例 • 廊下幅にはゆとりがほしい • すれ違うとき生徒を威圧したくない(研修施設) • 湿度の管理をしてほしい • プリンターが詰まり、発行書類が台無しに • 変な色の外観でよかった • 電話による所在地の問合せに説明しやすい • 全く好ましくない色なのだが →真のニーズは「説明しやすい」ということであり、「変な色がよい」ということではない

  14. 記録とまとめ • 記録とまとめには「付箋」を用いる • 当日or翌日のうちに大まかな作業を行う

  15. 品質要素・品質特性(空間・設備・技術)(設計者・技術者言語)品質要素・品質特性(空間・設備・技術)(設計者・技術者言語) 要求品質展開表(ユーザー言語) QFD(品質機能展開)に準じた形式として調査結果を整理・活用

  16. 手法適用の効果 • 具体的な要望の背後の「本来実現すべきニーズ」の理解に役立つ • 別の解決策を提案できる余地がある • 入居官署の業務内容をリアルに理解できる • そこから求められる施設ニーズの理解に • 説得力のある提案が可能である • 営繕部内および入居官署に対して • 入居官署関係者の施設整備への参加意識向上 • 設計事務所との調整がスムーズにできる

  17. 今後の課題と展望 • マニュアル,教材,研修プログラムなど手法修得ツールの開発整備 • 建設プロセスにおける調査結果活用方法の検討 • 調査結果を整理するためのソフトウェア開発 • 過去の調査データの蓄積・活用のためのシステム整備 • 国交省営繕部においては、試行段階から標準的手法として普及・定着の段階へ • 他の組織への展開・普及 • 調査外注のための作業標準の設定

  18. 事例2官庁施設のCS調査手法:一連の調査分析方法を提案事例2官庁施設のCS調査手法:一連の調査分析方法を提案

  19. 概要 • 国交省営繕部では、H13年度より官庁施設のCS調査の試行を開始、昨年度まで継続 • 本年度、調査票・分析法など全面的に見直し • 調査の概要 • 供用開始後1年以上経過した時点で実施 • 回答者:一般利用者および職員 • 回答者数:状況に応じて数十~数百 • 職員は入居官署を通じて配布・回収 • 一般利用者はエントランス等で手渡し配布、郵送回収あるいはその場で記入・回収

  20. 一般的なCS調査の調査項目 • 商品やサービスに対する評価(満足度) • 購入や利用に至るプロセス • 購入理由、どこで知ったか、何を検討したか、他の候補商品は何か、etc • 商品やサービスの仕様 • 回答者に聞かなければ分からない場合のみ • 使用実態 • その商品に関連する意識・行動・意見・ニーズ • 評価と同じ項目で聞く場合(期待度、重要度、当たり前・魅力的など)もある • フェイス項目(回答者属性)

  21. 官庁施設の場合 • 商品やサービスに対する評価(満足度) • 購入や利用に至るプロセス • 「利用目的(何しに来たか)」くらいフェイス項目に含めてよい程度 • 商品やサービスの仕様 • 当然、把握しているので不要 • 使用実態 • その商品に関連する意識・行動・意見・ニーズ • 項目重要度は統計的に求めることとした施設別に状況に応じて設問を設ける場合あり • フェイス項目(回答者属性)

  22. 提案するCS調査法:3つの要点 • 事前仮説としてニーズの「階層構造」を設定 • 評価項目の設計に用いる • 仮説設定が先、項目設計が後 • 仮説設定には「評価グリッド法」が有効 • 「評価」と「実態」の峻別が重要 • 「評価」は5段階の統一スケールで問う • 「実態」は子設問としてMAか自由記述で問う • 出力は「ポートフォリオ」の形式で • 弱点の把握も重要だが、強味の自覚も重要 • 1施設内の項目間比較、他施設や過去との比較

  23. 調査の設計に関して • 一般的な事務庁舎・窓口業務の施設を想定し、「標準的な調査票」を作成 • 必要に応じて施設ごとに項目を削除・追加 • 参考となる情報 • 過去3年間の調査データ • オフィスに関する既往研究による知見 • 十分な参考情報があったので、あらためて評価グリッド法を行わずにニーズの階層構造を設定できた

  24. 評価を知りたい 実態仕様 下位項目 上位項目 総合満足 設定したニーズの階層構造 具体的にはどんな問題があるかを察知できればよい

  25. 「評価」は5段階のスケールで問う 「実態」は子設問としてMAか自由記述で問う 評価と実態の峻別について

  26. これが実態 これが実態 上位項目

  27. 「ポートフォリオ分析」とは • 経営コンサルティング会社等が用いていた経営戦略検討ツールに由来する • ポートフォリオ • 縦と横に何らかの軸をとり、商品要素、評価項目などを布置した図 • ポートフォリオ分析 • ポートフォリオを用いた検討・分析の総称 • 本調査で用いている「ポートフォリオ」 • 美点欠点ポートフォリオ、CSポートフォリオ、分散分析プロット、平均満足×当該施設満足、etc

  28. 満足 不満 美点欠点ポートフォリオ

  29. 美点欠点ポートフォリオ 満足側に集中 (美点) 評価が分かれる (要検討・クロス集計の対象) 満足率← 不満側に集中 (欠点) 「どちらともいえない」に集中 →不満率

  30. 美点欠点ポートフォリオの「美点」 • 評価の良し悪し+ばらつきの大小 が見やすい • 「多くの人が『まずまず』の評価」と「満足と不満に評価が分かれる」では大違い • 「平均点」「満足率」だけでは分からない • 項目間の相対的な比較がしやすい • 帯グラフ等、他の一般的な出力に比べても有利 • どんな項目についてクロス集計を行うべきかという、次のステップの分析の指針を与える → 単純集計の要約にすぎないのだが、集計・分析の第一段階に最適の出力

