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ディスクレ撲滅ハンドブック

信用状付輸出ドキュメンタリー取引. ディスクレ撲滅ハンドブック. ~ディスクレ防止の手引き~. 第 4 版  2012.11. SMS 外国為替部. 前書き. 【 本書の目的 】. 本書は、信用状付輸出ドキュメンタリー取引の実務ハンドブックであり、ディスクレ撲滅を目的としています。. ディスクレとは信用状と提出書類の不一致を指します。ディスクレが発生すると発行銀行は支払確約を撤回し、円滑な貿易代金回収に支障をきたします。. ディスクレは様々な事由で発生しますが、原因は以下の三つに集約されます。. ①  信用状自体の不備.

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  1. 信用状付輸出ドキュメンタリー取引 ディスクレ撲滅ハンドブック ~ディスクレ防止の手引き~ 第4版 2012.11 SMS外国為替部

  2. 前書き 【本書の目的】 • 本書は、信用状付輸出ドキュメンタリー取引の実務ハンドブックであり、ディスクレ撲滅を目的としています。 • ディスクレとは信用状と提出書類の不一致を指します。ディスクレが発生すると発行銀行は支払確約を撤回し、円滑な貿易代金回収に支障をきたします。 • ディスクレは様々な事由で発生しますが、原因は以下の三つに集約されます。 ① 信用状自体の不備 • 信用状に複雑な条件がある場合や記載内容に矛盾がある場合など、信用状自体に不備があることによりディスクレが発生しています。 ② 書類作成における基本知識の欠如 • 書類作成における基本知識の欠如によりディスクレが発生しています。 ③ 書類点検の不備 • 作成した書類の点検方法に不備があるため、ディスクレが発生してしまいます。 本書は、ディスクレ防止に役立つ正確かつ実践的な知識を解説しています。 上記の原因①、②、③は、それぞれ第Ⅰ部、第Ⅱ部、第Ⅲ部に対応しています。

  3. 目 次 更新! ① ALLDOCUMENTSに特定文言の記載を求める条件 ② 特定文言の記載を排除する条件 ③ 現地呈示を求める条件 ④ L/C発行日以前の日付が付された書類を受理しない条件 ⑤ 詳細な船積スケジュールを求める条件 ⑥ 第三者発行の書類を許容しない条件 ⑦ 複雑なサインを要求する条件 ⑧ B/L上に追加チャージの記載を制限する条件 ⑨ L/C発行依頼人が発行する書類を要求している条件 ⑩ B/L上に、船積港、荷揚港に加え、受取港、最終到着港等、別の港名の 記載を求める条件 ① STALEDOCUMENTSを許容する条件 ② FREESAMPLEを許容する条件 ③ COMMINGLEB/L を許容する条件 ④ CHARTERPARTYB/L、TANKERB/Lを許容する条件 ⑤ Surrender B/Lを許容する条件 ⑥ 金額と船積量に過不足(TOLERANCE)を許容する条件

  4. 目 次 4L/Cにおける矛盾点や曖昧な点をなくす ① 期限をあらわす「beyond」を巡る解釈の相違 ② Stale documents acceptableとなっているが、L/Cで別途呈示期限が設定されている場合 ③ 書類の要求が不明確な場合 ④ 呈示場所と、L/Cの有効期限の場所が相違する場合 参考:ディスクレが発生してしまった場合の対応 ⑤ その他矛盾が発生しやすい項目の具体例 NEW! 更新! 更新! 更新! 更新!

  5. ◆本章の狙い ・信用状取引とは何かを確認しましょう。 ・ディスクレとは何か、また何故発生してしまうのか、今一度確認しましょう。 序論 信用状取引とディスクレ

  6. 1.信用状取引とは 信用状取引(以下L/C取引)とは、輸出者と、輸入者の取引銀行との間の取り決めです。L/C取引では、輸出者が信用状条件通りの書類を呈示することを条件に、信用状発行銀行が輸入者に代わって貿易代金の支払を確約します。 L/C取引における発行銀行の支払確約は絶対であり、たとえ輸入者が倒産などで支払不能となっても、あるいは輸入貨物が不良品であっても、発行銀行はそのことを理由に支払を拒絶することはできません。ただし、繰り返しになりますが、この支払確約は、輸出者が信用状条件通りの書類を呈示したときのみ得ることができます。 定義 【条文】UCP-2条

  7. 2.支払確約の条件=「充足した呈示」とは 発行銀行の支払確約の条件となっている「信用状条件通りに書類を呈示すること」を「充足した呈示」と呼びます。充足した呈示とは、以下の四つの要件全て充たすことを指します。 ①信用状に記載された条件を充たすこと ②各書類がUCP600に準拠していること ③各書類がISBPに準拠していること ④各提出書類間に矛盾がないこと 信用状に記載された条件を充たすだけでなく、UCP・ISBPといった国際ルールに準拠し、かつ提出書類の相互間で矛盾がない状態でなければ、充足した呈示とは認められません。 【条文】UCP-15条 充足した呈示 【条文】UCP-14条 書類点検の準備 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  8. UCP600とは UCP600(Uniform Customs and Practice for Documentary Credits,2007 Revision, ICC pubilication,No.600)とは、国際商業会議所が発行している、信用状取引に関わる銀行、関係者間のルールです(日本語訳:荷為替信用状に関する統一規則および慣例)。UCP600は、信用状に明示的に修正または除外されている場合を除いて、信用状全ての当事者に対して拘束力を持ちます。 [条文] UCP-1条 UCPの適用 • ISBPとは ISBP(International Standard Banking Practice for the examination of Documents under Documentary Credits)とは、書類点検におけるUCPの解釈指針を指します(日本語訳:国際標準貿易実務)。ISBPも、UCPと同じく国際商業会議所より発行されており、UCPと不可分の付属物として認識されています。

