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宇宙とラリーと地球と人間

宇宙とラリーと地球と人間. 海老沢 研 宇宙航空研究開発機構( JAXA ) 宇宙科学研究本部( ISAS ). 今日の話の内容. 簡単な自己紹介 宇宙の歴史と構造 宇宙が誕生して生命が誕生するまで モンゴルのラリーを通じて考えた地球環境と人間のこと 「ゴビアウォード 2007 」に書いたこと 「 ISAS メールマガジン」に最近書いたこと 研究所の広報、研究紹介用のメールマガジン モンゴルの砂漠で遭難した時の話を書きました. 簡単な自己紹介. 1980 年から 1986 年 京都で学生生活 祇園の屋台のうどん屋でバイトをして GSX 400E 購入

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宇宙とラリーと地球と人間

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Presentation Transcript


  1. 宇宙とラリーと地球と人間 海老沢 研 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究本部(ISAS)

  2. 今日の話の内容 • 簡単な自己紹介 • 宇宙の歴史と構造 • 宇宙が誕生して生命が誕生するまで • モンゴルのラリーを通じて考えた地球環境と人間のこと • 「ゴビアウォード2007 」に書いたこと • 「 ISASメールマガジン」に最近書いたこと • 研究所の広報、研究紹介用のメールマガジン • モンゴルの砂漠で遭難した時の話を書きました

  3. 簡単な自己紹介 1980年から1986年 京都で学生生活 • 祇園の屋台のうどん屋でバイトをしてGSX 400E購入 • 実地試験にて、限定解除! 1986年から1992年 東京・神奈川で大学院生、ポスドク • 文部省宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部)でX線天文学の研究 • CB750Horizon、念願かなってナナハンライダー! 1992年から2001年 • NASA/Goddard Space Flight Center(メリーランド州)でX線天文学の研究 2001年から2004年 • ヨーロッパ宇宙機構(ESA)の仕事で、スイス、ジュネーブ勤務 • Honda Valadero 125 ccで、アルプス、ピレネー、フランス一周など • Yamaha Phaser (600cc)で、イタリア一周、ギリシアまでツーリング • Honda Pan European(1100cc)で真冬にジュネーブ⇔サハラ砂漠 2005年、NASA/Goddard Space Flight Centerに戻る • Kawasaki ZZR 1200、メリーランドからケベックまで往復 2005年から現在まで • JAXA宇宙科学研究本部教授 (東京大学大学院理学系研究科天文学専攻教授) • X線天文学の研究と、科学衛星データアーカイブズの構築が仕事 • YamahaトリッカーでTBI2007参加、クラッチを焼き切ってリタイア • Honda XR250でBTOU参加。二回トラックに乗せられるが、一応完走メダルを貰う • Honda XR250でTBI2008参加、二日目に右ヒ骨骨折でリタイア • Rally Monglia 2008に優待参加、完走を目指す

  4. 宇宙の歴史と構造 • 「宇宙」すべての天体を含む全空間 • ここ(高知県)も宇宙! • 宇宙とは何かを知るには? • 物理学、天文学を学ぶ • 「物理学」 根本的な自然現象を追究する学問 • 「天文学」 天体現象を観測、研究する学問 天文学≒宇宙物理学

  5. 宇宙は何からできているか • 宇宙に存在する物はすべて素粒子からできている • 素粒子の間に力が働いて、物ができている • 物を作る素粒子(全部で12種類) • クォーク(6種類)、電子、ニュートリノなど • 宇宙には4種類の力がある • 電気と磁気の力、重力(万有引力)強い相互作用、弱い相互作用 • 光(光子)は電磁力を伝える素粒子 • 人間が直接知覚できるのは、電気と磁気の力および重力 • 強い相互作用、弱い相互作用は、原子より小さな世界で働く

