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「発明の相当の対価」のアメリカ式解決方法. 『 利益持率 』 Partnership への役務提供の税務上の取扱い(@米国). Profits Interest. Service Rendered. 2008.06.23 rev.7 齋藤旬. 参考; http://www.1065accountant.com/basis.htm http://rubinontax.blogspot.com/2006/03/new-rules-for-partnership-and-llc.html
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「発明の相当の対価」のアメリカ式解決方法 『利益持率』Partnershipへの役務提供の税務上の取扱い(@米国) Profits Interest Service Rendered 2008.06.23rev.7 齋藤旬 参考;http://www.1065accountant.com/basis.htmhttp://rubinontax.blogspot.com/2006/03/new-rules-for-partnership-and-llc.html http://d2d.ali-aba.org/_files/thumbs/rtf/06SiskePartnershipsVPC1101_thumb.pdf http://www.goodwinprocter.com/~/media/04321172F16A461F8AFA5F011A765108.ashx
問題の所在;Start-up時の無形財への課税 • 従来のCorporateによるStart-upでは、役務提供者の力量が大きければ大きいほど → 課税評価額が高くなり、 → Start-up時の課税額が大きくなる。 例); 知財の譲渡益課税
(米国歳入規則 93-27) 「何が役務対価か;資本持率? 利益持率?」によって役務提供は2種類に分類される。 • 資本持率;Capital Interest資本持率とは、Partnership資産の総金額に対する持分(Share)。提供される役務の金額は、「この方法で役務提供する者がPartnership資産上に新たに獲得する持分の金額」に等しいと見なされる。 →Corporateにおける「ストック・オプション報酬」に相当する。 • 利益持率;Profits Interest利益持率とは、 Partnershipの将来収益に対する持率(Interest)。一般的には、Partnershipが利益を生じ得なかった場合、この方法で役務提供する者は何も受け取ることはしない。 ・資本持率の場合は、役務契約時に課税される。・利益持率の場合は原則、役務契約時には課税されない。
(米国歳入規則 93-27) 資本持率の場合は、役務契約時に課税される。利益持率の場合は原則、役務契約時には課税されない。 • 役務が、Partnershipの資本持率を対価として提供された場合、該役務の金額(前頁参照)は該役務提供者の課税所得に組みこまれる。この金額は、該Partnershipの税務損金として所得控除される、つまり既Partner達にとってはCapital Lossとして処理されるし、同時に、該役務提供者のBasisとなる。つまり、役務契約時に該役務提供者はPartnerとなる。 • 役務が、利益持率を対価として提供された場合、その金額は、該役務提供者の課税所得に、原則的には組みこむ必要はない。勿論、算定する必要もない。
(米国歳入規則 93-27) 利益持率であっても、課税される場合もある。 • 該利益持率が、本質的に確かで予測可能な所得源泉に関連している場合。例えば、良質な債券や良質なネットリース。 (ネットリース;賃借者が諸経費を負担する賃貸借契約) • 該役務提供者が、Partnershipから受けた利益持率の権利を権利受領から2年以内に処分する場合。 • 該利益持率が、IRC§7704(b)に定めるPTP(publicly traded partnership)であるLimited Partnershipの持率(Interest)である場合。 • 該Partnershipが該役務提供者を、Partnerとして、つまり「持分を持つ者」として扱っている場合。 役務の対価金額を決定可能、ないし、決めなければならないケースでは、課税免除とならない。
