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認知症高齢者の「 QOL 」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理

認知症高齢者の「 QOL 」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理. 第 44 回日本作業療法学会 於:仙台市博物館 平成 22 年6月 11 日 吉備国際大学保健科学部作業療法学科 田島明子、岩田美幸、籔脇健司、小林隆司. はじめに. 認知症高齢者の作業療法では「 QOL 」の向上が支援の目標とされるが、「 QOL 」については概念検討に先行して尺度化が検討されており、尺度が概念を規定している感さえある。1つには問題把握や効果測定のためにそれが急がれたこと、もう1つは認知症高齢者における「 QOL 」の捉え難さもその一因となっているかも知れない。

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認知症高齢者の「 QOL 」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理

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  1. 認知症高齢者の「QOL」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理認知症高齢者の「QOL」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理 第44回日本作業療法学会 於:仙台市博物館 平成22年6月11日 吉備国際大学保健科学部作業療法学科 田島明子、岩田美幸、籔脇健司、小林隆司

  2. はじめに • 認知症高齢者の作業療法では「QOL」の向上が支援の目標とされるが、「QOL」については概念検討に先行して尺度化が検討されており、尺度が概念を規定している感さえある。1つには問題把握や効果測定のためにそれが急がれたこと、もう1つは認知症高齢者における「QOL」の捉え難さもその一因となっているかも知れない。 • 本来「QOL」は、従来の医療的介入に対して個別性や主観性の大切さを強調する機能を持っていたが、認知症高齢者の場合、その疾患特性ゆえに意思表出することの困難があるため、把握方法に大きな課題を抱えている。さらに、生活の中で多くの介入(ケア)を要する認知症高齢者にとって「QOL」は介入(ケア)の質とほぼ同義であり、援助のあり様が「QOL」を規定することにもなる。 • このように認知症高齢者の「QOL」は難解な様相を呈しているが、その概念化・尺度化・援助設定をめぐり研究蓄積も多い。そこで本研究では、認知症高齢者の「QOL」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点について関連文献を辿り整理した。

  3. 対象と方法 【対象】 • 医中誌WebVer.4にて、1983年~2009年と期間設定 • 検索条件①② ①「認知症/痴呆性高齢者」「QOL」「評価」 →ヒットした文献の中から「QOL」の包括的な評価についての文献 ②「認知症/痴呆性高齢者」「QOL」 →ヒットした文献の中から「QOL」について検討している文献 • 関連書籍 【分析方法】 ①各文献から、認知症高齢者の「QOL」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点について抜粋して基礎データ化 ②基礎データから中核となる論点を抽出 ③基礎データは<http://www5.ocn.ne.jp/~tjmkk/nintisyouqol.htm>にて、誰もが閲覧できるようにした

  4. 結果1「QOL」総体で捉えることの困難性 尺度化しきれない、生活の連続性・揺れを捉えることの困難などが指摘 ●尺度化の困難の指摘 室伏(1993) ・「QOLについては尺度化が試みられているが、QOLはもともと科学的技術中心の医療の推進においてはそれをはずれる抜け目や負い目のものが、人間にとって重要であると換起されてきたものである。そのため、これに対して再び科学的方法論としての尺度化を試みることは、やはり目指す本質が抜け落ちて、つかみがたいものとなる可能性がある。皮相的な把握や評価にならないように慎重を要する」 ・「QOL」の尺度化がなされる時、「それをはずれる抜け目や負い目」が生じうる ●「QOL」概念の確定のし難さ、測定すること困難性の指摘 黒田(1992) 「虚血性心疾患患者のQOLの実態を調査する中で、Kleinpellが抽出したものと同じ、人生の満足や自尊心をQOLを構成する要素と考えた。しかし人生の満足を1つ取り上げても、それでは、『人間にとって満足とは一体何だろう』、『満足っていうのは流動的なものではないか』などなど、疑問は尽きなかった」 ●人間の生きる過程における連続性、揺れを包摂できるような全体論的な科学的測定法の成立の困難性の指摘 小澤(2000) 黒田の言及を受け、「黒田もまた、QOLの操作的測定法の展望を行いながらも、「QOLは静的ではなくひとりの人間の生きるプロセスという観点からみると連続していて、しかも揺れ動いている、このことを踏まえ、なおかつひとりの人間を全体論的にとらえようとすると、科学的なQOL測定を目指せる条件に乏しい」と述べている」