  6. 物質の階層構造 生物学 化学 原子(炭素,水素,酸素,窒素) たんぱく質分子 人間 電磁力 電磁力 重力 電磁力 地球 原子(水素,ヘリウム) 電磁力 太陽 重力 電子 電磁力 放出 原子核 光 ニュートリノ 強い相互作用 陽子 中性子 宇宙に存在するものはすべて原子(元素)からできている! 強い相互作用 宇宙が誕生したときにはばらばらだった素粒子(ここでは黄色で示した)から、宇宙の進化につれて、様々なものができてきた! クォーク

  7. 宇宙の大きさ、年齢 • 現在の物理学が記述できる宇宙の限界 • 宇宙の年齢 約     年≒10 秒 • これより古いものはない • 最小の時間(プランク時間) 10 -秒 • これより短い時間はない • 宇宙の大きさ(宇宙の地平線) 10  cm • これより大きなものはない • 最小の長さ(プランク長) 10 -cm • これより短いものはない 137億  17 44 28 33 宇宙とは約60桁の広がりを持つ時間と空間 55 80 • 宇宙に含まれるものの全質量 10 g≒原子10 個

  8. 余談 • 将棋でありうる対局の数 ‥‥10 通り • 囲碁でありうる対局の数 ‥‥10 通り 220 360

  9. 1017秒 重力 現在 強い力 弱い力 電磁力 素粒子 4つの力 10‐44秒 10‐36秒 10‐11秒 宇宙の誕生 • 宇宙は膨張し続けている(観測事実) • 現在から時間をさかのぼると、 一点に収束する • 宇宙は137億年前に誕生した(ビッグバン) ビッグバン すべての素粒子, すべての力が 一つのもの 現在の物理学では まだ理解できない 現在の物理学で ほぼ理解可能! ?

  10. 宇宙の歴史 • 宇宙が膨張するにつれて冷えてきた • ばらばらの素粒子が結合してモノができてきた • 最初の3分間 • クォークから陽子(水素の原子核)、中性子ができた • 陽子が二つ、中性子二つからヘリウムの原子核ができた • 宇宙が誕生した直後は、水素とヘリウムしかなかった • 宇宙誕生から約20万年後 • 宇宙の温度は約4000度、大きさは現在の1/1000 • 水素の原子核(陽子)と電子が結びついて水素原子ができる • このときに出た光が観測されている • 宇宙背景放射(最も遠く、最も古い光) • ビッグバンの名残、ビッグバンの証拠

  11. 1990年代 NASAのCOBE衛星による観測 • 宇宙背景放射の”ゆらぎ” • 宇宙が現在の1/1000の大きさの時点の物質の分布 • このゆらぎが銀河(星とガスの集まり)の種になる • 物質(水素とヘリウム)が集まった部分 • 宇宙が現在の1/10まで膨張する間に銀河、銀河団に成長する • それ以外は何もない宇宙空間 Credit:NASA,COBE

  12. 2003年、WMAP衛星がCOBEよりさらに精密な宇宙背景放射の観測2003年、WMAP衛星がCOBEよりさらに精密な宇宙背景放射の観測 • 詳細な温度ゆらぎ(ムラムラ)の観測と理論の比較から宇宙の年齢を137億年と決定 • COBEの搭載装置をつくった二人の科学者が2006年度ノーベル物理学賞を受賞 より詳しく知りたい人はこちらへ↓ http://nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2006/phyadv06.pdf

  13. 銀河 • 星とガスの集まり • 宇宙が現在の約1/10の大きさの頃にできた • 宇宙全体で数千億個ある(我々の銀河はその一つ) • いろいろな形,色がある • 銀河の中では、今でもガスから星が生まれつつある 星 星間ガス 爆発 銀河中の物質の循環

  14. 我々の銀河(天の川銀河系) • 円盤状に約2000億個の星(恒星)が分布している(太陽はその一つ) • 星の集まった円盤を内側から見ている天の川 • アンドロメダ銀河のような渦巻銀河 • M31、アンドロメダ銀河、距離230万光年 Credit:Naoyuki Kurita

