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企業価値をあげる事業リスクマネジメント ( ERM) とは

事業リスクマネジメント学習支援教材. 事業リスクマネジメント総論編 NO.1. 企業価値をあげる事業リスクマネジメント ( ERM) とは. ティーチングノート.  学習にあたって. 学習のポイント. 事業リスクマネジメントに関する世界的潮流を理解する 事業リスクマネジメントの意義と目的、全体像を理解する. 学習するスキル内容. 事業リスクマネジメントとは何か、なぜ事業リスクマネジメントが必要なのかを説明できる 事業リスクマネジメント導入のメリットは何かを説明できる 「許容リスク」、「リスク選好」を説明できる

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企業価値をあげる事業リスクマネジメント ( ERM) とは

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Presentation Transcript


  1. 事業リスクマネジメント学習支援教材 事業リスクマネジメント総論編 NO.1 企業価値をあげる事業リスクマネジメント (ERM)とは ティーチングノート

  2.  学習にあたって 学習のポイント • 事業リスクマネジメントに関する世界的潮流を理解する • 事業リスクマネジメントの意義と目的、全体像を理解する 学習するスキル内容 • 事業リスクマネジメントとは何か、なぜ事業リスクマネジメントが必要なのかを説明できる • 事業リスクマネジメント導入のメリットは何かを説明できる • 「許容リスク」、「リスク選好」を説明できる • リスクとリターンのバランスの基本的な重要性について説明できる • 組織のリスク選好を組織の事業戦略から論じられる • コーポレートガバナンスとリスクマネジメントの関係を説明できる • リスクマネジメントに関する歴史・経緯を説明できる • 事業リスクマネジメントと他のマネジメントプロセスと関係を説明できる • 事業リスクマネジメントには相応のコストが伴うことを説明できる 第1章、第6章3節、第7章です。 基本テキストで対応しているのは:

  3.    目   次 1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?     ・・・・・ 3 2.事業リスクマネジメントの効用 ・・・・・ 7 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント ・・・・・ 13 4. ERM導入と実行の傾向 ・・・・・ 22 5.事業リスク・マネジメントの将来像 ・・・・・ 25 本ノートの作成について: 本ティーチングノートは、平成15年12月に開催された 「事業リスク評価・管理人材育成システム開発事業」実証プログラムにおける マーシュ・ブローカー・ジャパン株式会社 リアド・ダビ氏のご講義 「企業価値をあげる事業リスク・マネジメントシステム(ERM)とは」 の内容を学習支援用教材に再編集したものです。挿入されております 図表等も原則として講師に提供していただいたものです。

  4. 1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(1)ERMとは?(その1)1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(1)ERMとは?(その1) ①ERMは企業が包括的な企業リスク管理や、企業価値をあげるためのリスク・マネジメントのひとつとして90年代前半に開発された。 (注)ERMは、エンタープライズワイド・リスク・マネジメント (EWRM)、戦略リスク・マネジメント (SRM)、 ビジネス・リスク・マネジメント(BRM)、 包括的リスク・マネジメント (CRM)、統合的リスク・マネジメント (IRM)、などとも呼ばれることがある。 ②COSO(トレッドウェイ委員会組織委員会)ではERM を以下のように説明している: “エンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)とは事業目的の達成について 合理的な保証を提供するために、取締役会、経営者その他従業員によって実行される。 戦略の策定は元より事業体のあらゆる領域に適用され、事業体に影響を及ぼす 「潜在的な事象」を認識するよう設計され、「リスク」をその事業体の「リスク欲求」の 範囲に治めるプロセスの事である” 出所: COSO Framework (www.coso.org) • ⇒COSOの説明から以下のことが理解できる: • ERMはプロセスのひとつである • 役員から一般社員まで全員の理解や、導入する意識を共有化する必要がある • “事業戦略策定”に利用される • ERMはリスクの把握、評価、管理に必要である • ERM導入でリスクを100%なくすことはできないが、企業で許容できるリスクを軽減しコントロールすることができる • ERMは完全保証ではない - 企業の戦略目標達成についての合理的保証である • 事業活動に組み込まれた連続したプロセスである - 企業の目標達成を促進するものである

  5. 1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(2)ERMとは?(その2)1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(2)ERMとは?(その2) リスク・マネジメントはより包括的なアプローチに移行している From To • 断片的 •  統合的 • 転嫁主義 • 最適主義 • 否定的 • 肯定的 • 反動的 • 積極的 • 戦術的 • 戦略的 • 一時的 • 継続的 • 単独的 •  相関的かつ総合的 • 経験的 • 予測・予見的 • コスト主義 • 成果主義 • 部分的 • 網羅的 • 個別的 • 組織的 • 機能重視的 • プロセス重視的

