1 / 60

熊本大学 発生医学研究センター ・薬学部      医学教育部・社会文化科学研究科 くわみず病院 内科睡眠障害外来   粂  和 彦

北九州予備校 講演 学習と睡眠の関係を 科学的に見直す. 熊本大学 発生医学研究センター ・薬学部      医学教育部・社会文化科学研究科 くわみず病院 内科睡眠障害外来   粂  和 彦. K.Kume 2009. 2. 27. アウトライン. 1. 睡眠の科学的基盤 睡眠の基礎知識   睡眠を作り出す脳の働きと、その制御 2 . 睡眠と学習・記憶の関係 学習記憶システムの基礎知識   睡眠との関係 3.睡眠リズムの整え方   良い睡眠リズムを維持・回復するために. 本日の資料について. 講演資料 => 5.粂 和彦の著作・発表資料

stacy
Download Presentation

熊本大学 発生医学研究センター ・薬学部      医学教育部・社会文化科学研究科 くわみず病院 内科睡眠障害外来   粂  和 彦

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 北九州予備校 講演学習と睡眠の関係を科学的に見直す北九州予備校 講演学習と睡眠の関係を科学的に見直す 熊本大学 発生医学研究センター・薬学部      医学教育部・社会文化科学研究科 くわみず病院 内科睡眠障害外来   粂  和 彦 K.Kume 2009. 2. 27.

  2. アウトライン • 1.睡眠の科学的基盤 • 睡眠の基礎知識 •   睡眠を作り出す脳の働きと、その制御 • 2.睡眠と学習・記憶の関係 • 学習記憶システムの基礎知識 •   睡眠との関係 • 3.睡眠リズムの整え方 •   良い睡眠リズムを維持・回復するために

  3. 本日の資料について • 講演資料=> 5.粂 和彦の著作・発表資料 • http://k-net.org • (第二高校、熊本高校、北予備校) • 睡眠リズムの整え方 • http://k-net.org/dsps.html • 睡眠障害相談室 • http://homepage2.nifty.com/sleep • 著書 • 「眠りの悩み相談室」「時間の分子生物学」

  4. 熊大ブックレット 熊大知のフロンティア講演会(2008年2月)

  5. 1.睡眠の科学的基盤 • ノンレム睡眠とレム睡眠 • レム睡眠の不思議 • 一晩の眠気のリズム • 睡眠を作り出す脳の部分 • イルカの睡眠 • 眠気と体内時計 • 断眠とその影響

  6. 眠りには2種類ある • レム睡眠 (急速眼球運動睡眠) • =REM=Rapid Eye Movement •  目だけが動いている睡眠 • ノンレム睡眠 それ以外の睡眠 • =脳を休めている睡眠

  7. 脊椎動物の種類によるレム睡眠の有無 レム睡眠がない ノンレム睡眠とレム睡眠 爬虫類の多く 両生類 魚類 哺乳類 鳥類 爬虫類の一部

  8. 脳を休めるノンレム睡眠 • レムではない睡眠(変な言葉です) • 脳波は、ゆっくりとしたデルタ波に 起きている時の脳波 眠っている時の脳波

  9. 夢を見る、不思議なレム睡眠 • 脳は、起きている時のように、活発に • 活動をしている • 体の力が、ぐったり抜けている • 目玉が、ぎょろぎょろ動いている •     (まぶたは、閉じています) • 鮮やかな夢を、よく見ている

  10. レム睡眠の不思議  • 脳波は、覚醒時と同じようなパターン • 筋肉が弛緩する = 緩むこと • =>脳の出口に遮断機がある • =>目が覚める=>「金縛り」 • =>遮断機が壊れると、異常な寝ボケ •      (レム睡眠行動異常)

  11. ZZZ・・ 眠りには、波がある Wake REM 1 2 NREM 3 4 6 3 5 7 8 1 2 4 睡眠 (時間) 60-120 min

  12. 眠る脳と、眠らせる脳 大脳皮質=眠る脳 眠らせる 脳幹=眠らせる脳    =眠らない脳

  13. 覚醒 ノンレム レム レム神経 覚醒/ノン レム神経 ノンレム/ レム神経 レムオフ 神経 覚醒・ノンレム・レム睡眠時に働く場所 VLPO: 腹側外側視索前野 MnPN: 視索前野内側核 BF: 前脳基底核 PFA: 脳弓周囲領域 TMN: 結節乳頭核 DR: 背側縫線核 LC: 青斑核 PRF:橋網様体核 Karashima et al. 2007

