オンラインレセプトコンピュータ（仮称： ORCA ） の発端とその目指すもの

1. オンラインレセプトコンピュータ（仮称：ORCA）の発端とその目指すものオンラインレセプトコンピュータ（仮称：ORCA）の発端とその目指すもの 日医総研委託研究員 岡田武夫

3. 健康科学センターが展開する四つの事業 • 科学的・実践的な健康づくり技法の開発研究 • 健康情報発信機能 • 健康ふしぎ発見広場（１Ｆ） • 健康ライブラリー（２F) • http://www.kenkoukagaku.jp • 健康づくりを推進する指導者の育成 • 地域保健専門職員の研修 • 健康づくりボランティアの育成 • 健康づくり活動の展開

4. あなたにあった健康生活の提案 • 健康度測定コース・健康処方 • 健康開発ドックコース（１１月開始） • 循環器病予防コース、ストレス・疲労予防コース、糖尿病予防コース、冷え・冷房病予防コース、睡眠チェックコース、スリムで元気コース、長寿健康コース • 禁煙サポートコース

5. 日医総研とは？ • 日本医師会の目指す「国民のための医療政策展開」をサポートするシンクタンク • 医療政策の基礎となる論理的根拠の構築 • 研究活動、情報収集、調査分析、出版・・・ • 日本医師会の理念を踏襲しつつ、さまざまな角度から独自の研究成果、提案等を日医に対して提示

6. 研究ネットワーク

7. 日本医師会 依頼・委嘱 委託 提言・提案・報告 他の研究機関 （大学など） 共同研究 情報の提供 各種の支援 調査・研究への協力・回答 医療現場 病院・診療所・介護施設・・・ 日医総研の任務 日医総研

8. ２０１５年医療のグランドデザイン • 質的将来像 • 成果目標　生存率・自立率・就業者率 • 医療の介入方法を改善する為の数値目標 • 制度的将来像 • 現行制度に基づいた需要予測 • 人口動態・年齢階級別受療率・患者調査 • 病床数・従事者数 • 医療保険制度

9. 介護保険 • 主治医意見書／訪問看護指示書作成支援ソフト 「医見書」 • 給付管理／介護報酬請求支援ソフト • 書籍出版 • 「介護保険制度Ｑ＆Ａ　介護保険を上手に利用するために」 • 「必携　介護報酬ハンドブック　算定と明細書記載の方法」 • 「介護支援専門員研修テキスト　アセスメントからケアプラン作成まで」

10. 経営分析センター • 医療・介護経営実態調査 • MEDIDAS : Medical and Care Management Data Analysis System

11. メディダスの内容

12. ＭＥＤＩＤＡＳシステムイメージ インターネット 　 日本医師会 　　 日医総研 経営分析センター 研究協力者 （病院６００） （診療所４００） 毎月の入力 月次分析の参照 1.日本医師会会員の経営を支援 2.データを蓄積し、 政策提言に活用 決算期の入力 パソコン画面で入力・参照 財務分析・評価 決算期分析の参照 日本医師会 都道府県医師会 郡市医師会 学会　など 政策提言 データベース 報告書、論文、ワーキングペーパー

14. 統制と競争による低価格政策 日本の医療の特徴 • 国民皆保険 • 医療機関は非営利・民間主体 • フリー・アクセス • 部分的な競争原理の導入 • 現物給付 • 一律の点数表による価格統制

15. 差益は悪か？ • 差益は競争原理が働いた「結果」である • 薬価（公定価格）を引き下げる原動力 • 価格交渉も経営努力のうち • 全力を傾注するようでは困るが・・・ • 公定価格の欠点を補完する必須の機能 • 差益を無くすなら、それに替わる「競争の場」が必要である

16. 営利企業の参入に反対する理由 • 営利企業の参入により医療費が高騰する • 医療の原資は「公租公担」 • 特定の個人に還元して良いのか？ • 医療は生活に「必須のインフラ」である • 上下水道は公営 • 電気・ガスは株式会社

17. 営利と非営利 • 「非営利」の意味は果実の「非分配」 • 営利企業は、株主（出資者）のもの • 営利企業は株主に果実を配当するために利益を追求する • 非営利事業の基本条件は、出資者に経済的な果実を分配しないことであって、利益や内部留保を生まないことではない

