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養護老人ホームの現状と課題 ~制度改正後の経営状況とサービス内容の変化~. 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 施設推進委員会(養護担当) 幹事 阿比留志郎. (まず最初に・・・) 制度改正で何が変わったのか?. 制度改正 -老人福祉法・介護保険法-. 【 養護 】 H18 ●入所措置基準 環境上の理由及び経済的理由 ●人員・設備・運営基準 生活相談員 30 : 1 支援員 15 : 1 居室面積 10.65㎡ 居室定員 原則 1 人 処遇計画・サービス計画の義務化 ●措置費体系 一般事務費基準額
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養護老人ホームの現状と課題~制度改正後の経営状況とサービス内容の変化~養護老人ホームの現状と課題~制度改正後の経営状況とサービス内容の変化~ 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 施設推進委員会(養護担当) 幹事 阿比留志郎
(まず最初に・・・) 制度改正で何が変わったのか?
制度改正 -老人福祉法・介護保険法- 【養護】H18 ●入所措置基準 環境上の理由及び経済的理由 ●人員・設備・運営基準 生活相談員 30:1 支援員 15:1 居室面積 10.65㎡ 居室定員 原則1人 処遇計画・サービス計画の義務化 ●措置費体系 一般事務費基準額 加算 (障害者等加算、夜勤体制加算、介護サービス利用者負担加算 等) ●介護保険給付の適用 措置施設類型 ; 措置+介護保険サービス 契約施設類型 ; 指定特定施設(内包型・外部サービス利用型)
将来像研究会から3年・・・ H16.10.28 養護老人ホーム及び軽費老人ホームの将来像研究会 報告書 【養護】 1) 介護ニーズへの対応 ●外部介護サービス利用型「措置施設」への転換 ○ ●介護サービス内包型「契約施設」への転換 ●外部・内包併設型への転換 2) 施設機能の強化 ●自立支援のためのソーシャルワーク機能 △ ●退所支援・地域支援のための地域福祉の拠点機能 △ 【軽費】 1) A型・B型・ケアハウスの3類型の一元化(ケアハウス) ○ 2) 人的物的資源の地域(福祉)での活用 △
養護老人ホームの将来像の“本質” ●入所者の状態像の変化(介護ニーズの高まり) を前提に ●養護老人ホームの役割(意義) を果たしつつ ●介護保険(サービス)を適切に取り入れていく
次に・・・ 養護老人ホーム施設整備の現状と課題
都道府県事業の場合(社会福祉法人立施設の特養(30床以上)等の場合) 都道府県事業の場合(社会福祉法人立施設の特養(30床以上)等の場合) (今回の補正予算の財源は、養護老人ホームも対象である。 H21.6.15付 総財調第3 2 号 「施設整備事業(一般財源化分)に係る地方債措置について(通知)」参照) 平成16年度迄 国庫補助負担金 【実事業費に対する割合】 国1/2 (国庫補助金) 都道府県1/4 (補助金交付要綱によりルール化) 社会福祉法人1/4 ↓ 平成17年 4月 施設整備費補助金の交付金化 (都道府県交付金)【基準単価が定められた】 都道府県1/4(任意) (社会福祉施設整備事業債) 【充当率75%】 国1/2 (地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金) 社会福祉法人1/4 国庫補助負担金、税源移譲、地方交付税 ↓ 平成18年 4月 都道府県交付金の一般財源化(都道府県等)←三位一体改革による見直し 都道府県1/4(任意) (社会福祉施設整備事業債) 【充当率75%】 都道府県 特別の地方債1/2 (充当率100%、交付税措置100%) 社会福祉法人1/4 ※廃止後も事業を円滑に継続実施できるよう、従前の国庫補助負担金相当額について地方公共団体が「特別の 地方債」を発行して事業を実施できるようになった。 経済対策により創設される交付金の充当が可能 ※「特別の地方債」の元利償還金については、その全額を基準財政需要額に算入することにより自治体に配分する普通交付税の算定に反映されることとなっている。 「国庫補助負担金≒特別の地方債」 ※今回単価が特に示されなかった理由 昨年度までの単価を改定すれば国庫補助金負担金を事実上継続させているようで一般財源化した趣旨にそぐわないこと。又適正な単価設定のため実勢単価の把握は現実に困難なため。→実事業費に対応 現行の措置→225万円×定員数(床数)を上限 今回の見直し=各都道府県の実事業費に応じた措置 ※実事業費(対象経費(ユニット型の場合ユニット以外の部分に係るものに限る)の実支出額)の1/2まで「特別の地方債」を充当可能!
