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7章:局所的な問題

 これまでの議論で重力波が重要な役割をしていることは理解できる。しかし、重力波は一般に空間的スケールが小さく、全球には一様に分布していない。最近の衛星データの出現により、下部成層圏においては重力波の全球分布が出始めており、それによると下部成層圏においてはかなり 局所性 がある。また、高分解能の大循環モデルの出現により、全球の重力波の様子が分かり初めているので、そのことについて議論をしておこう。. 7章:局所的な問題. Tsuda et al.(2000) による重力波に伴う Potential Energy の分布. May-Aug Potential Energy

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7章:局所的な問題

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  1.  これまでの議論で重力波が重要な役割をしていることは理解できる。しかし、重力波は一般に空間的スケールが小さく、全球には一様に分布していない。最近の衛星データの出現により、下部成層圏においては重力波の全球分布が出始めており、それによると下部成層圏においてはかなり局所性がある。また、高分解能の大循環モデルの出現により、全球の重力波の様子が分かり初めているので、そのことについて議論をしておこう。 これまでの議論で重力波が重要な役割をしていることは理解できる。しかし、重力波は一般に空間的スケールが小さく、全球には一様に分布していない。最近の衛星データの出現により、下部成層圏においては重力波の全球分布が出始めており、それによると下部成層圏においてはかなり局所性がある。また、高分解能の大循環モデルの出現により、全球の重力波の様子が分かり初めているので、そのことについて議論をしておこう。 7章:局所的な問題 Tsuda et al.(2000) による重力波に伴うPotential Energyの分布 May-Aug Potential Energy 20-30 km average (λz:2-10 km) OLR: May-Aug average 興味ある場所:大西洋(ITCZからずれている)       アフリカで 対称的なシグナル       南米やインドネシア <−OLRと対応か       東太平洋(ITCZ上)    冬半球が夏半球より強い-->ある部分の成因を高分解能モデルを用いて対流圏も含めて考えること

  2. McInture,1973, J. Fluid のように具体的な計算例はいくつかある。ー>より大きな波動の生成を議論 一般化の問題として: Andrews and McIntyre, 1978, J. Fluid はLagrange的平均の式やwave actionの式を導いているが、平均流と波の量が混在していて、すっきりしない。 補足:局所的な波に伴う平均運動 平均流の式: Wave-actionの方程式:

  3. 局所的重力波をみる為の方法として 、ここではCCSR/NIES 大気大循環モデルを用いる: 球面上の静力学平衡を仮定したprimitive equation 対流のパラメータ: Arakawa-Schubert 水平分解能: T106 ( lat ×lon ≒ 1.125゚×1.125゚ ) 数百km以上の重力波を分解可能。対流圏ではメソα擾乱が分解、 100 km以下の重力波は考えられない。ー>より高分解能が必要 鉛直分解能: 60 layers ( from surface to about 50 km) 550m vertical resolution in the upper troposphere and lower stratosphere 下端の境界 : climatology SST with realistic topography データが膨大なので: 1 hour (analysis data of gravity waves for 11-16 June):1週間のデータくらいを見る。 低分解能大循環モデルでは(山岳及び動く)重力波をパラメータするが、ここではそれは入っていない。ー>モデル内で自然に作られた重力波

  4. 気候値は? 温度と東西風の平均場 June-Aug. 観測 モデル 差(Obs - model) 大枠の気候場は再現されているー>重力波を見ること

  5. precipitation for one week in June (6/10-6/16) weekly averaged Precipitation Observation in June 大体の局所的分布はいいであろう。 ITCZ, SPCZ, the Baiu front (Kawatani and Takahashi, 2003)などが再現 ただし、インド洋、ベンガル湾などでは多い雨になっている。またインドネシアで少ないよう。中緯度の雨もモデルで多いよう。

  6. スペクトルの傾きが約500km horizontal scale で変わる(Nastrom and Gage, J. Atmos. Sci., 1985). 長波長ではー3乗則(2次元乱流?)、それより短波長ではー5/3則(3次元乱流的?)になっている。T106 resolution model resolves several100km scale, でもある程度(すこしスケールが大きいところで曲がっている)は表現されているよう。 エネルギースペクトル 100km 1300km T106 model spectrum Observational spectra

