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『 自由意志と向・反社会的行動の関係を 自己制御から検討 』

日本における自由意志研究の. 『 自由意志と向・反社会的行動の関係を 自己制御から検討 』. Pioneer. 社会心理学における自由意志. 自由意志を信じることが人の認知、行動にどのような影響を及ぼすかを検討することが目標 ⇒ 自由意志が実際に存在するかどうかは問題にしていない そのことを踏まえた上で以下では二つの先行研究を示す. 自由意志への 不信が 不正行為に与える影響.

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『 自由意志と向・反社会的行動の関係を 自己制御から検討 』

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Presentation Transcript


  1. 日本における自由意志研究の 『自由意志と向・反社会的行動の関係を自己制御から検討』 Pioneer

  2. 社会心理学における自由意志 • 自由意志を信じることが人の認知、行動にどのような影響を及ぼすかを検討することが目標 ⇒自由意志が実際に存在するかどうかは問題にしていない そのことを踏まえた上で以下では二つの先行研究を示す

  3. 自由意志への不信が不正行為に与える影響 The Value of Believing in Free Will: Encouraging a Belief in Determinism Increases Cheating Vohs, K. D., & Schooler, J. W. (2008)

  4. 先行研究(1) • 結果は努力ではなく、生得的な特性によると信じた子どもは、そうでない子どもに比べてパフォーマンスを改善する努力をやめ、課題自体も嫌いになった(Mueller & Dweck, 1998) • 自分自身の行動やそれに伴う結果は自分の意志判断とは無関係で変えることのできないものだと考える(つまり、自由意志の存在を否定し、決定論を信じる)ことは、望ましくない行動を喚起するのではないか?

  5. 実験1 • 仮説:自由意志信念が低下すると、カンニングが増加する • 手続き • 被験者を反自由意志群と統制群に配分 • 文章による自由意志信念操作 • カンニングが可能なコンピュータ課題に解答

  6. 実験1 • 結果 • カンニングの量は反自由意志条件>統制条件 • 反自由意志の文章を読むことで、自由意志信念が低下し、カンニングが増加した

  7. 実験2 • 別解釈の可能性:実験1におけるカンニングは「答えが表示された画面をそのままにしておく」という受動的なもの • カンニングの増加は非道徳的な行動の増加ではなく、受動的な行動の増加と解釈することができる • 実験2ではカンニングを能動的な行動を要するものに変更 • 同時に、自由意志信念を強める条件を追加

  8. 実験2 • 手続き • 自由意志信念操作 • 自由意志条件:自由意志信念を強める文 • 決定論条件 :自由意志信念を弱める文 • 統制条件  :自由意志と関係のない文 • 読解、計算、論理・推論問題を解かせる • 正答1問につき1ドルを報酬として与えると教示 • 解答後、自分で採点を行い、報酬を受け取るよう教示 • 実験者は退出(→カンニングが可能)

  9. 実験2 • 結果 • 報酬の量は決定論条件>自由意志条件≒統制条件 • 反自由意志の文章を読むことで、自由意志信念が低下し、報酬の量(カンニングの量)が増加した • 人はデフォルトで自由意志信念を持っている

  10. 結論 • 自由意志信念が低下するとカンニングが増加する • 実験1では受動的なカンニング • 実験2では能動的なカンニング

  11. 自由意志への不信が攻撃性・援助行動に与える影響自由意志への不信が攻撃性・援助行動に与える影響 Prosocial Benefits of Feeling Free: Disbelief in Free Will Increases Aggression and Reduces Helpfulness Baumeister, R. F., Masicampo, E. J., & DeWall, C. N.(2009)

  12. 研究目的 • Vohs & Schooler (2008)のさらなる一般化 • 別解釈:テストの不正は、見かけの能力向上? • より一般的に、自由意志信念が向社会的・反社会的行動に関係することを推定 • 自由意志への不信が攻撃性を高め、援助行動を減らすことを示す

  13. 理論的背景 • なぜ自由意志への不信が攻撃・援助に関係するのか • 向社会的な対人行動には自己コントロールが必要。自己コントロールの欠如は、反社会的な衝動を抑えられないことに繋がる • 自由意志への信念が自己コントロールに重要

