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8 ・「売り物」にされる 文化

8 ・「売り物」にされる 文化. 2012.11.07.  成蹊・文化人類学 Ⅱ. [ 前回 ] なにげない文化・意識される文化. ごく自然に、それと意識もされず、ひとびとが共有する文化というものもある 「なにげない」文化 たとえば、水窪で最年長の夫婦が、玄関先でわらじを編んだりしていた光景など 一方 で、「これが 《 文化 》 なのだ」と、明確に意識される文化というものもある 「その意味について意識される」文化 たとえば 、「棚田は日本人の心のふるさと・原風景である」という考え方など. [ 前回 ] 文脈化 contextualization.

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Presentation Transcript


  1. 8・「売り物」にされる文化 2012.11.07. 成蹊・文化人類学Ⅱ

  2. 8・「売り物」にされる文化 [前回]なにげない文化・意識される文化 • ごく自然に、それと意識もされず、ひとびとが共有する文化というものもある • 「なにげない」文化 • たとえば、水窪で最年長の夫婦が、玄関先でわらじを編んだりしていた光景など • 一方で、「これが《文化》なのだ」と、明確に意識される文化というものもある • 「その意味について意識される」文化 • たとえば、「棚田は日本人の心のふるさと・原風景である」という考え方など

  3. 8・「売り物」にされる文化 [前回]文脈化 contextualization • con(一緒にする)+text(テクスト≒意味・考え) • 「あるもの」を、別の「意味・考え」と結びつけることを「文脈化contextualization」と呼ぶ • たとえば「棚田」を、単純に耕し稲を作る対象としてみるのではなく、「日本人の原風景」という意味・考えと結びつけることが「棚田という文化の《文脈化》」 • ほんとうは、「棚田」=「先祖から代々受け継いできたもの」という意味づけ、つまり文脈化はずっと行なわれてきたので、「棚田」=「日本人の原風景」というのは再文脈化ということになる

  4. 8・「売り物」にされる文化 [前回]文化と(再)文脈化 • 文化が観光資源化する現象は、文化の再文脈化現象ととらえることができる • 注目すべきは、そこで文化にどんなtextが結びつけられているのか、という点である • 日本人の心のふるさと • 国指定の名勝 • 代々受け継がれてきた大切な文化 • なんとかして残していきたい遺産   などなど。

  5. 8・「売り物」にされる文化 1950-60年代の変化~1970-80年代の変化 • ふつうのひとびとの生活に注目すると、1890-1900年代と、1950-60年代が大きな変化の時代にあたるといえる • 1890-1900年代は、国民国家を支える諸制度(学校教育、新聞/郵便メディア、鉄道交通、地方制度、軍事制度など)がほぼ国の隅々まで行き渡った時期 • 1950-60年代は、生活の自給自足的な部分の比率と購買消費的な部分の比率が逆転し、大量生産・大量消費型社会へと転換した時期 • さらに1970年代に入ると「文化の再文脈化」、80年代には「文化の観光化」現象が起こり始める……この場合の「文化」は主に「地方の文化」のことを指している

  6. 8・「売り物」にされる文化 「文化」が地方に与えた2つの課題 • 明治以降「地方の文化」をめぐって、中央からの文化政策に基づくいくつかの課題が「地方」には課せられた • 地方はもっと「文化的」でなければならない • 概ね1960年代まで • 地方は「文化」を保存しなければならない • 概ね1980年代以降、現在まで • 1950~60年代の自給自足→大量消費で起こった社会変化からやや遅れて、1970年代を転換点として「文化」の意味づけが大きく変化する

  7. 8・「売り物」にされる文化 第1の課題:地方はもっと「文化的」であれ • 地方の「封建遺制・因習」は、文化国家日本の足手まとい • 物質的・経済的発展が「文化」であり「善」 • 地方の〈文化〉は否定・駆逐・矯正 • 地方改良運動(1900年代末~1910年代) • 民力涵養運動(1910年代末~1920年代) • 生活改善運動(1940年代末~現在、ピークは1950/60年代) • 浪費・虚礼・怠惰・貧困・非効率・不衛生・地域間抗争といった「悪」のない「地方」へ • 文化的地ならし

  8. 8・「売り物」にされる文化 第2の課題:地方は「文化」を保存せよ • 地方には、実は豊かな「文化」が残されているから、それを次世代に向けて継承し保持せよ • 第1の課題とは異なる意味=「日本の伝統」としての「文化」 • 1970年代の3つの舵の切り替え • 高度経済成長の浸透、文化的地ならしの完了 • 「地方の時代」1979年長洲知事発言 /「文化の時代」1979-80年大平総理諮問機関 • 1975年文化財保護法改正→「日本人のこころのふるさと」としての地方の祭りの位置づけ

  9. 8・「売り物」にされる文化 政策テーマの変遷

  10. 8・「売り物」にされる文化 「文化を売り物にする」という戦略 • 「文化」を観光資源化して外部に対する売り物にする • 地域に根ざした一次・二次産業育成をめざす「まちおこし・むらおこし」事業と並行 • 地域の歴史・文化と生産品をリンクさせ、それを観光とパックにして外部の需要を呼び込む • 全国規模でパッケージングが行なわれ、「文化」が商品化されてゆくのが、1980年代後半から • 国のお墨付きや日本○○選選定により、ナショナルな格付けが進行するのが1990年代半ば以降 • cf. 成蹊学園の欅並木は、1982年に都民の日制定30周年記念として「新東京百景」に、1996年に当時の環境庁によって「日本の音風景100選」にそれぞれ選ばれている

  11. 8・「売り物」にされる文化 文化を売る戦略がもたらしたもの • 地方の文化が優劣の基準で評価される • より観光的に「ウリ」になる文化 • より「日本人のこころのふるさと」にふさわしい文化 • 地方内部の文化が外部化される • ナショナライズされる過程で、国/国民のものとして • 観光化される過程で、観光客の消費物として • しかしながら、文化のメンテナンスは地方に任される • 文化が陳腐化したり供給過剰を起こす • 物質的な資源と同様に、文化資源も枯渇する • それを防ぐために、順位づけや許認可・指導を通じた行政のコントロールが始まる

  12. 8・「売り物」にされる文化 地方と文化の関係性 • 「国民のこころのよりどころ」「日本人としてのルーツ」という非物質的な文化リソースを抱える場としての「地方」 • ただし、地方は、その文化リソースを自由に処分はできない • 国民の共有物として、保存・継承していかなければならない • 一方で、基幹産業が衰退し経済・コミュニティの崩壊の危機を抱える「地方」 • 枯渇しつつある文化・文化のメンテナンス主体として機能しなければならないのに、経済的・社会的に疲弊しつつある地域社会 • 地方涵養策を施して、再び「豊かな文化の息づく地方」を取り戻さなくてはならない

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