  14. イルカは、脳の半分ずつが、眠る

  15. 睡眠を制御するもの: 二大要素 • 睡眠の量と質は、「眠気」で決まる • 「眠気」=「昼間の活動」と「体内時計」 • 「昼間の活動による脳の疲れ」 • =>活発に活動すると、よく眠れる •    昼寝をしてると、眠れない • 「体内時計」 • =>徹夜しても、明け方には目が冴える •    時差ボケで眠る時間がずれる

  16. 眠らないと・・・ • 動物は、死んでしまう! • 人間では、翌日には、眠気が強まる •  =>注意力が下がる   記憶力が悪くなる •  =>仕事の効率が下がる  事故が多くなる • ホルモンのバランスが崩れる •  =>食欲が上がる     血圧が上がる •  =>筋肉が減り、脂肪が増える

  17. 断眠によるホルモンへの影響 断眠 ? コルチゾール↑ レプチン↓ インスリン↑ 異化作用↑ 脂肪貯蔵↑ 糖代謝変化 食欲↑↑ 筋肉増強↓ 脂肪蓄積 筋肉減少

  18. 睡眠不足で切れやすくなる 1 扁桃体の活性が強まる 眠った時 断眠した時 Yoo et al. Current Biology 17, R77 (2007)

  19. 睡眠不足で切れやすくなる 2 前頭葉のつながりが弱まる 断眠で 弱まる部分 Yoo et al. Current Biology 17, R77 (2007)

  20. 2.睡眠と学習・記憶 • 2種類の記憶 • 意識と無意識 • 夢と、リプレイ • シナプスの可塑性と睡眠 • 記憶の固定

  21. 2種類の記憶 • 1.手続き的記憶(非陳述記憶) • 歩くこと、スポーツ・・・ •   でも、計算とかも! • 2.宣言的記憶(陳述記憶) •  =>どちらも、睡眠が必要

  22. 心と体の関係を、どうとらえるか? • 心の基礎に、体がある • 心の健全な働きのために、健全な体「も」必要 • =>体(脳)のことを考えること「も」、必要

  23. 心は、一つではない • 私たちは、歩きながら、考えることができる • 「意識に上っている」ことは、一つだが、 • 「無意識」も、体を動かし、判断している • 「無意識」も、一瞬で、「意識に上る」ことがある • =>「無意識」も、私たちの「心」の一部

  24. 右側が よく眠る! 運動した部分は、早く深く眠る 脳の右側ばかりを使う運動をする Huber et al. Nature 430, 78 (2004)

  25. 右側が 眠らない! では、体を動かさないと・・・ 左手を三角巾で、12時間固定 Huber et al. Nature Neurosci. 9, 1169 (2006)

  26. ZZ Z... レム睡眠時の回想 (夢による再学習?) 記憶(学習)成立 ??? ストレスなど 記憶・学習障害 レム睡眠の阻害 ネズミの学習と夢の中での復習? 1 3 4 2 1 迷路での学習時

  27. 人間でも・・・ • 眠らないと、「学習」効率が落ちる • 学習した後、眠らないと、定着しない • =>学習の前にも後にも、睡眠が必要

  28. 3.睡眠リズムの整え方 • なぜ昼夜逆転してしまうのか? • 体内時計の光による制御 • 睡眠リズムの異常 • 正しいリズムの取り戻し方 • 具体例

  29. 良い睡眠リズムの整え方睡眠相後退症候群の治療法良い睡眠リズムの整え方睡眠相後退症候群の治療法 http://k-net.org/dsps.html

  30. 生活(睡眠・覚醒)リズムの整え方のポイント生活(睡眠・覚醒)リズムの整え方のポイント • 体の仕組みを知ること。単に頑張るだけではダメ • 無理をしない。1週間で1時間しか変えられない • 以下に具体的な方法を説明する • 順序としては、 • 自分の現在の状態を知ること • 目標を設定すること • 努力すること(早起きと、早寝)

  31. 原理を知ること 1: 単に頑張るだけではダメ。原理を知ること 1: 単に頑張るだけではダメ。 • 睡眠は、脳の時計と、睡眠の量の両方で制御されている • 時計が合っても、睡眠が足りなければ、朝は起きられない • 大切なのは、「睡眠不足を解消すること」と「時計を合わせること」の両方である。根性で治るものではない。(図1) • リズムは、脳の中の時計で制御されているので、時計がずれている場合には、時計を合わせることが必要 • ずれた時計を合わせるには、科学的な知識に基づいた努力が必要。その期間は、それに集中し、他のことを犠牲にする覚悟がなければ、ずれた時計を合わせるのは無理。 • 時計は、基本的には、早める方向にしか合わせられない。遅くする方向で合わせるのは、理論的には可能だが、現実的には無理である(光環境や、睡眠充足度の関係)