  9. 3. ディスクレパンシーとそのデメリット 輸出者が信用状で要求された書類を呈示できないこと、すなわち呈示が充足しないことを、ディスクレ(ディスクレパンシー)と呼びます。ディスクレが発生すると、発行銀行は支払確約を放棄する権利を得る等、輸出者にとって様々なデメリットが発生します。 主なデメリットは以下の通りです。 【補足】 L/C発行銀行が、呈示された荷為替手形に関してディスクレがあると判断する場合、呈示日の翌日から起算して5銀行営業日以内に、ディスクレを呈示人に通知しなければなりません。裏を返せば、発行銀行に書類到着後より起算して5銀行営業日以内に何も通知がなければ、発行銀行は充足した呈示と判断したと解釈することができます。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  10. 【条文】UCP-16条 ディスクレパンシーのある書類、権利放棄および通告【条文】UCP-16条 ディスクレパンシーのある書類、権利放棄および通告

  11. 【参考:信用状取引の「独立抽象性」と「書類取引性」】【参考:信用状取引の「独立抽象性」と「書類取引性」】 L/C取引においては、輸出者による充足した呈示がなされれば、たとえ客先が倒産したとしても、発行銀行は貿易代金の支払を確約しなければなりません。しかしその一方で、輸出者が書類上で一文字でもタイプミスをしてしまうと、たとえ客先に支払う意思があったとしても、書類相互間の矛盾がディスクレにあたるとして、発行銀行は支払確約を放棄する可能性があります。この背景には、「信用状の独立抽象性」と「信用状の書類取引性」と呼ばれるL/C取引における二つの性質が存在しています。 •  信用状の独立抽象性 L/C取引は、原取引である売買契約とは別個の取引です。これを信用状が、(売買契約から)「独立抽象性」を持っていると言います。 信用状に、原取引の売買契約へのなんらかの言及が含まれている場合であっても、信用状発行銀行は売買契約とは無関係であり、なんら拘束を受けることはありません。 開設された信用状の内容が売買契約の条件と異なっている場合、信用状と売買契約はそれぞれ別個の取引であるので、どちらかの条件が優先するというものではなく、どちらの条件もそれぞれの契約においては有効です。 すなわち、客先との売買契約の内容を問わず、充足した呈示により、輸出者は確実に発行銀行の支払確約を得ることが出来ます。一方で書類上にディスクレがあれば、発行銀行は支払確約を撤回することができます。 【条文】UCP-4条 信用状と契約

  12.  信用状の書類取引性 L/C取引は書類を取扱う取引です。実際に船積されていなかったり、実際の商品が書類に記載されているものと違っていたとしても、輸出者による充足した呈示がなされれば、発行銀行は支払い義務を免れることはできません。これを「書類取引の原則」と言います。 【条文】UCP-5条 書類と物品、サービスまたは履行 解説 1月31日までに船積されていれば、発行銀行は信用状に基づき代金の支払をしなければなりません。一方で、売買契約に定められている船積期限(1月15日)は売買契約上有効であり、これに遅れての船積(1/17)であるため売買契約違反となり、輸出者は輸入者より損害賠償を請求される可能性があります。 例 売買契約では船積期限を1月15日とすると決めていたにも拘らず、実際に開設された信用状の船積期限は1月31日であり、実際の船積が1/17日である場合

  13. 4.信用状取引の流れ L/C取引の流れを復習します。以下の図はL/C取引の基本的な流れであり、各項目ごとの解説を次ページ以降に記載しています(図の番号は、それぞれ解説の番号に対応しています)。 買取銀行 L/C発行銀行 ⑨ 引受・決済 ¥ ⑧ 荷為替手形送付 ⑩ 荷為替手形到着案内 ⑪ 輸入代金支払(引受) ⑫ 船積書類交付 ③L/C発行 ⑥ 荷為替手形呈示・買取依頼 ②L/C開設依頼 通知銀行 ⑦ 買取代金支払 ④L/C通知 通知銀行を経由してL/Cが通知されます。 ①売買契約締結 ⑤ 船積 客先 APPLICANT 輸出者 (BENEFICIARY) 船積後の流れ