  14. 実験1:援助行動 • 文章による自由意志信念操作 • 援助傾向の測定(シナリオ) • 自由意志への不信で援助傾向が低下 * * * p<.05

  15. 実験2:援助行動 • 自由意志信念の測定(尺度) • 援助傾向の測定(実在人物への援助意志) • 自由意志への不信が、援助傾向の低さにつながる β=-.30* 自由意志への不信 援助時間 * p<.05

  16. 実験3:攻撃行動 • 文章による自由意志信念操作 • 攻撃性測定(サルサソース) • 自由意志への不信は攻撃性を高める ** ** p<.01

  17. Add as much salsa as you want. 実験者 I hate spicy foods… サクラ ** Eat this!! 被験者

  18. 結論 • 自由意志への不信が攻撃性を高め、援助行動を減退させる • 自由意志を信じることは向社会的行動を促進、自由意志への不信は反社会的行動を促進

  19. 序論① 日本における自由意志研究 • 今までみてきた通り、昨今海外では自由意志信念(自由意志を信じるか信じないか)についての研究が進んでいる • しかし、日本においては自由意志信念の研究は進んでいない。 ↑また、自由意志信念を測定する尺度の日本語版も未だ作成されていない。

  20. 序論② 自由意志信念研究や尺度化の重要性 ①自由意志を信じるか否かが、人の認知や行動に影響を与えるとするならば、社会心理学がその影響を看過することはいただけない。 ②自由意志が哲学上の抽象的概念から、心理学の領域に、尺度として定量的なものに引きずり落とすことができる。

  21. 序論③ 自由意志尺度について そこで、本研究では、 • 日本語版自由意志信念尺度を作成したうえで、  ⇒Paulhus & Carey(2011)の作成した、『自由意志信念尺度FAD-plus』の27項目の日本語訳を作成し、因子構造や信頼性を確認 • 先行研究で示唆された自由意志信念と向・反社会的行動の関係について踏み込んだ研究を行った。

  22. 序論④先行研究の問題点 先行研究では、自由意志信念の低下により、  ①向社会的な行動(援助行動)の抑制(Baumeister et al., 2009)  ②攻撃行動の増加(Baumeister et al., 2009) ③反社会的行動の増加(Vohs & Schooler, 2008)   を示した。 ☜自由意志信念の低下が、生存のために必要な労力(制御資源)を消費する自己制御を抑制するため ⇒自由意志への不信が、わざわざ労力(制御資源)を必要とする自己制御   をする意欲を減退させ、労力を必要としない衝動的行動や自己中心的な行動を促進する

  23. 序論⑤ 媒介変数としての自己制御 【自己制御・社会的行動・自由意志の関係】 ≪自己制御≫ 人間は行動を制御する際に、制御資源を使用する。制御資源は人間が生存するために必要なグルコースが深く関わっており、行動や考えのコントロールは資源を消耗するため、資源を節約したいという動機は常に存在。 ≪向社会的行動≫  衝動的短絡的な行動を労力をかけて制御した賜物 ≪反社会的行動≫  自らの欲求や自動的、衝動的反応を、労力をかけて制御することを怠りそのまま表出 ⇒≪自由意志信念の不信≫ 「自分が頑張ってもどうにもならない」というように自己制御を抑制して資源を節約する方向に向かわせる。 先行研究では、自己制御の関連を自明のものとし自己制御を測定しているわけではない! Dr. Roy Baumeister

  24. 仮説 媒介変数としての自己制御 そこで、本研究では、 H1. 【自由意志信念を信じているほど、 「社会的な場面で自己を制御しよう」という動機づけが高まる】 H2. 【社会的自己制御が高まった結果、 援助行動が促進され、攻撃行動が抑制される】 という関係を示す(図1) 援助行動 援助行動 自由意志 自由意志 自己制御 攻撃行動 攻撃行動 図1 各変数の関係。 赤字=正、青字=負の関係

  25. 方法 • 手続き  質問紙調査を実施  参加者に質問紙を配布し、各尺度について  それぞれ5件法で評定させた • 参加者 大学生178名 男性86名, 女性91名, 不明1名平均21.2歳  東大男性63名, 女性32名, 不明1名 岐阜大男性23名, 女性59名