18. フリーアクセスの堅持 裁量権の確保と自律 医療保険制度の改革 • 質をどうやって担保するか？ • コストの高騰をいかに抑えるか？ 情報公開とディスカッション

19. 医療機関の自己改革 • キーワードは「説明責任」と「透明性」 • 医療情報の公開　「医療情報保護法」 • レセプト・カルテの公開 • クリニカルパス • 医療機関の役割分担・密接な連携 • 経営情報の公開 • 社会福祉法人：財務諸表開示の義務付け

20. 誰に向かって広報するか 改革をすすめるために • 誰をサポーターにするか？ • 「情報の収集・分析」サポーター • 「広報（情報発信）」サポーター

21. 医療の世界のお金の流れ • 国民皆保険である • ほとんどの医療費は、医療保険にまつわるものである • 保険料はほとんど税金と同じ • 公租公担 • 負担の構造 • 保険料・公費・自己負担

22. 国民 コントローラー （行政・議会） 患者 保険者 誰が誰にお金を払うのか？ 医療機関

23. 誰が医療費を負担しているか？

24. 誰を味方にすればよいか？ • お金の流れから見ると「一般国民」 • 「患者」は「一般国民の代表」であるが、マイナーな勢力に過ぎない。 • 医療機関にとっては、患者がすべて • 病院へ来ない人にどうアピールするか？ • 医療機関・医師個人のレベルでは限界がある • 医師会の最も重要な任務ではないか？

25. 医療制度をよりよくするために • 基本になるのは現場の実態 • 実態に即してこそ、説得力が生まれる • 医療機関に縁のない人たちにどう訴えるかが課題 説明責任と透明性が要求されている

26. 守るべきものは「自由」 • フリー・アクセス • 医療機関選択の自由 • 患者の自己責任・医療機関の情報提供 • プロフェッショナル・フリーダム（裁量権） • 自由・権利は与えられるものではない • 結果責任だけでよいのか？ • 説明責任・透明性

27. ２０５円ルール • 院内処方　撤廃反対が多数 • 院外処方　撤廃賛成が多数 • 反対論の根拠 • １４日投与しか認められていない薬でも３０日投与が可能であり、受診回数を抑制できる • ジェネリック品を使う動機づけが失われる • 保険適用の有無にかかわらず安い薬を使える • 多剤投与の場合の患者の自己負担軽減

28. ORCAの発端 • 医師会と末端の医療機関を結ぶネットワークの構築（医師会の情報化） • 文書管理システム • 保険証のＩＣカード化・デビッドカードによる支払いなど、環境の変化への対応 • 変化に対応した医療機関の事務の効率化 • 各種の調査作業の効率化 • 政策提言の土台作り

29. 数字・文字の羅列 １通のメール データ・アーカイブ メーリングリスト データ（data） 情報（information） 知識（intelligence）

30. 情報化検索できる形でデータの集合体を蓄積する情報化検索できる形でデータの集合体を蓄積する

31. 情報化とＩＴ化 • オンライン・ネットワークで使ってこそコンピュータの能力が生きる • 銀行のオンラインシステム • 「みどりの窓口」 • コンビニエンス・ストア • 情報化＝ネットワーク化 • インターネット • 携帯電話

32. ネットワークの意義 • 「インターネットはどこでもドア」 • 「時間」と「距離」を意識しないで情報にアクセスできる • 「公開」「収集」「共有」のツール • 情報化＝ネットワーク化 • ＩＴとはネットワークを実現する「手段」 • ネットワークを構成するのは「人間」

33. 従来の枠には収まらなくなってきている なぜネットワークが必要か？ • 様々な施策は、自治体が単位となる • 患者が動く範囲≠自治体 • 二次医療圏？ 病診連携・診診連携の広域化

34. 医師側情報 個人情報 地域医療情報ネットワーク • 「医療情報」の定義が課題 • 医療情報とは何か？ • 医師会・医療機関の情報公開 • 医師・医療機関の情報交換 • 患者情報の流通 • 健診情報 • データによって要求されるセキュリティレベルが違う

35. ネットワーク化を具体的に進めるには？

36. ネットワークの端末としてレセコンを使えば、ネットワーク化に伴う、新たなコスト負担を軽減することが出来るネットワークの端末としてレセコンを使えば、ネットワーク化に伴う、新たなコスト負担を軽減することが出来る ネットワーク化に必要な物 • ネットワークのための回線 • 常時接続・（高速） • 情報を受け取るための端末