  31. CSポートフォリオ 当該施設の強味 改善の必要大 重要度← オーバースペックの 可能性 改善の必要小 →満足度(平均値)

  32. 重要度の求め方 • 「一般事務庁舎・窓口業務を行う施設」の場合 • 統計的因果分析を用いて算出 • この方法も新たに提案したもの • 「その項目の満足度が1段階上がった場合の総合満足度の増し分の期待値」を推定した数値 • 具体的には文献5)6)を参照 • 「一般事務庁舎・窓口業務を行う施設」とはみなせない場合 • 重要度を回答してもらう設問を設ける

  33. 適用状況 • 本年度の対象施設数:15 • 配布・回収・入力とも国交省営繕部職員による • 非常によいことである • 集計・分析を行う以前に顧客の反応が実感される • Excelによる入力・集計・分析ツールを試作 • 誰でも間違いなく入力・データチェック・基本的な集計・ポートフォリオ出力などの操作が可能 • 統計的因果分析だけは筆者が実施、施設別の分析・考察は各地の営繕部職員による

  34. 「営繕フォーラム」「営繕コンクール」 • 官庁施設整備における成果発表の場(年1回) • 前者は各地方整備局ごとに開催され、後者はその全国大会のようなもの • 優秀事例が選出・表彰される

  35. 「営繕フォーラム」「営繕コンクール」 • 本年度はCS調査の結果や、その後の対応に関する報告が重要視された • 入居官署・管理官庁の職員など「顧客側」のゲストを招いて議論に参加してもらう、等の状況も 非常に有意義な活動である

  36. CS調査に関する報告例 • 狙い通りの効果を確認した、という事例 • 「無柱の執務室」に力点をおいた設計をした • CS調査で「レイアウト変更が(おそらく)容易である」という項目の満足度が非常に高くなっていた • 問題を発見し、改善した、という事例 • サイン表示に力を入れたはずなのに、「施設内の行き先の分かりやすさ」の不満が多い • 駐車場側からの来庁者に対する案内表示の位置が悪い、という原因を突き止めた • 案内板の設置という対策をとった

  37. 今後の課題と展望 • 建築分野はCS先進分野となりうる • 仕様:既知、実態:見に行けば分かる、 • その施設へのフィードバックと、今後の施設整備へのフィードバック • 他分野と比べ、調査が容易かつメリットが大きい • 今後は、新築時以外への拡張も • 現状施設の維持・改善のための定点観測 • リニューアル計画段階における事前調査 • 他の組織への展開・普及(ニーズ調査も同様) • ニーズ調査との連携・役割分担など

  38. 事例3地域施設の計画段階における居住者ニーズ調査手法:コンジョイント分析+統計的因果分析事例3地域施設の計画段階における居住者ニーズ調査手法:コンジョイント分析+統計的因果分析

  39. 背景 • 多くの利用者が多様なニーズを持つ状況 • ニーズの定量的な把握と、論点の整理が必要 • インタビュー(定性調査)では限界があるプリコード式のアンケート(定量調査)が適する • 事例の概要: • ある住宅団地に建設予定の区民会館がテーマ • 自治会の協力のもとに居住者アンケートを実施 • 「コンジョイント分析」という手法を用いる • 分析法は新たに開発したもの

  40. コンジョイント分析とは 1 • 評価対象(この場合は区民会館)を構成する要因・水準を設定する

  41. 案2 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 案3 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 案4 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 案5 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 案6 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 案7 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 案8 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 コンジョイント分析とは 2 • 要因・水準を組合せ、仮想的な評価対象を作成 案1 常時開放:する たばこ :原則として禁煙 履き物 :スリッパに履き替え 和室  :あり 料理実習室:あり 不満 1-2-3-4-5 満足 組合せ方には 実験計画法の知識を用いる 各評価対象を 評価してもらう

  42. どちらでもよい 個人差が大きい 分析の結果 なし あり • 回答に基づき、要因効果を把握 スリッパ くつ 禁煙 喫煙可 個人差を考えずに平均だけを見ると「重要ではない」との結論を導く 「賛否両論」→論点として重要! しない する なし あり

  43. 新開発の分析手法 • 個人差のメカニズムを因果関係として捉える • 他の項目も含め、統計的因果分析を適用 • 詳細は文献7)を参照 • 日本建築学会環境系論文集6月号に掲載予定

  44. 機能空間活用型利用イメージ 交流・くつろぎ・寄合所的な利用イメージ 分析結果 積極活動的利用イメージ 運営への要求の高さ 施設全体への要求の高さ 利用者への要求 「くつろぎ」系の利用イメージ

  45. 手法適用の効果 • 多数の利用者のニーズが分かれる状況にて、 • 個人差の内容(なぜニーズが分かれるのか)を理解するのに役立つ • 実際、自治会に分析結果を報告したところ、「意見が分かれているところについて、 論点が明確になった」と好評であった

  46. 今後の課題と展望 コンジョイント分析のメインユーザー: • マーケティング分野 • 近年は環境政策の分野でも注目 • 環境の価値を算定するため(CVMの発展形として) このような分野でも新手法は歓迎されるであろう • 調査分析には専門知識が必要 • 小規模施設の場合、誰が調査分析を行うのか?という問題がある

  47. おわりに • 今後は手法と技術だけでなく、ニーズ調査・CS調査を活用する「仕組み」を検討していく必要がある • ニーズ調査 • 建築生産プロセスの中に位置づけられるべきもの • CS調査 • 組織的な活動として位置づけられるべきもの (製造業などの分野に比べて)圧倒的に有利です!!

More Related