  7. 重力波の大雑把な比較として、梅雨期(モデルで梅雨前線がそれなりに表現されている)のMU-レーダデータとの比較重力波の大雑把な比較として、梅雨期(モデルで梅雨前線がそれなりに表現されている)のMU-レーダデータとの比較 GCM (135゜E, 35゜N) Time-height cross-sections for meridional wind JUN17-JUL8, 1991 MU radar (by Dr. Ogino) 鉛直波長 ~4km, 南風のとき重力波が強そう →類似の構造がこのモデルで再現されていそうー>詳しく解析

  8. モデル出力から重力波をとりだすこと: 1.短周期成分を取り出す  → high pass filter 30時間以下成分を取り出す(スペクトル解析の卓越時間成分を含む) 1日振動 温度の緯度-周波数スペクトル分布(20-30km,帯状平均)実線:24時間, 破線:12時間,曲線:慣性振動数 別方法:2.短い鉛直波長を重力波とみなして取り出す  対流圏領域(2-9km)  圏界面領域(9-17km)  成層圏領域(17km-)3次多項式fitting(各時間、各グリッド) →リファレンスプロファイルを作成 →差を重力波成分とみなすSPARC Gravity Wave Initiative Projectおいて行われている方法2.の方法は赤道波も含むであろう。

  9. PE 具体的にGCMでのPotential Energyを見積もること:ここは、30時間までの短周期の重力波に伴う モデルのOLR Observed Potential Energy(ただし5-8月の平均)、これくらいの期間が必要のよう 強い PE が赤道域に偏っている(20S-20N)←corresponding to low OLR 大雑把に観測と類似であろう。インド洋はモデルが強いよう。 南極域はあまりみれないー>分解能か? Large PE が大西洋にある ー>?

  10. 鉛直流の瞬間値 at 100hPa 傾いた波状の構造が大西洋上に見えていて、ITCZから伝播しているふう PEの大きな熱帯大西洋の物理場を詳しくみて、原因を調べること 週平均の降雨の分布

  11. 70 hPa この高度では南方向伝播のシ グナルが見えやすい 鉛直流の緯度-時間断面図 (経度5W-15W の範囲) 200hPa TIME ITCZで対流の場所 LAT 北と南、両方に伝播

  12. 大西洋の大きなPE のある場所(10S, 10W)の短周期南北風の時間-高度図 : ~10 hPa から ~80hPaで位相の下方伝播がみえる       ↓ エネルギーの上方伝播になっているであろう HEIGHT 対流圏ではシグナルはあまりはっきりしない TIME 鉛直波長: 5-10 km, 周期: 24 hoursのシグナルになっている

  13. 重力波のエネルギーフラックス (矢羽根) & 東西風 (実線) & 対流による大気加熱 のSTD (8W-13W 平均) 重力波の南北-鉛直伝播のエネルギー流れ: 南北、鉛直断面での重力波のエネルギーの流れをみている ・積雲対流 →南と北に伝播している ・南方に伝播した波は 70 hPaくらいでおもに上方に ・20 hPa levelで, 北向きにかわる、 エネルギーフラックスの収束 (相互作用の項は風が弱く、小さい) → 強い収束(blue shaded) が対流のある場所とはズレている HEIGHT LAT

  14. これらから、24時間周期の重力波がITCZから生成され、大西洋に伝播、収束してPEが大きくなっている。これらから、24時間周期の重力波がITCZから生成され、大西洋に伝播、収束してPEが大きくなっている。 重力波の分散式(波の東西波数、南北波数、鉛直波数、振動数の関係)から: ここで、基本風は弱い: これまでの図から λx =1500km, N2=5E-4, λz=6kmと仮定する(これらはそれほど変わっていないよう) この時、南北波数は変化しているようなので(これも図から)、l=0になる緯度を見積もる propagating large energy エネルギーのソースは5NあたりのITCZ内の対流のようである       ↓ ITCZ内の対流の様子を確認する 24時間の周期の重力波として、φは20゜程度になるー>そこらで曲がっている。

  15. 重力波が作られているところ(対流圏 ITCZ )を調べる 降雨のスペクトル (0-15N平均,領域:0E-30E) → 東向き、西向きの1日振動の波が卓越 降雨の経度-時間断面図: (0-15N平均) TIME LON 1日振動が卓越している 降雨の空間スケール