  14.  ① 売買契約締結 輸出者と輸入者が売買契約締結時に、代金決済方法としてL/C取引を行うことを取り決めます。  ② L/C開設依頼 輸入者は取引銀行に対してL/Cの発行を依頼します。  ③ L/C発行 L/Cの発行は、輸入者の取引銀行(L/C発行銀行)にとっては、輸入者に対する与信取引となります。このため輸入者の取引銀行は輸入者の信用状態をチェックし、L/C発行の可否、支払確約の限度額を決めます。問題が無ければ、輸出地の銀行(通知銀行)に向けてL/Cを発行します。 • L/Cが実際に開設される前に、内容に不備がないか必ず確認しましょう(詳細は「第Ⅰ部 信用状開設の手引き」参照)。  ④ L/C通知 輸出地の銀行経由で輸出者宛てにL/Cが通知されます。

  15.  ⑤ 船積 L/C条件で保険証券が要求されている場合には、輸出者は保険会社と保険契約を締結し、保険証券を入手します。この際、保険証券の日付は、船積日以前のものとなっていなければなりません。その後輸出者は貨物を船会社に持ち込み、船積を完了してB/Lを入手します。 【条文】UCP-28条 保険証券および担保範囲  ⑥ 荷為替手形呈示・買取依頼 輸出者は出荷した貨物の代金を回収するために荷為替手形を作成し、輸出者の取引銀行に持ち込んで、手形の買取を依頼します。 【荷為替手形とは】 L/C発行銀行を支払人とし、輸出者の取引銀行を額面金額の受取人として振り出した為替手形に船荷証券、保険証券、インボイス等の船積書類を添えたものを指します。 【呈示の期限】 L/Cには呈示期限が個別に定められています。輸出者は呈示期限までに呈示場所(指定銀行:信用状の構成 ⑦指定銀行と利用可能性を参照)に充足した呈示をしなければなりません。 ※L/Cに呈示期限が特に明記されていない場合は、船積後21暦日が呈示期限となります。

  16. 【条文】UCP-14条 書類点検の標準 【よくある誤解:ディスクレがあっても、書類を再作成すれば大丈夫なのでは・・・】 再作成をしても呈示期限を守れない可能性が高まります。何を以って「呈示した」とされるかは発行銀行の判断次第です。 【呈示後の日付が付された書類】 呈示書類に、呈示日以降の日付が付されているとディスクレとなります。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  17. ⑦ 買取代金支払 輸出者の取引銀行は、荷為替手形が外見上充足しているかをチェックし、手形代金を立替払いします。これを手形の買取と言います。買取で入金はされますが、あくまで買取銀行による立替金です。発行銀行から資金を受領しない限り決済とはなりません。 【立替金と荷為替手形取引約定書】 輸出者は、買取を行うために、取引銀行に対して「荷為替手形取引約定書」を差し入れています。その中に買い戻し請求権(発行銀行の決済が行われなかった場合に、買取銀行が立替金を返還請求できる権利)が規定されています。 【よくある誤解:ディスクレにより発行銀行がアンペイド(支払拒絶)をしてきても 資金は受領済みなので問題ないのでは・・・】 上記のように、買取で受け取る資金が「立替金」である以上、ディスクレを理由として発行銀行が支払を拒絶した場合、買取銀行に資金を返却しなければなりません。伊藤忠商事では売掛金勘定が立替金の入金と共に消されますが、あくまで「簡素化」の為であり、実際の決済はなされていません。 (経連1039号)

  18.  ⑧ 荷為替手形送付 買取をした輸出者の取引銀行(買取銀行)は、荷為替手形をL/C発行銀行に送付します(DHLなどによる送付が通常)。 【条文】UCP-15条 充足した呈示 【ディスクレ通知の期限】 L/C発行銀行が、呈示された荷為替手形に関してディスクレがあると判断する場合、呈示日の翌日から起算して5銀行営業日以内に、ディスクレを呈示人に通知しなければなりません。裏を返せば、発行銀行に書類到着後より起算して5銀行営業日以内に何も通知がなければ、発行銀行はディスクレのないクリーンな書類と判断したと解釈することができます。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  19. ⑨ 引受・決済 L/C発行銀行より引受及び決済が行われます。発行銀行からの引受・決済を以って、L/C取引は完結します(買取銀行からの入金は、あくまで立替金でありL/C取引は完結していません)。 ⑩ 荷為替手形到着案内(支払請求) L/C発行銀行は、輸入者に対して代金の支払を求めます。 ⑪ 輸入代金支払(引受) 輸入者はL/C発行銀行に代金を支払います。 ⑫ 船積書類交付 輸入者からの代金を受領し、発行銀行は船積書類を輸入者に交付します。

  20. 5.信用状の構成 L/Cの構成を復習します。以下はL/Cの基本的な雛形であり、各項目ごとの解説を次ページ以降に記載しています(図の番号は、それぞれ解説の番号に対応しています)。 項目ごとにFIELD NO.があります。 ⇒p.31「信用状で使われるSWIFTの各FIELD」参照

  21. ① IRREVOCABLE: 取消不能 L/Cが取消不可能であることを示しています。UCP600により、すべてのL/Cが取消不可能であることが規定されています。 【条文】UCP-3条 解釈 ② DOCUMENTARY CREDIT NUMBER : L/C発行番号 DATE OF ISSUE : L/C発行日 L/C発行番号、L/C発行日が記載されています。