  6. 1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(3)ERMとは?(その3)1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(3)ERMとは?(その3) • ①企業の包括リスク・エクスポージャーの算出手法ではない ②事業戦略の代替案ではない ③コーポレート・ガバナンスの代替ではない ④日替わり/月替わりメニューではない ⑤追加コストではない ⑥管理評価の手段ではない ⑦官僚的な管理手段ではない ⑧人口知能(完全無欠)ではない ⑨責任、義務、権限を移行するものではない

  7. 1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(4)ERMの構成要素の目的の関係図(COSO)1.事業リスク・マネジメント(ERM)とは何か?(4)ERMの構成要素の目的の関係図(COSO)

  8. 《企業を取り巻く環境》 • 経済理論から見れば、企業に投資をした投資家への十分な還元をする。 • 株主へリターンを提供するため、企業は有効な手段で価値を創造し、継続的にキャッシュフローを産み出さなければならない。 • 潜在的にマイナスの影響を及ぼす“不確実性”あるいは“リスク”をより良く管理できる企業こそが事業目標を達成し、かつ企業価値を創造できる。 • 企業の価値は昔から株主価値に反映している。 2.事業リスク・マネジメントの効用(1)価値の創造 - 基本コンセプト 企業がより効果的、積極的にリスク・マネジメントを導入することは、 企業の事業目標の達成につながり、最終的には企業価値を高める。 どのように 達成するか? どのように 達成したか? リスク 達成財務指標#1 達成財務指標#1 達成財務指標#2 達成財務指標#2 リスク ビジネス プラン リスク・ マネジメント ビジネス戦略 株主価値 投資家 リスク 達成財務指標#3 達成財務指標#3 リスク 達成財務指標#4 達成財務指標#4

  9. 2.事業リスク・マネジメントの効用(2)株主価値を脅かすリスクとは(その1)2.事業リスク・マネジメントの効用(2)株主価値を脅かすリスクとは(その1) • リスク・マネジメントの欠如が企業に悪影響をもたらすということは最近の調査でも言われている: • リスクは株主価値に悪影響を与える • リスクは株主価値へ長期に亘り影響を及ぼす “ほとんど全ての資産価値はそれらが将来 創造するであろう利益によって決定される。しかしながら 資産価値の公正なる判断は将来発生するであろう 不確実な事象に左右されかねない” 出所: Alan Greenspan, Chairman of the Board of Governor of the Federal Reserve System

  10. 2.事業リスク・マネジメントの効用(3)株主価値を脅かすリスクとは(その2)2.事業リスク・マネジメントの効用(3)株主価値を脅かすリスクとは(その2)

  11. 160 150 140 130 120 110 100 90 80 70 60 Month 0 Month 2 Month 4 Month 6 Month 8 Month 10 Month 12 Month 14 Month 16 Month 18 Month 20 Month 22 Month 24 2.事業リスク・マネジメントの効用(4)株主価値を脅かすリスクとは(その3)   顕著な災害や損害に見舞われたフォーチュン1000社の内10%程度の企業は株主価値を発生前の株価まで持ち直す事は出来なかった。   リスクの発生が投資家離れを引き起こし、株主価値低迷を長期化させた事実である。 S&P 500社と損害に見舞われた100社の株価推移比較 (Indexed percent change in stock price) S&P 500 1 株価 インデックス Source: Compustat, MMC analysis Note: 1 S&P 500 index is the sum of the S&P indexes corresponding to time period for each of the 100 cos. suffering stock drops. Note: 2 Data was not available for all companies for all 24 months after the stock drop (e.g. for stock drops in the last two years). Where data was not available, companies were excluded from that month for both the 100 cos. and the S&P 500 index. 2 100 Cos . Suffering drops 期間

  12. 日付: 1982年9月 日付: 1986年2月 事象:元社員が製品であるタイレノール内に 青酸カリを注入し、それを購入した消費者7名が死亡 事象:青酸カリが混入されたタイレノールを服用した 女性が死亡 予想損害額:製品回収に100万ドル、          事業中断に50万ドル 予想損害額: 製品回収に150万ドル 2.事業リスク・マネジメントの効用(5)株主価値を脅かすリスクとは(その4) •     リスク・マネジメントがもたらす株主価値への効果を計ることは困難だが、 •    ここに1件の好事例を紹介すると: • ある一企業が • 2回の類似した損害に遭い • 異なるタイプの結果をもたらした 2つの事象での違いは? … 効果的かつ積極的なリスク・マネジメントの導入をしたかどうかである