  16. モデルで1日振動が再現されているが、それが全球で現実的かを観測結果で確認するモデルで1日振動が再現されているが、それが全球で現実的かを観測結果で確認する モデルでの短い雨の比率:アフリカ、インドシナ、インドネシア、南米で短周期擾乱の比率が高い:下の観測と似た分布 ー> 短周期の対流が現実的であることを示している。 赤道大気レーダー観測:インドネシア西スマトラ州 (100.32E, 0.20S)東西風の (2001年7-12月)、15-20km (辻野ら、2003年) 衛星観測に於ける3 年 平均(南北に広がる)の1日振動対流の振幅:Ricciardulli and Sardeshmukh (2002)

  17. 補足:1日振動ー>重力波に伴う (<30h period) 水平エネルギーフラックスの分布(100-50mb)と対流性の降雨との対応 矢羽根がフラックスのエネルギーの流れを示しており、それが降雨の場所から流れでている様子を示している 1985-86 July Jan. 1974-78 J-A D-F -> 雨とメソ擾乱の場所がよく対応 Energy flux at 100-50mb with convective precipitaion 観測されているMeso擾乱: Laing and Fritsch, 1997, QJRMS Energy fluxの出てきている所がメソ擾乱の多いところとは対応している

  18. 例として熱帯大西洋上空でのPEを詳しく見ておく:例として熱帯大西洋上空でのPEを詳しく見ておく: 短い鉛直波長でPEを見てみると異なる構造が見える 短鉛直波長 短周期 ? Marquardt et al., 2004, 2003 GPS PE(7km range from 2km above thetropopause) ・6Nと6Sのシグナル 赤道に対称的になっている、東西に伸張  →赤道波?のように思える 短周期の重力波の場合とくらべ、異なるところがある。 アンデス山脈上で大きなシグナル   ←山岳起源の重力波である アフリカから大西洋上の構造が異なる 東太平洋(ITCZ)ですこし大きなシ グナル インドネシアあたりで大きなシグナル GPS/MET 観測のPE:3-8月λz<10km: アフリカで対称的なところもあり

  19. 短鉛直波長の東西風の経度-時間断面図 上:(6N, 35hPa) 下(6S, 35hPa) 短鉛直波長の高度場のsnap shot (35hPa) ー>赤道反対称 西進 τ=4-5day 赤道反対称 時間 混合ロスビー重力波モード Matsuno(1966) Rossby Gravity Waveの分散関係式 に 6S に於ける各パラメータをいれる: λx~7000km, τ~4.5day, N~2.2E-2, u~8m/s → 鉛直波長 ~ 3.5km GPS/MET観測、GCMに見られる 赤道対称のPotential Energy →混合ロスビー重力波のよう

  20. OLRでみた対流圏の中のRG波はどんなになっているか:例えば、Wheeler and Kiladis, 1999, JAS, をみると、 反対称モード 対称モード 冬 夏 Rossby重力波成分の強度水平分布:この図ではアフリカあたりはシグナルがない。  ー>特殊な例のよう スペクトル分布:左下にRossby重力波に対応したシグナルがある

  21. 短鉛直波長東西風の経度-時間断面図 (Eq, 35hPa) インドネシア近傍のPEについて 短鉛直波長 短周期 Vにはシグナルがないので、大きな場はKelvin波的構造のようである。周期:7日程度? より短周期で東に伝播する波がのっている

  22. 6月の南半球、中緯度の100mb level における重力波のEliassen-Palm flux Divergence 中緯度下部成層圏における重力波の役割:<ー東西平均としてみると 重力波にともなう東風加速が30S近傍にある。その大きさは約 - 0.4m/s/dayの大きさである. その値は右図の惑星波動や傾圧波動にともなう東風加速の大きさとと比べても50%近い大きさをもっている. 寄与する重力波は40S あたりのジェットから生成されているように見える. 全ての擾乱によるEliassen-Palm flux 発散は1m/s/dayより小さい 残差循環によるforcing成分

  23. 傾圧不安定波帯での重力波の1例: 東西風の経度ー緯度断面図 この重力波:水平波長が~ 600km 、鉛直波長~4km程度と見積もられる。100mbあたりにシグナルが見える。Cx ~ 17m/s (ホフメラーより)この高度での西風~30m/sよりすこし遅い 発散場の経度時間断面図、重力波と思われるシグナルが見える。