  22. ③ DATE AND PLACE OF EXPIRY: L/Cの有効期限・場所 L/Cの有効期限と場所が記載されています。 • 有効期限の場所とは、そこでL/Cの効力が切れる場所をさします。 • 有効期限が過ぎたL/Cに対してL/C発行銀行は支払を確約する義務はありません。 • 有効期限は、銀行休業日の場合は翌営業日まで延長されます。 【条文】UCP-29条 有効期限または最終呈示日の延長

  23. ④ APPLICANT : L/C発行依頼人 L/C発行依頼人の名称と住所が記載されています。 ⑤ BENEFICIARY : 受益者 受益者の名称と住所が記載されています。 • この欄には、必ず課のインディケーターも記載してください。インディケーターが記載されていないと、該当課不明L/Cとなってしまいます。 • インディケーターと社名や住所の区切りが不明確な場合、インディケーターがそれらの一部と見られディスクレとなった事例があります。下の例の様に明確に分けて記載しましょう。 例1)ITOCHU CORPORATION 2-5-1, KITA-AOYAMA, MINATO-KU 107-8077 TOKYO JAPAN ATTN : TOKXX SECTION ⑥ CURRENCY ANDAMOUNT : L/Cの通貨と金額 L/Cで使用する通貨と、使用可能金額が記載されています。 • About, approximatelyの単語が記載されている場合、±10%の過不足が認められます。 【条文】UCP-30条 信用状金額、数量および単価の許容範囲

  24. AVAILABLEWITH…BY… : 指定銀行と利用可能性 L/Cには、そのL/Cがどこで利用可能か(=受益者が誰を通じてL/C発行銀行からの支払確約をうけるか)がそれぞれ個別に規定されています。「利用可能である銀行」のことを「指定銀行」と呼び、指定銀行が同時にL/C取引の「呈示場所」となります。 • 呈示場所が他国の銀行である場合、その銀行に書類が到着した時点で呈示とみなされます。従って、郵送期間を考慮し早めの呈示が必要となります。 【条文】UCP-6条 利用可能性、有効期限および呈示地

  25. ⑧ DRAFTAT… : 手形期間 手形の期間が記されています。 ⑨ DRAWEE : 手形支払人 手形の支払人が記されています。 • L/C取引ではL/C発行銀行が手形支払人となることが主ですが、ここの記載はあくまで手形支払人が誰であるかを規定しているのであり、必ずしもL/C発行銀行とは限りません。ここに書かれた記載内容をL/C発行銀行と混同し、書類を作成してしまわないように注意しましょう。 ⑩ PARTIALSHIPMENT : 一部船積 TRANSSHIPMENT: 積替 一部船積・積替が可能であるかが記載されています。 • 一部船積とは、L/Cに記載された数量を全て一回の船積で行うのではなく、数回の船積に分けることを指します。 • 積替とは、L/Cで定められた船積港から陸揚港までの海上航程中に他の船舶に荷卸し、再積込することを意味します。これら2港間で荷卸し、再積込をしない場合は積替にはなりません。

  26. ⑪ PLACE OF RECEIPT : 受取地 PORT OF LOADING : 船積地 PORT OF DISCHARGE : 陸揚地 PLACE OF DELIVERY : 最終到達地 港の名前が記載されています。B/Lは、ここに記載された港名をそれぞれ反映させなければなりません(詳細は 第Ⅲ部 船荷証券のチェック項目参照)。

  27. ⑫ LATESTDATEOF SHIPMENT : 船積期限 船積の期限が記載されています。 • 有効期限と違い、船積期限は銀行休業日と重なったとしても延長されません。 【条文】UCP-29条 有効期限または最終呈示地の延長 ⑬ SHIPMENT OF GOODS (DESCRIPTION OF GOODS):  商品名 取扱商品名が記載されています。 • INVOICE上には、当項目に記載された情報が洩れなく記載されていなければなりません。 【条文】UCP-18条 商業送り状