  13. 2.事業リスク・マネジメントの効用(6)なぜ今ERMなのか?2.事業リスク・マネジメントの効用(6)なぜ今ERMなのか? •   ①最も効率的かつ費用対効果が高いリスク管理手法である • リスクの集中管理ができる • リスクの関連性/連鎖の把握ができる • マイナス因子の「リスク」の軽減と、プラス因子の「機会」の最大化を図れる ②今日のビジネス環境に合致している • 株主やステークホルダーの立場でリスクを考える • コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスなどの様々な事象に対応できる • ERM は新価値創造モデルに適合! ③国や地域を跨いで網羅的な導入が可能である • 社会・文化・経済・金融・法環境の違いにかかわらず

  14. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(1)今日のビジネスの眺望3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(1)今日のビジネスの眺望 •  ①ビジネスのグローバリゼーションとメディアの発達 • ビジネス機会増大、競争激化、新市場創設と拡大、ステークホルダーの増加→リスク増大 • ニュース(特に悪影響を及ぼす)の伝播速度上昇 ②投資環境における個人投資家の増加 • 金融・資本主義メカニズムの理解が不完全な投資家に対する情報開示(収益性、責任、透明性)の必要性の増大 ③リスク・マネジメントの新たな方向性 • リスク・マネジメントは単なる保険マネジメントではなくなった⇒企業はリスク・マネジメントを投資家の利益を保護・保証するものへと変化してきている。 ④1980年代後半から1990年代初頭の共産圏崩壊 • 市場の自由化がもたらした企業スキャンダル → 規制強化 → 投資スタイルの変容 ⑤新しい規制環境 • ビジネス慣習、規格や基準、コーポーレート・ガバナンスなど

  15. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(2)株主の次なる期待3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(2)株主の次なる期待 ①株主は収益の“偏差(ぶれ)”に対して敏感になってきている。 ②投資家の4分の3が企業を評価に際して役員の実行力が財務諸表に劣らず重要であると見なしている。 ③優れたコーポレート・ガバナンスはより高い利益を生み出すという期待に基づき、株主は世界中から企業投資に参加してきている。 ④適正株価の検証は困難だが、概してコーポレート・ガバナンスとリスク・マネジメントを導入している企業の株価は高くなると期待されている。 ⑤企業統治が高い水準にある企業は、世界の資本市場において投資家に魅力を与え投資意欲をもたらす。 ⑥株主は企業が潜在的に有しているリスクとその影響への関心を高めてきている。

  16. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(3)一般社会の次なる期待3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(3)一般社会の次なる期待 ①市民の3分の2は企業の過去の財務状況より向上することを願い、より社会に貢献する事を望んでいる。 ②5人に1人は、企業が肯定あるいは否定的に評価された主因が社会的貢献度合いによるものと考えている。 ③世論調査によると企業に対する社会全般の強い要望により今後更に社会に貢献する役割は増加するとの結果が出ている。 ④企業に対する印象を図る物差しとして、3人に1人はビジネス実務の属性と答え、10人に6人はその要素として労働環境や経営倫理などを挙げている。

  17. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(4)ステークホルダーの次なる期待3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(4)ステークホルダーの次なる期待 ①一般消費者は訴訟提起をするなど、企業に対する要求内容が多くなってきている(世界的に消費者グループの役割が増大)。 ②消費者の購入パターンや嗜好は企業の社会的行動によって影響を受ける。 ③企業業績と経営陣の報酬制度を相対的に考えるようにとの外部的圧力が増加している。 ④供給業者などのビジネスパートナーもその企業のリスク・マネジメント・システムの有効性や実効性によって大きな影響を受ける事が増えてきている(操業・営業中断リスクとビジネス継続プラン構築の有無)。 ⑤企業不祥事は社会的信用を阻害し、監査報告の正確性を欠いてしまう。 ⑥著しい環境、人口変動や技術変革は根本的に企業のリスクプロファイルを変えさせてしまい、本質的にリスク・マネジメントのフレームワークを再構築する必要が出てくる。