■特定財源(H17年度以前) 【定員】50床+短期入所用居室1床 【居室】10.9㎡~11.2㎡(全室個室) /10.65㎡ 【併設】 訪問介護・通所介護 【償還財源】 平均4,645千円 養護(民 改 費) :1,000千円(21.5%) 特定(介護報酬):1,200千円(25.8%) 特養(介護報酬):2,445千円(52.7%) +利息分(1.65%)
■一般財源化後の負担割合 ※実事業費に対する割合になっていない■一般財源化後の負担割合 ※実事業費に対する割合になっていない 【定員】50床+短期入所用居室1床 【居室】10.9㎡~11.2㎡(全室個室) /10.65㎡ 【併設】 訪問介護・通所介護 【償還財源】 平均14,000千円 養護(民 改 費) :1,000千円(7.1%) 特定(介護報酬):1,200千円(8.6%) 特養(介護報酬):11,800千円(84.3%) +利息分(1.65%)
建替えにより新たに発生する経費 (共通) ■借入金償還金 + ■ランニングコスト 年間2,4000千円 → 月間200千円 → 入所者1人・月当たり 4千円の負担増
まとめ ■建て替え費用の捻出について ■借入金償還財源の捻出について ■個室化に伴うランニングコストについて 年間2,400千円 / 月当たり200千円 / 50人定員施設で月当たり4千円の負担増
【結論】 現在の補助体系で養護老人ホームが 施設整備を行うには他の福祉事業の剰余金を 充当しなければ困難な状況。
養護老人ホームの経営状況~H20養護老人ホーム実態調査より~養護老人ホームの経営状況~H20養護老人ホーム実態調査より~
1.調査の概要について ・調査対象 全老施協会員施設835施設 ・回収状況 400施設(回収率 47.9%) ・調査時期 平成20年8月5日から29日まで ・調査委託 株式会社三菱総合研究所
2.入所率について(入所率=平均入所者数/事業所の定員)2.入所率について(入所率=平均入所者数/事業所の定員) 全体平均では、H18、H19共に95%以上となっているが、 入所率90%未満の事業所が、 H18で、47事業所(11.75%) H19で、46事業所(11.50%) 全体の1割強の事業所が、低い入所率になっていることがわかる。
3.一般入所率について(平均一般入所者数/平均入所者数)3.一般入所率について(平均一般入所者数/平均入所者数) 4.特定契約率について(平均特定施設契約者数/平均入所者数)
5.利用者の実態について ・障害別割合(H19.4.1現在) ・利用者全体に占める割合 障害総数の約35%が、障害者等加算対象者となっている。 全入所者の30.9%が、精神疾患者である。
6.特定施設入居者生活介護事業所(予防型含む)6.特定施設入居者生活介護事業所(予防型含む) 限度額に対する報酬の割合(%)
7.収支分析について (特定施設) 【集計条件】 社会福祉法人のみ
【結論】 制度改正後、養護老人ホームは、介護サービ スが利用できるようになったが、措置費減額分 を介護保険収入で補わなければならず、いか に介護収入の増を図り経営の安定化を図るか? 措置でありながら経営的手腕が問われている。
養護老人ホームとはどういった施設なのか・・・養護老人ホームとはどういった施設なのか・・・
養護老人ホームの入所者像と制度改正前後での変化養護老人ホームの入所者像と制度改正前後での変化 ■入所要件 ■入所者像 ※経済的困窮者、無年金者であり、 + ①独居高齢者、ホームレス ②被虐待高齢者 ③要支援・要介護者 ④身体・精神・知的障害高齢者 ⑤社会に適応、順応できない高齢者 ⑥他法施設に入居できない高齢者 ⑦地域において生活が困難な高齢者
「老人福祉法」では・・・ (老人ホームへの入所等) 第11条の1 六十五歳以上の者であって、環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。)によ り居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は 当該市町村以外の者の設置する養護老人ホームに入所を委託すること。 (措置の受託義務) 第20条の2 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、第十一条の規定による入所の委託を 受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。 (養護老人ホーム) 第20条の4 養護老人ホームは、第11条第1項第1号の措置に係る者を入所させ、養護するとともに、その 者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うこと を目的とする施設とする。