  28. ⑭ DOCUMENTS REQUIRED: 要求書類 L/Cで要求されている書類が記載されています。ここで要求された書類を全て呈示しなければ、ディスクレとなります。 • 要求にない書類を呈示したとしても無視されます。ただし、記載内容に矛盾等がある場合はディスクレとなる可能性があります。 • 要求書類は可能な限り少なく、簡潔なものとしましょう。  詳細は「第Ⅰ部 信用状開設の手引き」を参照ください。 【条文】UCP-14条 書類点検の準備 【条文】UCP-14条 書類点検の標準 ⑮ ADDITIONALCONDITION : 追加条件 L/C取引が有効となるための条件が記載されています。全ての条件を充たさなければディスクレとなります。 • L/Cがある条件を含んでいるものの、その条件が充たされたことを示す書類が規定されていない場合、UCP上その条件は無視されます。しかしながらL/C発行銀行はその条件を追加条件の欄に記載したことを以って書類を要求していると認識していることがあります。判断に迷う場合は、その条件を満たしたことを示す書類を念のため呈示したほうが無難でしょう。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  29. ⑯ CHARGES : 手数料負担区分 BENEFICIARYとAPPLICANTでどのように手数料を負担するかを規定しています。 • 客先との売買契約通りとなっているかを確認しましょう。可能であれば、買取銀行でかかる手数料のみを伊藤忠負担とするのが望ましいでしょう(海外から膨大な手数料が請求され、採算割れとなるケースが過去に存在しています)。 ⑰ PERIODFOR PRESENTATION : 呈示期限 書類を呈示する期限が定められています。期限を過ぎて呈示を行うと、「LATEPRESENTATION」としてディスクレとなります。 • 呈示期限は余裕を持たせるようにしましょう。また、複雑な呈示条件(例:beyond 7 days after shipmentなど)は避けましょう。 • L/Cに特に記載がない場合は、船積後21日が呈示期限となります。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  30. ⑱ CONFIRMATIONINSTRUCTION : 確認 確認(CONFIRM)を付与してよいかが規定されています。 • 確認とは、L/C発行銀行の依頼を受けて、L/C発行銀行以外の銀行が、L/C発行銀行の支払確約に加えて支払を確約する行為を指します。L/C発行銀行の信用に不安がある場合、またL/C発行銀行のカントリーリスクをヘッジしたい場合などに確認を依頼します。 • ディスクレがある場合、確認(CONFIRM)が外れてしまうので、特に注意が必要です。 ⑲INSTRUCTIONTOTHE PAYINGACCEPTING/NEGOTIATING BANK : 輸出者取引銀行への指示 ⑳ SENDERTORECEIVERINFORMATION : 連絡

  31. 【参考:信用状で使われるSWIFTの各FIELD】 SWIFTとは、“Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication”の略。日本語では「国際銀行間金融通信協会」とも訳され、世界各国の金融機関などに高度に安全化された金融通信メッセージ・サービスを提供する金融業界の標準化団体をいう。 MT700ISSUE OF A DOCUMENTARY CREDIT(LCのFIELD NO.) MT701ISSUE OF A DOCUMENTARY CREDIT(LCのFIELD NO.) MT707AMENDENT TO A DOCUMENTARY CREDIT (アメンドのFIELD NO.)

  32. 第Ⅰ部 信用状開設の手引き •  本章の狙い ディスクレが発生する原因は様々ですが、「ディスクレが発生しにくい信用状」を開設することは、ディスクレを防止する根本的な解決方法です。ここでは、ディスクレが発生しにくいL/Cとするための4つのポイントを通じて、ディスクレを未然に防ぐ方法を探ります。

  33. 1. 要求書類、条件をシンプルなものとする 基本的なことですが、要求書類と条件が簡素であるL/Cを開設することで、 ディスクレの発生を防止することが出来ます。それは以下のような理由からです。 • 要求書類が多すぎると、書類の手配に時間がかかり、呈示期限やL/Cの有効期限に間に合わなくなることがあります。 • 要求書類が多すぎると、書類相互間の矛盾を発見することが困難となります。 • 第三者発行の要求書類は手配に時間がかかるだけでなく、記載事項に制限が加わることがあり、扱いが難しいものとなっています。 • 複雑な条件がL/Cで求められていると、要求を満たすことが困難となります。 L/C開設の段階で、要求書類と条件は可能な限りシンプルにしましょう。      特に以下の項目をシンプルにすることが重要です。 ①SHIPMENTSOF GOODS:商品名 ②DOCUMENTSREQUIRED:要求書類 ③ADDITIONALCONDITIONS:追加条件

  34. 2. ディスクレを引き起こしやすい条件を回避する2. ディスクレを引き起こしやすい条件を回避する ディスクレを引き起こしやすい条件をL/Cに織り込まないことにより、ディスクレを防止 することが可能です。 以下、ディスクレを引き起こしやすい条件を列挙しますので、可能であればこれらの条件をL/Cに織り込まないようにしましょう。 ① ALLDOCUMENTSに特定文言の記載を求める条件 ⇒必要文言の記載漏れによりディスクレとなる可能性があります。 EX)ALL DOCSMUSTSTATEL/CNUMBER ② 特定文言の記載を排除する条件 ⇒転売を想定し、客先がL/CナンバーやINVOICEナンバーなど特定文言を書類上に記載しないように求めている場合があります。そのような条件がある場合、誤って特定文言を記載してしまうことによりディスクレとなる可能性があります。 ③ 現地呈示を求める条件 ⇒発行銀行に書類が届いた時点で呈示と見なされます。そのため諸事情により書類の到着が遅れ、結果ディスクレ(LATEPRESENTATION)となる可能性が高まります。

  35. L/C発行日以前の日付が付された書類を受理しない条件 ⇒UCP600には、L/Cの発行日よりも前の日付を書類に付すことができると規定されています。しかし、L/C発行日以前の日付を書類に付してはならないとL/Cで規定されている場合、L/C発行日以前の日付が付された書類を呈示することでディスクレとなります。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準 ⑤ 詳細な船積スケジュールを求める条件 ⇒所定期間ごとの船積がL/Cに定められている場合、いずれかの船積が期間内に行われなければ、その後の全ての船積についても効力は無くなるとUCP600上に規定されています。従って、複雑な船積スケジュールがL/Cで要求されている場合、要求されたスケジュール通りに船積ができず、ディスクレとなる可能性があります。 【条文】UCP-32条 所定期間ごとの分割使用または分割船積

