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「出会い」と「発見」の学習 探究の学び、真正の学びをつくる. 村瀬公胤 麻布 教育 研究所. 学びの共同体の基礎理論として. モノとの対話、他者との対話、自己との対話 モノを発見し、他者を発見し、自己を発見する =「出会い」や「発見」としての学習 cf. 低学力とは、「出会い」と「発見」が豊かでない日常生活・学校生活の結果でもある 学校空間に「出会い」や「発見」を創造する挑戦を表す理念=「真正の学び」「探究と表現の学び」. 真正の学びとは. 真正 Authentic: 正統派、まっとう、本物 真正の学び ほんものの学び(まがいものでない学び)
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「出会い」と「発見」の学習探究の学び、真正の学びをつくる「出会い」と「発見」の学習探究の学び、真正の学びをつくる 村瀬公胤 麻布教育研究所
学びの共同体の基礎理論として • モノとの対話、他者との対話、自己との対話 • モノを発見し、他者を発見し、自己を発見する =「出会い」や「発見」としての学習 • cf. 低学力とは、「出会い」と「発見」が豊かでない日常生活・学校生活の結果でもある • 学校空間に「出会い」や「発見」を創造する挑戦を表す理念=「真正の学び」「探究と表現の学び」
真正の学びとは • 真正 • Authentic: 正統派、まっとう、本物 • 真正の学び • ほんものの学び(まがいものでない学び) • 学問(自然科学・社会科学・人文科学・諸芸)に根ざした学び • 日常の生活世界が変わって見えるようになる、また社会を担い、変革するために必要なことが学べる学び
真正の学びではないもの • 「教科書を終わらせる・終わらない」 • 教科書が終わったら、何が待っているのか。 • 「終わらせる」とは、教科書のそのページを開いた、そのページに書いてあることをノートに写した以上の何かを意味しているのか。 • 「授業を流す」 • 授業は流すものなのか。 • 流すとは、しゃべる側の論理でしかないのでは。 • つまるところ、学習の成果、学習を修めたあとの子どもたちのイメージが貧しい
評価(テスト)再考 • 大学生の質問 • 「授業を聞いていても、テストに出るところがイメージできないので、テストについてもう少し説明してほしいです。」
テストの作り方 • Aができるかどうかをテストしたいとする • 絶対評価(pass/fail) と仮定して • 良いテストの条件は、 • Aができる人は必ずpassすること • Aができるのにfailしちゃうことはないこと • Aができない人は必ずfailすること • Aができないのにpassしちゃうことはないこと
テスト問題を考える:クロール編 • 「クロールについて次の空欄を埋めよ」 水面に( )姿勢で、( )で交互に水をかき、( )を上下に動かし、最も( )く泳げるとされる泳法
テスト問題を考える:クロール編 • 「クロールについて次の空欄を埋めよ」水面に( うつぶせの )姿勢で、( 左右の腕 )で交互に水をかき、( 足 )を上下に動かし、最も( 速 )く泳げるとされる泳法 • これが全部埋められたらクロールが泳げる人なのだろうか→そんなわけはない
テスト問題を考える:江戸幕府編 • 「江戸時代の三大改革の名を挙げよ」( )の改革( )の改革( )の改革
テスト問題を考える:江戸幕府編 • 「江戸時代の三大改革の名を挙げよ」( 享保 )の改革( 寛政 )の改革( 天保 )の改革 • この問題に答えられたら、江戸幕府の経済政策を理解した証拠と言えるだろうか。
テスト問題を考える:江戸幕府編2 • 「江戸時代の享保の改革、寛政の改革、天保の改革は、田沼意次の改革と区別されて三大改革と呼ばれている。この3つの改革の共通点は何か、述べよ」
テスト問題を考える:江戸幕府編3 • 「江戸時代の享保の改革、寛政の改革、天保の改革は、田沼意次の改革と区別されて三大改革と呼ばれている。この3つの改革の共通点は何か、述べよ」 • 「1801年、あなたが幕府の老中だったら、どのような改革をするか述べよ」
“真正の評価” • ほんとうの(authentic)評価 • 社会生活で発揮される能力として、 • 基準(criteria)に達しているかどうか、 • “到達度評価” • 実際的な活動の中で評価される。 • “真正の学び”は、“真正の評価”を構想するところから逆算しても構築できる
なぜ真正の学びなのか • 学習の悦びのために • 学習=出会いと発見のよろこび • そうだったのかと、世の中が違って見えるようになる • ああ、すごいな、美しいなと感動する • 学んだ自分が、成長したと思える • もっと学びたいと思う • 子どもたちの出会いと発見に寄り添う教師に • そのつぶやきの価値がわかるために • 子どもたちとともに悦ぶために
具体例として・1 • 小学校理科「植物のからだ」 • 根・茎・葉 • ほんとうにわかれているのか • なぜわかれているのか • どうしてわかれていると言えるのか
具体例として・2 • 中学校国語「漢和辞典」 • 漢字の読み方を調べるためだけにあるのではない • 漢文という異言語への道標 • 漢字ワールドにトリップさせてくれるガイドブック • 通樋桶踊埇蛹 • 私たちの言語世界の豊かさを教えてくれる
実践編 • あらゆる授業で「出会い」や「発見」を準備することができるのだろうか。 • 基礎・基本との兼ね合い • 根本の考え方: • 基礎・基本は応用・適用なしには学ばれない • 基礎・基本のない応用・適用は成り立たない
cf. 相補性の原則 • 教育業界には二項対立が多すぎる • 教師主導<>児童中心 • 基礎・基本<>思考力・応用力 • 生活・日常<>科学的・体系的 • 二項対立はバランスによって解決されるのではない • 二項対立は相補的にとらえる必要がある
実践編 • あらゆる授業で「出会い」や「発見」を準備することができるのだろうか。 • 基礎・基本との兼ね合い • 根本の考え方: • 基礎・基本は応用・適用なしには学ばれない • 基礎・基本のない応用・適用は成り立たない
授業デザイン • 「指導案」 • 教える内容はすでに決められていて、それを出す順番と方法が記述されている • 「授業デザイン」:以下を考え、記述すること • 出会いと発見を教室に実現するために、 • 何と出会わせるのか、 • どのように出会わせるのか、 • なぜそれと出会わせなければいけないのか、 • それと出会うと、子どもたちはどのように幸せになるのか
それでも残る疑問について • 反復、習得、記憶、スキルは必要ではないのか? →必要である • 実践的対応 • 反復の前と後がだいじ • 覚える前に納得する、覚えたら使ってみる • 反復ではない可能性をとことん考える • 本当に必要かどうかを切り詰める • 反復そのものを探究に埋め込む • 「気づいたら反復していた」に持ち込む • 記憶ではなく、「自動化」「省エネ化」
日本の教師たちの共通課題 • リミッターがかかる • 子どもを「子どもあつかい」する • 易しすぎる・優しすぎる • 親心が学びを阻害する • 学びとは挑戦である • つまずいて、転んだところから起き上がるとき、学びが生じる • 教師は、わからせるのが仕事ではなく、安全に転べる場をつくるのが仕事=学ばせる授業への転換
参考文献 • 『現場で役立つ教育の最新事情』武田・村瀬・嶋﨑編著 ,北樹出版 2012.