  5. 結果2認知症高齢者の主観を捉えることの困難結果2認知症高齢者の主観を捉えることの困難 陽性感情を「良い」と捉える文献が多い中、陰性感情も「悪い」とは限らないとする文献あり ●主観的QOL良好=陽性感情、低下=陰性感情 阿部他(1998)、森本他(2000)、寺田他(2001)、土屋他(2002)、鈴木他(2005) 認知症高齢者の「(主観的)QOL」の尺度・調査票開発を試み  ・感情・気分・表情が指標  ・「肯定的感情」「陽性感情」と「否定的感情」「陰性感情」に分節化、前者が「(主観的)QOL」が良好、後者が「(主観的)QOL」の低下としていた ●陰性感情は否定的側面ばかりではない 村上他(2007) 「『unhappy』と捉える表情は、何かに打ち込んでいる時の真剣な表情や考え込んでいる表情も含まれていると考えられる。よってこれらのことから、表情による評価は何が良くて何が悪いかということは一概に言うことはできない[略]と『unhappy』をもう少しポジティブに捉えるということ」 その理由は 「疑問を持つことなく笑顔などをポジティブな評価として、そのまま捉えることによって、サービス提供者側は一律的なサービスを提供してしまう可能性がある。[略]サービス提供者はポジティブな評価である笑顔を得ることができるなら、単に笑わせる行動が強化をうける。しかし、それによって利用者は主体的な生活ではなく、受身的な生活を送ることになるかもしれない。なぜなら、サービス利用者が主体的に活動に対し熱心に従事しているときは、ネガティブと評価される表情が往々にして現れることがあるため」 →(BUT) 土屋他(2002)では、村上他(2007)が指摘する「真剣な表情」は「肯定的感情」にカテゴライズ  ↓ 人の感情・表情は多様なもの、単純に二分化することが困難 各研究者間でそれらの定義が錯綜している現状

  6. 結果3援助設定のための概念としての「QOL」 「行動的QOL」「援助つきQOL」概念を呈示、選択機会を保障しそれを支援する ●「(権利のボトムアップのための)援助設定のための概念」として「QOL」を捉える 望月(2000) 「行動的QOLという枠組みは、障害を持つ個人の『障害性』(impairmentやdisabilities)を改善し、その結果として『生活の質』を高めるという『能力のボトムアップ』の展開を想定したものではない。現状の障害性のままに、その障害の軽重にかかわらず、行動の選択、つまり、環境あるいは社会参加の決定権を本人に委ねるというものである。その意味では、個人における個別の行動の成立としての『権利のボトムアップ』をはかるもの」 村上他(2007) 「行動的QOL」の考え方に基づき、認知症高齢者に対して介入を行い、その効果を検討   →「QOL」を「当事者一人ひとりにとって好ましい行動の選択肢と選択機会が保障され、選択や選択した行動が援助つきでも実現している程度」とし、「対象の高齢者が持つ疾患の特性を考慮し、従事する行動について、望月が述べた『繰り返し行う』といった行動の頻度ではなく、行動の継続時間としてそれを満足度の測定」としている ● 「援助つきQOL」の概念の提示 村上他(2007) 認知症高齢者にとって選択機会が提供されたとしても、「本来あたり前の権利である選択という行為は、長らく認められない、またその環境や機会すらなかったために、『本当にしてもいいのか』『それは本当に可能なのか』といった疑問が生じ、そのため行動に移すことができない」「(1度は拒否的な:演者追記)選択を行った場合にでも、1回きりの選択をその人の最終的な決定として捉えるのではなく、我々と同じように、その時の状態や状況に応じて判断が下されているわけであり、その判断は常に変化する可能性を持っている」→選択機会の提供を継続していくことが重要