  24. 東西方向全体的にみると:ー>200-100mbでのlocal な重力波のEnergy flux と運動量flux 下層 400-300mbでの重力波に伴う水平energy fluxの経度-緯度の分布図 30Sあたりに重力波の運動量flux u’w’ < 0がみえる -->風によるfilter 中緯度成層圏100mbでは、1000km程度の基本流に対してはwestward propagating 重力波のシグナルが見えてくる。 中緯度対流圏(400mb)でのwのスペクトル, 〜 2000km, c〜20m/s gravity wave がみられる。

  25. 赤道域の150mbにおいての全ての擾乱のEliassen-Palm flux 発散は〜2m/s/day程度の大きさとなっている。 赤道域圏界面付近: モデルでの水平成分 EP-flux 発散の図、赤道域は水平成分が主成分である。 赤道域の200mb level(平均東西風は東風)での重力波によるforcingは西風加速になっている。その大きさは〜 0.4 m/s/day程度の寄与をもっている。 赤道域の観測にもとずく eddy による水平flux 発散の大きさは:〜1m/s/day程度である、北半球が夏の平均

  26. 赤道域上部対流圏において全ての擾乱では水平輸送が大事であった ->赤道域上部対流圏において全ての擾乱では水平輸送が大事であった -> 150mbでの全ての波動による東西風加速の経度/緯度分布、場所によって加速が異なる。 upper equatorial troposphereにおける西風加速の東西非対称性をみてみる: エチオピアあたりで-u’v’ >0, 東風運動量が北向きになっている-> アフリカあたりの赤道域で強い西風加速を起こしている、南北成分のみ

  27. 鉛直波長で取り出した重力波のEliassen-Palm flux と発散の水平分布 in June 短鉛直重力波による200hPaにおける局所的に見積もられたEP flux の鉛直成分:アフリカ東部からの重力波と思われる。 EP flux Divergence の水平分布(200hPa):アフリカからインド洋にかけて強い西風加速になっている、局所性が強い。

  28. 補足:短周期重力波のEliassen-Palm flux (と発散、青系統が東風加速を意味する) : 南北-高度断面図 in June 赤道域の200mb level(平均東西風は東風になっている)での重力波によるforcingは西風加速になっている。その西風加速の大きさは〜 0.3m/s/day程度の寄与をもっている。 短周期重力波による150hPaにおける局所的に見積もられたEP flux 発散の図である: 場所により異なっている。赤道ではアフリカからインド洋あたり西風加速で大きい Eliassen-Palm flux (arrow) of gravity waves and Divergence of EP flux. Blue colors correspond to easterly accelaration 左図は右のものの東西平均である

  29. 短周期重力波のEP-fluxの鉛直成分が主な加速に効いているー>赤道上の重力波にともなう鉛直運動量flux u’w’ 重力波にともなう鉛直momentum fluxを示している. 200-100mb の高度で東半球は東向きの運動量を上向きに運んでいる成分が卓越。一方、西半球においては西向き運動量を上向きに運ぶ成分が卓越している. 10-3 u’w’の200-100mbでの水平分布図モンスーンー>インドから日本付近まで大きなu’w’>0の運動量fluxがみえる。 衛星観測で見積もられた、重力波にともなう絶対値(方向までは求められていない)の運動量flux は a few 10-3 Pa( )、Cryogenic Infrared Spectrometers and Telescopes for the Atmosphere (CRISTA-2観測: 8月, 1997, 1 weekのみ) 東半球ではu’w’>0に、西半球はu’w’<0のような経度依存性がある。 前図からー>赤道域において、全ての擾乱によるNet の加速は200mb -100mb の高度で西風加速であった。

  30. 補足:20-30kmあたりの波の運動エネルギーの水平分布補足:20-30kmあたりの波の運動エネルギーの水平分布 重力波の運動エネルギーの水平分布, KEは30度あたりにたまる感じ。 20mb(〜26km)あたりでは水平エネルギーfluxが複雑な構造になっている。30Sあたりでは円的な構造を示しているところもある。 対応した重力波の位置エネルギーの水平分布

  31. 補足2: Pseudo-energy、( Andrews and McIntyre, 1978, J. Fluid ) Pseudo-momentum 浅水系では

  32. MacKay, 1998, J. Atmos. Sci. Front system と重力波に適用可 補足3: pseudo-エネルギーと呼ばれる量の保存則の1例: y微分は落として、小振幅近似のもとで、以下のような式が得られる。 2次元のHamilton形式から、 ここで、 式は導いた。さてそれでどうつかうか?

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