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5 ・異文化 をみる視野

5 ・異文化 をみる視野. 2011.10.26.  帝京・文化人類学 Ⅱ. 異文化をみる目. 自分たちの基準に照らして、猫食を「ヘンだな」と思ってしまうこと、あるいは裸の人々の生活を「遅れているな」と思ってしまうことは、ある意味「自然」で「常識的」な反応 ただ、文化人類学的には、そうした「常識」的な見方を再検討したい だからといって「実は自分たちがヘンなのだ」「自分たちも別の意味で劣っているのだ」と単純に正誤や優劣をひっくり返すのでは、 「正誤・優劣」という枠組み自体から抜け出せたわけではない 点に注意. 視点と次元. 0 次元 …… 点 1 次元 …… 直線(長さ)

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5 ・異文化 をみる視野

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Presentation Transcript


  1. 5・異文化をみる視野 2011.10.26. 帝京・文化人類学Ⅱ

  2. 5・異文化をみる視野 異文化をみる目 • 自分たちの基準に照らして、猫食を「ヘンだな」と思ってしまうこと、あるいは裸の人々の生活を「遅れているな」と思ってしまうことは、ある意味「自然」で「常識的」な反応 • ただ、文化人類学的には、そうした「常識」的な見方を再検討したい • だからといって「実は自分たちがヘンなのだ」「自分たちも別の意味で劣っているのだ」と単純に正誤や優劣をひっくり返すのでは、「正誤・優劣」という枠組み自体から抜け出せたわけではない点に注意

  3. 5・異文化をみる視野 視点と次元 • 0次元……点 • 1次元……直線(長さ) • 2次元……平面(縦と横) • 3次元……立体(縦・横・高さ) • 視点は0次元であり、視線は1次元となる • 視野は2次元・3次元の広がりをもつ • わたしたちはどのように「視野を広げる」ことができるのだろうか?

  4. C B A 乏 豊 5・異文化をみる視野 上下関係を生み出すもの(1) • 文化について、上とか下とか(不本意ながらも)考えてしまうのは、単一の基準で(たとえばモノが豊かかそうでないか)相互を位置づけようとしてしまうから。

  5. 5・異文化をみる視野 1次元のみかた • ある1つの基準(絶対的な基準)を設けて(モノの豊かさなど)世界を眺めると、それは必然的に「上下関係」「先後関係」になってしまう……1次元のみかたの特徴 • 「西洋に追いつき、追い越せ」「先進国と発展途上国」といったスローガンや枠組みは、1次元のもののみかたに拠っている • 「進化論」的な文化のみかた • 裸で暮らしているひとびとは「文化が遅れている」? • 先進国の援助で「遅れた地域のくらしを良くしてやる」? • 「優劣」ではない文化のみかたはできないだろうか?

  6. 適合 C B A 不適合 乏 豊 5・異文化をみる視野 上下関係を生み出すもの(2) • もし基準を2つとれば、単純な上下関係ではなくなる • たとえば、ものの豊かさ+自然への適合の2つの基準をとろうとしてみる

  7. 5・異文化をみる視野 2次元のみかた • 2つ、3つと、さまざまな基準からみていけば、「上下」「優劣」とは異なる視点から、互いの文化をみつめることができる……2次元のみかたの特徴 • さまざまな基準からみていくには、ある文化を相対的に(総体的・全体的に)とらえようとする必要がある • 3つ基準をとれば3次元、10個とれば10次元と、どんどん視野は広がっていくだろうか?……答えは、否。 • 基準を増やしていってもそれだけでは、ちょうど同心円の中心にいる自分からの遠近でしか、他者をみることはできない

  8. 5・異文化をみる視野 視点の移動 • 基準を増やしていってもそれだけでは、ちょうど同心円の中心にいる自分からの遠近でしか、他者をみることはできない • 評価の基準は、まず最初には自文化のそれになってしまう……自文化中心主義・自文化絶対主義 • 「3次元のみかた」のためには、自分を中心とする同心円(を含む平面)から離れて視点を移動してやり、別の角度・高さから、その平面を見直してやる必要がある……自文化の相対化・文化相対主義

  9. 5・異文化をみる視野 ヘルダーの「文化相対主義」 • ヘルダー…Johann Gottfried Herder[1744-1803, ドイツの文学者・哲学者。スピノザ・ライプニッツの影響を受け汎神論的世界観を説き、人間を自然の頂点とし、民族の詩と言語の歴史における重要性を説いた。著「人類史哲学の理念」「言語の起源」など。] • 「あらゆる文化共同体に、それぞれ固有で独自の価値を認めるべきだ」と主張 • フランスの普遍主義(彼によれば表面的で画一的)に対するドイツ文化からの異議申し立て=自分たちが他者とは違った存在でいられる権利・差異に対する権利を、自らの権利として要求すること……自らの権利の主張で、他者の権利を認めるのではない点に注意

  10. 5・異文化をみる視野 ボアズの文化相対主義 • ボアズ…Franz Boas[1858-1942, 文化相対主義を唱えた人類学者、黒人文化運動へコミットしたリベラル知識人、北西海岸でのネイティブ・アメリカンの言語・フォークロアの調査者、そして多くの優れた弟子を育てたコロンビア大学教授] • 西洋中心主義的普遍主義である進化主義(西洋文化に対する全ての差異を劣等性(錯誤と不足)へ還元する)への批判として、文化相対主義を主張 • 差異に対する権利を、自らの権利としてではなく、他者の権利として要求→文化多元主義(一国民国家内の複数の文化集団が、その差異を保持しつつ共存することを認めようとする)

  11. 5・異文化をみる視野 ヘルダーとボアズの違いと罠 • 「(文化の)差異に対する権利」を、 • 自己のものとして主張するか(ヘルダー) • 他者のものとして主張するか(ボアズ) • 前者が陥りやすい罠はわかりやすい • 果てしない自己主張と、そこから導かれる他者否定 • では後者が陥る罠はなんだろうか? • 「わかったつもり」になること

  12. 5・異文化をみる視野 ボアズ的文化相対主義の罠 • 他者の権利として「差異に対する権利」を認める • 具体的には、自分のもののみかたと基準を、ただ相手に押しつける自文化中心的な他者理解をやめ、自分のみかたと基準を「相対化」することにチャレンジする • それはなんのために? • 本質的には他者理解の手段であって、自文化の相対化のあとには、相手との対話が必要とされている(理解と対話の出発点) • しかしながら、しばしば「わかったつもり」の生半可な文化相対主義によって、理解の停止と対話の断念が正当化されてしまう結果となる

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