  7. 結果4 認知症高齢者の立場から世界を見直す試みの必要性結果4 認知症高齢者の立場から世界を見直す試みの必要性 「ケア困難性の改善」が当事者の「QOLの向上」と結びつく論が多いなか、はたしてそれが当事者の認知された「QOLの向上」を意味しているのかと「認知症高齢者の立場から世界を見直す試みの必要性」を指摘 ●QOLとQOCは同じではない、当事者の世界からQOLを見定めること 小澤(2000) 「痴呆性老人の「QOL」は「周辺症状・ADL・コミュニケーション・感情障害の改善、要するにケア困難性の改善として論じられることが多かったといえる。これがはたして本当に認知されたQOLの向上を意味しているのか」 「痴呆性老人のQOLを問うという視点は、痴呆性老人の目で世界を見直し、その地点からQOLを高めるためのケアを再構成するという目的と直結すべき」 →・「ケアが効果的であり、必要であるのかを科学的・客観的に示そうとする際の方法論として、QOL測定が求められてきた」背景   ・質問に答えてくれない認知症高齢者の代わりに代弁を行う「代理者と当人の認知のギャップをどう考えるか」 という問題を捉えようとする姿勢 ●アルツハイマー病と診断された人物の言葉を紹介 水島(2005)  ・認知症高齢者の主観的体験世界を基点としリハビリテーションと「QOL」について論考している  ・そのなかでFriedellというアルツハイマー病と診断された人物の言葉を紹介 「彼はQOLに対して発言して、QOLは個人的課題だとしたうえで、彼は責任性と自己表現の能力の獲得と維持、そして人生を、意味ある体験をしつつ過ごせることがQOLの要素と考えている。加えて、アルツハイマー病をもつ人にとって、QOLに対する最大の挑戦的課題は、この病が持つ将来の暗闇をどう克服するか、そのヒントを見出すことであると述べている。そしてこの病をもつ人をただ単に「今に生きる人」という捉え方だけでは答えになっておらず、病をもちながらも「生成(becoming)すること」が如何に可能となるか、またアルツハイマー病が軽度の段階で、将来の暗闇にどう挑戦できるかそのヒントを得ることこそがQOLの意味ではないか、と言う」

  8. 結果5「QOL」と「能力」の結びつきの否定 「『QOL』と『能力』の結びつきを否定」する言説 ●それが「QOL」の本質ではない 大井玄(2004) 「QOLに反映されている主観的満足度は、常識が期待する若さや健康などの「能力」に素朴に対応するのではな」く   「世界内存在としての私が抱く満足、幸せなどの気持ちは、あくまで自分が脳裡に描いている世界との全般的な調和関係を認識することによりつくられた『ゲシュタルト』」 →「QOL」の本質は、その人の所有する客観的要素としての身体的社会的条件(能力)ではなく、むしろ自分が世界との調和した関係を認識しているか、思い描けているかによる 「認知症高齢者が現状において親和感の持てる関係が取れた場合、人格回帰(楽しかった時代に遡る)せずに「自己を    意識化」することも十分に可能であるとする。認知症高齢者にとっても、「『わたし』を『わたし』として社会においてあらしめているのは、記憶や見当識のみならず、『わたし』を『わたし』として認め、手をさしのべてくれる人たちの存在である」 →「わたし」を「わたし」として意識化できることに「QOL」の本質がある ● 「能力」向上が見込めない人は「QOL」向上が見込めないとする「屈折した対応」の正当化の否定 望月昭(2000)(「行動的QOL」概念を提唱) 「QOLとは、一定の水準の『能力』と『健康』を持つもののみに期待できるという枠組みが存在」することであり、このことは「個体的にも環境的にも重度の『障害』を持ち、他より切実に生活状態の改善が求められる個人のQOL改善を阻害する作用」を持つ 「障害の軽重に関わらず導入が可能な、選択肢拡大を中心とした行動的QOLの概念とプロアクティブな作業方針の導入は、そうした屈折した対応の正当化を避けるうえでもメリットを持つ」 「行動的QOLという枠組みは、障害を持つ個人の『障害性』(impairmentやdisabilities)を改善し、その結果として『生活の質』を高めるという『能力のボトムアップ』の展開を想定したものではない。現状の障害性のままに、その障害の軽重にかかわらず、行動の選択、つまり、環境あるいは社会参加の決定権を本人に委ねるというものである。その意味では、個人における個別の行動の成立としての『権利のボトムアップ』をはかるもの」

  9. 考察 認知症高齢者の「QOL」の概念整理やその使用法についての3つのポイント考察 認知症高齢者の「QOL」の概念整理やその使用法についての3つのポイント ●1つめのポイント 【QOL概念は「能力」の位置取りとともに倫理・規範の設定を要する援助概念である】 ・望月(2000) QOL概念について、障害性を改善し、その結果として「QOL」を高めるという「能力向上」と連動させた「QOL」の理解の仕方に警鐘を鳴らす →障害の軽重に関わらずあらゆる対象者に適用可能なQOL概念であるためには、QOL概念の構成要素に「能力」的観点を含めるべきではない ・大井(2004) 「能力」は人間の利己的欲望と関連しており、競争社会においては「能力」の喪失は極度に恐怖され忌み嫌われるが、「QOL」の本質はその価値軸とは位相の異なるものであり、非利己的な他者や社会との関係性において自己を自己として感受することに人間の満足、「QOL」の本質がある → QOL概念に「能力」的観点を含めること自体が、競争社会で生きる人間の側の価値軸が投入された(に過ぎない)、当事者感覚を乖離したQOL概念となっている危うさを表出 +(プラス)認知症高齢者における生命倫理の問題とも関係--廣瀬(1994)、星野(1996)、櫻井(2010) 「能力向上」に連動した「QOL」概念は、認知症が重症化し、様々な「能力」を喪失し、今後も失われた「能力」を少しでも取り戻せる見込みのない<生>を「QOL」の低い<生>と位置づけられる危険が生じうる。「QOL」が低いと見なされる<生>は生きない方がよい<生>に容易に転化する可能性を内在