  18. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(5)新しい規制環境3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(5)新しい規制環境 AMERICAS Brazil Recomendações sobre Governança Corporativa Code of Best Practice of Corporate Governance Canada Proposed New Disclosure Requirement and Amended Guidelines Beyond Compliance: Building a Governance Culture (Saucier Report) Five Years to the Dey, Toronto Stock Exchange and Institute of Corporate Directors The Toronto Report Mexico Códigode Mejores Prácticas Corporativas Peru Principios de Buen Gobierno para las Sociedades Peruanas Perú: Código de Buen Gobierno Corporativo para Empresas Emisoras de Valores United States of America The Breeden Report on Corporate Governance for the future of MCI, Inc. Commission on Public Trust and Private Enterprise Findings and Recommendations The Conference Board - Corporate Governance Rule Proposals Reflecting Recommendations from the NYSE Corporate Accountability and Listing Standards Committee The Business Roundtable, May 2002 Governance American Law Institute, 1994, revised 2002 Teachers Insurance and Annuity Association-College Retirement Equities Fund The Business Roundtable, September 1997 Sarbannes and Oaxley COSO Framework EUROPE France The Corporate Governance of Listed Corporations Pour un meilleur gouvernement des entreprises cotées Recommendations on Corporate Governance Vienot II Report Vienot I Report Germany Amendments to the Cromme Code Cromme Code Baums Commission Report (German title:Bericht der Regierungskommission Corporate Governance) Corporate Governance Rules for German Quoted Companies German Code of Corporate Governance (GCCG), Berliner Initiativkreis, June 2000 - DSW Guidelines Gesetz zur Kontrolle und Transparenz im Unternehmensbereich (KonTraG) Drittes Finanzmarktförderungsgesetz United Kingdom The Combined Code on Corporate Governance Audit Committees - Combined Code Guidance (the Smith Report) Review of the role and effectiveness of non-executive directors The Responsibilities of Institutional Shareholders and Agents - Statement of Principles The Hermes Principles Review of the role and effectiveness of non-executive directors Code of Good Practice The Combined Code: Principles of Good Governance and Code of Best Practice Hermes Statement on International Voting Principles The KPMG Review Internal Control: A Practical Guide Internal Control : Guidance for Directors on the Combined Code (Turnbull Report) Hampel Report (Final) Greenbury Report Cadbury Report (The Financial Aspects of Corporate Governance) ASIA Hong Kong Model Code for Securities Transactions by Directors of Listed Companies: Basic Principles, Corporate Governance Disclosure in Annual Reports Code of Best Practice Japan Revised Corporate Governance Principles, Japan Corporate Governance Forum Report of the Pension Fund Corporate Governance Research Committee, Action Guidelines for Exercising Voting Rights Corporate Governance Principles: A Japanese view Urgent Recommendations Concerning Corporate Governance Korea Code of Best Practice for Corporate Governance Malaysia Malaysian Code on Corporate Governance Pakistan Code of Corporate Governance (Revised) Stock Exchange Code of Corporate Governance Singapore Corporate Governance Committee, Council on Corporate Disclosure and Governance (CCDG) AUSTRALIA Principles of Good Corporate Governance and Best Practice Recommendations Corporate Governance: A guide for fund managers and corporations Horwath 2002 Corporate Governance Report Corporate Governance: A Guide for Investment Managers and Corporations Corporate Governance - Volume One: in Principle, Volume Two: In Practice AIMA Guide & Statement of Recommended Practice Bosch Report AFRICA South Africa King Report on Corporate Governance for South Africa

  19. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(6)新価値創造モデル3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(6)新価値創造モデル ①「キャッシュフローのみが株主価値を創造する」旧来の概念の喪失 ②現在、企業は他の価値創造で投資家の興味を促す必要 ③ERMは新価値創造モデルに対応するリスク・マネジメント・プロセス ERMは企業の財務、経済、社会、環境面での、それぞれの役割にあった 企業価値向上を助成する 企業価値 財務面 - 株主への利益還元 経済面-雇用創出、製品やサービスの提供 社会面- 財やサービスの提供を通じた社会発展や福祉への 貢献 環境面-環境保護に配慮を置いたビジネス活動の展開

  20. .企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(7)企業に必要とされる行動 企業が事業戦略の優位性を高め、成功するために株主、 ステークホルダー、行政および一般社会へ次のことを 報告する必要がある: • 主要なリスクを把握・評価している • 予期せぬ事態に対し、臨機応変に対応ができる • リスクのコントロールやモニタリングをするための手法や 方法論を持っている • “リスク文化”を持っている(共通言語、リスクの展望) • 隠れていたり埋もれているリスクは、将来の企業価値を 著しく阻害する要因となり得ることを承知している • 継続的に企業の財務的、経済的、社会的および 環境的役割を達成していかなければならない