37. ベンダの乗り換えが事実上不可能 従来のレセコンの問題点 • アプリもデータもベンダの管理下にある • 異機種間でデータを交換できない • 選択の自由なければ競争無し • 納得のいくサービスを受けられない • ベンダ側にも顧客が満足するサービスを提供する気が起きない？

38. 欠陥を是正するには？ • データの互換性を維持する • ベンダを自由に乗り換えが出来るようにする • ベンダ任せにしない • Ｗｉｎｄｏｗｓがなぜ普及したのか？ • 消費者にメーカーを選択する自由がある • ハードウェア・メーカーが違っても基本ソフトやアプリケーションは共通

39. データの互換性を実現し維持する具体策 • オープン・スタンダード（標準規格）の採用 • レセ電算マスタ • 病名コード（ICD10 etc） • 医療情報交換規約（MML・CLAIMJ-MIX） • オープン・ソース方式 • 究極の情報公開 • 長期間の保存・活用に対応

40. 情報社会における消費者の自由と安全性を強化し競争を活性化する法案情報社会における消費者の自由と安全性を強化し競争を活性化する法案 • 情報社会における公共情報への自由なアクセスを保障する • 公共な資料の永続性を保障する • 国家の安全保障をはかる • 消費者の保護をはかる • インタオペラビリティの維持 http://www.osslaw.org/motifs_jp.html

41. 法案の主旨（１） • 公共情報へのアクセスを保障するためには、情報のコーディングが単一のプロバイダに拘束されてはならない。 • 情報のコーディング全体が公開されるオープンスタンダードは、情報への自由なアクセスを保障し、必要であれば互換性がある自由なソフトウェアの発達も可能にする。

42. 法案の主旨（２） • 公共な資料の永続性を保証するためには、ソフトウェアの利用とメンテナンスはソフト会社の意向に依存してはならない。 • オープンスタンダードの採用とソースコードを入手できることは、公正な競争を保障し、インタオペラビリティの原理に適合する。

43. 法案の主旨（３） • 国家の安全を保障するには、遠隔操作や第三者への情報伝達を防ぐシステムが必要である。世界中の専門家が検討できるためにも、ソースコードが入手可能なシステムが望ましい。 • プライバシーと個人の自由を侵害する「スパイ・シークエンス」を含まないソフトウェアを作ることが出来る。

44. 法案の主旨（４） • 公正な競争のためには、インタオペラビリティの原理を強化する必要がある。 • 知的所有権や工業所有権が、独創的で互換性のあるソフトウェアの開発を阻止する要素になってはいけない。 http://www.osslaw.org/motifs_jp.html

45. オープン・ソースオープン・スタンダード • データの互換性を維持する • ユーザー側に選択の自由を確保する • Interoperabilityの確保 • 使いやすいように自由に改造できる • 信頼性の高いシステムを選択できる • 競争原理の確保 • 「非営利」の堅持 • 特定の個人・法人を利することを避ける • 特定の企業に依存することを避ける

46. 従来のレセコンのコスト構成 メインテナンス ネットワーク利用に依るメインテナンスコストの圧縮 ソフトウェア メインテナンス オープンソースにより事実上無料 ハードウェア ハードウェア 汎用ハードウェアの使用による圧縮 ORCAのコスト圧縮戦略

47. 日医総研 データ センター 進化につながる 情報の フィードバック 最新のソフトウェアの提供 ネットワーク メインテナンス 協力業者 医療機関 契約 保守作業 ORCA（仮称）によるネットワークの利用

48. センターの役割 • プログラム・マスタ類の保守・更新 • センターから最新のモジュールをダウンロード • バックアップ • 災害などに備えたバックアップ機能 • 医療機関側で暗号化・センター側は保管のみ • あくまでもオプション • 各種情報の収集と発信

49. キャッチフレーズ • やすい • 安い・使いやすい・安心して導入できる • 休める • 信頼出来るドクターに患者を任せることができる • 診診連携、病診連携の推進 • もの申す（たたかう） • 意見を言うためには、情報が必要 • 情報には旬がある

50. 行政などに対峙できない なぜ医師会独自でやるのか？ • 国（行政）や企業のお金を使うメリットとデメリットを考えた結果 • メリットは大きい • デメリットは、はるかに大きい • スポンサーの意志を無視できなくなる • 利権化し、国民の非難を招くおそれ