  10. ●2つめのポイント 【介入の帰結以上に過程に活きる概念】 望月(2000)、村上(2007) 「行動的QOL」「援助つきQOL」という概念を提示し、援助の枠組みとした →・ある状態の「QOL」を評価するという性質のものではなく、当事者      の自己選択と主体的活動性を「QOL」の本質とし、それを引き 出すための介入を行うことに力点   ・ある期待される固定的「QOL」状況を想定しているわけではなく、    援助のあり様と介入過程における「QOL」の表現形態の個別    性・多様性が担保されている。 →このように援助の枠組みに「QOL」を位置づけることで、「QOL」の  尺度化の限界を解消し、個別性・多様性のある創発的な「QOL」    世界を導き得る可能性を持つ

  11. ●3つめのポイント 【認知症高齢者の主観を捉えることの困難と当事者世界から導出されるQOL概念の深化の必要性】 ・認知症を生きる当事者の手記が多数出版されているので、それらを紐解き、認知症高齢者の「QOL」について考察を深めることも意義のある仕事になる。 ・当事者から直接話を伺う機会に恵まれるなら貴重な機会となる。 ・私たちは当事者が生きる現在は、時間軸の先に見渡せる未来からも照らされている事実を再認識できる。つまり「QOL」は現在あるものによって満たされているわけでもない。

  12. 補足的論点 ●「客観的QOL」と「主観的QOL」の対立状況の対応 「客観的QOL」と「主観的QOL」に対立が生じている状態  このような状況は、認知症高齢者を支援する場面では往往にして見られる 小澤(1998a) 「パターナリズム」と「自己決定」の対立状況として考察 具体例:「一人暮らしの高齢者が極めて不健康、不衛生で、かつ火の不始末などの可能性もある生活をしており、痴呆が疑われるとして」相談を受けた場合、どのように対応を行えばよいか 「客観的QOL」→「パターナリズム」を発揮し強行な介入を要する 「主観的QOL」→ 本人の「自己決定」を尊重 「自己決定かパターナリズムか、患者の自律か医師の裁量かを無前提に議論するのではなく、それぞれの事例に従って、具体的な場面ごとに、それらの調和を図る以外にない。この作業は優れて臨床実践的課題」                     ↓ ・「パターナリズム」/「自己決定」、「客観的QOL」/「主観的QOL」の二項対立関係の軸をずらすようなダイナミズムが働く可能性を持つ場であるということ ・臨床の場の持つダイナミズムを最大限生かした援助過程のなかに、そうした二項対立を超えた「QOL」の変容が生じているかも知れず、そうした創発的変容を射程に収めることのできるQOL概念とその位置取りが必要ではないか

  13. 今後の課題 認知症高齢者の「QOL」理論構築に向けて、以上の論点を2つの困難と4つの要請として集約した。 1.認知症高齢者の「QOL」をめぐる困難性 1)認知症高齢者の主観を捉えることの困難性 2)認知症という障害に特有の「QOL」観(感)の存在が示唆されるが、それを把握することの難しさ 小澤[1998b]、クリスティーン・ボーデン[2003]、クリスティーン・ブライデン[2004]を参照しつつ、「認知症高齢者の生活世界」        「多数派の生活世界」「認知症高齢者のQOL」の関連図を作成(次スライド)→さらに考察を深める 2.4つの要請の2つの要点 1)個別的・創発的な「QOL」の担保 2)「過程」が「QOL」を実現するための重要なポイント →認知症高齢者に限定して言えることではなく、あらゆる対象者に対して適用しうる「QOL」の考え方ではある ・アマルティア・センの潜在能力アプローチの適用可能性について検討する。         「潜在能力」は、「生のよさ」を財の多寡でもなく、当人の満足の度合い(効用)でもなく、財を効用へと変換する能力・権能・権          利、選択と自由、多用な「生のよさ」の実現可能性を内在する機能集合に着目する。しかし「潜在能力アプローチ」は1で示し         たような「生活世界の異なり」のある認知症高齢者に対して有効であるか議論の余地は残る(野崎泰伸氏による指摘)。後藤 [2010]は、能力主義・成長主義的支援・政策への批判的観点から「潜在能力アプローチ」の臨床的応用に着手し始めている。         そうした議論にも組みしながら「潜在能力アプローチ」の適用可能性と限界を検討しつつ、認知症高齢者のQOL理論構築の検            討を行なっていく