養護老人ホームの入所要件は・・・ 「老人ホームへの入所措置等の指針について」第5(老人ホームの入所措置の基準) ア.健康状態 入院加療を要する病態でないこと。 イ.環境の状況(グレーゾーン) 家族や住居の状況など、現在の環境下では在宅での生活が困難であると認められるもの →環境上の理由と経済的理由のいずれにも該当する場合となっている。 環境上の理由 経済的理由 老人福祉法施行令第6条に規定する事項に該当すること 1.当該65歳以上の者の属する世帯が生活保護法による保護を受けていること。 2.当該65歳以上の者及びその者の生計を維持している者の前年の所得につきその所得が生じた年の翌年の4月1日の属する年度分の地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による市町村民税(特別区が同法第1条第2項の規定によって課する同法第5条第2項第1号に掲げる税を含む。以下同じ。)の同法第292条第1項第2号に掲げる所得割の額(当該額が確定していないときは、当該65歳以上の者及びその者の生計を維持している者の前々年の所得につきその所得が生じた年の翌年の4月1日の属する年度分の同法の規定による市町村民税の同号に掲げる所得割の額)がないこと。 3.災害その他の事情により当該65歳以上の者の属する世帯の生活の状態が困窮していると認められる事。 経済的理由が該当する者の内、環境上の理由が該当する者が入所条件となっている。
最近、精神病院入院患者の入所依頼が増えていませんか?最近、精神病院入院患者の入所依頼が増えていませんか?
「平成21年度高齢精神障害者の実態調査(概要)」(厚生労働省社会援護局)「平成21年度高齢精神障害者の実態調査(概要)」(厚生労働省社会援護局) 養護老人ホーム入所者中、精神科病院からの退院患者がいる施設の割合は、77.3% 精神科病院からの退院患者がいる施設における1施設当たり平均人数(人) この調査結果の裏付けとして、次のような事業がある。 平成15年度、厚生労働省社会援護局精神保健課より「精神障害者退院促進支援事業実施要綱」が発出され、精神科病院入院精神障害患者のうち、症状が安定し、受入条件が整えば退院可能な者に対し、退院促進と地域移行を推進していこうというモデル事業が執り行われたが、一定の成果が見られなかった。 その後、平成20年度から5か年計画で、精神障害者の退院促進と地域移行を推進していこうという「精神障害者地域移行支援特別対策事業」が行われている。 この中では、具体的目標値としては、平成19年度における退院可能な精神障害者数約4万9千人から、平成23年度の時点で約3万7千人減少させることとしており、地域体制整備コーディネーターを配置し、退院の促進、地域定着に必要な体制整備の総合的な調整役として、精神科病院や福祉施設に積極的に働きかけ、精神障害者の地域生活への移行を着実に推進することとされている。 結果、病院のソーシャルワーカーから自治体へ受入施設として養護老人ホームを活用したいとの申し出が増えている。 → 今後も精神疾患患者の割合が増える事が想定される。
課 題 整 理 ① 運営維持の問題 ・・・ 定員割れ(減収)への対応 ② 財源の問題 ・・・ 個室化、他サービス合築等への対応 ③ 将来像の問題 ・・・ 「団塊の世代」受け入れへの対応 ・ 高齢の長期入院患者(社会的入院) 社会性の喪失 ⇔ 集団生活への慣れ ⇒「環境上の問題」として養護老人ホームが・・・ ・ サービス体制(人員不足) 作業療法的なメニューが提供できない 精神疾患に対する力量が未熟である ⇒軽度の認知症は、進行させやすい ・ 病院との連携 ⇒ スムーズでない
措置:要援助者のために法上の施策を具体化する行政行為措置:要援助者のために法上の施策を具体化する行政行為 ■養護老人ホームは、 措置施設であるため入所の委託を受けたときは、正当な理由がない 限り、これを拒んではいけない。【老人福祉法第20条の2「措置の受託義務」】 ↓ 最近は、入所判定委員会で諮られる案件の大半が精神疾患を有する者であるという事業所が増えている。 養護老人ホームは、今後ますます処遇困難な入所者の受け皿となる可能性が高い。 ※地域の中で養護老人ホームがセーフティネットを支える拠点施設として位置づけられている証であり、制度改正後も措置制度施設として再構築された養護に課せられた使命でもある!