  21. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(8) マネジメント層に必要とされる行動 ①リスクの評価とモニタリング - 金融、商取引、規制、自然、地政や評判(ブランド)などにかかわるリスクなど ②種々のマネジメントチームを持つことで正負両面の影響を予見できるような柔軟性ある決定を下せるようにする。 ③短期のみならず長期的な展望に立った目標設定と達成した場合の利益還元のメカニズムを創出する ④最高経営責任者と会長の役割を分離する ⑤文化生活に根付いた建設的なインプットを提供する。

  22. 3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(9)ERMの挑戦と導入成果3.企業価値をあげる手段としての事業リスク・マネジメント(9)ERMの挑戦と導入成果 企業価値の増大 リスク認識の向上 信頼度の向上 意思決定の円滑化 • リスクが成果やリターンに影響を与えることを理解する • 代替的なビジネス戦略導入の影響度を計量化する • 企業のゴールを妨げる固有の“不確実性”を予測し、処理策を協議する • リスク・マネジメントとライン・マネジメントの合体 • リスク転嫁コストを最適に見積もる • リスク・マネジメント資源の活用が増える • 組織的にリスク評価プロセスを導入・実行する • 社内外のステークホルダーに対してリスク開示の透明性の精度が高くなる • 許容可能なリスクの大きさを把握できる • 資本や資源の最適配分が可能となる • リスク・マネジメントと戦略、ビジネス・プランの統合

  23. 4.ERM導入と実行の傾向(1)世界的傾向 ①株主とステーク・ホルダー間における株主価値に対する理解の合致 ②高いリスクプロファイルを潜在的に保有している業界内で導入 • 過去/継続中の不祥事 - 金融機関 • 高いリスクプロファイル - 石油化学業界や製薬業界 • リスクの本質 (計量化可能 vs. 計量化不可能) - 金融機関 - 石油化学業界 • サービス産業 - 公益事業 - 通信 - 航空 - 消費者製品メーカー - 食品業界 ③ERM導入の助長した理由や背景 • 規制 • 訴訟提起が一般的になり株主やステークホルダーからの情報開示に対する要求度合いの増加 • コーポレート・ガバナンスの浸透(透明性や開示など) • 過去の事故やスキャンダルの噴出(企業個々あるいは業界特有) • 競争の優位性維持 ④戦略やオペレーショナルリスクは他のカテゴリーより高い関心を持たれている (処理方法の模索) • リスク計量化の不完全性がリスク・マネジメントの処理手法の制限を誘発 - 限られたリスク転嫁市場

  24. 4.ERM導入と実行の傾向(2)地域の特性

  25. 4.ERM導入と実行の傾向(3)ERM導入の主な理由4.ERM導入と実行の傾向(3)ERM導入の主な理由

  26. 5.ERMの将来像 新しいコンセプトが登場するときと同様、ERMを取り巻く世界にも大きく分けて3人のプレーヤーがいる - 支持者、批判者(懐疑的見解)、傍観者(賛否両論)である。 支 持 者 傍 観 者 批 判 者 • ERM確立は2001年9月11日事件を契機にしている(必要不可欠) • 既に多くの企業に受け入れられ、導入に成功している • CRO(最高リスク管理責任者)も年々着実に増加している • 新しい規制とERMのコンセプトが同列にある(ターンブル・レポート、サーバンズ・オクスレイ法など) • 株主やステークホルダーのERMに対する考え方が合致しており、そのことが企業のERM導入に拍車をかけている • 計量化技術が進歩し、オペレーショナル・リスクも例外ではない • テクノロジー企業がITにかかわるリスク処理策を提供し始め、ERM導入気運を高めている。 • ERMは道理にかなっている • 理論と実際の両方にあてはまる数少ない手法のひとつである • 思うほど難しいものではない • 思っているより難しい • 世界各国で導入を実施している • 非常に便利で重要であるが、リスクの計量化は絶対に必要ではない • ERMは株主・ステークホルーダの両者のニーズや要求を満たす • 技術の向上 - 計量化の技術や手法が向上している • 過去10年間で保険・金融市場ともに目覚しい創意・改革が行われている • 単なる流行にすぎない • CROがすべき事の理想と現実に大きな隔たりがある • 全てのリスクを計量化することは不可能である • あまりにも理論的であり(机上の空論)、実践的ではない • テクノロジーがERMに適合しない • データ(リスク/ロス)不足 • リスクそのものが本質的に不確実であり、把握しきれない

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