  36. ⑥ 第三者発行の書類を許容しない条件 ⇒INVOICE及び為替手形は、受益者によって発行されたと見られるものでなければなりません。また船荷証券、保険証券はそれぞれ船会社、保険会社により発行されたものでなければなりません。その他の書類に関しては、L/Cで特に定めの無い限り、第三者が発行していても問題とはなりません。 しかし、第三者発行の書類を許容しない条件がL/Cに織り込まれている場合、第三者発行の書類を呈示することによりディスクレとなります。仲介貿易の場合など、第三者発行の書類を呈示しなければならないとき、船荷証券上の荷送人が受益者以外のとき、特に注意が必要です。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準 ⑦ 複雑なサインを要求する条件 ⇒例えば、「MANUALLYANDSTAMPEDSIGN」がL/Cに求められている場合、 通常の手書きサインだけでスタンプサインを忘れてしまうとディスクレとなります。

  37. B/L上に追加チャージの記載を制限する条件 ⇒当条件がL/Cで要求されている場合、追加チャージをB/L上に記載するとディスクレとなります。この時、たとえB/L上に記載された文言が「free in」「free out」といった荷卸費用の負担区分を示す文言であっても、「追加チャージ」と解釈されディスクレとなる可能性があるので注意が必要です。 【条文】ISBP-113 ⑨ L/C発行依頼人が発行する書類を要求している条件 ⇒L/C発行依頼人が発行した検査証明書は、L/C発行依頼人が意図的に発行をしなかったり、遅延させたりすることでディスクレが生じてしまう可能性があります。例えばL/C発行依頼人による検査証明書がL/Cで要求されている場合、L/C発行依頼人は、L/Cに基づかないマーケットクレームなどの理由でも、検査証明書を発行しないことによりディスクレを発生させることができます。

  38. B/L上に、船積港、荷揚港に加え、受取港、最終到着港等、別の港名の記載を求める条件 ⇒船会社によっては、船積港、荷揚港以外の港をB/L上に記載することが不可能である場合があります。そのような場合、L/Cで要求された港をB/L上に記載できず、ディスクレとなります。従って、使用予定の船会社に対して、記載が求められている港名をB/L上に記載可能か、L/C開設の前段階で確認しておく必要があります。もし記載が不可能であれば、L/Cから当条件を外すようにしましょう。 【よくある誤解:書類は買取銀行が念入りにチェックしてくれているはず・・・】 買取銀行は「外見上」充足したかをチェックしています。UCP上では内容のチェックを入念にするとの規則はありません。従って、充足した呈示の為には、銀行持込前に完璧な書類を用意する必要があります。 【条文】 UCP-14条 書類点検の標準

  39. 3. ディスクレを防止する条件を織り込む 呈示に際し、必要な条件が織り込まれていないためにディスクレが発生してしまうことがあります。また、輸出者にとって有利な条件を織り込むことができれば、ディスクレの発生を未然に防ぐことが可能となります。以下、L/Cに織り込むとディスクレの防止につながる条件を列挙します。可能であれば、これらの条件をL/Cに織り込むようにしましょう。 ① STALEDOCUMENTSを許容する条件 ⇒STALEDOCUMENTSとは、「船積日後21暦日を過ぎて呈示された書類」とISBPに定義されています。この条件の記載があれば、呈示期限はL/Cの有効期限まで延長されます。 ②FREESAMPLEを許容する条件 ⇒商業送り状には、仮に無料であるとの記載があったとしても、信用状に定められていない物品を記載してはいけません。もしサンプルの記載が必要な場合は、FREESAMPLEの記載を許容する条件を信用状に織り込むことが必須となります。 【条文】ISBP-64

  40. ③ COMMINGLEB/L を許容する条件 ⇒COMMINGLEB/L とは「他の該当するB/Lがなければ貨物の引渡しは行わない」旨を船会社が明記しているB/Lのことを指します。 このCOMMINGLEB/Lは、1つのコンテナに詰めた物品を、複数のB/Lに分けて発行した場合に使用されます。   「他の該当するB/Lがなければ引渡しは行わない」と記載されている以上、B/Lの担保性に問題があります。このため、COMMINGLEB/Lを許容する条件がない場合、適切なB/Lの呈示がないとの理由でディスクレとなります。COMMINGLEB/Lを呈示する場合は、この条件を信用状に織り込むことが必須となります。 【条文】ISBP-90, 114

  41. ④ CHARTERPARTYB/L、TANKERB/Lを許容する条件 ⇒CHARTERPARTYB/LやTANKERB/Lを呈示する場合、個々に許容する条件が信用状に規定されていなければディスクレとなります。CHARTERPARTYB/L,TANKERB/Lを呈示する場合、この条件を信用状に織り込むことが必須となります。 ⇒p.91「Charter Party B/L」参照。 ⑤ Surrender B/Lを許容する条件 ⇒Surrender B/Lとは、元地(船積地)で船会社に回収されるB/Lのことを指します。元地で回収されたB/Lには「surrender」とスタンプされ、そのコピーが荷送人に渡されます。L/C上に「Surrender B/L acceptable」の条件が無ければ、SurrenderB/Lを呈示した場合ディスクレとなるため、当条件を信用状に織り込むことが必須となります。 ⇒p.90「Surrender B/L」参照。 ⑥ 金額と船積量に過不足(TOLERANCE)を許容する条件 ⇒金額や船積量に関して、信用状開設段階では不確定要素がある場合、過不足(TOLERANCE)を許容する条件を信用状に織り込むことで、ディスクレを回避することができます。