【疑問】 養護老人ホームは、処遇困難者の受入が可能か?【疑問】 養護老人ホームは、処遇困難者の受入が可能か? ■配置基準の問題 養護老人ホームが今後ますます精神疾患者等処遇困難者の受入施設としての役割を担うためには、配置基準並びに加算制度等の見直しが早急に求められる。
ソーシャルワークの充実は図れるか? 制度改正に伴い、養護老人ホームの生活相談員や支援員は、社会復帰の促進とソーシャルワーク機能の充実を図るため、援助技術の習得+ノーマライゼーション等の具現化が課せられるようになった。 そのため、各々の援助過程に携わる全職員が協働・連携し、個々の入所者についての情報を常に共有し、一貫した方針(処遇計画)の基、継続したサービスが安定的に提供されなければならない。 特別養護老人ホーム(50名定員の場合) 配置基準:計画作成担当者1人(100:1) 主な業務:介護計画の作成 養護老人ホーム(外部型特定) 配置基準:生活相談員1名(30:1)、計画作成担当者①名(100:1) 主な業務:処遇計画+介護計画の作成 ※外部型特定の指定を受けた場合、生活相談員を1減することができる。 ※特定計画作成担当者は、養護の主任生活相談員もしくは主任支援員と兼務さ せているケースが多い。【特定の介護報酬基本分は、介護職員の人件費分】 ※ソーシャルワーク機能の充実を図るためにも、生活相談員を1減しない場 合の 措置費の見直しが求められる。
措置実施機関である行政が他の施設を斡旋している問題措置実施機関である行政が他の施設を斡旋している問題 原因は、財源問題・・・ ↓ 予算の確保が困難な為、本来必要な事業が実施されない可能性がある。そのため、養護老人ホームにおいて、措置控え、加算等に対するローカルルール等の問題が生じている。
特定型から個別契約型へ移行する事業所が何故増えるのか?特定型から個別契約型へ移行する事業所が何故増えるのか?
養護老人ホームと特別養護老人ホームの違い ■養護老人ホーム 自治体 入所希望者 福祉事務所 等担当窓口 (調査) 市町村長 (決定) 養護老人ホーム 申込 措置委託 入所までの流れ 判定依頼 結果報告 入所判定委員会 ■特別養護老人ホーム 利用までの流れ 特別養護老人ホーム 入所判定委員会 申込 利用希望者 判定 結果報告 契約
■特定施設型から個別契約型に移行しなければならない理由■特定施設型から個別契約型に移行しなければならない理由 ①養護老人ホームは、措置施設(介護保険施設ではない) ②入所判定委員会は、自治体の中に設置される。 ③自治体担当者の理解不足(養護は、要介護者×?) ④自立した利用者が増えると⇒経営困難になる。 ↓ 新規入所者が、必ず要介護者とは限らず介護保険収入が安定しない。 要介護者が減れば、措置単価の高い個別契約型に移行せざるを得ない。 ↓ 措置費が高くなれば、より一層自治体による措置控えが懸念される 悪循環
なぜ養護老人ホーム職員には、処遇改善交付金は支給されないのかなぜ養護老人ホーム職員には、処遇改善交付金は支給されないのか 介護職員処遇改善交付金は養護の支援員は対象外 【国の言い分】 養護老人ホームは、措置費であり積算根拠は、国家公務員の人事院勧告によ り算定されているためというが・・・ 措置費には、 ・施設の建替財源となる減価償却費も含まれず、 ・個室化しても居住費や光熱水費の増額分の徴収もできず、 ・一般財源化に伴い、措置費改定も平成18年度以降実施されない ↓ 障害者施設には支給しても措置費は× このままでは、養護職員の人材確保は難しい
地方自治体の福祉施策に関する計画について 地域福祉計画 社会福祉法(第107条) 期間:5年 次世代育成対策に関すること 高齢者福祉に関すること 障害者福祉に関すること 行動計画 次世代育成支援対策推進法(第2章) 期間:5年 老人福祉計画 老人福祉法(第20条の8) 期間:3年(現在4期H21~H23) + 介護保険事業計画 介護保険法(第117条) 期間:3年 障害福祉計画 障害者自立支援法(第5章) 期間:3年 ■全国課長会議資料参考 「地域包括ケアの推進」(第5期 H24以降充実強化) 介護+医療+生活支援+住まいを一体化して提供 ■全国課長会議資料参考 (2)地域介護・福祉空間整備等交付金について イ(2)低所得高齢者の居住対策について 「養護老人ホームの整備の必要性」と参考資料で「養護・盲養護の目的等」掲載