  15. 星間ガス、塵から星が生まれる(オリオン星雲)星間ガス、塵から星が生まれる(オリオン星雲) 星の進化と元素の起源 星間ガスを まき散らす 超新星爆発 中心に星の芯が残る (中性子星か ブラックホール) 重い星 の最後 かに星雲 紀元1006年に起きた (「明月記」に記録あり) 重い星の進化 軽い星 の最後 白色矮星と 惑星状星雲 (太陽の50億年後) 軽い星の進化 白色矮星は冷えていき、外層は星間ガスとなる プレアデス星団(すばる)

  16. 星の進化 星間雲 白色矮星 • 星間雲が収縮して星ができる • 中心が超高圧、高温になる • 水素からヘリウムに核融合反応開始、熱と光を生成 • 重力と、核融合反応による圧力がつりあう • 太陽くらいの質量の星 • ヘリウムから炭素、酸素ができて核融合反応ストップ • 白色矮星が残る • 太陽よりもずっと重い星 • ネオン、マグネシウム、シリコン、鉄ができる • 超新星爆発を起こす • 中性子星またはブラックホールが残る 白色矮星 中性子星 ブラック ホール 超新星爆発

  17. 星の進化と元素の起源 • 宇宙の初めに、わずかの水素とヘリウムができた • それ以外の元素は、すべて星の中の核融合反応によって生まれた(星は天然の原子炉) • 超新星爆発によって、元素が星間ガスとしてまき散らされる • それが星間雲となり、そこから太陽系が生まれた • 太陽とほぼ同時に地球ができた • 地球ができた時、元素が地球に取り込まれた 地球上の元素は、すべて星の中でできたもの!

  18. 太陽系,地球と生命の起源 原始星 • 約50億年前に星間雲が収縮して、塵の円盤に囲まれた原始星が誕生 • 原始星は太陽に、塵の円盤は惑星になる • 太陽系(太陽と惑星)ができた • 太陽と惑星はほぼ同時にできた(地球年齢は約45億年) • 太陽とおなじように、他の恒星の周りにも惑星系が存在しているだろう • しかし太陽系外惑星の観測は困難(恒星に比べて非常に暗いから) 塵の円盤 太陽(恒星の一つ) 惑星

  19. 太陽系 アンドロメダ座ウプシロン 火星 • アンドロメダ座ウプシロン星 • 3つの惑星を持つ恒星 • 他にも同様の惑星系を持った恒星がたくさんあるはず • 惑星には生命が存在するかもしれない • 将来は惑星環境の観測? 木星 地球

  20. 生命の起源、進化 • 地球誕生時にあった炭素、水素、酸素、窒素から生命の素(アミノ酸)ができた? • 宇宙から彗星、隕石等で生命の素がやってきた? • 約45億年かけてたんぱく質生命進化人間 • 生物学、生化学、宇宙生物学のテーマ • 進化の過程で種の滅亡を繰り返した • 恐竜の滅亡‥‥6500万年前の小惑星の衝突 • 小惑星 • 主に火星と木星の間に存在する数万個の小さな惑星 • 地球と交差する軌道を持つものもある • 絶えず地球と小惑星衝突の危険がある

  21. 地球への小惑星衝突 • 6500万年前、直径約10km、ユカタン半島 • 長期間にわたる気候変動 • 恐竜の滅亡 • 1908年シベリア • 直径70m • もし日本だったら東京都全体くらいに被害 • 小惑星衝突の頻度と危険性 • 直径10m以下,被害なし、毎日 • 100m,数百年に一回、局所的な被害 • 1km,数十万年に一回、地球規模の気候変動 • 10km,一億年に一回,種の絶滅 • スペースガードプロジェクト • 直径1km以上の小惑星の軌道予測 • 目標は100m以上の小惑星すべての軌道決定