  32. 原理を知ること 2 • 脳の時計は、朝の光で早まる。夜の光で、遅れる(図2) • しかし、この「朝」「夜」は、その人の脳の中の時計にとっての「朝」「夜」であり、現実の「朝」「夜」のことではない。 • たとえば、脳の時計が5時間ずれている人の場合には、普通の人にとっては朝である午前7時が、深夜の午前2時に対応するので、無理して午前6時に起きると、ますます夜型がひどくなる。つまり、「早起きしてはいけない」 • ある一定以上、夜型が進んでしまうと、早起きすることが逆効果になってしまい、どんどん悪循環に陥る。 • 時計を早めて合わせるためには、朝の光がほぼ唯一の力。努力の大部分は「(無理せず)同じ時間に起きること」に注ぐ • 普段眠りにつく時間帯の前には、「睡眠禁止帯」という眠れない時間帯がある。この時間帯に無理をしても眠れない。

  33. 普段の就寝時間 脳の疲れによる眠気 脳の疲れによる 眠気の強さ 2時間の 午睡 眠気が強い 普段の眠気 普段の7時起床 眠気が弱い 眠ると減る 12 16 5 7 9 19 23 1 3 7 早起き 寝坊

  34. 普段の就寝時間 体内時計による目を覚ます作用 目を覚ます強さ 日中強く、夜間に弱い 強いほど、 眠気を弱める 12 16 5 7 9 19 23 1 3 7

  35. 普段の就寝時間 ニつの要素を合わせたモデル 脳の疲れによる 眠気の強さ 覚醒 睡眠 体内時計の 覚醒信号 実際の眠気 12 16 5 7 9 19 23 1 3 7 体内時計の力で、日中は、 それほど眠くならない。

  36. 普段の就寝時間 ニつの要素のモデル =>大波のみ 実際の眠気 覚醒 睡眠 12 16 5 7 9 19 23 1 3 7

  37. 大波、中波、小波・・・眠気の複雑な変化 眠気の強さ 夜の眠気の谷 =眠れない時間 深夜 午前 午後 夜 深夜 午前

  38. 中枢時計と末梢時計の関係 【中枢時計】 主に光で調節 【末梢時計】 中枢時計からの調節 + 各臓器・組織特異的な調節

  39. 発振器 (時計本体) 概日周期時計の一般的構成 光 環境因子 入力系 (リセット) 出力系

  40. 朝の光 => 時計の針を進める 朝7時 朝6時

  41. 夜の光 => 時計の針を遅らせる 夜9時 夜10時

  42. 体内時計の光によるリセット 時計が 進む 夜 朝 昼 夕 朝 時計が 遅れる

  43. Mon 睡眠禁止帯 Tue Wed Thu Fri Sat Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 15 23 7 15 正常な睡眠リズム

  44. Mon 睡眠禁止帯 Tue Wed Thu Fri Sat Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 15 23 7 15 不適切な睡眠リズム

  45. Mon 睡眠禁止帯 Tue Wed Thu Fri Sat Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 15 23 7 15 睡眠相後退症候群

  46. 昼夜逆転する前に食い止めること 2~3時間以上遅れると・・・ => 夜が朝になってしまう!

  47. Mon 睡眠禁止帯 Tue Wed Thu Fri Sat Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 15 23 7 15 不規則型睡眠覚醒リズム

  48. Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 15 23 7 15 非24時間型睡眠覚醒障害

  49. Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 15 23 7 15 目標! 起きる時刻の目標 朝の光 + 朝食 睡眠を7時間として 眠る時刻の目標設定 夜更かしは 2時間以内 週に2回以内 寝坊も2時間まで 2時間程度 早く眠る日を 昼寝は良い、夕寝はダメ

  50. 起きる時間(朝)にすること: 早起き(光・食事)起きる時間(朝)にすること: 早起き(光・食事) • 必ず決めた時間に起きる。 • 起きたら、まず、強い光に当たる。 • 家庭用の高照度治療機(4万円ほど)もあるが、普通、外に出ればよい。室内では、電気をつけても暗いので、強い光(できれば5000ルックス以上)の場所に15分以上、できれば、30分以上いて、「目から」光を浴びる。 • 体を起こすことも大切なので、食事も早めに食べる。 •   その後の注意: • 起床後2時間以上経つまでは、眠らない。 • お昼寝はしても良いが、基本的には15分程度で起きる。 • 夕方を過ぎたら(眠る目標時刻の6時間以内になったら)避ける。

More Related