  42. 4.L/Cにおける矛盾点や曖昧な点をなくす 開設されたL/C自体に矛盾点があれば、ディスクレが不可避となることがあります。また、L/Cに曖昧な表現がある場合、発行銀行との解釈の相違によりディスクレとなることがあります。 L/Cの矛盾点がないか、また曖昧な表現はないか、 L/C開設の段階で確認しましょう(以下、重要事例を列挙します)。 ① 期限をあらわす「beyond」を巡る解釈の相違 ⇒例えば呈示期限が「beyond 21days of B/L date」となっている場合、①船積後21日後を過ぎてから呈示する、②船積後であればいつでも呈示してよい(withinに対するbeyondとして解釈)と、二つの解釈があり、ディスクレを起こす原因となります。「beyond」は、呈示期限を規定する際は使用しないようにしましょう。 ② Stale documents acceptableとなっているが、L/Cで別途呈示期限が設定されている場合 ⇒Stale documentsとは、船積後21暦日を過ぎて呈示された書類を指します。ISBPには、当条件がL/Cで設けられている場合、「船積後21暦日を過ぎて呈示された書類は、信用状に記載されている呈示期限内に呈示される限り、受理される」と規定されています。   呈示期限が無いL/Cとしたい場合は、Stale documents acceptableの条件を入れるだけでなく、必ずL/Cの呈示期限の欄( field 48)に何も記載しないようにしましょう。 【条文】ISBP-21

  43. ③ 書類の要求が不明確な場合 ⇒例えば、「beneficiary must send shipping documents to applicant」とだけL/Cに記載されている場合、実際にその事実が行われたことを示す証明書の呈示が必要か否かが不明確です(UCP600上は、「信用状がある条件を含んでいるが、その条件を充足することを示す書類を規定していない場合は、銀行は、このような条件は記載されていないものと見なして、その条件を無視する。」と規定されています)。実務上は、事実を証明する。CERTIFICATEを提出することが一般的ですが、無駄な書類作成による労力とリスクを負うのではなく、L/C開設の時点で要求書類を明確にすることが望ましいでしょう。 【条文】UCP-14条 書類点検の標準 ④ 呈示場所と、L/Cの有効期限の場所が相違する場合 ⇒例えば、呈示場所が「any bank in Japan」、L/Cの有効期限が「2011xxxxin China」となっている場合、日本の銀行に書類を持込むことで呈示とみなされるのか、それとも中国の発行銀行に書類が到着した時点で呈示と見なされるのかが不明確であり、ディスクレの原因となります。呈示場所と、L/C有効期限の場所は一致させることが望ましいでしょう。 ⑤その他矛盾が発生しやすい項目の具体例 ⇒field 47A、ADDITIONAL CONDITIONにはallowanceが記載されているにもかかわらず、field 39A、PERCENTAGE CREDIT AMOUNT TOLERANCEではNOT EXCEEDINGと記載されている。 ⇒field 45A、SHIPMENT OF GOODSに記載されている金額と、field 32B、CURRENCYANDAMOUNTに記載されている金額が一致しない。 ⇒仲介貿易であるにもかかわらず、field 47Aに“THIRD PARTY DOCUMENTS NOT ACCEPTABLE”と記載されている。

  44. 【参考】 ディスクレが発生してしまった場合の対応 本来は、前述の1-4を念頭に予防すべきディスクレパンシーですが、万が一発生してしまった場合は、 以下のような対応となります。 対応方法はいくつかありますが、やむを得ない場合を除き、訂正、もしくはアメンドで対応しましょう。 <ディスクレが発生してしまった際の対応> 訂正 提出書類の差替により訂正可能な場合は、原則として訂正を行いましょう。 アメンド L/C条件の変更です。条件の不備、矛盾点、曖昧な点はアメンドしましょう。 但し、修正に時間がかかることがあるので、呈示期限、有効期限を超えな いよう注意しましょう(期限について同時にアメンドすることも可能です)。 ケーブルネゴ 該当のディスクレを事前に発行銀行に照会し、応諾され次第ネゴをする ことです。発行銀行へ書類送付後、照会したディスクレ以外のディスクレが 発見された場合、支払確約を得られませんので注意しましょう。また、 一般的にアメンドよりは所要時間は短いとされますが、こちらも呈示期限、 有効期限に注意しましょう。 L/G差入 L/G(Letter of guarantee)とは、ディスクレに起因する一切の損害の責任 を輸出者が負う旨の買取銀行に対する念書です。買取銀行宛であるため、 発行銀行とは直接的な関係は無く、発行銀行が支払確約をするまでディス クレは解決しません。それまで与信先が客先となり、L/Cのメリットを放棄 している事になります。 また、客先に支払意思があったとしても、発行銀行は客先の意向に従う 義務はなく、最悪の場合、支払が拒絶される可能性もあり、 極力避ける べき対応です。 有 低 時間的余裕 リスク 無 高 注意:L/C上に「L/G不可」の文言がある場合はL/G差入不可です。