  22. なぜ宇宙はあるのか? • 数え切れないほどたくさんの偶然が重なり、我々が存在する • 十分な元素を含んだ太陽系ができるのに100億年かかる • 生命が進化するのに50億年かかる • もし地球がもっと熱かったら?冷たかったら? • 生命は誕生しなかったはず…… • 宇宙に人間が存在していること自体が奇跡である! • 「人間原理」という考え方 • たまたまこの宇宙に人間が誕生した • だから人間はこの宇宙について疑問を持つ‥‥‥ • 人間が存在しない宇宙もありえたはず • それならば、「なぜ宇宙はあるのか」と問う人間もいなかった‥‥‥

  23. ラリーと地球と人間 • 美しい湖、ゴミだらけのモンゴル • 平気でゴミを捨てるモンゴル人たち • しかしゴミを捨てて何が悪いのだろう? • 何千年もそうやってきたはず • ラリーで遊びにきた我々がなんだかんだ言えた義理か? • たくさんのガソリンを使って、二酸化炭素をまき散らしている • 冷房を切った日本の部屋でごろごろしていたほうが良かった? • そもそも人間がいないほうが地球のためになる!?

  24. ラリーと地球と人間 • 砂漠の真ん中で遭難 • GPSで数メートルの精度で位置を確認、 (N50度09.803分、E93度10.325分) • イリジウムでオフィシャルに連絡 • トラックが救出に来てくれた • 高性能、高燃費のバイク • 排ガス規制も厳しい! • モンゴルのトラックは黒煙をまき散らしている! • ラリーに必要なのは、最も、早く、安全に、効率よくゴールするための最先端のテクノロジー • それが世界中に普及して、人々の暮らしを楽にし、環境への負荷を軽減する

  25. ラリーと地球と人間 • しかし、テクノロジーを持っているだけでは役に立たない • 人間は最先端のテクノロジーを真っ先に戦争に使ってきた (飛行機、ミサイル、核兵器) • 高性能のバイクを持っているだけでは速く走れない • テクノロジーを使いこなすことが重要 • テクノロジーによって大気汚染や汚水の問題を克服してきた • 地球温暖化の問題もテクノロジーで克服できるかもしれない

  26. ラリーと地球と人間 • しかし、人間が一番興味があるのはお金儲け • 貧乏な国ほど環境が汚く、豊かな国ほどきれいな環境 • ゴミだらけのモンゴル、インド、ギリシア、モロッコ • ゴミ一つないスイスアルプス、ジュネーブやチューリヒで湖水浴 • 日本は豊かで環境意識も高いが、不法投棄が止まらない • 不法投棄は金になる! • 環境をきれいにする、保つことがお金儲けになる社会の仕組みが必要

  27. ラリーと地球と人間 • 人類にとっての大きな問題は地球環境問題と地域紛争 • 中央アジア、中東、アフリカ、いたるところで紛争が起きている • 2007年、パリダカ中止! • ラリーでは定められた枠の中で、真剣な戦いをしている • 3500km走って、一分以内の差を争う! • 戦うこと、競争することは人間の本能 • 戦争以外の真剣な戦いをすることが人間には必要(ラリー、スポーツ、格闘技)

  28. ラリーと地球と人間 • 僕たちは、痛い思いをして、骨まで折って、なぜラリーで走り続けるのだろうか? • 人間には、誰よりも速く走る、遠くに行きたい、と言う本能がある • 科学者には、誰よりも遠くを見たい、宇宙の真理を知りたい、という本能がある • 人間は本能に突き動かされて、地球の上で「種として」いつまでも生き続けていたいと思っている! • 人間が地球にやさしくなっても地球は人間にやさしくなってくれないかもしれない • 地球温暖化に宇宙線の影響が大きい? • 何千年か後には氷河期が訪れるはず • 優れたテクノロジーを生み出し、それを使いこなし、賢い社会の仕組みを作り、愚かな争いを避けること • いつまでも生きていたいという意思を持っている限り、人間はいつまでも地球上で生き続けるはずだ

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