Revenue Procedure 歳入規則93-27は不完全「利益持率を選択した役務提供者の中途離職」問題 • 利益持率をもらった個人が、Vestingの前に雇用を取りやめた場合どうなるのか?利益持率のVestingは出来るのか? • 上記のような個人に、Vesting可能であるとしたら、それ以前に未Vestingであった利益へ既に他のPartner達の所得税として課されてしまっている税の蓄積は該Vestingに伴って再計算されるか? Vesting; 当該役務提供が為され、提供役務に係るPartnership収益の金額が確定し、 利益持率の権利行使、すなわち、持率分の金額の該役務提供者への支払い が行われること。 一般にも広く使われ、例えば「年金、殊に確定拠出型年金の支給」もVestingと呼ぶことがある。
利益持率をもらった個人が、権利行使(Vesting)の前に雇用を取りやめた場合どうなるのか?税の再計算はあるのか? そこで2005年、IRSはIRC§83(b)を設けた。 Internal Revenue Code IRC §83(b)の概要; • 「利益喪失の相当リスク」(註)を、「該役務提供者が辞めることにより、利益喪失されるリスク」と定義する。 • 「利益喪失の相当リスク」に係る利益持率を受け取るに際しては、つまり利益持率を対価とする役務提供の契約を結ぶに際しては、該利益持率受取者は、「IRC§83(b)の選択」をするかどうか決定しなければならない。 • 「IRC§83(b)の選択」とは; 「利益喪失の相当リスク」の影響下にある利益であって、歳入規則93-27によれば直ちには課税されないところの役務の対価金額を、適正市場価格を用いて直ちに評価し課税所得に組み入れるという選択。 • 選択されると→ 適正市場価格で役務対価金額を見積もられ、直ちに課税される。また、該利益持率が依然として「利益喪失の相当リスク」の影響下にあるとしても、該役務提供者はその後は税務上において“Partner”であるとして扱われる。 • 選択されないと→ 該利益持率受取者は、将来において該「利益喪失の相当リスク」が終了し、権利行使が為され、該Partnershipから該役務提供者へ実際の分配として通常所得が配賦されるまで、該利益持率に関し課税されない。 註) “A substantial risk of forfeiture”を「利益喪失の相当リスク」と和訳した。
「IRC§83(b)の選択」が為された場合の2種類の「役務対価評価方法」「IRC§83(b)の選択」が為された場合の2種類の「役務対価評価方法」 • 清算アプローチ:利益持率の金額は、該Partnershipが直ちに清算されたとした場合に該役務提供者が受け取るであろう財の金額---即ち典型的には“ゼロ”---として評価される。つまり結局、 役務提供契約者は契約時の課税を免れる。従って通常は多くの場合「IRC§83(b)の選択」が為され、清算アプローチが選択される。つまり6頁④にあるように、役務提供者はPartnerとなる。Partnerの脱退は通常は全員の合意を必要とし、ほとんど起こらない。従って、5頁で問題とした「利益持率を選択した役務提供者の中途離職」は事実上起こらなくなった。 • 単純適正市場価格アプローチ:清算アプローチが採用されない場合、より伝統的な「適正市場価格アプローチ」がとられる。
青色発光ダイオード特許の中村修二裁判、光ディスク・ピックアップ特許の米澤成二裁判の様な「発明の相当の対価金額」を争う裁判は米国では起こらない?青色発光ダイオード特許の中村修二裁判、光ディスク・ピックアップ特許の米澤成二裁判の様な「発明の相当の対価金額」を争う裁判は米国では起こらない? • 輸出管理法と同じく、米国の「Partnershipへの役務提供関連法」においては、役務(Service)には特許などの知財も含まれる。 • 米国の科学技術発明者達は、自分の発明した特許の“相当の対価“を、役務提供契約時に”資本持率”ないし“利益持率”として決定する。 • 重要なのは、発明者自らが実際の役務の提供前に、即ち事前に自らの交渉力によって、相当の対価を金額そのものでなく、持率でもって決定すること。 • 日本のような、「相当の対価金額」そのものを、該発明の関連事業が終了した後、即ち事後に争う裁判や、発明者の雇用主である株式会社が特許法35条(註)で取り決めたルールを用いて、事後に「相当の対価金額」を決めるような事は、米国では起こらないのだろう。 註)日本の特許法35条の趣旨は、「職務発明についての契約を労使間で事前に結ぶ」であるが、そもそも 米国のような「利益持率」概念を導入しなければ、発明の相当対価問題は解決しないと齋藤は考えている。
参考 R&D小会社の収益化 有利な点を赤字で強調 または 大きな節税効果 または 小さな節税効果 利益持率とストックオプションの違いは三つ。上記の「税の観点」と「ストックオプションでは、IPOないしBuyoutしないと研究者に利益が無い。」の二点に加え、「元手が要る か要らないか」がある。ストックオプションでは、オプション価格で株を購入するための元手となる資金が研究者に必要だが、利益持率ではその様な資金は必要ない。