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図形の知覚と視覚誘発電位の関係 -図形の形の効果(31)-. 伊藤元雄(愛知学院大学心身科学部) . 目 的. 基本的な幾何学的図形に対する視覚誘発電位( VEP )を 下方視野( LVF ) , 中心視野( CVF ) , 上方視野( UVF) 間で比較した実験(伊藤 , 2006; 伊藤・菅田 , 2006) では, LVF では三角形,逆三角形ともに N1 波の振幅は円形よりも有意に大きかったが, UVF では初期 P 波において図形間の差異は明瞭ではなく,また CVF でも電位は小さく,図形間には有意差は認められなかった.. 今回は,
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図形の知覚と視覚誘発電位の関係-図形の形の効果(31)-図形の知覚と視覚誘発電位の関係-図形の形の効果(31)- 伊藤元雄(愛知学院大学心身科学部)
目 的 基本的な幾何学的図形に対する視覚誘発電位(VEP)を下方視野(LVF),中心視野(CVF),上方視野(UVF)間で比較した実験(伊藤, 2006; 伊藤・菅田, 2006)では,LVFでは三角形,逆三角形ともにN1波の振幅は円形よりも有意に大きかったが,UVFでは初期P波において図形間の差異は明瞭ではなく,またCVFでも電位は小さく,図形間には有意差は認められなかった.
今回は, (1)LVF,UVF,LVF+UVFの各条件で図形間でいかなる差異が示されるか, (2)単独のLVFとUVFの加算波形がLVF+UVFの波形とどの程度一致するか, を検討してみることにした.
方 法 • 実験参加者 心理学専攻者7名 (男6名,女1名,平均年齢35.7歳,範囲21-64歳) • 刺激の提示(Figure1) • LVF+UVF,LVF,UVF (提示視野3)× 三角形1,三角形2,円形 (図形3) +対照刺激としてのブランク図形(1)の10種. • 改良型4 chs. tachistoscope • 提示時間:100 ms,輝度:37 cd/m2 • random配列の各1試行(15回提示)を1 sessionとし,計2 sessions実施.
VEPの記録 • EEG電極配置 (Figure 2) • 8 chs. polygraph 360 system (フィルタ-特性0.5-30 Hz) • 14 chs. data recorder XR-510 • EPLYZER Ⅱ • 標本化時間:2 ms,解析時間:600 ms (刺激前:100 ms,刺激後:500 ms) • 加算回数は1試行につき15回×2施行
結果と考察 • 刺激前100 msの平均電位を基線とし,図形刺激の波形から対照刺激の波形を減算して被験者ごとの差波形(30回加算)を算出. • 総平均差波形(参加者7名)(Figure 3)部位I5では,LVFではN1波(平均頂点潜時144 ms),P2波(249 ms),それにUVFではN1波の反転波としてのP波(140 ms), LVF+UVFではN波(163 ms), P波(255 ms)が見られた.
(1)について Figure 3によれば,振幅(部位I5)に関して • LVFのN1波では,三角形1,三角形2>円形の傾向が,UVFのP波では三角形1>三角形2,円形の傾向が見られた. • LVF+UVFのN波にはLVFのN1波と同様な変化パターンが見られるが,LVFのP2波,LVF+UVFのP波においては図形間に差は見られなかった.
初期の電位(N, N1, P)の平均振幅の変化 (部位I5)(Figure 4) 平均値の差の検定結果(p<.05)によれば, • LVFのN1波では三角形1>円形が有意 • UVFのP波では三角形1>三角形2,円形が有意 • LVF+UVFのN波では三角形1>円形 • LVFのN1波,LVF+UVFのN波では三角形2>円形がps=0.12,0.11と有意傾向に近い水準
後期の電位(P, P2)の平均振幅の変化 (部位I5) (Figure 5) 同様な検定の結果 • LVF+UVFのP波では三角形1>円形が有意 本実験では,初期の電位において,単一の角張り部分がFPに近い三角形1の方が,三角形2よりも円形との振幅差が大きく,またLVF+UVF,UVFでも統計学的に有意に三角形1>円形であったことが特徴的であった.
(2)について • LVF+UVFの電位(N波,P波)は固有な電位成分として考えられるか? • LVFの電位とUVFの電位を加算してみると(Figure 6),その波形は基のLVF+UVFの波形にかなり類似している. • 従って,LVF+UVFのN波はLVFのN1波とUVFのP波の加算から生じた波,LVF+UVFのP波はほぼLVFのP2波と考えられよう.
Figure 6 The LVF+UVF wave and the summated wave of the LVF and the UVF in Location I5.
引用文献 • 伊藤元雄 (2006). 幾何学的形態に対する視覚誘発電位-刺激提示位置の効果- 愛知学院大学論叢心身科学部紀要,2, 1-7. • 伊藤元雄・菅田達也 (2006). 図形の知覚と視覚誘発電位の関係-図形の形の効果(29)- 日本心理学会第70回大会発表論文集,475.