  45. 第Ⅱ部 書類作成の基本知識 •  本章の狙い 書類作成にあたり、L/C取引における書類作成上の基本知識をおさらいしましょう。コピーと原本の違い、日付のルールなど、一つ一つの項目は細かく感じられるかもしれませんが、どれも無視すればディスクレ発生につながる重要な項目です。 本章では、基本知識として13項目を説明します。

  46. 1. 書類の標題 L/Cで要求されている各書類(ただしINVOICE、運送書類を除く)の標題は、L/Cで要求しているものと厳密に一致している必要はありません。L/Cで要求された「機能」をその書類が満たしていればディスクレとはなりません。例えば、Manufacture’s CertificateがL/Cで要求され、標題をCertification of Specificationとした書類を提出しただけでは、ディスクレとはなりません。署名欄にABC company as manufacturerとしたり、要求されたデータを示すなどして、要求された「機能」を満たすことが重要です。 ただし実務上は、標題の相違を理由にアンペイドとなるケースも存在しています。可能であれば、L/Cで要求された通りの標題にしましょう。 【条文】ISBP-41

  47. 2. 書類の日付 書類によって、日付の要・不要は異なります。 【注意点】 呈示書類に呈示後の日付が付されているとディスクレとなります。また、証明する内容と日付が矛盾する場合もディスクレとなります(例えば、船積後3日以内にNON-NEGOTIABLEの書類を発送したことを示す宣言書が要求されている場合、船積後4日経過した日付が書類に付されていればディスクレとなります)。 また、書類相互間で日付の矛盾がある場合もディスクレとなります(INVOICEの船積日とB/Lの船積日の相違など)。 ・手形、運送書類、保険書類は日付の記載が必要です。 ・その他の書類はケースバイケースで判断しますが、INVOICE、証明書、宣言書などは実務上日付を記載することが通常です。 【条文】ISBP-13 【条文】ISBP-62

  48. 3. 署名 為替手形(外国為替部が代表してサイン)、各種証明書(原産地証明、品質証明等)、宣言書は、信用状に署名の要求がなかったとしても、署名が必要となります。また、運送書類および保険証券にもUCP600の規定に従い、発行者(もしくはその代理人)による署名が必要となります。署名は、誰によって署名されたかが明白に判別できなければなりません。 【条文】ISBP-37 4. 書類の訂正 INVOICE、PACKING LISTなど、再作成が容易なものに関しては、再作成しましょう。第三者発行の書類(船荷証券、保険証券など)に訂正する箇所がある場合、【①間違った箇所を二重線で消し】、【②発行者の訂正印を捺印し】、【③発行者のイニシャルサイン】をもらいましょう。このような正しい訂正手続きを取らない場合ディスクレとなります。 訂正印とイニシャルサインの例

  49. 5. 要求書類 要求書類は「Documents required」「Additional condition」に記載されています。必ず、要求された全ての書類を呈示しましょう。 • 必要のない書類が呈示されても、その内容に矛盾がなければディスクレとはならず、無視されます。ただし、要求されていない書類であっても、内容に矛盾があればディスクレとなるので注意が必要です。 • L/Cの中で書類として明確に要求されていない場合であっても、判断に迷う場合は書類として呈示することが実務上慣習となっています。例えば、「船積後3日以内に、NON-NEGOTIABLEの書類を送付すること」と信用状で要求されている場合、それを完了したことを示す宣言書を呈示することが実務上慣行となっています。しかしながら無駄な書類作成による労力とリスクを負うのではなく、信用状開設の時点で要求書類を明確にすることが本来的には望ましいでしょう。 【条文】UCP-14条 書類点検の準備 【条文】UCP-14条 書類点検の標準

  50. 6.  原本とコピー • L/C取引においては、呈示する要求書類のうち、少なくとも一通は原本でなくてはなりません(L/C上で「~copies」と要求されている場合、「copies」とはコピーの意味ではなく通数を指します)。 •   例) in 3 copies •   ⇒原本1通とコピー2通 • 「原本」と「コピー」それぞれの定義を今一度確認しましょう。 【重要:「原本」「Original」と見なされる書類】 ①「原本」「Original」表示のある書類 「ORIGINAL」と記載のある書類は原本と見なされます。ただし、その「原本」の記載が呈示された書類に適用されないと見られる場合は除きます。例えば、証明書のコピーに「ORIGINAL」のスタンプを押したとしても、原本とはみなされません。 ②「原本」「Original」表示はないが、「原本」 「Original」となる書類 ・発行者の署名、符号、スタンプ、もしくはラベルが表示されている書類 ・発行者により、肉筆、タイプ、穴あけ、スタンプされた書類 ・発行者の書簡紙(社名等がレターヘッド等に印刷された用紙)の原本で作成されたとみられる書類

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