地域包括ケアとは・・・ 介護+医療+福祉+住宅 を包括的継続的に提供 ①医療との連携強化 ②介護サービスの充実強化 ③見守り、配食、買物など多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など ④高齢期になっても住み続ける事が出来るバリアフリーの高齢者住宅の整備(国交省) 養護老人ホームの機能は・・・ 生活支援と住まいが一体化している。(外付けで介護と医療) ↓ 措置施設である養護は市町村にとって高負担な事業体であり、 今後、生活保護の住宅扶助+介護+生活支援(見守り含む) を活用する自治体が増える事が懸念される。
■一般財源化より前は・・・ 養護老人ホーム 通知 厚生労働省 基準省令等 国 施設整備 市町村 都道府県等 国 措置(運営)費 国 入所判定 市 ■今後の流れ(H23年度以降) 情報提供 調整 養護老人ホーム 通知 都道府県等 技術的助言 厚生労働省 基準省令等 県 総務省 地方債発行 自治財政局? 市町村 調整 施設整備 県 一般財源に組み込まれている 措置(運営)費 市 入所判定 市
■地方分権が進むと・・・・(ローカルルール?)■地方分権が進むと・・・・(ローカルルール?) 養護老人ホームにおいて、昨年国税局による調査があり、養護老人ホーム措置者の内、外部サービス利 用型特定施設入居者生活介護事業の契約者を除く自立者(特定と契約を締結していない入所者)の措置費に ついては、市町村からの請負業にあたり、その部分については収益事業に該当し課税申告の必要があるとの 見解が口頭により示されました。その中で、国税局担当官が示した根拠は以下の通りです。 【国税局が示した根拠】 ① 社会福祉法人の行う社会福祉事業であっても、その事業内容が収益事業に該当するか否かがポイントで あり、福祉事業すべてが非課税ではないので養護老人ホームが非課税に該当するかを検討した。 ② 養護老人ホームの収入は、措置費(事務費・事業費)と、特定施設の介護保険収入がある。 ③ 養護老人ホームは、老人福祉法第20条に規定される施設であり、入所に関しては市に申し込みを行い、 市が施設に委託して利用する施設である。 老人福祉法(措置の受託義務) 第20条 老人居宅生活支援事業を行う者並びに老人デイサービスセンター及び老人短期入所施設の設置者 は、第10条の4第1項の規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。 • 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、第十一条の規定による入所の委託を受けたとき は、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。 ④ 委託された入所者数により委託費用である措置費の額が違う。 ⑤ ②~④より養護老人ホームにおける、入所者の措置は市からの請負にあたり、法人税法施行令の収益事 業の請負業にあたり課税対象となる。 ⑥ ただし、介護保険事業である「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護事業」は、法人税法上の「医 療保健業」として取り扱われ、社会福祉法人が行う医療保健業は非課税と規定されているので、その契約 者である措置入所者についての措置費収入は非課税として取り扱うものである。 ⑦ ⑤並びに⑥から養護老人ホームは、収益事業の請負業にあたり課税対象となるが、その部分に非課税対 象となる介護保険サービスも含まれているため、収支を収益事業分と非収益事業分に区分し、収益事業分 について課税申告する必要がある。
これを受け、当該社会福祉法人では、厚生労働省に対し照会を行い下記の通り、養護老人ホームの措置費はこれを受け、当該社会福祉法人では、厚生労働省に対し照会を行い下記の通り、養護老人ホームの措置費は 法人税法上の「収益事業の請負業」にはあたらないとの回答を得ている。 記 養護老人ホーム措置費の法人税法上の取り扱いについて 1.養護老人ホームは、社会福祉法に規定する第1種社会福祉事業であり、社会福祉法が規定する公益事業 や収益事業には、当然ながら該当しない。 2.仮に法人税法の「収益事業」の「請負業」に該当するとした場合でも、次の①及び②から請負業にはあたら ない。 ① 法人税法施行令第5条(収益事業の範囲)の10号「請負業の対象外」に該当する。 