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刑事手続きと心理鑑定

刑事手続きと心理鑑定. 脇中 洋. 1.犯罪に巻き込まれる障害者. 被害者として … 身を守るすべに長けていない。 冤罪被害者として … 不利な状況に陥りやすい(訴訟能力) 加害者として … 他の生き方を選択できない       (就労先、結婚相手、身元保証人、帰住先無し) 。 … 助けを求められない       (友人無し、福祉的支援の申請できず) 。 … 仲間関係の影響 (従犯、薬物犯) 。 … 被害者からの反転 (自分がやられたようにやることしか思い   つかない)。. 昨年の新規受刑者の知能指数 (矯正統計年報より).

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刑事手続きと心理鑑定

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Presentation Transcript


  1. 刑事手続きと心理鑑定 脇中 洋

  2. 1.犯罪に巻き込まれる障害者 • 被害者として …身を守るすべに長けていない。 • 冤罪被害者として …不利な状況に陥りやすい(訴訟能力) • 加害者として …他の生き方を選択できない       (就労先、結婚相手、身元保証人、帰住先無し)。 …助けを求められない       (友人無し、福祉的支援の申請できず)。 …仲間関係の影響(従犯、薬物犯)。 …被害者からの反転(自分がやられたようにやることしか思い   つかない)。

  3. 昨年の新規受刑者の知能指数(矯正統計年報より)昨年の新規受刑者の知能指数(矯正統計年報より)

  4. 2010年新規受刑者のIQ(男24873人・女2206人)

  5. 2. 日本の取調べの現状 • 長期にわたる被疑者勾留(72時間+1事案×20日) • 組織的な見込み捜査(証拠なき確信) • 糾問的な取り調べ+反省悔悟を求める   「自白するまで取調べ室から出るな」 • 取調べ場面が全面可視化されていない • 独白文で書かれた供述調書(「はい」→「私がやりました」に変換) • 捏造すらある「秘密の暴露」供述 • 起訴後有罪率99.9% • 受刑者の30%が、IQ70未満ないし測定不能          ↓  容易に虚偽の自白が生じ、  公判で虚偽であることを示すのが難しい。 取調べ過程の全面的可視化が求められている。

  6. 3.自白を偏重する裁判官の認識 ◆捜査段階で自白、公判段階で否認のケース… • 「自ら不利益になる供述は信用できる。」        ←「悲しい嘘」(浜田) • 「公判では空しい弁解に終始している」        (被告人はうまく説明できない) ◆最近の判決文にあらわれた供述分析への認識の変化… • 「供述分析は科学として確立しておらず、   独自の見解に過ぎない。」 ↓ • 「なるほど虚偽自白は起こりうるが、殊本件に限ってはそのようなことはない。」 ◆何によって心証を抱いたのか不明だが、結論を先行させて、レトリカルに理由を後付けしているとしか思われない。

  7. 4.虚偽自白の要因 • 個体内要因  ・被暗示性「そうなのかもしれない」  ・迎合性「ここは合わせておこう」  ・黙従「疲労と無力感のあまり…」  ・未理解同調性(脇中)      「実は内容を理解していない」 • 状況要因(浜田寿美男「自白の研究」)  ・情報から遮断され孤立無援   ・犯人扱いされる屈辱感  ・聞き入れてもらえない無力感   ・時間的展望の欠如 ・健康への配慮の無さ   ・捜査官への両義的感情(対立しきれない)

  8. 5.関係要因

  9.     問題行動と偽解決    (悪循環の構図)    問題行動と偽解決    (悪循環の構図) 問題行動  偽解決 (Weakland,J.1984による)

  10. 関係論から見た自白の転落過程 (偽解決1)     疑惑を深め 被疑者=犯人と 見込んで尋問する  焦りの気持から 無理に想起する

  11. 関係論から見た自白の展開過程 (偽解決2) 犯人としての自白供述の 展開を期待し、疑問点を質し、 ヒントを与え、励ます 犯人に扮して犯行 ストーリーを構成

  12. 6.供述心理分析 心理学のトレーニングを受けた者は、まず取りたいデータをコントロールする。だが、与えられた  制御不能の供述を前にすると、途方に暮れる…  ・人格鑑定・認知機能や精神発達年齢の査定        → 一般的傾向に過ぎない  ・会話分析→ 実際の取調べ場面のデータがない  ・再現実験→ 一般論、確率論に過ぎない • 与えられた供述を対象に体験性の有無(無実の徴候)を見出す  「汚染されたデータの洗い直し」(浜田寿美男)

  13. 7.供述分析(浜田流) • 有罪方向、無罪方向の2つの仮説を検証する  「どちらが供述内容を妥当に説明できるか」 • 変遷を手掛かりとした嘘分析 〈供述a→供述b = 虚偽→真実 or 真実→虚偽〉  「少なくともいずれかは嘘。どちらの嘘に    “理由”が見出せるか。」 • 無知の暴露供述「真犯人ならばつかない嘘」 • 逆行的構成「結末を知っている人間の       体験性を欠いた想像的供述」 • 自白への転落過程と展開過程(の間)を見抜く  「無実者は犯人に扮して犯行供述を作話」

  14. 8.具体的な分析手法(1) • すべての供述を網羅的かつ時系列順に並べる。 • 捜査段階の最初期の供述を重視する。 • 些細な変遷や公判証言との矛盾を  見落とさない。 • 実況見分によって作られた疑似的「体験性」を見抜く。 • 現実(証拠物)との矛盾を検討する。       ↓  主体として内側を生きるその人の体験性  を反映した記憶、供述であるかどうか。

  15. 9.具体的な分析手法(2) • 共犯者や第三者目撃証言がある場合は、時間軸だけでなく横の拡がりを(誘導可能性)を見る。 • 痴漢や強姦等の性的犯罪は、被害者供述の体験性や背後にある人間関係を見る。 • 被疑者・被告人供述においても利害関係や 利益誘導を受けた可能性を見る。 • 新たな汚染されていないデータを取って反証する。 訴訟能力「黙秘権の告知理解」「ありえない表現」 ~供述が多ければ多いほど、無実の徴候を見出し  やすいが、分析の手間は膨大 →供述の電子化が課題

  16. 10.供述分析の特性 「歴史学的」検討   …供述内容の時間経過に伴う変化(生成・変遷)を 時間の関数として見る。 • 状況論的、関係論的検討 …個体能力を見るのではなく、周辺状況や 人間関係の社会調査を試みる。 ×作話癖 • 個別性の心理学 …外から見た一般的傾向でなく、個別対象者、    個別の出来事に焦点化していく。 • 内側を生きる人間 …外側から見た特性ではなく、時間と体験を生きる    その人の行動を、内側から読み込む。            ↓   発達臨床心理学的特性 ex.強度行動障害者の見立て

  17. 11.問題点と今後の課題 • 無罪方向の証明だけでなく、有罪の立証を担った経験がほとんどない(中立性の担保) • 同じ有罪でも、動機や事実関係の誤りを指摘する仕事(事件関与型・浜田)はより理解されにくい。 • 司法の場において確立されていない役割 • 裁判員制度や可視化が進んだ際の役割 • 経験則とのすり合わせ • 既成の方法論にのみ基づく精神鑑定批判の可能性 • 既成の心理学を離れているので後進の育成が困難 • 多大な私的コスト(依頼人、弁護人) • 定式化した方法の未確立(職人仕事) ~誰にでも依頼・受任できるようで、そうではない。

  18. ありがとうございました。※写真は、R-GIRO[法と心理学」研究拠点の創生 による  カナダ視察(オンタリオ州立裁判所old City hall2010年3月15日)

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