  14. ・認知症高齢者の生活世界と多数派の生活世界は根本的に異なりがある・認知症高齢者の生活世界と多数派の生活世界は根本的に異なりがある ・認知症高齢者の生活世界から捉える「QOL」観(感)を探る必要性 ・認知症高齢者の「QOL」を実現するためには多数派の支援が必要 ・多数派の生活世界が生成する認知症にまつわるスティグマ・絶望的物語は認知症の生活世界を生きる人の「QOL」を低下させる

  15. 【引用文献】 • 安部俊子 山本則子 鎌田ケイ子 他(et al)(1998)痴呆性老人の生活の質尺度(AD-HRQJ-J)の開発.老年精神医学誌9(12):1489-1499 • 廣瀬輝夫(1994) “質と量”のQOL 老人性痴呆症患者のQOL.環境衛生41(10):26-30 • 星野一正(1996)アルツハイマー痴呆患者における生命倫理.Geriatric Medicine34(6):753-757 • 後藤玲子(2010)「総合社会科科学としての社会・経済における障害の研究」第24回月例会 東京大学 2010年7月3日報告原稿 • クリスティーン・ボーデン(2003) 私は誰になっていくの?-アルツハイマー病者からみた世界-.クリエイツかもがわ 京都 • クリスティーン・ブライデン(2004) 私は私になっていく―痴呆とダンスを―.クリエイツかもがわ 京都 • 黒田裕子(1992)クオリティ・オブ・ライフ(QOL)その概念的な面.看護研究25(2):2-10 • 水島繁美(2005)認知症をもつ老人のリハビリテーションとQOL.MB Med Reha 54:23-29 • 望月昭(2000)行動的QOL:「行動的健康」へのプロアクティブな援助.行動医学研究7(1):8-17 • 森本美奈子 柿木達也 柏木哲夫 前田清潔(2000)アルツハイマー型痴呆患者のQuality of Life評価尺度「Dementia Happy check-Home Care Version」の開発.老年精神医学雑誌9:1051-1060 • 村上勝俊 望月昭(2007)認知症高齢者の行動的QOLの拡大をもたらす援助設定-選択機会設定による活動性の増加の検討-.立命館人間科学研究15:9-24 • 室伏君士(1993)痴呆患者のQOL.老年精神医学雑誌4(9):1007-1012 • 大井玄(2004)痴呆の哲学-ぼけるのが怖い人のために-.弘文堂 東京 • 小澤勲(1998a)高齢者と人権. 臨床精神医学講座12 老年期障害 松下正明編 中山書店 東京p419-429 • 小澤勲(1998b)痴呆老人からみた世界―老年期痴呆の精神病理.岩崎学術出版社東京 • 小澤勲(2000)痴呆性老人のQOLとはなにか.老年精神医学雑誌11(5):477-482 • 櫻井浩子(2010)新生児医療における生命の質と「子どもの最善の利益」.生存学2:133-144 • 鈴木みずえ 内田敦子 金森雅夫 他(et al) (2005) 日本語版Dementia Quality of Life Instrumentの作成と信頼性・妥当性の検討.日本老年医学学会雑誌42(4):423-431 • 寺田整司 石津秀樹 藤沢嘉勝 他(et al)(2001)痴呆高齢者のQOL調査票作成とそれによる試行.臨床精神医学30(9):1105-1120 • 土屋景子 井上桂子(2002)痴呆高齢者に対する主観的満足度の評価方法の検討―感情を指標として―.川崎医療福祉学会誌12(2):389-397

  16. 謝辞と付記 • アマルティア・センの潜在能力アプローチについて、立命館大学大学院の後藤玲子教授、立命館大学非常勤講師である野崎泰伸先生に多くのご教示を賜った。深く御礼申し上げる。 • 本研究は、第2回作業療法ジャーナル研究助成によって行われた。 • 本報告内容は、2010年吉備国際大学研究紀要(保健科学部)に加筆・修正を加えた内容となっている。

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