  26. 方法 • 材料 ・自由意志の信念尺度 27項目 FAD-plus (Paulhus & Carey, 2011) を邦訳 ex)「人々は完全な自由意志を持っている」 ・社会的自己制御尺度 29項目 (原田・吉沢・吉田, 2009) ex)「困難なことでも、集中して取り組む」 ・向社会的行動 6項目 (栗田, 2001) ex)「ボランティア活動に参加する」 ・攻撃行動 6項目 (磯辺・菱沼, 2007) ex)「思わず暴力を振るってしまうことがある」

  27. 結果①<自由意志の尺度構成> • 邦訳版FAD-plus27項目について、因子分析を行った(重み付けのない最小二乗法、プロマックス回転) • 固有値の減衰状況と解釈のしやすさから、3因子を抽出 • 「いずれかの因子に.30以上の因子負荷があり、それ以外の因子には.30以上の因子負荷がない」という基準を満たす17項目を選択し、再度因子分析を行った(付録表1)

  28. 結果①<自由意志の尺度構成> • 抽出された因子   因子1:自由意志 ex) 「人々は自分がした誤った選択に対して、すべての  責任を取らなければならない」  因子2:決定論 ex) 「すべての人には、運命によって未来図が用意され  ている」 因子3:予測不可能性 ex) 「人々の未来は予測することができない」

  29. 結果①<自由意志の尺度構成> • 因子2、因子3の項目を反転項目とし、自由意志信念尺度を構成 • α係数は、自由意志(尺度全体)でα = .50、自由意志でα= .67、決定論でα = .67、予測不可能性でα = .77であった • 尺度全体、下位尺度それぞれの相関係数を算出(付録表2) →下位尺度では、自由意志と予測不可能性の      間に有意な正の相関がみられた      (r = 0.177, p < .05)

  30. 考察① • 下位尺度の自由意志と決定論との間に相関はみられなかった  →つまり、両者は併存しうることが示唆された • 自由意志と予測不可能性との間に相関がみられた  →何が起こるか分からないからこそ、自分の意志で行 動すると考えられる • 「結果」より、信頼性が高いことが確認された • 先行研究で抽出された「科学的決定論」が抽出できず

  31. 以下の分析においては、ここで構成した 自由意志の信念尺度を用います

  32. 結果② • それぞれの質問項目を単純加算し、社会的自己制御尺度・向社会的行動尺度・攻撃行動尺度を構成 • α係数は、社会的自己制御でα = .82、向社会的行動でα= .56、攻撃行動でα = .85であった • 上記尺度について相関係数を算出(付録表3)

  33. 結果③構造方程式モデル • 次に、  「自由意志の信念が、社会的場面における自己制御を促進し、その結果として向社会的行動が促進され、攻撃行動が抑制される」    という仮説モデルに関して、構造方程式モデルを用いて分析をおこなった。

  34. 結果③構造方程式モデル • その結果、「自由意志から社会的自己制御」「社会的自己制御から向社会的行動・攻撃行動」のパスの係数はそれぞれ有意であった。 向社会的行動 .25* .20* 自由意志 社会的自己制御 攻撃行動 -.21* • 適合度指標 • χ2 (2) = 0.73, p =.87 • GFI = .99, AGFI = .99 • RMSEA = .00

  35. 結果③ • H1. 【自由意志信念を信じているほど、「社会的な場面で     自己を制御しよう」という動機づけが高まる】 H2. 【社会的自己制御が高まった結果、 援助行動が促進され、攻撃行動が抑制される】 →両仮説ともに支持された! • 自由意志の信念がもたらす内的なプロセスを自己制御が媒介していることが示された

  36. 結果④ • ただし・・・自由意志の信念から向社会的行動・攻撃行        動への直接効果が見られなかった

  37. 全研究を通した考察

  38. 考察① 問題点 ・先行研究で示された、自由意志信念から攻撃・向社会的行動への直接効果が見られなかった。 各々の行動について… 先行研究:実際の行動を測定 本研究:行動経験の自己報告のみ →測定の妥当性の差異による?

  39. 考察② 今後の課題 ・自由意志信念を実験的に操作した場合にも、同様のプロセス(自己制御低下を媒介)が見られるか? ・より制御資源に近接する認知レベルでの自己制御能力に関する検討 ex. エフォートフルコントロールなど…

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