法人税法施行令(収益事業の範囲) 第5条 法第2条第13号 (収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上 その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。 10.請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)のうち次に掲げるもの以外のもの イ 法令の規定に基づき国又は地方公共団体の事務処理を委託された法人の行うその委託に係るもので、そ の委託の対価がその事務処理のために必要な費用を超えないことが法令の規定により明らかなことその他の 財務省令で定める要件に該当するもの ② さらに、上記財務省令に定める要件として、法人税法施行規則第4条の3の第3号に該当する。 法人税施行規則(事務処理の委託を受ける業で収益事業に該当しないものの要件) 第4条の3 令第5条第1項第10号 イ(請負業)に規定する財務省令で定める要件は、次に掲げる要件とする • 3 その委託が法令の規定に従つて行なわれていること。
法令の規定とは・・ 老人福祉法(老人ホームへの入所等) 第11条 市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。 • 六十五歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。)により居宅にお いて養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以 外の者の設置する養護老人ホームに入所を委託すること。 上記から、養護露人ホームの措置費は法人税法上の「収益事業の請負業」にはあたらない。 【今後の取り組みとして】 今回は、厚生労働省の迅速な対応により難を逃れたが、養護老人ホームは、措置費の一般財源化以降、市町 村ごとの解釈により運営がなされ、それがローカルルール等諸問題の原因となっている。 今後も担当官の法解釈により様々な問題が発生する事が想定されることから、全国老施協として各都道府県 養護部会との連携強化を図れる体制作りを早急に構築することが求められる。
【養護老人ホームの再構築に向けて】 国は、平成18年度の基準省令等の改正で養護の改革は一応のメドがついたと考えている。制度改正から3年が経過し、措置施設でありながら入所措置基準等措置権者である市町村によって考え方にばらつきがある。 国が示した基準が地方に浸透していない。守られていない。 何故? 国:一般財源となった今、国としては、基準を示しているのだから、後は地方が決めることだという。 つまり、契約施設ではなく措置施設である養護老人ホームの諸経費を一般財源とした事に原因がある。 この事を国に質すと、「養護は一般財源にすべきではなかった」と言うが、一度なったものを元に戻すのは無理であると言う。→今までの国との協議はここで終わってしまうのである。 本当に施策が間違っていたのであれば、質してもらうべきである。 「養護復権」に向け、我々がやるべきことは・・・ セーフティネットとしての養護の必要性を働きかけると同時に、財源問題を含め貧困者対策を地方に丸投げした国に対し、貧困高齢者対策は「国の責任で取り組むよう」働きかけを行っていくこと。 ↓ 中村博彦参議院議員に国政の場で 問題提起していただく必要がある。
【4つの行動目標】 1.国の責任において、入所者ニーズに基づいた措置基盤の再構築を図ること。 ・国は措置水準を確保するとともに、ニーズに十分対応できる財源的基盤の整 備について、責任をもつこと。 ・高齢者の生活、障害等の状況に対応した支援として、(盲)養護老人ホーム 入所措置制度の実施体制を国の責任において確保すること。 2.施設整備にかかる費用は、国として責任を持った方策を示すこと。 ・大規模改修・改築・新築等の整備にかかる費用は一般財源ではなく、国とし て直接支援すること。 3.養護老人ホーム等福祉従事者にかかわる、職員処遇改善を図ること。 ・国は、国民のセーフティネットの担い手である社会福祉事業従事者の賃金引 き上げ等の処遇改善、資質向上に努めること。 4.地方分権により生じた、国と地方自治体との責任の整合性を示すこと。 ・国は、地方分権により生じた相談窓口の煩雑化を正し、地域包括支援セン ターによる高齢者相談支援機能を強化するなど支援体制を強化すること。