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土木学会中部支部研究発表会( 2005/3/4 ). 運輸部門における CDM 事業の成立可能性 に関する採算性からみた検討. 名古屋大学大学院 ○福田貴之 加藤博和 林良嗣. 背 景. 地球温暖化対策が国際的義務となる時代の到来. 2005 年 2 月 16 日 京都議定書 発効 先進各国に対する温室効果ガス ( Green House Gases : GHG ) 排出削減の数値目標達成が義務化 自国内での目標達成が困難な国は、 京都メカニズム 活用へ
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土木学会中部支部研究発表会(2005/3/4) 運輸部門におけるCDM事業の成立可能性に関する採算性からみた検討 名古屋大学大学院 ○福田貴之 加藤博和 林良嗣
背 景 地球温暖化対策が国際的義務となる時代の到来 • 2005年2月16日 京都議定書発効 • 先進各国に対する温室効果ガス(Green House Gases: GHG )排出削減の数値目標達成が義務化 • 自国内での目標達成が困難な国は、京都メカニズム活用へ • → ET、JI、CDM(Clean Development Mechanism)
クレジット GHG削減量 排出枠増加 企画書 PDD 投資、技術移転、 ノウハウ (Project Design Document) 双方に経済的インセンティブ CDM(Clean Development Mechanism)とは 途上国におけるGHG 排出削減事業によって生じた削減分の一部をクレジット(排出枠)として先進国が追加的な排出枠を得る仕組み 途上国(ホスト国) 先進国(投資国) GHG削減量 投資・技術移転、雇用創出が望める より安くGHGの排出削減が行える 京都議定書の目標達成へ 環境的持続可能な発展へ
目 的 運輸部門のCDM事業の導入は遅れている CDMは発展過程・・・詳細は議論の最中 現CDMの枠組を踏まえ、運輸部門におけるCDM事業について GHG削減効果によるクレジットが採算性に与える影響を分析 • 新規公共交通整備事業を採り上げ、 • ①CDMとして認められるための条件を評価 • ②GHG削減の規模を試算
CDM登録を試みた運輸事業のレビュー 新交通「トランスミレニオ」 Bogota 南米、コロンビアの首都ボゴタ 人口:700万弱 Bus Rapid Transit建設費 $8 million/km (本プロジェクトでは100km弱建設予定) 年間GHG削減量 250,000 tCO2e/year バス専用道路 → を走る連結バス 削減費用:3.2万円/t-CO2
トランスミレニオの概要 • 幹線道路に専用レーンを設けて連結バスを走らせる • 支線部には、フィーダーバス 従来の他の公共交通機関や自家用車の利用者を環境負荷の少ないシステムへと移行することでGHG排出量を削減 GHG排出源として 考慮しているもの (バウンダリー) 乗換 自家用車(燃料消費) バス(燃料消費) 連結バス(燃料消費) 乗換 バス専用レーン(建設) 違法車両(燃料消費) CDM理事会による本事業の最終評価は「c:不承認」評価
ジャカルタ(インドネシア)の鉄道整備事業の例ジャカルタ(インドネシア)の鉄道整備事業の例 ジャカルタMRT路線概要 ※ベースラインとは、プロジェクトが 実施されない場合のシナリオ 0 5
排出原単位と転換需要についての感度分析 350 300 250 転換需要(2倍) 200 GHG排出削減量(万t-CO2/10年) 転換需要(1.5倍) 150 転換需要(基準) 100 50 0 1.01.52.0 排出原単位 (日本の値に対する比) 700(円/t-CO2)とすると、20億円程度 → 建設費用の1%程度 ジャカルタ(インドネシア)の鉄道整備事業の例 → クレジット売却益は小規模にとどまる
300 インフラ運用 250 車両走行 200 人㌔あたりのGHG排出量(g-CO2/人km) 150 100 50 0 路線バス LRT GWB AGT 鉄道 乗用車 11.4 (人/台) いずれも混雑率(実働輸送人㌔/最大輸送人㌔):0.3 GWPは、CO2:1、CH4:21、N2O:310である ※LRTはデータの制約上、車両走行時のCO2のみ考慮 新規公共交通整備事業のGHG排出量 日本の排出原単位を用いて、日本の路線を想定
国内製造業の 平均CO2削減費用 7.5(万円/t-CO2) 250 200 単位GHG削減量あたり の費用(万円/t-CO2) 150 100 35万円 4万円 50 0 GWB AGT 鉄道 7.5万円 LRT 路線バス 新規公共交通整備事業の投資と削減効果 自動車(1人/台)から各交通機関にシフトしたと仮定 0 50 100 人㌔あたりのGHG削減量 (g-CO2/人km) 150 200 250 いずれも混雑率(実働輸送人㌔/最大輸送人㌔):0.3
新規公共交通整備事業の投資と削減効果 最近のレート 4.0 トランスミレニオ 3.5 路線バス 3.0 2.5 初期投資に対する回収率(%) 2.0 1.5 1.0 0.5 鉄道、LRT 0.0 GWB、AGT 0 200 400 600 800 1000 1200 GHG削減クレジットの換算レート(円/t-CO2) インフラ整備を伴う事業では、0.5%を下回っている
事業分野別削減費用の比較 運輸部門は、他分野の事業に比べ削減費用が高い
成果 & 知見 • CDM事業を登録するには、CDM理事会に認められるような企画書作りが必要である → トランスミレニオの事例 • 新規公共交通整備事業を対象として、投資とGHG排出削減効果の関係を考察 • → 鉄道事業など、大規模なインフラ建設を伴う事業ではクレジット • 売却による事業の採算性向上効果は小さい、しかしながら事業者 • にとっては付加的な価値にはなり得る • CDM事業としては、低排出車両による路線バス事業が現実的 → 小規模なインフラ設備 低排出車両で更なる削減効果も見込める
Thank you for your kind attention!! • 主要参考文献: • UNFCCCホームページ http://cdm.unfccc.int/ • Project Design Document「Urban Mass Transportation System : • TRANSMILENIO.BOGOTA DC, COLOMBIA」 • 「LCAを用いた中量旅客輸送システムの環境負荷評価」(2004)長田基広 • 「名古屋ガイドウェイバス開業後3年間の状況分析」(2004)竹下博之 • 「総排出量算定方法ガイドライン」環境庁 • 「CDM/JI事業調査 事業実施マニュアル」(2004)(財)地球環境センター • 「CDM/JI標準教材version 1.0」(2004)経済産業省 • 「運輸部門におけるCDM/JIを用いたビジネスモデルの可能性の検討 • (2003)田中浩介、林良嗣、加藤博和 • 「新規鉄軌道整備のCDM事業成立可能性のLCAを用いた検討」(2003) • 栗山和之、田中浩介、加藤博和ら • 「都市における交通システム再考」(2003)池田信也、市場一好 • 「第八回環境経営度調査」日本経済新聞社
①CDM事業がなかった場合は?(ベースライン)①CDM事業がなかった場合は?(ベースライン) GHG 排出量 プロジェクト参加者は 削減量を大きくする方に インセンティブが働く GHG削減量 ②CDM事業を実施したらどれだけ排出するのか? (モニタリング) CDM 事業開始 ③何を排出源として考える? (バウンダリー) 「CDM要件」と呼ぶ 事業によるGHG削減量を示すことの困難さ ④選んだベースラインの説明 時間 ①ベースラインの設定 ②モニタリングの方法 ③バウンダリーの特定 ④追加性の証明
CDM要件とCDM候補事業 上記を満たしうる事業 新規公共交通整備事業 →CDM登録を試みた事業のレビューをもとに 新規公共交通整備事業のCDM要件をチェック
新規公共交通からの排出 GHG 排出量 ベースライン GHG 削減量 従来の公共交通・乗用車 からのシフトによる削減 > 新規交通への転換に関する不確実性 新規公共交通整備事業では有効な方法といえる トランスミレニオのGHG削減量の算定方法 GHG排出削減量の考え方 GHG 排出量 ベースライン 排出量 プロジェクト 排出量 需要予測による不確実性 CDM理事会による本事業の最終評価は「c:不承認」評価
トランスミレニオとCDM要件 • 「rebound effect」の問題 一般的に、一度交通量が減少した道路はいずれ更なる車両の増加によって飽和してしまう → 自動車交通を抑制する施策の並行導入が必要
自発的な 新規公共交通 の整備 Yes 公共交通への 投資元がある (or財源がある) Yes ODA等の活用 による整備 No 新規の公共交通の 計画が既にある 既存の公共交通の 再興&自動車交通 抑制策導入 Yes 既存の公共交通 がある Yes 自動車交通 抑制策導入 自動車交通の 抑制策導入の インセンティブあり No No モータリゼーション の進行 モータリゼーション の進行 No 計画が無く、渋滞・騒音などが深刻問題になっていなければモータリゼーションは続くと考えられる ベースラインオプション 新規公共交通整備事業のベースライン・追加性 ①ベースラインの設定:モータリゼーションの進行 ④追加性の証明:デシジョンツリーを利用
新規公共交通整備事業のモニタリング ②モニタリングの方法:ヒアリングによる転換率の把握、自動車交通抑制の証明 ①燃費、排出原単位:先進国のデータで代替(GHG削減量を過小に評価) ②転換率をアンケート調査 ③沿線道路の交通量調査(自動車交通抑制策の効果把握) 乗換 乗換
運行開始 車両ライフタイム(20年) GHG 排出量 車両製造 インフラライフタイム(60年) インフラ建設 クレジットの獲得できる期間:10年 or 7年×3 施設廃棄 車両廃棄 車両維持補修 施設運用維持補修 車両走行 年 自動車からの転換 従来の鉄道からの転換 GHG 削減量 新規公共交通整備事業のバウンダリー ③バウンダリーの特定:車両走行による燃料消費とインフラ運用 当該事業における削減効果発生時のみを計算の対象とし、 LCAの考え方は用いない → ※現在のCDM事業では主流
では、新規公共交通整備事業によって得られるクレジットはどの程度なのか?では、新規公共交通整備事業によって得られるクレジットはどの程度なのか? 新規公共交通整備事業のCDM要件 自動車交通抑制策の並行導入によりRebound effectの防止
企画(PDD作成) 有効化審査(Validation) プロジェクト参加者 適切なベースライン・モニタリングの 方法論の選択が必要 投資国・ホスト国 の承認 指定国家機関 有効化 登録 指定運営組織 方法論未整備の状態 CDM理事会 モニタリング プロジェクト参加者 現状では、プロジェクト参加者が ボトムアップ式にCDM理事会へ ベースライン・モニタリングの方法論を提案していくのが常となっている 検証/認証 指定運営組織 発行 CDM理事会 CER(クレジット) 1.現CDM枠組での課題 CDM事業の成立過程における難関
Yes 公共交通への 投資元がある (or財源がある) Yes No 新規の公共交通の 計画が既にある Yes 既存の公共交通 がある Yes 自動車交通の 抑制策導入の インセンティブあり No No No